代アマチュア無線家?マルコニー
電波は情報を伝える手段として利用され、発展してきました。電波を利用する身近な物で放送・携帯電話・業務無線などがあげられます。その他にも電話局間のマイクロ波回線や様々なデーターの回線など、生活には無くてはならないものです。それはいずれも「電波」を手段として送り手から受け手に向けて情報を伝える資源としての利用です。
しかし、マックスウエルが電波の存在を発見し、マルコニーが実用化した、この電波の発展と歴史は、「アマチュア無線家」の存在を抜きにして語ることはできません。
当時、電波といえば火花放電式の送信機(日露戦争時の「敵艦みゆ」もこの方式)で電波を出して、鉱石受信機(コヒーラ)で受信する方式(球が間隔を空けて設置されていてこの間隔(ギャップ)に火花を飛ばす、このオバケみたいな物と思ってください)で、使用してる周波数は所謂「長波帯」と呼ばれる物でした。この周波数の近辺でアマチュア無線家が実験を繰り返していたのを、商用化し、軍が目を付けて当時、遠距離には届かないと言われていた「短波帯」にアマチュア無線家を追い出しました。ところが先駆的なアマチュア無線家はこの短波を使用して小電力でヨーロッパーアメリカ間の交信に成功したのです。短波こそ小電力で遠距離通信に最適な周波数帯だったのです。そうしたら、また、この短波に目を付けて、アマチュア無線家を短波帯から追い出そうとしました。しかし、欧米諸国は、この「遠距離通信に短波が最適なことを」発見したアマチュア無線家の功績を認めて人類の共有財産である電波の一部をアマチュア無線家に割り当てました。

草創期
これが、アマチュア無線の始まりでした。一方日本はどうかといううと大正になり、アマチュア無線家が誕生して様々な実験をくりかえしていました。日本は電波法なるものは存在せず、軍か、逓信省(現総務省)の無線局しかなく、呼び出し符号なるものも無く、勝手にコールサインを付けて運用してました。
まあNHKを受信するのでさえ免許がいる時代でした。アマチュア無線の草創期の先輩はこれまた勝手にJARL(日本アマチュア無線連盟)なるものを発足させて、アメリカの雑誌に発表してしまいました。これが当局の目にふれ、アマチュア局の取り締まりを強化したそうです。それでも、実験と若い人達への科学技術の勉強のために昭和2年に初めて正式なアマチュア無線局JXAX〜JXHXなるコールサインが発行されました。周波数は7.9MHZ付近でした。その後、戦争になり、アマチュア無線は全面禁止となりましたが、戦後再び先輩の努力で免許がおりる様になりました。

戦後の歴史
戦後の日本は、何もなくなり、科学技術の発展は著しく低下していたのですが、このアマチュア無線の免許解禁と、当時では画期的なノーコードライセンス(試験にモールスが無い)の旧2級の免許で沢山のラジオ少年が誕生しました。そして、そこから電子工学を学ぶ多くの青年が誕生していったのです。その後、初級の免許や講習会で、簡単に免許が取れる様になりました。携帯電話等無い時代ではアマチュア無線は格好の連絡手段で、友達や知り合いと話しをするためだけのアマチュア無線家が沢山誕生しました。しかし、この人達の多くは、あくまでも無線は手段だったので、雨後の竹の子はだんだんと減少し、携帯電話やインターネットの普及と共にアマチュア無線をやる若い人はいなくなってしまいました。
現在は、人工衛星や光ファイバーにより、グローバルで安定した通信回線の確保が簡単に出来るようになり、「短波」の商業ベースでの利用度は激減しました。短波は遠距離に届く利点がある反面、季節や時間・太陽活動に大きく影響を受け安定な情報回線として維持するのは非効率的になったのです。そして、プロの世界で唯一残っていた船舶と海岸局との間で使用されていたモールス符号による電報の交信は、衛星電話に変わり、プロの世界からモールス信号による電波は途絶えてしまいました。

電波こそ目的!!
アマチュア無線家の多くは、商業的な通信や、放送と違い電波(通信)は目的そのものとして楽しんでいます。したがって、放送や電話などの様に安定した回線確保は必要無いのです。むしろ不安定だったり、不確実だったりするところに電波や電離層の不思議な世界を楽しんでいるのです。
「どんな話をするのですか?」と質問されますが、むしろ内容は問題ではありません。実際の交信では数字の5と9しか言わない時もあります。中にはモールス信号の「T」や「O]だけなんてあるんです。どちらかと言うと内容のある話は、より安定した回線確保の出来る、携帯電話や電話・そして最近ではインターネットを使用してます。アマチュア無線の醍醐味はその不思議な電波そのものが目的なんです。

雑音に埋もれた信号
電波が手段の放送や携帯電話等は、雑音もなく安定した受信・交信が出来ることが必須条件です。私も永年放送局に勤務してきましたが、趣味のアマチュア無線と仕事の放送との決定的な違いはここにあります。放送は、雑音があるけど、聞こえたり見えたりすれば良い・・と言うわけにはいきません。不測の雑音や天候の変化を見越して、マージンを取って回線設計をします。そこには不規則や偶然・突発的な電波伝搬は初めから存在しません。
これが、電波を手段にした通信の原則なのです。しかし、アマチュア無線の世界は、この不規則・突発・偶然こそが電波伝搬の摩訶不思議な醍醐味なのです。聞こえるか聞こえないかのギリギリの瀬戸際で雑音をどう軽減し、目的の信号だけを聞こえる様にするのか・・そして「まさか!!」という電波伝搬を探り当てるのか・・・その偶然に遭遇するのには一生にあるか無いかの醍醐味なのです。
「インターネットがあるし、シンプレックスのアマチュア無線なんて
「時代物!!」「古い!!」」などなど、もっともらしいご批判をいただいている偉そうな方々は、可哀想なことに、この「摩訶不思議な電離層」の魅力を知らないのです。電波はあくまでも「通信手段」としか思っていない方々です。

電波・・・なんと不思議なものでしょう。
昔、理科の授業で「電気力線が導体を横切ると起電力が生じる」と教えられました。電波は電界と磁界が交差するものですが、それが太さ、僅か1mm程度の導線を張れば電波が電気に変わり遠くヨーロッパやアフリカの放送を聞くことが出来る、不思議なものです。幼い頃に我が家の宝物「オールウエーブ5球スーパーラジオ」で、あのウエストミンスターの鐘の音で始まる遠くイギリスのBBC放送を聞き、笑いカワセミの声で始まるラジオオーストラリアを聞いた時の驚きは今も忘れません。フェージング(電波の強さが上がり下がりする現象)で音が小さくなったり、大きくなったりすることもまた、ヨーロッパは遠い所だ!!と納得したものです。そして何時かは自分でも電波を発信してみたい、遠い国と交信してみたいと夢見る様になりました。
その為に、免許を取って、自分で無線機を作りアンテナを張り、夢が現実になりました。そして仕事までもが電波を発信する放送局となりました。そして、この様な趣味の人が世界の至る所で居るのです。交信内容がモールス符号の「T」だけで一回しか交信していなくても、逢えば永年親しんでいた友と変わるのです。

雑音との戦い!
実は、電波は放送局や無線局だけからではなく、様々な電気器具からも発生されています。電気さえ流れていれば電波は、大なり小なり発生するものです。一昔前の雑音の主役は、「安い蛍光灯とTV」が主流でした。しかし、最近では電波を発生する電気器具は多すぎて、幅(スペクトラムと言います)が広いものです。前記の蛍光灯は改良されて雑音も小さくなりましたが、変わって登場したのが、ボイラー・冷蔵庫・モーターなど回転をする器具・そして、パソコン・それに付随するインターネット用のDSUです。そして、電灯線そのものからの雑音・・等あげればきりがありません。
ここまで読んで頂いて有り難うございました。そこで本コラムの目的である本題に入りたいと思います。
電波は、目的と書いた所以がここにあります。安定した通信回線で交信したければ携帯電話や電話・インターネットで十分です。何故アマチュア無線なのかが、お解りと思います。電離層や季節・天候により様々な姿を見せるこの電波の伝搬に宇宙のロマンと夢を託して大の大人がワクワクドキドキする気持ちは解っていただけたでしょうか?
雑音こそが、この摩訶不思議な世界の邪魔をする大敵です。ところが、様々な電気機器は雑音排除の機能をどういう訳かきちっと施されていません。不思議なことに雑音規制の厳しいアメリカ等に輸出する製品はきっちっとされているのです?クレームを付けると大手のメーカーは対応してくれます。ところが、安価なOEM製品は製造元も不明でクレームを付ける相手も解りません。これは逆も言えるので、アマチュア無線の電波がTVやラジオ・電話等に混入する場合もこの対策がなされていないのが国内販売製品です。TVやラジオに混入するアマチュア無線の電波は送り手のアマチュア無線局だけの問題ではなく、受け手の家電製品(エレクトーンも!!)にも問題があるのです。これで、どんなに苦労させられたことか・・
したがって、これ以上の雑音を空中に発振することは、もう勘弁してもらいたい!

PLCはアマチュア無線の敵!!
ここにきてアマチュア無線家にとっても短波受信の愛好家にとっても、はたまた短波を使用している短波商業局にとっても、由々しき問題が発生しました。それは、一部の電力会社が計画しているPLC方式のインターネット回線です。簡単に説明すれば、既存の電灯線をインターネット回線に使用しようという計画です。電灯線に短波帯の電波を乗せてインターネット回線に使用するものです。「電灯線は殆どの家庭に引かれており、新たに「線」を張る事のインフラ整備をしなくても、高速のインターネット回線が簡単に構築出来るから・・」と言うのが謳い文句です。しかし、ここには落とし穴があって、日本は、大多数の電灯線が電柱を支えに空中に張られているということです。この空中に張られた電灯線に「短波」を重畳させれば、どうなるかは明々白々で、電灯線がすなわち「アンテナ」となってしまいます。どんなに小さな出力でも、この短波の「電波」は空中に飛んでいき、短波帯の雑音となって出ていってしまいます。克、始末の悪いことに、この短波は特定の周波数ではなくて広範囲な幅を持っているのですから、雑音の中から弱い信号をピックアップし、挑戦しているアマチュア無線に多大な障害を与えることは、先日の実験結果でも明らかです。
また逆も言えるのです。すなわちアマチュア無線局から出た短波の電波がこのPLC方式のインターネット回線に飛び込むことも簡単に予測されます。すると、また無認識なマスコミまでもが、「電波が混入する。電波ジャックだ!障害だ!!」と騒ぎ、アマチュア無線家は一方的に「加害者」にさせられます。
欧米諸国をはじめ世界の流れは光ファイバーによる、高速インターネット回線化の動向です。このPLC計画はまさに、逆行するものとしか言いようがありません。何故このPLC方式に拘るのでしょうか?利権の陰が見え隠れしているように思えてなりません。そしてこのPLC計画に反対声明をしようものならば、あらゆる方向からの圧力が掛けられてきます。なかには「死ね!!」等という脅迫Mailも届いた方もいるようです。こんな方が「インターネットが時代の先端でアマチュア無線が古い廃れる物」などと暴言を吐くのでしょう!インターネットは便利な反面、不特定多数のどこの誰だか解らない相手との通信ゆえに無責任な匿名脅迫文がまかり通っている、「ならず者」の世界を作り上げているのが現実です。これは嘆かわしいことです。
一方、アマチュア無線は免許制度の性質からして、どこの誰かはっきり解っている上での交信です。おのずとそこには秩序も自己責任も存在します。大人の世界です。(年齢ではありません)
情報公開と改革が叫ばれて、「こそこそ裏取引をする三流の人種」が明るみに出ている現在日本の現状にも関わらず、未だにこの古い体質が大っぴらに通用すると思っている人が多いのは嘆かわしいことです。
国民を舐めている!!としか言いようがありません。今は、「立派な人」と言われて居た人が実は立派でも何んでもなかった!!と白昼にさらけ出されてしまう時代ですのに、これが、少しも解っていない、人が多いことか!!!おっと・・・話が脱線してしまいました。
で・・・先頃この実験結果が発表されました。結論は「時期尚早」ということです。思った以上にモデムからの漏洩電波が大きいと判明しました。やる前から解っていた結論です。電灯線はアンテナの給電線と違います。各家庭による接続家電器具の違いによる影響(インピーダンス)は予測出来ません。今回の実験も1台のモデムでの実験です。これが各家庭にぶら下がったらと思うとゾットします。
しかし、喜んではいられません。開発技術の向上で考慮する旨の一文も報告書に記載されています。中には170Mbpsの高速を達成出来た!!などの報告もあります。この報告を出したのが某有名家電メーカーだそうです。規制緩和が出来ないのはアマチュア無線のせいだとの話しも伝わってきてます。日本ではアマチュア無線は子供のお遊び程度にしか認識されていないようです。生めよ増やせよとセコセコ講習会制度で増やしただけであとの育成もせず、king−ofーHobbyを電話ごっこにしてしまった某アマチュア無線団体の責任は大きいです。是非ともいっそう先頭に立ってこのPLC計画を潰していただきたいと思います。
それにしても、ろくに勉強もせず夢のような話をぶち上げた一部マスコミには今更ながら呆れかえります。特に科学技術の話題となるとトンチンカンの記事が多いようです。がんばれ日本のマスコミ!!オットットまた話が脱線しました。

アマチュア無線は平和のバロメーター
外国の文化を理解することは至難の業です。特に日本の様に四方が海に囲まれた国では日常的に外国との接触は希薄です。したがって私も含めて外国人との付き合い方が下手な人が多いのは致し方無いと思います。変に国家主義になったり、外国文化崇拝になったりの両極端に走りがちです。この様な考え方からアマチュア無線を通して様々な国の文化を知ることが出来ました。しかも居ながらにしてです!!
理解することは難しいことですが、知ることで相手の思いが解ってきました。電波の伝搬方向から世界地図を眺め、小さな島の領土が解り、それを巡る紛争も見えてきました。例えばインド洋に浮かぶ「ディエゴガルシエ島」知ってますか?同時多発テロ事件の際にアフガニスタンを攻撃した戦闘機の補給基地です。一頃話題になりました。何故ここが米軍の基地なのでしょう?元々はイギリスの領土です。それをイギリスが米国に貸したのです。住民は?そうです、追い出されました!何故?それはフォークランド戦争まで遡ります・・・で・・・フォークランドって何処?と・・こんな観点から世界のニュースを見ると、少し、真実が見えて話題は広がります。
国・人種・宗教・職業・政治に関係なく、様々な人々と平和の交信が出来る、素晴らしい世界です。スポーツと似た様なところがあるのです。しかし、戦闘地域や、国情で無線を禁止されている国も少なくありません。パレスチナからの電波は途絶えました。アフガニスタンからは国連の人達が再び電波を発射しています。北朝鮮(挑戦民主主義人民共和国)からは唯一国連関係の人(外国人)が電波を出していましたが、強制撤去となり、戦後一度も現地の人が電波を出していません。そして発展途上国の大多数は、「国営アマチュア無線局」です。青少年の科学技術発展の一翼としてクラブ活動として運用されています。さもなくば、外国人が特例の免許を収得して運用しています。残念なことに、発展途上国の一部では、現地人にはアマチュア無線を許可しなくても、外国人が「なんらかの」手立てをすると許可されてしまう事があるようです。これは悲しいことですが、現実です。しかし、現地の青少年にアマチュア無線を教えて普及しているボランティアのグループもおります。
世界に平和が訪れて、どんな国からも現地の人が自由にアマチュア無線を楽しむ時が一刻も早く来ることを願ってやみません。