2004 世界ジュニア・宿命の対決観戦記
 <3個の銀メダル、4つのコンボ>
(オランダ/デン・ハーグ/De Uithof)


私が2004年の世界ジュニア選手権を観に行くことにした理由は、以下のとおりである。

1 エヴァン君VSアンドレイ君の「熱い闘い第2ラウンド」が観たかった
2 日本勢の活躍が期待出来るので楽しみである(安藤美姫ちゃん、浅田舞ちゃん、澤田亜紀ちゃん、岸本一美君、織田信成君)
3 SBC組の選手たちの活躍も楽しみである
4 ドルトムントの世界選手権のチケットを買っていたものの、仕事の都合でどうしても行けず、このままでは終われないと思った。
5 大阪からはKLM直行便一本で楽に行ける。
6 開催地のハーグにはフェルメールで有名なマウリッツハイス美術館があり、アムステルダムにも近く、観光が楽しめる。
7 たまには親孝行でもするか〜。

以上の点を考慮し、慎重に検討した結果の暴挙(?)に出た私は、2004年3月4日木曜日、国内線離れと大赤字に悩む関西国際空港から、KLМオランダ航空B747に乗って、一路オランダに向かって飛び立ったのである。離陸前のアナウンスによると、定刻の着陸時刻は午後2時55分だが、それよりも1時間ほど早い到着になりそうだという。私にとっては、ものすご〜〜くありがたいことだ。やった、エライぞKLМ!!機内食はイマイチだけど、時は金なんである。何といっても今回の行程は、きわめて綱渡りなのである。何といっても着いたその日に私的最大メインである男子フリーが行われる。飛行機を降りて、入国審査を経て荷物をピックアップし、税関審査を抜けて空港を出る・・。アムステルダムのスキポール空港から開催地のデン・ハーグまでは、約50キロの距離。トーマスクックの時刻表によると、スキポール空港駅からハーグ中央駅間は、だいたい30分に1本の割合で電車があり、所要時間も30分程度。これらの待ち時間、駅からホテルへの移動時間、ホテルから会場への移動時間&手段を考慮すると、とにかく余裕があるにこしたことない。もし着陸が遅れたりしたら、観戦に多大な影響を及ぼしてしまうのだ!!KLMは順調に飛行を続け、途中ロシアの上空をずっと通っていく。ドルトムントの世界選手権に向けて必死に練習を続けているであろう(推定)、エフゲニー・プルシェンコ氏の住むサンクトペテルブルグ付近も通過する。(ゴメンね〜、プルさん!!私はあなたの試合は見に行か(け)ないのに、世界ジュニアは見に行ってしまいます〜!!)と、心の中でコメツキバッタになる私。こうして午後2時過ぎ、予定より50分ほど早くアムステルダムのスキポール国際空港に無事着陸。ヨーロッパでも指折りのデカさの空港ターミナルを延々と歩き、入国審査へと向かう。この空港に来るのはこれで3回目になるけど、オランダで降りるのは初めて。入国審査そのものは問題なく通過したが、ヤケに厳しかったのが税関審査だった。通常、西ヨーロッパではありえない厳重さである。受け取った荷物のエックス線検査もされたし、やたら質問がうるさかった。あとで知ったことだが、オランダもイラクへ軍隊を派遣していたんだね。

ようやく到着ロビーに出る。さすがに機能的な設計になっていて素晴らしい。国際線で到着してから電車に乗るためにもう一度2階まで上がって、しかも長い通路を歩かねばならない関西空港とはえらい違いだ。ここの地下からハーグやアムステルダムへ行く列車が発着している。「切符を買って、いざゆかん!!」だ。ところがコンコースにはコインオンリーの自動販売機しか置いてない。どこが機能的だ!?早々に前言撤回・・。紙幣で買える切符売り場は外にあり、仕方ないので、一度外に出てデン・ハーグまでの切符を買う。メンドくさ〜い!!ハーグ行きの電車は15時過ぎにあると窓口で教えてもらう。あと10分ほどだ。コンコースに戻り、カートを整理しているおじさんにホームを教えてもらう。15時過ぎ、黄色いボディの列車がほぼ定刻にホームに入ってきた。内部は2階建てで、スーツケースを持つ身にはちょっと面倒ではあるけど、列車内は明るくてキレイ。ハーグまでの車窓風景は、なだらかな緑が広がる牧歌的な風景や森があったかと思えば、停車駅が近づくと突如として近代的で整然とした町並みが出現したりした。牧草地では羊がノンビリ草を食べ、カモやアヒルが水路(←やたら多かった)で何も考えてなさそうな顔で、プカプカ浮いていたりする。そんな中に混じって、田んぼの中にはKLМのシンボルのコブハクチョウの姿もあった。首輪とかリードがついてないところを見ると、彼らは野生のハクチョウ、すなわち野良ハクチョウと推測される。途中、列車は大学都市のライデンに停車する。駅の近くに巨大な風車があり、「オランダへ行くと行っても、名物の風車とかは見れんのやろうな〜。ニューヨークに行きながら自由の女神も見てへんしな〜」と、諦めていただけに、とても嬉しい。この駅からは、学生がドカドカ乗り込んで来た。

ようやく終点のデン・ハーグ中央駅に到着。コンコースを抜けてタクシー乗り場へ行きホテルの名前を告げる。ハーグの街はベアトリクス女王がお住まいになるロイヤルシティ及び国際会議都市として有名なんだそうだ。皇太子妃の雅子様のお父さんの小和田恒さんが赴任していらっしゃる(当時)国際司法裁判所もここにある。そういや昔、現代社会の時間に習ったっけ・・。まさか自分が来るハメになると思わんかったけどな。街の風景を車窓から見ていると、近代的なビルと古い建物が程良く調和しているし、緑が多い。オランダ人は自転車を愛用しているそうだが、確かに自転車の利用が目立つ。これだけ環境が良ければ自転車で走っても気持ちいいだろうなー。しばらくしてマドローダムの入口が見えてきた。ホテルからマドローダムまで徒歩圏内のハズなので、ホテルはもう近いハズ。ここまでは極めて順調な旅路であった。チェックインも問題なく済ませ、荷物を部屋に置きに行く。部屋はシンプルだけど適度に広さもあり、明るく清潔感があって、使い勝手も良さそうだ。長旅で疲れているであろう「同行者」を部屋に残し、会場へ行く。「同行者」はかなり不本意そうであったが、は〜っきりいって足手まといであり、ジャマである(笑)こうして非情な娘となった私は、一路会場のDe uithofに直行した。

会場のDe uithofは、ヌーディストビーチとして有名らしい「スヘフェニンゲン」というビーチに近い場所にある。ガイドブックには「”スケベニンゲン”と発音した方が現地で通じる」と堂々と書いてあり、人間の本質を鋭く言い当てた深い言葉だといえよう。ともあれ、無事に開始時間の1時間前に会場に到着。まずはホっと胸をなでおろす。建物はちと変わった外観で、スケートの試合をする会場という感じがあまりしない。世界ジュニアをやっているという、やる気に満ちた看板も横断幕も垂れ幕も一切見当たらない。周囲は公園になっていて緑が多い・・というより、ほとんど森の中といえよう。最寄りのトラムの駅からも結構歩く。ここは複合型スポーツ施設になっていて、その中にリンクがあるらしい。玄関までは木製のスロープというか通路を歩いていくのだが、その感覚がほとんど娯楽施設へ来ているという感覚に近い。中に入ると、スポーツショップやレストランなどがあり、ステーキの焼けるにおいが充満していた。やっぱり何となくディズニーランドのアトラクションみたいだ。「こんなところでホンマに世界ジュニアやってるんか!?」と、キョロキョロ。見れば、ホールの左側にそれらしい大会のポスターがささやかに貼っており、大会のロゴ入りフリースを着たおばさんが2人ほどカウンターの中でヒマそうにしているのであった。やっぱり間違ってはいないらしい。ここで予約しておいたチケットを受け取ったが、作業が非常にスローである。。カウンターの側の狭い通路で係員がチケットの確認をするのだが、そのおじさんもカウボーイハットなんぞ被っている。通路の突き当たりのドアを開けると、リンクがあった。どうやらここがメインリンクらしい。大きさは新横浜ぐらいだろーか?織田君や岸本君の日の丸応援バナーがあるのを見て一安心。天井からは参加各国の旗が色とりどりに吊り下げられている。出来たてホヤホヤの新生グルジアの国旗もあった。今回はちゃんとサイズが合っていて何より。ただ、全体的にかな〜り寂しい雰囲気だ。さらにショックを受けたのは、ジャッジサイドの座席が関係者席になっていることだ!!こっちはお金払ってるのに〜(←といっても安いが)!!とりあえず、どこに座るかあちこち場所移動してみる。裏シート側も中央部分のいい席は、関係者席にされていた。ショートサイドも通路と反対側は使用されていない。一般の観客が座れる場所は、極めて少ないのだ。舐めている、完全に客を軽視しているぞ!!明るさを確認するべくカメラセットを取り出して構えてみる。ここで2度目のショック!!シャ、シャッタースピードが1/90とか1/125しか出ないんですけど〜!?裏シートで、しかも暗いとは・・!!これではほとんど高石状態(近畿ブロックが開催されたボロ会場)である!!そりゃ、私なんかアマチュアカメラマンとも言えないぐらいのドシロートですよ。でも、だからこそ自分の未熟さをカバーできる環境設定が欲しいのに!!SBCやスケカナ、全日本、全日本ジュニア、ユーロと、今年はジャッジサイドに座る機会が多かったので、尚さらショックだ。そうやってウロウロとさすらっているうちに、織田君サイトの管理人のFさんとお会いすることが出来たのでしばらくお話させていただく。Fさんによると、ジャッジサイドも昨日までは大丈夫だったらしい。くぅ〜、残念!!18時30分の競技開始時間が近づいてきて、だんだんお客さん(というか関係者が多い)の数も増えてきた。ふと私の後方で日本語が聞こえて、振り向いたら織田君だった。ちょっとビックリ!!Fさんに紹介していただき、試合前なのでかる〜く挨拶する。織田君の姿はこれまであちこちの試合で何度も見てるけど、お話するのは初めてだ。織田君は演技で大崩れをほとんどしない選手だけど、やっぱり初めての世界ジュニアのフリーの直前ということで、かなり緊張している様子。ムリもないよね・・。ここはひたすらジャマにならないように静かに生息しておこう。心の中でエールを送ることにする。結局出入口に近いショートサイドで観戦することにした。

いよいよ競技開始。今シーズンからチャンピオンシップの大会のフリーの前には、グループごとに滑走選手の名前がコールされ、一人一人の挨拶が入ることになった。知らない選手がほとんどなので、これはかなり助かる。フリーの参加選手は25名。1人多いのは、開催国特権でオランダの子が1人入っているからだ。一番滑走はもちろんこのRuben REUSという子。こんなことを言っては何だけど、「この子、今まで3回回って着氷したことがあるんやろうか!?」というほどの出来だった。ユーロで見たベルギー2番手君もかなりスゴかったけど、同じぐらいかも・・。地方大会に出てる日本ジュニア(&ノービス)女子の方がはるかに難度の高いジャンプを降りている。他に印象に残った選手を手短かに書く。SBC杯6位のジャマル・オスマン君。彼に関しては友人Oさんが「ジャマル君は踊れるんですけど、リズム感がないんですよ〜」と言っていた。そ、そーなんですか!?手足も長いしスピンも面白くていい選手だと思うんだけど、この子もジャンプがどうも・・。本来このグループにいる選手ではないんだろうけどね。去年の世界ジュニア7位のウクライナのコバレフスキーもそういったうちの一人でこのグループの中ではジャマル君同様、表現力は抜き出ていた。

さあ、第2グループ。ここでおなじみカナディアン軍団が登場!!私の目の前の席に陣取った。もちろんメイプルの国旗は必須・必携のアイテムである。メンバーの中にはジュニアグランプリファイナルのペアチャンピオンのデュベ&ディビソンの2人も入っている(←今回は銀メダルだった)。デュベちゃんは髪をキレイにまとめていて、大きな目と長いまつ毛がとても可愛らしい。カナディアンはこうやって、若い内から応援のコツを覚えていくのであろう。そしていずれはあのジェフリー・バトル君のように一人でも臆する事なくデカい声を発し、仲間を元気づけることが出来るような優秀なサポーターに成長するのだろう(←旭川N杯に行った友人に「バトル君はやっぱり人気があったのでは?」と聞いたら、「バトル君への声援がスゴいというより、バトル君自身の応援の声が一番大きかったわ」との回答があった)。この組の1番手がイスラエルのセルゲイ・コトフ君で、その次がもう織田君!!いきなりヤマ場が訪れるのだ!!日の丸国旗の確認をする。織田君はここまで予選8位(15位タイ)、SPは10位である。世界の壁は、なかなかに厚いものなんだな〜と実感。でも結果も大事だけど、何よりこの大会に出たことで、織田君にとって得るものが多ければいいな〜と思う。澤田亜紀ちゃんのコーチの濱田先生と、浅田舞ちゃんのコーチの山田先生も一緒に織田君たちの応援に来られていて、これはもうカナディアンにも負けない心強い応援団である。濱田先生とはスケカナと全日本ジュニアでお会いしているので、軽く挨拶する。さぞやいろんなところに出没する人物だと思われたことであろう。さすがに「この1か月ばかり前にはハンガリーにユーロ観戦に行ってました」とは言えんな・・。第1グループと同じように全員揃って挨拶し、練習滑走開始。すべてが淡々と進んでいく。リンクとの距離があるので、現実味が乏しい気さえする。6分間の練習が終わってコトフ君の演技開始。コトフ君の衣装は赤や紫のグラディエーションがヒラヒラしていて、凝ったつくりであることから、「コトフ君ってお金持ち?」と、ユーロでささやかれていた。コトフ君のフリーは、ジャンプは相変らずダメだけど、やっぱりストレートラインステップがステキだった。私の位置からだと、遠ざかって行く「サヨナラステップ」なのが残念だけど。ユーロではフリーまで残ったコトフ君だったが、ここでは総合17位であった。シニアとジュニアの差なんて、あってないようなものだということだろう。

織田君のフリーを見るのは今季これで5回目。すっかり見慣れた青いコスチュームである。頑張って少しでも順位を上げてほしいところ。「The Rock」の曲が流れてくる。最初のコンビネーションジャンプの3ルッツ−3トゥ−2ループのコンボが決まり、場内がドーっと沸く。次の3Aは着氷が2フットになったけど、あとのジャンプはミスなし。私の好きな3サルコーからのコンボも成功!!素晴らしい〜!!後半に入ってトゥループの体勢に入ったので、「もしかして!?」と思ったら、何とここで4回転トゥにチャレンジ!!高さが足りなくて転倒してしまったけど、どうやら会場内のお客さんにも4回転だとわかったらしい。最後のサーペンタイン(←好き)、疲れてるだろうけど頑張れ〜!!本当にあっという間の4分間の演技だった。終わった瞬間テレくさいのか、氷を軽く蹴るような仕種をしたのが可愛かった。さて私、ここでガサゴソと用意してきたとあるブツを袋から取り出してリンクに向って投げた。それは社内旅行のゲームでゲットした商品券を使い、梅田のタイガースショップで仕入れてきたトラッキーのぬいぐるみ(←いわずと知れた阪神のマスコット)である。なぜなら織田君といえば阪神タイガースに決まってるからだ!!織田君の演技にはこれまでになく場内も盛り上がっていて、前に座っていたカナディアンチームの関係者のおばさんが「GOOD、彼はGOODだったわね〜」と言ってくれたのが嬉しかった。もちろん織田君はここまでのトップに立った。ウロ覚えではあるが、全体を通して4回転にチャレンジしたのも、3連続コンボを跳んだのも織田君1人だけだったのではないかと思う。

織田君の次に滑ったのがカナダのショーン・ソーヤー君。去年も出ていた選手でかなりクセはあるけど、個性的でなかなかユニークな選手だ。カナディアンの応援がかなりヒートアップしていることは、いちいち書くまでもあるまい(←書いてるやんか)。ソーヤー君はジャンプが先輩のエマニュエル・サンデューと同じで逆回転。ジャンプではいろいろミスはあったけど、個性的でかなり面白い選手である。「こりゃあ、上に行かれたなー」思ったら、そのとおり上に行かれてしまった。演技を終えた織田君が客席に戻ってきた。手にトラッキーのぬいぐるみを持ってくれているのが嬉しい♪さすがに演技が終わってリラックスした様子。お疲れさまでした!!さらにカナディアン応援団が近くにいる関係でソーヤー君もやって来た。リンクにいるときよっか、よほどオーラあるんですけど!?っつ〜か首輪つけてるよ、しかも棘なんかついちゃってるよ。あなたイヌですか!?耳にもピアスをしていて、ファッションにはかなりこだわりがあるようだ。

弟3グループの前には整氷が入る。というワケで、こっちもホっとひと息。弟3&第4グループの演技に備えて会場内のトイレへ行く。ここの通路はとても狭い。ともあれ通路に出てトイレに向かって歩いていたら・・。前方からカート引きずってさっそうと歩いて来るデカい人物が!!USチームジャージを着たエヴァン・ライサチェク君、その人ではあるまいか!!ひときわ周囲から抜きん出た高い位置に顔がある。こんな至近距離でエヴァン君を見るのはこれが初めてである。思わずスレ違うときに身長確認してしまった。おお、高い、高いぞ!!プルさんよりデカいのはまず間違いあるまい。岡谷のときより顔の黒さはマシになった気がするが、それでもやっぱり浅黒いので北インドのアーリア系人種みたいに見える。ここまでエヴァン君は、予選で最大のライバルのアンドレイ・グリャーゼフ君と同じ組になってそこでは1位。SPでは靴のホックが外れるアクシデントの影響もあって2位となり、総合でも今のところ2位になっている。何とかフリーで挽回してほしいところだ。いくら何でも世界ジュニアの銀メダルばっか3個ってイヤだろうし、そうなったら世間サマから見たらもう、ウケを狙ったとしか思えんじゃないか。だけど、世の中には「2度あることは3度ある」という不吉な格言があるのだが・・。あ、何かイヤな予感がしてきた。イカン!!「頑張って意地でも逆転して金メダル獲るんだよ、エヴァン君」そう心の中で願いつつ、トイレに向って歩いていると、今度はスッキリした顔立ちの金髪の男の子が歩いて来た。アメリカの3人の世界ジュニア代表のうちの一人、ジョーダン・ブラウニンガー君である。SBC杯にもエヴァン君と一緒に来日していて、ちょっとジェフリー・バトル君に似た顔だけど、バトル君よりもはるかに背が高い。とはいえ、普段から口がポカ〜ンと開いているあたりは、明らかにバトル君と共通する要素である(←双方のファンの方、ゴメンなさい〜!!)。バトル君は口は開いていても何気に眼光は鋭いので、まったく緊張感に欠けているワケではないのだが、ジョーダン君の場合は先を歩くエヴァン君と比べてもハッキリ緊張感に欠けるタイプともいえよう(比較対象が悪すぎ?)。もっともジョーダン君はここまで4位につけており、ジュニアグランプリファイナルでも4位だったので、それなりの実力者ではある。こうしてにわかに高まる緊張感をヒシヒシと感じつつ、気分転換を兼ねてトイレに入った私であった(←トイレでストレッチ体操するのが好きらしい)。しかし、私がエヴァン君を見かけるときって、トイレに行こうとしているときばかりなのは、何故でせう?

席に戻ろうとして通路を歩いていたら、織田君がお友だちにトラッキーが何たるかについて説明していた。トラッキーもこうしてついに世界デビューを果たしたのである(←ホンマか?)!!自分の席に戻って何気なく通路を振り返ってみる。そのとき私の目が捉えたのは、思いもよらぬ人物の姿であった!!特徴のある頭のカタチ、がっしりした体つき、そしてヒゲ・・。ベージュ色のカジュアルなセーター姿のその人は、まぎれもなくケヴィン・ヴァン・デル・ペレンその人なのであった!!思わず何かの間違いではあるまいかと思ったが、どこからどう見てもケヴィンに間違いないのであった。ああ、いったいこの世には、何人のケヴィン・ヴァン・デル・ペレンが存在しているんだろう!?今まで私はマルメでミササガでブダペストで一体何回ケヴィンに遭遇してきたことか・・。まるで世界中のディズニーランドにいるミッキーみたいなお人である(でもミッキーは世界にただ一人なんだそうだ)。ま、冷静に考えたら、ケヴィンとて2年前までジュニアやっていたのである。知人友人も多いであろう。しかもケヴィンの母国のベルギーはオランダから近い。私がオランダにいるよりもよほど自然である。そう思うことにしよう。いろいろあった整氷タイムだったが、次は第3グループ、その次がエヴァンVSアンドレイ宿命の対決(←ホンマか?)が待ち受ける第4グループである!!

弟3グループにもなかなか個性豊かで興味深い面々が揃っている。でも・・トマーシュ・ベルナー君、な〜んでキミがこの位置にいるの???つい1か月ほど前のブダペストのユーロでは10位に入って、念願(・・かどうか知らんけど)のチェコ2枠を獲得したんじゃなかったの!?SPもFPもCS放送圏に見事に入ったんじゃなかったの〜!?この組になると、さすがに選手層が揃って緊迫した雰囲気になってくる。滑走順は去年世界ジュニアで5位だったセルゲイ・ドブリン君。ドブリン君までも今年はこの位置なのである。その次が同じく去年4位の岸本一美君で、その次にトマーシュ君、そして謎の男にしてティムチェンコ君の後輩レウシン(・・って読むのか!?)ユーロにも出ていたジョルジョヴィッチ、イーグルがキレイなポンセロ君、以上の順番である。トマーシュ君は明らかに練習から調子がよろしくなかった。アクセルは両足だったり大ゴケしたりしていて、かな〜り不安定な感じ。私の目の前に座っているカナダのペアのディビソン君がでっかい声で「トマ〜ス!!(←英語発音。チェコ式には「トマーシュ」)」と応援していてビ〜ックリ!!仲いいんだろうか?するとトマーシュ君もおどけて愛想を振りまきながら、熱い声援に応えていた(右写真参照)。今から世界ジュニアのフリーを滑るという緊張感がカケラもないな、トマーシュ君。いや、まあキミはこれまでも大舞台の場数は踏んではいますけどね・・。

練習時間が終わり、セルゲイ・ドブリン君1人だけがリンクに残った。織田君も岸本君もトマーシュ君もジョルジョヴィッチもブラウニンガー君もエヴァン君もアンドレイ君も一度は見たことがある選手たちだけど、ドブリン君はまったくの初見である。ロシアの次世代選手の一人なので、今回見るのを楽しみにしていた選手だ。
うわ〜、ホンマに髪切ってるよ、短いよ。背も伸びてるよ、デッかいよ〜!!(以上、昨年比)衣装が少々高橋大ちゃんチックだが、白い手袋がなかなかステキだ。しかも最初のジャンプでアクセルの体勢に入って、いきなり3Aー3Tのコンボ跳んじゃったよ〜!!助走がかなり長いけど。すごい、去年は全然ダメでキスクラで半ベソ状態だったのに、今年はいきなりコンボかぁ〜。さらにルッツのコンボも着氷は怪しいけど3−3で成功。ドブリン君、技術的な面も成長したんだなーと感心していたら、フリップをダブり単独の3ルッツで転倒・・。ま、でも滑りがキレイだし、ステップのフットワークなんかもいいし、一つ一つの要素的にはかなりいいものを持っているコなので、ジャンプが安定してきたらそれなりに上に行くコだろう。今はまだ身体の成長についていけていないという印象はあるが・・。いずれにせよ、今後がかなり楽しみな選手ではある。


岸本君登場!!もちろん、日の丸をささやかに振らせていただく。少し離れた場所からは織田君が「か〜ず〜みぃ〜、頑張れ〜!!」と、あらんかぎりの声をあげて声援を送っていた。岸本君のフリーも今季これで4回目になる。最初の3Aのコンボは後ろが2Tになったけど、バランスを崩しながらも成功。次のルッツのコンボも3−2で成功。2回目の3Aは素晴らしい高さと迫力があった。単独のルッツをダブるミスはあったけど、よく頑張ったと思う。岸本君はどうしてもセカンドが下がってしまうけど、私は岸本君は男らしいというか、彼には彼なりの表現力があると思うんだけど・・。ダメですか、やっぱりダメですか?ダメなようですね・・。岸本君にはプーさんのぬいぐるみを投げさせていただいた。

お次はトマーシュ君!!全体的にどうもダメダモードが漂ってるとはいえ、ユーロ10位の意地っちゅうもんを見せてほしいもんだ。GPファイナリストのケヴィンや去年のワールド7位のダヴィドフよりもキミの方がユーロでは上だったんだからね〜。またもやディビソン君から声援が飛ぶ。例によってクネクネした独特の動きから入り、最初のアクセルへ・・これがすっぽ抜けてシングルアクセルに・・。もう1回やり直したアクセルもまたまたシングルってしまった・・。ト、トマーシュく〜ん!!ジャンプの種類は思い出せないけど、ハデに転倒までしていた。それはもう、まともに跳べたジャンプの方が少なかったというほど、惨憺たる出来映えだった。大好きな最後のサーペンタインもヘロヘロ状態。ユーロでは途中で転んだのは惜しかったけど、動きはもっと良かったよなぁ〜・・。今回はもう完全にヘタれまくっていた。とにかく全体を通してキレというものがない。ここにいるトマーシュ君はホンマに私がユーロで見たトマーシュ・ベルナー君なんだろうか?トホホ・・。2004世界ジュニアのトマーシュ君は予選A4位、SP12位、FP15位。総合で14位という出来でございました。

このあと、ティムチェンコ君の後輩のレウシン君が「ウエストサイドストーリー」を滑った。写真で見た限り、「ちょっとモッサリしたタイプの子かな?」と思ったけど、実際はそんなことはなかった。同じ先生についているせいもあって、ちょっとした動きがティムチェンコ君に似ているので少々ツラい・・。さらには次のジョルジョヴィッチが「禿山の一夜」を滑ったが、これまたティムチェンコ君を思い出してしまうので、さらにツラい展開に・・。このグループ最後は同じくフランスのヤニック・ポンセロ君。2年前のワールドジュニアにも出ていたポンセロ君だったが、「え、このコがあの(かわいかった)ポンセロ君!?」というほど、何だかオッサンくさいというか老けて見えた。いや、確かに面影はあるんだけどさ・・。時の流れは時として、ものすご〜く残酷だったりするようなのである。イーグルのキレイさは相変らずだったけど・・。

以上で第3グループまで終了した。次はいよいよ、エヴァン君VSアンドレイ君の運命&宿命の対決(!?)第2ラウンドなのである。ポンセロ君の演技の途中にはもう既に、第4グループの面々が通路に集結しており、やっぱりここでも
ド派手な男、エヴァン・ライサチェク君の姿はひときわ目立っているのであった。その近くでは緊張に頬を膨らませたアンドレイ君の姿も見える。嗚呼、いよいよ盛り上がる宿命の2人の対決、いままさに始まらん!!しかしながら、ありがちなパターンでここで前編終了、以下後編へと続くのでありました。



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