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「もっとゆっくり、ゆっくり見てごらん。しだいに見えてくる確かなもの」
龍源院の庫裏廊下をへて茶堂廊下にでる。
庫裏と方丈を結ぶこの廊下に、東滴壺がある。
円状に描く砂紋と石組による四坪程の小さな壺庭。一滴の雫が波紋を描き、大海につながる世界を表現する。
庫裏屋根と方丈屋根のわずかな隙間から、帯状の光が射し込み空間に奥行きを与え、吸い込まれるような雰囲気を醸し出す。
その静寂なひとときを私は大切に想う。
禅寺に漂う「濡れた空間」に美意識を感じ、禅寺行脚をはじめた。
空間に潜む微妙に変化する風景、壊れる寸前の繊細さ、曖昧な空間性。建物は庭の力を借りて成立し、庭は建物の力を借りて成立する。自然と人工が出会うその関係距離が心地よい。
日常とは異なるゆっくりとした時間が流れる空間を、流れに逆らわず静寂に身を任せ、沈黙に耳を傾ける。いつの間にか私は、その空間に同化し存在の一部となる。その時、見えてくる確かなもの。そこには現代建築が持つ無機質な空間ではなく、生きた空間がある。
焦らずゆっくり、ゆっくりと気取らず良いと思ったものを素直に描く。
その行為の繰り返しがやがて自分のデザインソースになる事を信じて。
このBlogが私の教科書になる事を望む。
大徳寺塔頭龍源院にて 2005年4月20日
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