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2003年4月12日

弔意、ならびに請願


アメリカ合衆国大統領     ジョージ・ブッシュ 殿
日本国内閣総理大臣      小泉 純一郎    殿
日本国文部科学大臣      遠山 敦子     殿
アメリカ合衆国航空宇宙局長官 ショーン・オキーフ 殿
宇宙開発事業団理事長     山之内秀一郎    殿

私たちは、STS−107ミッションのスペースシャトルコロンビア号宇宙飛行士のご家族、ご友人、ご同僚の方々に、心より哀悼の意を表します。 また、これらの方々、並びに宇宙開発の夢を宇宙飛行士に託す全ての人々と、この上なく深い悲しみを共にします。

私たちは、「5thstar」と言う名の日本のグループのメンバーです。 私たちは、かつて日本の5人目のスペースシャトル宇宙飛行士になることを夢に見、1996年の選抜試験に挑んで2次選抜まで進みました。 私たちのうちの6人が最終選抜まで進み、その中の1人が、今はスペースシャトルミッションスペシャリストである野口聡一氏でした。私たちは、全ての宇宙飛行士が持っている夢と情熱を共に抱いており、それ故に、コロンビア号宇宙飛行士たちの、人類の進歩に対する確固たる信頼、義務を果たそうとする堅い意志、そして最後の瞬間に至るまでの揺るぎの無い勇気と沈着さに、心からの敬意を抱きます。

私たちは、この度の深刻な悲劇を引き起こした原因を明らかにするために、徹底的な究明が遂行されることを心から望みます。スペースシャトル計画の信頼性を回復するための慎重な対策が施され、この上無く貴重な宇宙飛行士たちの命(その中には、私たちのもっとも親愛なる友人である野口聡一古川聡角野直子星出彰彦各氏も含まれています)が再び事故によって失われることが無くなることを強く願います。

事故は悲惨なものでありましたが、私たちは、スペースシャトル計画と国際宇宙ステーション計画の長期の中断は、犠牲になった宇宙飛行士たちの魂を、決して安らがせるものでは無いと信じます。 いかなる悲劇であっても、より広大な宇宙を探求したいという人類の強い欲望と好奇心を消し去ることは出来ないというのが、私たちの確固たる信念です。 私たちは、潜在的な危険に対する十全の対応策が講じられた後に、可能な限り早い機会にスペースシャトル計画が再開されることを心から望んでいます。

しかしそれと同時に、私たちはスペースシャトル計画の方向性に付いて、考え直すべき時期に来ていると考えています。 シャトルシステムは、運用経費を下げるために、再利用可能モジュールの概念を基盤に置いています。 それらモジュールは、何十年間もの運用期間に渡って、毎回の打上げ・帰還のたびに、激しい衝撃にさらさ れねばなりません。 20トンに及ぶ巨大なペイロードを可能にするために、シャトル船体は、安全マージンの小さい高出力の推進システムを用いねばなりません。 大きな打上げ能力を持った、強力で再利用可能な輸送システムという要求のために、シャトルシステムは巨大で複雑なものとなり、そのため、たとえ潜在的な欠陥が予見される場合であっても、計画の方向性を変えるのが困難なものとなっています。 そしてこれら全てのシステムは、30年昔の技術基盤の上に設計されたものです。

このようなシステムでは、長年にわたる運用の間に、その信頼性が、回避のすべなく下がってしまうのは明白な事実です。 そのことは、統計に明らかに指し示されています。これまで建造されたシャトル船体のうち、40%が事故で失われています。 また、半世紀近い宇宙開発史の中での飛行中の事故による死者数のうち、シャトルによる死者数が米国内の100%、全世界の78%を占めています。これらはシャトルシステムに内在する弱点の、避けがたい帰結であることを、私たち全ては認めねばなりません。

私たちは、今は人員輸送の主力を、スペースシャトルから、信頼性の高い人員輸送に焦点を絞った新システムに移行すべきであると信じます。 そのシステムは、単純で小さい使い捨て型ロケットに基礎を置いたもので、数人の宇宙飛行士を運ぶためだけのものとします。巨大なペイロード、再利用可能な打上げモジュール、あるいは長期間の生命維持装置さえ、このシステムでは運ばれることは有りません。 これら全ての装置は、貨物輸送専用の別個のシステムで運ばれることとします。 私たちは、現行のシャトルシステムがその信頼性を保ってる間に、数年以内にこの新システムを開発すべきであると考えます。 日本人宇宙飛行士の命もこの新システムに託されるものであるからには、その開発には日本も相応の分担をすべきであると、私たちは考えます。 近い将来には、この新しく信頼の置けるシステムが人員輸送の役割を担い、私たちの尊敬すべき友人たちが、2度と再び悲劇に遭遇することが無くなることを、私たちは心から望みます。

最後に私たちは、私たちの永遠に変わらない夢である宇宙への飛躍が、可能な限り近い将来に、私たち皆の代表である日本の5thstar、野口聡一ミッションスペシャリストによって実現されることが、私たちのもっとも深い望みであることを表明します。

2003年4月12日、2つの歴史的な出来事、すなわちユーリ・ガガーリンによる最初の有人宇宙飛行(1961年)とコロンビア号による最初のスペースシャトルミッション(1981年)の記念日に。 両者とも、飛行中の致命的な事故により、輝かしい経歴を閉じました。

'5thstar' メンバー *
YS茨城県つくば市
HA宮城県仙台市
SU兵庫県宝塚市
HO埼玉県和光市
RO東京都渋谷区
YK神奈川県横浜市
TT米国マサチューセッツ州ケンブリッジ市(三重県出身)
TN広島県東広島市
HH茨城県つくば市
SF東京都府中市
MM群馬県高崎市
YM茨城県つくば市
KY茨城県つくば市
MY米国フロリダ州ベロビーチ市
YY中華人民共和国上海市
TY群馬県高崎市
  * Web版ではメンバーの名前表記をイニシャルのみに変更しました。
写真提供: NASA

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