プリンスグラファイトの歴史




さて、皆さんプリンスのグラファイトというラケットをご存知でしょうか、
デビューしたてのアンドレアガシやマイケルチャンが使用していた事から 人気になったラケットです。

その昔グラファイトを2本以上もっているだけで対戦相手をビビらすことができると いう それはもうみんなの憧れのラケットでした、(上級者御用達)
いつかはグラファイト・・・と思っていた人がけっこういたのではないでしょうか・ ・・

さて、このグラファイトですが現行の(日本向けの)モデルは緑のラインが1本のもので生産国は中国とタイランドがあると思います。
下の写真はタイランドの1本ラインです。
タイランド製1本ラインの写真です、写真資料提供0−40さん
タイランド製1本ラインのグリップエンド写真です、写真資料提供0−40さん
現在のビンテージ市場で人気があるものは台湾製のグラファイトで、
緑のラインが4本あることから”4本ライングラファイト”という名前で取引されて いますね。
この人気に便乗してオークション等で”4本ライン”がこの値段で!と、
けっこうな値段で(まやかし品を)売りさばいている人もいますが・・・
(すべてがビンテージではありませんので気をつけたほうが良いでしょう)

実は4本ラインは今でも生産されています。
海外では4本ラインが今も昔もグラファイトなのです(中国製とタイランド製がある)。
何故でしょうか?

昔円高の時期がありましたね、
その時期に並行輸入でグラファイトが大量に日本にはいってきたのです。
正規輸入品と平行輸入品の区別をするために日本向けのものは1本ラインにされたわ けなんです
これが今でも続いているのですね。

さて、この人気の台湾製グラファイトですが、
初期のものはスロートの外側(片側)に3行の小さなアルファベットのプリントが有りますが、

・・・PRINCE R GRAPHITE SERIES 110 <> PATENTED C 1987 PRINCE MFG.INC.
CONSTRUCTED OF 100 PERCENT GRAPHITE (CARBON) FIBERS
STRING PATTERN:16MAIN/19CROSS. STRING TENSION 55-70 LBS/25-32KGS・・・

最初の行のSERIES110の横に<E>か<N>と表示されています。(ちなみに適正テンションですがUSA後期モデルは適正テンションが60-75LBS/27-34KGSの表記になっています。またPATENTEDですがUSAは1978になっています。)

・・・・・・USA製はグリップサイズのプリント(色は3行と同じ色)がアルファベット3行側にグリップのすぐ上にプリントされていますので、台湾製よりもその3行プリントがヘッドよりに位置していますね。
またUSA製の方がグリップが短いと思います。(0.25インチくらいか?)・・・・・・

今まで私は<E>の方が古いと思っておりましたが、友人所有のアルファベット3行プリント/反対側110表記モデルに<N>のモデルがあることが判明しました。
これはすなわち<E>と<N>の2つの工場がほぼ同時期に稼動していた・・・という以外説明ができませんので、ここに訂正します。
下の写真(これはアルファベット3行<E>のモデルです)は後述しますが極初期の台湾製ですので、USA製の後期と同じように”GRAPHITE110”というプリントになっております。<E>が分かりますか?(汗 )
初期台湾製<E>110プリントのスロート部サイドの写真です、写真資料提供0−40さん
GRAPHITE110のプリントですがUSA製はGRP・・・のRの位置がブリッジのあたりだと思います。台湾製はPHIT・・・のHIがブリッジのあたりだと思います。
110プリントの台湾製は”台湾製”を示すものがどこにもプリントされていないかもしれません(手元にある110<N>では見当たらないです)。もしかしたらシール?(汗)まあ昔は生産国を示さなくても良い時代があったと聞いたことが有りますからそんな感じかもしれませんね。
台湾製<E>のスロート部逆サイドの写真です、写真資料提供0−40さん
<E>の台湾製ですがグリップエンドのPのマークは黒いままのもの(グリップサイズの記入あり)と下の<N>のように金色に色がついている物(グリップサイズの記入は未確認ですが、流れからいって記入されていると思われます)の2種類が確認されています(ヤヤコシイ、汗)。
この時代のプリンス社のラケットは初期のものはグリップエンドが”黒P”後期のものは”金P”といった感じですので、2種類のグリップエンドがある<E>の台湾製であっても黒Pの方が古いと言えるかもしれませんね。

下の写真は台湾製の<E>と<N>のグリップエンドですが、どちらもPには金色の処理が施して有ります。したがってこの<E>は110プリントであることから極初期の<E>なのですが、その中でも新しい物であると思われます。
<N>はOVERSIZE表記の(後期モデルと思われる)ものです。
(<N>の)グリップエンドのPは前述の様に時代の違いによって2種類あってもおかしくは有りませんが私は金Pしか遭遇したことが有りません。その金Pにはグリップサイズの記入が有りました。
台湾製<E><N>のグリップエンド写真です、どちらも金色タイプです。写真資料提供0−40さん
後期タイプの台湾製はスロートの内側にもっと単純なプリントで<N>か<E>と表示されています。

下の写真はスロート外側が”GRPHITE OVERSIZE”というプリントになっております。
後期タイプOVERSIZE表記の物になるとMADE IN TAIWANというプリントがありますね。(見えますか?)
台湾製<N>OVERSIZEプリントのスロート部サイドの写真です、写真資料提供0−40さん

ちなみに後述するUSA製初期モデルもそうですが、
USA製後期モデルも(は)台湾製110プリント3行モデルとはグリップ形状が若干違います。
USA初期(薄ラケ)は明らかに扁平ですが
USA製後期(3行モデル)も台湾製初期よりほんの少し扁平な感じがします。(手元にある110<N>とUSA後期3行モデルを握り比べたところわずかな違いを感じました。
ただし・・・USA後期でアルファベット4行!モデルの方は110台湾とほとんど同じ感じです。
もしかしたら台湾製初期も台湾後期〜現行に比べて扁平グリップなのかもしれませんね。
(USAアルファベット3行と4行の違いは後述します、スミマセン)

まあここまで書くとすでに分かっていただいていると思いますが、
昔のプリンスのラケットは<>の中にアルファベットが記入されていますが、これは工場を示すマークなんですよね。(中国製やタイランドなんかもいろいろなアルファベットがありますよ)
グラファイトって生産国や工場があちらこちらに散らばっています(それだけ息が長く良く売れたラケットというわけですか・・・)。
工場が変われば型(モールド)も違ってきますし材料も違うことが有るでしょう。
と言うことは打球感なんかも違ってきますのでここにこだわる人は絶対に同じアルファベットのものを探しますね。

EとNの台湾製がビンテージ価値があると言われています(中国製、タイランド製に比べた場合と言う意味で・・・USA製は別格です)
Eのほうが好きという人が多いようです・・・

下の写真は<E>と<N>を正面から撮ったものです。まあ同じですね(笑)。
台湾製のの<E>と<N>の正面写真です、写真資料提供0−40さん

しかしビンテージのグラファイトですが、実は台湾製よりも古いものがあります。
グラファイトって一番最初のモデルはアメリカ製なんですね。
アメリカ製のグラファイトは何回かマイナーチェンジを繰り返していますがすべて1本ラインで、
台湾製では金色になったラケットフェイスの”prince”の文字 も緑色です。
台湾製では”prince”が2つプリントされていますがアメリカ製は”prince”と”graphite”のプリントになっています。
アメリカ製のダブルブリッジに”GRAPHITE”のプリントはありません。

このアメリカ製のものでも本当に初期のものはガットを通すプラスチックのグロメットがついていません。
なのでグロメットレスグラファイトという名称ですごい値段で取引されています。
数が本当に少ないので仕方がないのかもしれません(当時84000円)。
次にでたものはグロメット付きなのですが穴ひとつに対して1個のグロメットが独立して付いているタイプで
ピングロメットグラファイトという名称でこれも相当な値段で取引されています。
為替の関係で90000円に値上げされました・・・と思いますが・・・

この2つのモデルはprinceのiの丸が2個になっています(わかります?)、
US製ピングロメットグラファイトです写真資料提供0−40さん
グリップエンドですがのっぺりとした
(グリップの端にに凹凸の無いタイプ・・・大昔のプリンスマグネシウムプロのグリップエンドキャップなんかと同じです)
真っ黒なプラスチックに同じ色の”P”のマークが付いているだけです。
地味です・・・汗。
US製ピングロメットグラファイトグリップエンドです写真資料提供0−40さん
グリップに関してもうひとつ・・・
現行のグラファイトのグリップ断面形状はヨネックス等のように正八角形に近いですが
初期US製は上下が薄い扁平形状です。
(管理人はUS最終の110サイズを2本と90サイズを1本所有しておりますが110と90ではグリップ形状が違います、 前述のように110はアルファベット3行モデルに限っては 台湾初期よりは若干扁平ですが90は逆に台湾初期110よりビックリするくらい正八角形に近いですね。グリップの形状はそのグリップサイズによってもモールドが違いますからもうよく分かりません、話は前後しますが私所有の90サイズですがスロートのプリントがgraphite SERIES 90でありUSA110後期のアルファベット4行と同じですね、反対側は何もないので前のオーナーがシールを剥がしたのかも・・・まあ特徴としてはアルファベット4行と同じです、時代が古いのかな?・・・よく分からないところですが)

しかしこのグロメットレスとピングロの大きな特徴は・・・
フレーム厚とブリッジの位置とシャフトの長さと材質です
(US最後のモデルは台湾製とほぼ同じ形状のモデルになり前述の材質は違うと思われます、ただし台湾製とも少し違うような・・・)。

・・・ん? ・・・我々が思っている”グラファイト”とはまったく違ったラケットでは?
・・・そう思います。

まずフレーム厚ですが現行のチャイナ製と比べても分かりますが 1〜2ミリ薄いですね。
17ミリ厚といったところでしょうか・・・
US製と現行チャイナ製の厚み比較です、写真資料提供0−40さん
またブリッジの位置ですが10mmほど現行(シェイプの)のモデルの方が高いですね。
US製とチャイナ製のブリッジ比較です、写真資料提供0−40さん
そしてシャフトですが・・・これはUS製の方が20ミリほど長い(グリップが短いともいえますね)です。
US製とチャイナ製のシャフト比較です、写真資料提供0−40さん

最後に材質ですが・・・
これに関しては使用しているカーボンがとても柔らかいですね。
これが原因なのか
(ナイロンが使用されていたという話しも聞いたことがあります、ナイロンコンポジットなんて・・・打球感は超マイルドになりますが、変形が・・・汗)
この2つのUSグラファイトは張っている最中のその変形が半端ではありません。
冷や汗モノの変形を起こしやすいラケットであります。
(バンパー有りUS最終モデルは多少の違いはあるにせよ台湾製と似たようなスペックであり変形は心配ないと感じます・・・)

これらのことからUS製のグロメットレスとピングロは おそらく皆さんが思われる以上に柔らかい打球感の”グラファイト”であるといえます。

オークションやビンテージ市場で見かけることもありますが
半端ではない値段になっていますよね・・・

やはり”グラファイト”と言う名前/イメージと
その独特な打球感と
ラケットの歴史の中でとにかく貴重なラケットであることが
そうさせているのでしょうね・・・。

本当にすばらしいラケットであると思います(私は持っておりませんが・・・)


そしてアメリカ製の最後のモデルが現行と同じようなバンパー一体型のグロメットが付いているタイプです。
ヘッドバンパーですが実は台湾製〜現行モデルのものとは形状が違っておりまして端が四角になっています。(でも現行用のグロメットは使えますよ、その場合お湯等で温めると意外と簡単にはまります)
このモデルにはラケットの横のプリントが
”GRAPHITE110”というタイプ(後期、グリップエンドは金色のPのみでグリップサイズの表記はない)で、スロートの反対側が3行のアルファベット<>の表記は無し、適正テンションは60-75LBS(<>と適正テンション以外は台湾製とほぼ?同じなので間違えやすいですね、適正テンションが台湾製3行モデルは55-70LBS/25-32KGSの表記になっています)と、
”graphiteSERIES110”というタイプ(初期、グリップエンドは黒いPのみでグリップサイズの表記はない)でスロートの反対側が4行のアルファベットの”シール”になっているもの
の2種類があると思います。(適正テンションがビックリ!72-80LBSの表記になっています)
このプリントは台湾製(極初期を除く)〜現時のものと違い片側だけです。 (現在は両側GRAPHITE OVERSIZEです、しかし・・・台湾製の極初期に”GRAPHITE110”というものもあります、 これは片側のみです、間違えやすいんですよね)
アメリカ製の最後のモデルのときに90と125のサイズも発売されました。
125は不人気だったみたいですがいまではそれがビンテージ価値を高めています(現在廃番)。
90ですが現行のミッド+(93SQ.IN)とまったく同じ大きさです。
昔は表示がアバウトだったみたいですね。


さて、最終タイプのUS製の打球感ですが、多少は柔らかく感じます。
台湾製などとは少々違った感じという方もチラホラ・・・
(どうなんでしょ?私は持っているだけで使うことは無いですから・・・汗)


こんな感じがグラファイトの歴史といったものです。
歴史が長いラケットは薀蓄があって楽しいですね・・・



PS・・・


プリンスのグラファイトなどが発売された頃ってカーボン素材がまだ貴重だったわけですが、
炭素繊維に関しては当時のものはとても弾性率が低いです。
(今のプリグラに使われているカーボンプリプレグは多少の素材変更はあったにせよ{工場が変わると素材の質が悪くなったりする、一昔 前のウィルソンがそうだった}やはり一昔前の素材を使っているわけです、コストは余りかかっていないと思われます)

しかしその時代は炭素繊維すべてを”グラファイト”と言っていましたね。
うーん・・・これって間違いの元だと思います。
あまりにもプリンスのグラファイトが有名になってしまい(定価も高かった)
プリグラに使われているのは”グラファイトだ!!”と勘違いをしている人が今でもかなりいると思います。
使われているのは単なる”カーボン”です。
この間違った表現を指摘する声が多くなったのか、ある時期から各メーカー、素材を”グラファイト/エポキシ”から”カーボン/エポキシ”とするようになりました。

カーボンというものには カーボンブラック、ダイヤモンド、グラファイト、フラーレン(サッカーボールみたいなやつ)、ナノチューブ(最近バボラのラケットでこれ を使ったものが出ましたね、)
などの構造(顕微鏡レベル)がありますが、
ラケットに使われている炭素繊維はグラファイト化が進んだものほど高剛性なわけです。
最近のラケットに使われている”ハイパーカーボン”とか”グラファイテキストリーム”などがそれですね。
しかしこの素材をもってしてもグラファイトと言うのは問題があるみたいです
(昔のそれならやはり・・・単なるカーボンと言わなければならないでしょうね)
完全なグラファイト化と言うのは困難みたいですね。



”グラファイトの歴史”に関しては
以前0-40さんがある掲示板にカキコされたものを元に
私がいろいろなところから情報を集め
それらをまとめ上げたものです。

皆さんに感謝いたします。