LUCERO TENA
ルセロ テナ

ルセロ・テナ(ルセロテナ)は、カスタネットの女王と言われ、間違いなく20世紀最大のカスタネット奏者である。ルセロ・テナで検索すればわかるが、彼女の名前の付いたカスタネットがあるほどで、クラシック演奏家にも共演者は多くクラシックの演奏においてもレパートリーは広い。そのリズム感は素晴らしく、フラメンコでも、正統なクラシック音楽でも、聴き手を魅了することは間違いない。

スペインでは人間国宝なみに尊敬され、マドリードで彼女が出演するコンサートには必ずといっていいほどスペイン王妃が聴きにお見えになるそうである。この人のカスタネットは、チェロのパブロ・カザルス、オーボエのハインツ・ホリガー、フルートのマルセル・モイーズなどの演奏家と肩を並べられるものなのだ。

是非、これらのyoutubeの映像を見てください。


映画のシーンから。カラーなので魅力的です。

クラシック・コンサートから2つの動画





クラシックでは、共演するアーチストも多く、この写真のように、ロストロポーヴィッチ、リヒテル、オイストラフ、メータなどと共演している。


ルセロ・テナのカスタネットを最初に聴いたのは、LPレコードでファリャ「はかなき人生」ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス指揮/スペイン国立管弦楽団、サン・セバスチャン合唱団の全曲盤でした。指揮者、オーケストラ、合唱団から歌手に至るまで全員がスペイン人で演奏されたもので、録音されてから40年以上経つが、依然としてこのオペラの決定的名盤。この録音にルセロ・テナがカスタネットと踊りで参加していた。
   
二幕冒頭のスペイン舞曲のカスタネットの音を聴いた瞬間、普通のカスタネットとは違うオーラを感じた。調べたら、カスタネット奏者はルセロ・テナという人で、クラシックのカスタネット奏者というだけでなく、フラメンコを踊る人だというのがわかり、フラメンコ一座の他のメンバー二人(ギター:ビクトル・モンヘ・セラニート、歌手:ガブリエル・モレーノ)も、この録音に参加していた。それがきっかけで、ルセロ・テナのLPやCDを集め出したが、CDでは満足に見つけることができず、多くがLPである。



手持ちの音源

情熱のフラメンコ



ルセロ・テナ(踊りとカスタネット)
ビクトル・モンヘ・セラニート(ギター)
マロノ・マイレーナ(歌)

ルセロ・テナのフラメンコのアルバムで一番優れたものがこれ。録音は1960年代半ばであるがかなり優秀で、優れたオーディオ装置で聴くと、カスタネットが上のほうから、足音は下から聴こえて、本当に人が居るように高さがわかるのだ。踊り回るのが目に見えるようである。

同一音源だが、上はスペイン盤、中は国内初出盤、下は国内二版。

スペイン盤はステレオの初出盤と1970年代の2版、モノラルの初出盤の3種類持っている。モノラル盤は、動きがないのでつまらないが一番濃厚な音質である。国内盤はどちらも日本コロムビアプレス。

オリジナル盤が一番フラメンコを聴いている感じにさせてくれるが、国内初出盤もオリジナル盤とくらべて、音が整っていて、SNも良い。かなり丁寧なプレスで、これだけ聴いておれば不満はない。国内二版は1970年代初めのプレス。オイルショック前のプレスなので音は良い。ややFレンジが広がりスッキリした感じ。これもかなり高音質だ。

ギターを弾いているのは、ビクトル・モンヘ・セラニートである。この人は、70年代半ばまでは、パコ・デ・ルシアと変らないくらいの人気があったフラメンコ・ギタリストで、正直に言ってしまえば、フラメンコの伝統的、古典的な要素を多く受け継いでいるということに関して、パコ・デ・ルシアをはるかに凌ぐ。パコ・デ・ルシアはポピュラーやジャズの要素を取り入れることでフラメンコギターを変革させた天才だが、ビクトル・モンヘ・セラニートは、より古典や伝統を重んじた舞台演奏に力を入れていた。だから昔の正統的なフラメンコ・ギターのわびやさびみたいなものはこの人の演奏からの方がより濃く聴ける。若い頃には正統的なクラシック・ギターの教育も受けていて、テクニックも素晴らしい。

歌を歌っている、マロノ(マニュエル)・マイレーナは、有名なフラメンコ歌手であるアントニオ・マイレーナの弟。

この三人は、この録音当時、みなかなり若かったのだが、素晴らしい演奏で、本格的なフラメンコを聴いてみたいというのに、第一にお勧めしたい音源なのだが、現在CDでは発売されておらず入手困難。

邦題  情熱のカスタネット



ルセロ・テナ(踊りとカスタネット)
ビクトル・モンヘ・セラニート(ギター)
ガブリエル・モレーノ(歌)
*この三人は、上のファリャ「はかなき人生」全曲盤に参加していた。

このアルバムもフラメンコのレコードとしてかなり秀逸。録音は1967年で、やはり優れたオーディオ装置で聴くと、カスタネットが上のほうから、足音は下から聴こえて、本当に人が居るように高さがわかるのだ。踊り回るのが目に見えるよう。



上の「はかなき人生」では、ビクトル・モンヘのギターは正統なクラシック音楽らしく弾かれ、ジプシーの歌手役で出演しているガブリエル・モレーノも、オペラのバリトン歌手のように発声していて、このアルバムで聴く、フラメンコ・ギターやカンテ・フラメンコは、本当に庶民の音楽としてのテイストがある。



これら三枚も同一音源だが、上はスペイン盤、中は国内初出盤(1970年)、下は国内再発盤(1975年)。

スペイン盤は、音質が一番良いが、国内初出盤もかなり鮮明で高音質、しかし1975年の再発盤はかなり音質が劣る。1970年の初出盤は定価¥2000、1975年の再発盤は定価¥2300と価格が上がっているのに盤はかなり薄くなり音質が良くない。



この盤は、CDも手に入れた。
CD番号 7 80088 2 スペインHISPA VOX(輸入盤)しかし、現在は廃盤で入手困難。

CDは1982年に録音された「ルセロ・テナとガルシア・ロルカの世界」と一緒になっているが、ジャケットの絵柄はこのスペイン盤のLPと同一である。






ルセロ・テナとガルシア・ロルカの世界


マニュエル・カーノ(ギター)伴奏による、フラメンコ。1982年録音。ルセロ・テナはカスタネットと踊りを担当し、歌はない。このLPレコードは、上で紹介したCDの中に全て入っている。録音が比較的新しいだけに、音質はかなり良い。


尚、CDでこのジャケット写真のものと同一のものがネット検索すると出てくる。


アンダルシアのフラメンコ


これは1973年発売のスペイン盤のLPである。日本盤は見たことがないので、国内盤は存在しないと思う。

このLPレコードは、伴奏のギタリストも違っていて、フラメンコの音楽の調子も異なっている。尚、CDで発売されているのかもわからない。CDでは持っていないので、LPからCD-Rに落として聴いたりもしている。

カスタネットやタップのリズム感はこの人ならではのもので、他の人にはなかなかまねできないと思う。至高の芸術である。

スペイン舞曲集



これは、ホセ・マリア・フランコ・ヒル指揮、マドリード・コンサート管弦楽団による伴奏で、スペインの様々な舞曲をルセロ・テナの、その華麗なカスタネットを聴かせてくれるスペイン盤のLPレコードである。


これも、CDで見たことがないし、LPでは国内盤で見たことがない。おそらく国内未発売。

   

スペインのバロック様式のカスタネット音楽集



これも、ホセ・マリア・フランコ・ヒル指揮、マドリード・室内管弦楽団による伴奏で、スカルラッティ、カサノバス、カンターロス、フレシネ、ガレス、ソレールなどバロック時代にスペインで活躍した作曲家の作品でルセロ・テナの、その華麗なカスタネットを聴かせてくれるスペイン盤のLPレコードである。

これも、CDで見たことがないし、LPでは国内盤で見たことがない。




邦題  カスタネット入門

これは、CDで復刻されたこともあるカスタネット・レッスン用のLPレコード。上はスペイン盤、下が国内盤で1968年発売のもの。CDはネットで検索すると出てくるが、現在は廃盤。




A面はまさしくレッスン用で、カスタネットのリズムの刻みが入っていて、見開きのジャケットの中は数ページに渡ってカスタネットの付け方や構え方など写真入で解説がある。




B面は模範演奏だが、いずれの曲も神業と思えるような技巧で聴かせてくれる。こちらはルセロ・テナのカスタネットを鑑賞する目的で持っていても充分に価値がある。













カスタネットのスペイン音楽

クラシックギターに合わせて、カスタネットが奏でられるもの。


アルベニス、グラナドス、ファリャなどの、良く知られた曲も多く、もともとは、ギター独奏のものに、カスタネットが付いているのだが、主役はギターではなく、ルセロ・テナのカスタネット。


このLPレコードはスペイン盤で、国内盤はないと思う。

トレモロ


これは、1960年代のスペイン盤のLPで、CDで復刻されたものを見たことがないし、LPでも日本盤ではみたことがない。おそらく、国内盤では未発売。

内容は、オーケストラをバックにルセロ・テナが華麗なカスタネットを聴かせているもの。


このような音源は現地盤のLPでしか聴けないのでLPレコードを聴ける環境があって幸せだと思う。

邦題  超絶のカスタネット

これは、1976年にスペインで録音され、1979年に来日記念として国内発売されたルセロ・テナのカスタネット、ホセ・マリア・フランコ・ヒル指揮、マドリード・コンサート管弦楽団によるゴヤ時代のスペイン・ポピュラー音楽集である。国内盤のLPレコード。

カスタネットという楽器は音階演奏ができるわけではなく、単にリズムを刻むだけのシンプルなものだが、この人の手にかかると本当に超絶!という感じがする。クラシックのコンサートでも活躍することが多く、上のロストロポービッチ、リヒテル、オイストラフ、メータ、アメリカの人気番組司会者ダニー・ケイなどと写っている写真は、このレコードのジャケ裏にあったもの。このレコードを聴いただけで、ルセロ・テナのカスタネットがいかに素晴らしいかがわかる。

EN EL CORRAL DE LA MORERIA


1971年のライヴ録音。15曲入っているが、ルセロ・テナが参加しているのはそのうちの4曲だけだ。


しかしながら、彼女のフラメンコのタップのリズム感やまさに神技としか思えないカスタネットは、このCDからも聴くことができた。

このCDは1994年に復刻されたスペイン盤である。

スペイン管弦楽名曲集

アントニ・ロス・マルバ スペイン放送交響楽団

イサーク・アルベニス 組曲「イベリア」より  エヴォカシオン、港、トゥリアーナ

ファリャ 「三角帽子」
マテオ・アルベニス ソナタ ニ長調
ハルフテル 第一旋法のティエントと皇帝の戦い
ヒメネス 「ルイス=アロンソの結婚式」:間奏曲

このうち、ルセロ・テナのカスタネットがあるのは、マテオ・アルベニス ソナタ ニ長調のみである。1988年の来日公演(サントリーホール)でのライヴ録音。(CD)

ファリャ
はかなき人生

ロペス=コボス指揮、シンシナティ交響楽団他



1992年のアメリカ録音。歌手に極めて有名な人は居ないが、素晴らしい演奏である。ルセロ・テナのカスタネットや踊りを聴くのであれば、上にあげた1960年代録音のラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス盤よりもこちらの方が良い。

TELARCらしく録音も良くて、オーディオ好きな人にもお勧めなCD。



ボッケリーニ 
ギター五重奏曲集



イエペス、メロス弦楽四重奏団

上が独プレスのLPレコード、下がCD。

ギター五重奏曲4番の「ファンダンゴ」には、カスタネットの伴奏が付く。

このLPやCDの演奏ではカスタネットをルセロ・テナが付けている。短い時間ではあるけれど、聴けば彼女のカスタネットだとわかる独特の優れたリズム感がある。












ロドリーゴ 
管弦楽作品集 第6集



マックス・プラガド・ダルマン/カスティーリャ&レオン交響楽団


このCDの中に収められている「2つのスペイン舞曲」のカスタネットは超絶技巧が必要。カスタネットにルセロ・テナが起用されたのもうなずける。

ルネ・マルタンの
レ・ク・ドゥ・クール


このCDは、ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2013が開催された時に会場の東京国際フォーラムのCD売り場で購入したもの。

内容は、全曲とも2013年2月にフランスのナントで開催されたラ・フォル・ジュルネで演奏されたもののライヴ録音。

このCDには、ルセロ・テナのカスタネットが入った曲が3曲入っている。そのうちヒメネス《ルイス・アロンソの結婚式から》とビゼーのカルメンは、東京でも演奏された。ビゼーのカルメンは、上にリンクしたユーチューブのものと同一?


まだまだ、他にもあると思うので、引き続き探索を続けます。



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