ヒト・環境・器具に用いる消毒薬

 ●塩化ベンザルコニウム オスバン液(武田)
  手指・皮膚:0.05 〜 0.1 % 本液に浸して洗い、滅菌ガーゼまたは布片で拭く

 皮膚・粘膜の創傷部位:0.01 〜 0.025 %
 器具・物品:0.05 〜 0.2 % 本液を布片で塗布・清拭または噴霧
 石鹸との混合により効力が低下するので、十分に石鹸を洗い流した後に使用
●グルコン酸クロルヘキシジン ヒビテン液(ゼネカ)マスキン液(丸石)
 手指・皮膚:0.1 〜 0.5 %
 皮膚の創傷部位:0.05 %
 器具・物品:0.05 % 本液を布片で塗布・清拭または噴霧
 低毒性。創傷部位、手洗いなどに繁用される
 アレルギー性接触皮膚炎に注意
 粘膜面の使用でショックの報告あり。また、耳への使用により難聴を起こすこと
があるので禁忌

●消毒用エタノール 消毒用エタノール(各社)
 原液
 抗菌スペクトルが広く短時間で効力を発揮するので、広範囲に繁用される
 粘膜や創傷部位には刺激があるので用いない
 脱脂作用があり、頻回の皮膚への使用は適さない
 揮発性で引火しやすいので注意



主にヒトに用いる消毒薬

●ポピドンヨード イソジン液(明治製菓)
 手指・皮膚:7.5 % 少量の水で摩擦し、よく泡立たせた後、流水で洗う
 皮膚・粘膜の創傷部位:10 %
 抗菌スペクトルは広い
 ヨウ素過敏症に注意
 毒性は低く、ヒトに広範囲に用いられる。皮膚や衣類などを着色するが洗えばとれる
●アクリノール アクリノール液(各社)
 化膿局所:0.05 〜 0.2 %
 低毒性で生体組織に刺激を与えず、緩徐な効果
 アレルギー性接触皮膚炎に注意
 皮膚や衣類などの着色に注意
●マーキュロクロム マーキュロクロム液(各社)
 手指・皮膚:皮膚表面の一般消毒 2 〜 5 %
 創傷部位にも用いられるが、水銀中毒の恐れがある
 公害規制の問題から最近はあまり用いられない
●オキシドール オキシフル(三共)
 創傷部位:原液、または2 〜 3倍希釈
 汚れた外傷に繁用される
 低毒性、低刺激性であるが、発癌性の報告がある


<水道水による希釈で影響を受ける消毒薬>
●塩化ベンザルコニウム液(オスバン液)
●グルコン酸クロルヘキシジン(ヒビテン液、マスキン液)
 ※消毒薬の希釈には新鮮で品質のよい蒸留水や滅菌精製水を用いることが望ましい

<水道水による希釈が可能な消毒薬>
●ポピドンヨード
 ただし、粘膜に用いる場合は滅菌精製水で希釈

<消毒薬の希釈液の作り方>
 一般にA %の消毒薬を希釈してB %でY mLの消毒薬を調整するとき、はかりとるA %の
消毒薬の量X mLの計算式は、

 X × A / 100 = Y × B / 100
したがって、
 X = Y × B / A

 消毒薬については、浅い傷であれば流水で洗えば十分であり、消毒の必要はない
  砂場や汚染がひどい場所での深い傷の場合は、破傷風の危険を考えて外科を受診
 させる

 点眼薬について
   学校の保健室はあくまで応急手当の場であるため、異物を洗い流すための生理食塩
 液の点眼程度が備えてあればよい。

   ただし、点眼薬はキャップを頻回に開け閉めするものであること、点眼方法を
 誤ると汚染される恐れがあるため、点眼の仕方は教諭が見守る必要がある。
  点眼容器の先がまつげなどに触れることのないように注意する必要がある

  管理が難しいのであれば、人口涙液を1回量包装したもの(使い切りタイプ)が
 眼の乾燥防止用に市販されているので、この使用を考慮してもよい

 コンタクトレンズを使用している場合は、レンズに吸着するトレンズを破損して
 しまうため、点眼薬の使用は注意を要する



砂場の汚染防止対策(消毒方法)

 子供たちの遊び場である公園や幼稚園等の砂場は、犬、猫の糞尿等による寄生虫や
細菌の卵で汚染されやすい。砂場自体の汚染防止対策としては以下の方法が行われて
いる。しかし、いずれの方法でも砂場は無菌状態にはならず、効果も永続的ではない。

 最も効果的な衛生対策は、砂遊び中に砂を口に入れたり指しゃぶりをしないこと、
爪を常に短く切っておくこと、砂場遊び後のうがい・手洗いの励行などを徹底すること
である。


[汚染の原因となる寄生虫・細菌]
 ネコ蛔虫(Toxocara Cati)およびイヌ蛔虫(Toxocara Canis)の虫卵が多い。
その他、イヌ鞭虫卵、キャピラリア属、アカントアメーバ、トキソプラズマ、
クリプトスポリジウム、大腸菌、カンピロバクター、クリプトコッカス等が検出
されたとの報告がある。


[砂場の汚染防止対策]
(1)砂場を日当たりの良い所に設置する(イヌ・ネコ蛔虫は熱に対する抵抗力が
 弱く、37 ℃で数分間以内に、50 ℃の湿熱では3分間以内に死滅する

(2)砂場をフェンスで囲み、犬や猫の侵入を防止する
   夜間にシートをかけるのは、湿気を助長するので避ける
(3)砂場の砂を殺菌消毒する(表1)
(4)ペット類の駆虫、飼育者に対するマナーの喚起。ただし、野良猫・犬の外は
 防げない。

(5)幼稚園などでは毎朝点検し、糞をみつけたらすぐに取り除く。

表1 砂場の殺菌消毒方法
分類 使用薬剤(連絡先) 方法
熱湯 - 砂を取り出して熱湯消毒後、乾燥する
消毒薬 ヨードホールTMNF
(サンスター 0726-84-0060)
成分は塩化ヨード、塩化ナトリウム、グリシン、水
20倍に希釈し、砂をかき混ぜながら散布
プール消毒薬
 塩化イソシアヌール酸
 次亜塩素酸塩
プールに使用する薬剤を転用し、200 〜300 mg / Lをポリのジョロで
砂にしみるように十分散布。月1回くらいが適当。
例)20 Lに対し、ハイライトエースTMG顆粒10 g(小袋1個)
または、ハイライトTM90の1 / 2錠を溶かして散布
サンプラントTM-S
(日産化学 092-432-3421)
成分はジクロロイソシアヌール酸ナトリウム
 砂場の広さに応じて規定濃度の希釈液を散布
抗菌砂 アイオマックサンドTM
(松井産業 048-465-3161)
抗菌砂を砂場の砂に混入、あるいは、抗菌砂で砂場を作る
イオンピュアサンドTM
(石塚硝子 052-871-3316)
エバークリンサンドTM
(サンドクリーンサービス 092-503-3631)
お砂場元気TM
スーパーお砂場元気
TM
(タカラ 03-3603-0142)
健康広場TM
(グリーンバイオメントワールド 0972-39-7204)
タフサンドTM
(ハイデンシ工業 0767-32-3283)
熱処理 ミスター・サンドマンTM
(環境開発 092-611-5256)
ポンプで砂を吸引し、熱処理車の中で加熱処理、
次亜塩素酸ナトリウムで消毒
チャッピーTM
(メディック・ジャパン 092-552-4375)
砂かき式器具
先端部分を電気で過熱し、30分間程度砂をかき混ぜ熱処理


消毒薬の廃棄方法

使用後の消毒薬でも流しに廃棄すると、河川、湖沼等の水界環境に生息する微生物に
少なからず影響を及ぼすことになる。自然界においては消毒薬は好気的・嫌気的分解を
受けるが、アルコール系、アルデヒド系、フェノール系は比較的よく分解され、グルコ
ン酸クロルヘキシジン、両性イオン界面活性剤はやや分解されにくく、塩化ベンザル
コニウムは分解を受けにくい。

 一般家庭における消毒薬の使用は限られており、廃棄は大量の水で希釈してMIC
(最小発育阻止濃度)以下に下げて消毒薬を不活化し、生活排水として流している
のが現状である。したがって、消毒薬を使用するときには、なるべく必要最小限を
調整して使い切るように心がけたいものである。

 下記の消毒薬については「水質汚染防止法」、「下水道法」および「毒物及び劇物
取締法」による規制があり、廃棄には注意を要する。


[水質汚濁防止法、下水道法]
 水質汚濁防止法の排水基準、下水道法の水質基準により排水に関して厳しく規制され
ている(各都道府県によりさらに厳しい上乗せ基準がある場合がある)。水質汚濁防止
法の施行例では、病床数300床以上で厨房施設、洗浄施設、入浴施設を設置している
病院を特定事業者として、下水や河川、湖沼等への直接廃棄について罰則が設けられて
いる。

 消毒薬として規則の対象となるのは水銀類、フェノール類である(表1)。水銀類の
マーキュロクロム、チメロサール、塩化第二水銀などは排水として流すことはできず、
フェノール類のフェノール、クレゾール、トリクロサン等はよほど少量でない限り
流すことはできない。


表1 排水基準および水質基準
  排水基準を定める総理府令
(許容限度)
下水道法施行例に基づく
水質基準
水銀・その化合物 0.005 mg / L 0.005 mg / L 以下
アルキル水銀化合物 検出されないこと 検出されないこと
フェノール類 5 mg / L 5 mg / L 以下


[毒物及び劇物取締法]

 毒物及び劇物取締法により、ホルムアルデヒド、クレゾール、フェノールが規制
され、廃棄方法が明示されている(表2)。
 これは未使用のものの廃棄方法であるが、使用後の消毒薬の廃棄についても参考
となる。


表2 毒物及び劇物取締法による廃棄方法
品目 廃棄方法
ホルムアルデヒドおよび
これを含有する製剤
(酸化法)
・多量の水を加えて希薄な水溶液とした後、次亜塩素酸の
水溶液を加え分解させて廃棄
・水酸化ナトリウム水溶液などでアルカリ性とし、
過酸化水素水を加えて分解させ、多量の水で希釈して処理
(燃焼法)
アフターバーナーを具備した焼却炉の火室へ噴霧し焼却
(活性汚泥法)
クレゾール
およびこれを含有する製剤 
             
フェノール
およびこれを含有する製剤
(燃焼法)
・木粉(おが屑)等に吸収させて焼却炉で焼却
・可燃性溶剤と共に焼却炉の火室へ噴霧し焼却
(活性汚泥法)
※活性汚泥法とは、下水や排水中に生じる微生物からなる汚泥で、有機物質や無機物質を
摂取して分解する能力を有し、下水の2次処理、工場排水などに繁用されている


アクリノールによるアレルギー性接触皮膚炎

 黄色の色素系殺菌消毒薬アクリノールは、各種化膿菌(とくにレンサ球菌、ブドウ
球菌、肺炎桿菌、ウェルシュ菌、淋菌など)に対し、殺菌作用、静菌作用がある。作用
機序は明確ではないが、アクリジニウムイオンが細菌の呼吸酵素を阻害すると言われて
いる。

 生体組織に刺激を与えず深達性で、血清・蛋白の存在下でも作用が減弱しないため、
古くから化膿局所の消毒に日常診療で用いられている。また、擦り傷、切り傷などの
時に貼る救急絆創膏のパッド部分に使用され、一般家庭でも繁用されている。

 しかし、アクリノールの感作率は比較的に高く、接触過敏で思わぬ副作用を生じる
ことがある。なかには、軽微な外傷に用いて、手指切断に至った重症例の報告もあり、
安易な使用に警告を発する見解もある。


[症例1 54才 男性、アクリノールガーゼ付き救急絆創膏による壊疽]
 ゴルフ中、左第2指に摩擦性水泡(マメ)が形成。翌日からアクリノールガーゼ付き
救急絆創膏を6日間貼付したところ、ちくちくした痛痒と赤紫色の硬結が生じ、受診。

 左第2指基節部外側に強い浸潤を伴う1.5 cm大の赤紫色局面が見られた。中心は黒色
壊死物が固着した潰瘍で、堤防状に隆起した周囲皮膚の表面には小水泡を形成。末梢
循環障害、血管障害をきたす糖尿病、血管炎は否定され、アレルギー的機序を思わせる
組織像を呈した。

 アクリノールのパッチテストは強陽性で、病変周辺部は典型的な接触皮膚炎の像が
見られ、アクリノールの接触過敏による壊疽と診断。吉草酸ジフルコルトロン軟膏の
外用で1週間後には皮下硬結が消失し、中心部の潰瘍は約1ヶ月後に瘢痕治癒した。


[症例2 43才 男性、アクリノール湿布による壊疽]
 機械で右第3指末節に1 cm程度の裂傷を生じ、翌日、近医外科で縫合してアクリ
ノール湿布を受けた。10日後の抜糸時、指末節の掌側全体が黒変し、創部は離開
していた。その後、数回のデブリドマン、再縫合にもかかわらず、創面が拡大したため
に受診。

 右第3誌末節の掌側は黒色の壊死組織が付着し、その下床は不良肉芽を伴う潰瘍と
なり、周囲の表皮は浸軟。元来の創面に一致する潰瘍中央部には繊維性の壊死組織が
付着し、その遠位側に器質化した血管と思われる索状物が見られた。

 検査所見では末梢血液像に好酸球増多を認める以外には異常はなかった。当初は末梢
循環障害を疑って治療を行ったが奏功せず、副腎皮質ステロイド軟膏の外用で約20日
後に瘢痕治癒した。各種外用剤でパッチテストを行ったところ、アクリノールに陽性を
呈した。


[症例3 25才 男性、アクリノール湿布による難治性下腿潰瘍]
 ムカデに右下腿を咬まれて約1週間で治癒。しかし、何の誘因もなく、咬まれて
約1ヶ月後に同部が発赤・腫脹し、外科で連日アクリノール湿布を受けたが、軽快
しないまま1ヶ月後に中央部に潰瘍を形成。その後、2年以上もアクリノール外用を
含む種々の外用療法が行われたが、瘢痕治癒、潰瘍形成を繰り返し、湿布部位の色素
沈着が増強したために受診。

 循環障害はなく、潰瘍部に黄色ブドウ球菌とγ連鎖球菌を検出。各種パッチテスト
では水銀、ニッケルなどの金属類、ポピドンヨード、グルコン酸クロルヘキシジンなど
に陽性を示したが、なかでもアクリノールに強陽性を示し、貼付部位には湿疹様皮疹が
長期にわたり持続した。また、左下腿にアクリノールを15日間連続貼付して、類似の
皮膚病変を再現した。

 積極的な治療は行わず、2次感染の治療に抗生物質の内服と外用で良好な肉芽が形成
され、瘢痕治癒した。しかし、その後も再発を繰り返し、腹直筋遊離皮弁移植手術を
受けた。



消毒薬による中毒発生時の処置(中毒一覧表)
 中毒発生時の一般的処置および消毒薬の中毒一覧表は下記の通りである。

[経口摂取した場合]
(1)前処置
   中毒物質の吸収を遅らせ粘膜を保護するために数分以内に行う。
     通常は多量の牛乳、卵白水あるいは水で溶いた小麦粉を与えるが、手元に
  何もないときはまず水を与える。

     卵白水:鶏卵2 〜 3個分の卵白を約100 〜 200 mLの水に撹拌。
   小麦粉:茶さじ1杯を水400 〜 500 mLに溶かす。片栗粉、葛粉でも可

   牛乳:脂溶性で、牛乳の脂肪分に溶解して吸収が促進されるもの
   (石油製品、防虫剤等)には牛乳を用いない。

(2)催吐
    中毒物質を胃から取り除くために行う。通常3 〜 4時間以内で、意識清明で
  嚥下反射や咳嗽反射が十分であれば実施する。ただし、中毒物質が強酸や
  強アルカリのような腐食性物質や、中毒を起こした人が意識混濁を起こして
  いる場合などは催吐が禁忌なので注意する。

(3)胃洗浄
   人や摂取した中毒物質により差はあるが、通常3 〜 4時間以内であれば有効
  である。

    通常は生理食塩液や水を37 〜 38℃の微温湯として用い、中毒物質の種類に
  よっては中和剤や解毒剤を胃洗浄液に注入して行うこともある。

(4)腸内容物の排出
   腸内に移動した中毒物質を吸着して体内への吸収を抑制し、できるだけ早く
  体外へ排出する。

  @吸着剤の投与
   腸からの中毒物質の吸収を防ぐため、催吐または胃洗浄の後に吸着剤を投与する
  ・活性炭(薬用炭)
   1 〜 2 g / kgまたは摂取した中毒物質の5 〜 10倍量の活性炭を、4倍量の水
 または75 %ソルビトール液(下剤)に懸濁して経口または経胃管的に投与する。
 中毒物質を摂取後1時間以内であれば非常に効果的だが、電解質、アルコール
 および重金属類は吸着されず、また、酸やアルカリなどの腐食性物質や石油類にも
 使用できない。

  ・天然ケイ酸アルミニウム
   5 〜 10 %懸濁液を200 〜 500 mL投与する。
  A下剤の投与
   吸着剤が下痢便とともに排出されるまで数回反復投与する。ただし、中毒物質が
  酸やアルカリなどの腐食性物質の場合、下痢がひどい場合やイレウスがある場合
  には投与しない。

  ・硫酸ナトリウム
    小児には250 mg / kgを5 %溶液として、成人には20 〜 30gを水200 mLに溶かして
  投与する。

    ただし、高血圧、腎不全、心不全の患者には投与しない。
  ・硫酸マグネシウム
    小児には250mg / kgを5 %溶液として、成人には20 〜 30 gを水200 mLに溶かして
  投与する。

    ただし、腎障害時には注意を要する。
  ・マグコロール(クエン酸マグネシウム)
    小児は5 mL / kg、成人は250 mLを投与する。
 ・60 〜 75 %ソルビトール液

    小児は5 mL / kg、成人は250 mLを投与する。
  ・ヒマシ油
    中毒物質が脂溶性の場合には用いない。
  ・浣腸
    腸管運動抑制時に使用する。

[目に入った場合]
 ・15分間以上、流水で十分に洗眼する。顔を横に向けて、やかんから水を流すか、
 水道水の場合には弱い流れの水で洗う。水流が強いと目に障害を起こすことがある
 ので注意し、目が痛くて開けられない時には、水を満たした容器の中に顔をつけて、
 水の中で目を開けても良い。

 ・強酸や強アルカリは早期の十分な水洗が大事で、とくにアルカリ性の場合は念入り
 に水洗する。

 ・中和剤は用いない。中和熱を発生して、刺激をかえって強めて悪化する。

[皮膚に付着した場合]
 ・流水をかけながら着衣を取り、石鹸を用いて流水でよく皮膚を15分間以上水洗
 する。

 ・強酸や強アルカリは早期の十分な水洗が大事で、とくにアルカリ性の場合は念入り
 に水洗する。

 ・中和剤は用いない。中和熱を発生して、刺激を強めてかえって悪化する。

[ガスを吸入した場合]
 新鮮な空気の所へ運び出し、人工呼吸などをする。

表1 消毒薬の中毒一覧表
消毒薬 毒性 中毒症状 注意事項
クレゾール石鹸液
(クレゾールを42〜52%含有)
ヒト経口推定致死量
180〜250mL
(クレゾールとして1.5g/kg)
・消化器症状:口腔・咽喉の灼熱感と疼痛、  経口、経皮および吸入により吸収・排泄が早い
ので、中毒発生後24時間以内の治療が救命に
影響する
         悪心・嘔吐、咽頭・喉頭浮腫、
         口腔・食道・胃粘膜腐食  水などを投与して希釈すると吸収を助長する
・中枢神経系:興奮、意識障害、痙攣  腐食作用があり、また痙攣誘発や昏睡に陥り
やすいので催吐は禁忌
・循環器系:低血圧、不整脈、ショック
・呼吸器系:乏尿、無尿、腎不全  胃洗浄は穿孔に注意して行う。アルカリ性で腐食 
作用はあるが(強酸・強アルカリより弱い)、服用
早期であれば胃洗浄を行う
・その他:溶血、メトヘモグロビン血症、低体温
・皮膚に接触では灼熱感、紅斑、知覚麻痺、
浮腫、白色変性、びらん,局所組織の壊死  接触時は付着部位が広がると吸収が早くなる
ので、脱脂綿などで出来るだけ吸い取り、大量の
水と石鹸で洗い流す。皮膚の洗浄や清拭に、50%
エタノール、オリーブ油、グリセリン、ポリエチレン
グリコールなどを用いることがある
・目に接触では腐食、眼球損傷
・吸入では全身中毒、粘膜刺激
 
   吸入して鼻や喉に刺激がある時はうがい
ヨードチンキ
(希ヨードチンキはヨードチンキ
 
を70%エタノールで2倍希釈)
ヒト経口推定致死量
30〜250mL
・消化器系:悪心・嘔吐を伴う胃痛、  服用直後には牛乳または3 %バレイショデンプン液
を飲ませる
        口腔・咽頭・食道の灼熱感、
        口唇等の粘膜の褐色着色、腹痛、下痢  解毒剤の1%チオ硫酸ナトリウム液100mLを内服
・中枢神経系:頭痛、めまい、精神錯乱  胃洗浄は1〜10%バレイショデンプン液、または  
1%チオ硫酸ナトリウム液を用いる(牛乳や微温湯
でも可)。ただし、腐食が進行している時には穿孔を
起こすので胃洗浄は禁忌
・循環器系:低血圧、頻脈、ショック
・呼吸器系:喉頭浮腫による呼吸困難、誤嚥性肺炎
・泌尿器系:出血性腎炎、乏尿、無尿、腎不全  喉頭浮腫の恐れがあれば、気管切開して気道確保
・その他:ヨウ素による一時的な唾液腺や  胃内にデンプンがあれば吐物は暗青紫色を呈する
      リンパ節腫脹  エタノール中毒にも注意(エタノールの項参照)
ポピドンヨード マウス(経口)
LD50 :8100〜8500mg/kg
・消化器系:大量服用で。悪心・嘔吐、腹痛、  毒性は低く、通常の誤飲では問題ない
        出血性下痢  消化管内の食物と結合して不活化される
・その他:ヨウ素疹等のヨウ素過敏症  遊離ヨウ素は消化管から吸収されない
   服用直後は牛乳または3%バレイショデンプン液を 
飲ませる
 
   解毒剤の1%チオ硫酸ナトリウム液100mLを内服
   胃洗浄は1〜10%バレイショデンプン液、        
または1%チオ硫酸ナトリウム液を用いる        
(牛乳や微温湯でも可)
 
 
   胃内にデンプンがあれば吐物は暗青紫色を呈する
次亜塩素酸ナトリウム 幼小児経口致死量
15〜30mL(5%液)
マウス(経口)
LD50 > 5mL/kg(4〜6%液)
・消化器系:口腔〜消化管粘膜の腐食・激しい痛み・   強アルカリと酸化作用による粘膜腐食作用が
ある。腐食作用は誤飲量よりも溶液の濃度の
影響が大きい
        灼熱感、食道狭窄感、悪心・嘔吐、
        下痢、腹痛  催吐は禁忌
・呼吸器系:気道内への吸引による喘鳴を伴う喉頭・  牛乳、卵白を与える(蛋白質により不活化される)
        声門・喉頭の浮腫  胃洗浄は禁忌だが、実施する時には穿孔に
・吸入では鼻や気管支等の粘膜刺激、息苦しさ、 注意する
咳、呼吸困難  誤飲時には口腔内に塩素集がある
グルコン酸クロルヘキシジン マウス(経口)
LD50:1260〜1950mg/kg
・消化器系:大量服用で、悪心・嘔吐、腹痛、下痢、  毒性は低く、通常の誤飲では問題ない
        喉頭・食道の浮腫や壊死  消化管からほとんど吸収されない
   腐食作用であるので、催吐は禁忌
エタノール 成人経口致死量
6〜10mL/kg(100%液)
幼小児経口致死量
3.6mL/kg(100%液)
・消化器系:悪心・嘔吐  30〜60分で80〜90%が吸収されるが、
・中枢神経系:運動失調、痙攣、昏睡  消化管内に食べ物があれば吸収は遅延する
・循環器系:低血圧、ショック  2時間以内であれば胃洗浄は有効だが、睡眠薬と
・呼吸器系:呼吸困難、チアノーゼ 一緒に服用している場合にはそれ以降でも可能
100%液を30分以内に、
成人250mL、
幼小児6〜30mL服用すると危険
・その他:全身の熱感、脳浮腫、低体温、低血糖  胃洗浄は1%炭酸水素ナトリウム液、
      代謝性アシドーシス またはクエン酸ナトリウムで行う
イソプロパノール ヒト経口推定致死量
120〜240mL(70%液)
・消化器系:悪心・嘔吐、吐血  胃洗浄は1%炭酸水素ナトリウム液で行う
・中枢神経系:運動失調、めまい、頭痛、錯乱、昏睡 (微温湯でも可) 
・循環器系:低血圧、ショック  エタノールに比べ、毒性および麻酔作用は強い
・呼吸器系:呼吸困難  
・その他:低体温、低血糖  
ホルマリン
(ホルムアルデヒドを
35〜38%含有)
ヒト経口推定致死量
30〜120mL(37%液)
・消化器系:口腔・喉頭・食道の灼熱感。心窩部痛、  催吐は禁忌
        食道・胃の穿孔、胃の激痛、悪心・嘔吐  胃洗浄は穿孔に注意して、0.2 %アンモニア水、
        腹痛、下血 1〜2%炭酸アンモニウム液または牛乳を用いる
・中枢神経系:めまい、痙攣、意識障害、昏睡  吸入時は希アンモニア水を嗅がせる。
・循環器系:蒼白、脈拍微弱、低血圧、ショック ホルムアルデヒドはアンモニアと反応して、
・泌尿器系:排尿困難、乏尿、無尿 毒性の少ないヘキサメチテトラミンに変化する
・その他:代謝性アシドーシス  体内に吸収されたホルムアルデヒドは酸化されて
・吸入(ホルムアルデヒド)では、目・鼻・上気道粘膜 ギ酸となり、代謝性アシドーシスを生じる
の刺激、呼吸困難、咳、嚥下困難、気管支炎、  ホルマリンにはホルムアルデヒドの重合を避ける
肺炎、高濃度では喉頭浮腫 ために10〜15%メタノールが添加されているので、
・皮膚に接触では、皮膚刺激と硬化、高濃度では  メタノール中毒にも注意を要する
凝固壊死、皮膚炎  接触時は大量の水と石鹸で洗浄
・目に接触では結膜炎、角膜熱傷、失明  
グルタラール マウス(経口)
LD50:270〜290mg/kg
・消化器系:消化管刺激、出血  胃洗浄は、腐食状態を確認後、水または牛乳を
・中枢神経系:めまい、無気力 投与してから行う
・循環器系:低血圧、ショック  
・その他:代謝性アシドーシス、歩行困難、筋攣縮  
・皮膚に接触では皮膚・爪が褐色〜黄色に変色  
塩化ベンザルコニウム
塩化ベンゼトニウム
ヒト経口推定致死量
0.5〜5mL/kg(10%液)
・消化器系:悪心・嘔吐、口腔・咽頭の灼熱感、  高濃度溶液の場合は腐食作用があるので
        咽頭痛、流涎、心窩部痛 催吐は禁忌
・中枢神経系:精神錯乱、痙攣、脱力、昏睡  原液に近いものや、大量を誤飲した場合は、急速に
・循環器系:低血圧、ショック 吸収されるので注意を要する
・呼吸器系:努力性呼吸、チアノーゼ、窒息、  摂取後25分以内の死亡例がある
        喉頭浮腫、肺水腫  
・その他:眼調節障害  
塩酸アルキルジアミノエチルグリシン ヒト経口推定致死量
2L(10%液)、3g/kg
・消化器系:悪心・嘔吐、腹痛、下痢 胃洗浄は牛乳またはうすい石鹸液を投与してから行う
塩酸アルキルポリアミノエチルグリシン     
マーキュロクロム 成人経口致死量
75mL(2%液)
幼児経口推定致死量
10mL/kg(2%液)
・消化器系:悪心・嘔吐、腹痛、下痢、粘膜びらん、  胃液により沈澱するので、吸収は遅い
        流涎、歯肉着色  解毒剤のキレート剤は、D-ペニシラミン(第一
・中枢神経系:頭痛、不眠、興奮、幻覚、歩行障害 選択)またはチオプロニンの内服、あるいはBALを
・循環器系:ショック 筋注。ただし、消化管内に多量の水銀が残存
・その他:腎障害 している時のキレート剤投与は吸収を助長するので
  消化管内の洗浄を十分に行った後に実施する
アクリノール マウス(皮下)
LD50:120mg/kg
・消化器症状:大量服用で、悪心・嘔吐、腹痛、下痢  毒性は低く、通常の誤飲では問題ない
・その他:肝機能障害  経口では消化管からほとんど吸収されず、大部分
  は糞便中に排泄
オキシドール
(過酸化水素水を  
       2.5〜3.5%含有)
ラット(経口)
致死量 4g/kg(9.6%液)
・消化器系:悪心・嘔吐、腹部膨満感、口内炎、  多量または過酸化水素の高濃度溶液(10%以上)
       咽喉頭炎、食道炎、酸素ガス発生による の誤飲でなければ、問題はない
       鼓腸  高濃度溶液は強い刺激腐食作用を有する
   牛乳を与える(分解促進)
   催吐は禁忌
   ガス発生時には消泡剤ガスコンドロップTM
  吸着剤投与、導管によるガス排除




 


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