登米アートトリエンナーレ2010 9月1日〜10月31日
理想郷・幾何学的構成アートの祭典
登米市は宮城県の北東部に位置し5年前に9町が合併して生まれた新しい市です。この地出身でパリ在住の美術家佐藤達氏の作品や幾何学的表現の現代美術作品をコレクションしているSATORU Museumが市内中田町にあり、美術館友の会のメンバーが中心になり市制5周年記念事業として登米アートトリエンナーレが開催されました。
私は長年の友人である佐藤氏を介して招聘され、記録破りの猛暑の中、8月末から一週間ほど現地に滞在してインスタレーション作品を制作してきました。炎天下での野外制作はナマクラな老体には過酷でしたが、スタッフやボランティアの熱意に押されて、なんとか完成できました。これまで幾つかのアートイベントに参加してきましたが、お役所仕事と異なる、市民主体の手作りイベントのエネルギーに圧倒されました。
登米市は北上川下流域の肥沃な土地で、米どころのようです
市街地を出れば、一面の田圃でした。新潟もそうでしたが、日
本の農業は米作地はそれなりに豊かなようです。
この手の作品では杉丸太を支柱に使っていたのですが、平野
地で杉丸太を手に入れ難いことから、建築用足場パイプを支柱
に使いました。
先ずは作品設置場所の決定です。そこに基礎となるパイプを
井桁状に組み水平に配置しました
Necker Cube 12x8x4m 素材 鉄パイプ・綿布他
原寸図に合わせて、鉄パイプをクランクで固定します
軸組みの立ち上げです。
炎天下での作業、1時間ごとに水分補給です。この段階では三角形を基本にした建築足場のようにしか見えませんが、パイプの傾きやクランクの位置などの狂いが後の布張りに影響を与えるので、それなりに神経を使う工程です。
綿布張りです。
この布は事前にアトリエで縫製してきました。暑さに強風が重なり、
布張りもひと苦労でした。.
足元の黒い塊は犬です。登米にはワン仔連れで行きました。犬もそれなりに制作のお手伝いをしている気分のようでが、勿論、重要なのはボランティアの学生さんや職人さん達の手助けで、今回は
「中り」ともいえる有能方々が制作の手助けをしてくれました。その上、地元の親子がスタッフとして応援に駆けつけてくれ、こんな出会いも嬉しい限りでした。
どんなワン仔か知りたい方はこちらをご覧下さい。
すぐ近くの石森小学校の生徒達が見学にみえました。
子供達に興味を持ってもらうのは嬉しいのですが、一年生と6年生では発達段階が大きく異なるので、5・6年生、3.・4年生、1.・2年生と3グループに分けて見学してもらい、制作秘話などを披露しました。 子供のナイーブで率直な感想は大いに参考になります。オジサンは船の帆を想像して作ったのだが、みんなはどう見えるかな?」の問に「国旗みたいだ」とか「空飛ぶ絨毯の帆みたい」とか作者が予期しない「見立て」が聞けました。具体的事物の再現ではない抽象的表現のほうが、子供の自由なイメージや発想を膨らませることができるようです。
設置場所は造成された高台で、作品はかなり遠くからでも目に入ります。また、道路挟んだ向かいの前田公園には漫画家石の森章太郎のヒット作「仮面ライダー」のオブジェが設置されています。対照的な作品を見比べるのも一興のようです。この地区で彼は生まれ育ち、石森小学校を卒業したようです。
布と丸太(パイプ)の一連の作品で水平幕を張るのは初めての試みです。結果として、波のようなものの表現に繋がったようです。
作品部分
作品は光の具合によってその様相を変えるようです。逆光などで半透明の綿布を透過してくる光によって、遠近感なども大分変わるようです。
作品タイトルの「Necke Cuber」はアルバート・ネッカーからとりました。彼は視点の移動によって遠近が逆転する多義図形の立方体の発見者として有名です。
朝方の全景
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