斜面設計屋の独り言 Ver.2

土木設計をしていますが、ほとんどが斜面対策設計です。
地すべり、崩壊、災害、落石、岩盤崩壊等々・・・
仕事をしていて思ったのですが、実務の参考になる書籍やサイトが無い!
ですので、私が体験談を書いてみることにしました。
私が書く事が正しいとは限りませんので、皆さんの自己判断で参考にしてみてください。
現在は「アライズ設計事務所」という個人の設計事務所をやっておりますので、疑問点等がありましたら、遠慮無く相談ください。


<リンク>
斜面設計屋の独り言ブログ
斜面設計屋の独り言(旧)

現在ブログがメインですので、そちらの方から問い合わせを頂いた方が対応が早いと思います。

ポケット式落石防止網工について


指針の
変更点
■変更前(「道路土工 のり面工・斜面安定工指針」平成11年3月,P326)
 可能吸収エネルギーは、以下の合計で算出する。
 @金網の吸収エネルギー
 Aワイヤーロープの吸収エネルギー
 B支柱の吸収エネルギー
 C吊りロープの吸収エネルギー
 D落石の衝突前後におけるエネルギー差

■変更後(「道路土工 切土工・斜面安定工指針」平成21年6月,P352)
 @金網の吸収エネルギー
 Aワイヤーロープの吸収エネルギー
 B支柱の吸収エネルギー
 C吊りロープの吸収エネルギー
 Dの項目が削除された

実は、発刊当初(初版)はDの項目は残っていましたが、2009/9/17に正誤表が公開されて訂正されています。そんなことから余計に混乱を招いたようです。現在販売されているものについては、既に修正されています。

「落石対策便覧」平成12年6月,社団法人日本道路協会,P133、については、2015年1月現在も改定されていないため、「変更前」の計算方法である。
経 緯
「道路土工 切土工・斜面安定工指針」平成21年6月,公益社団法人日本道路協会,P352
の計算内容が変更となり、計算上の可能吸収エネルギーが変更となりました。
     ↓
しかしながら、過渡期ということもありこの計算手法を行っている事務所が少なく、たまたま会計検査で指摘され、全国的に実態調査が行われる事態に発展しました。
     ↓
日本道路協会に直接問い合わせを行った結果、記載事項に変更は無く、やはり可能吸収エネルギーが大幅に削減される方針となりました。
     ↓
その結果、既往設計のものや既設のポケット式落石防止網工は、ほとんどのものが計算上NGとなる事態が発生しました。
     ↓
既に工事が発注されている分については緊急の修正設計が行われ、道路土工の計算式に対応する構造に変更となりました。
     ↓
しばらくして、日本道路協会から上記の内容について、公式見解が発表されました。
平成25年12月:公益社団法人日本道路協会
・従来の「落石衝突前後のエネルギー差:EL」は、考慮しても構わない。
・ELを考慮する場合は、150kJを上限とする。
・また、EL計算時の網の質量有効範囲は、幅12m×高さ12m以下とする。
     ↓
日本道路協会の公式見解を踏まえて、国土交通省からも事務連絡が発表される。
平成26年3月:国土交通省 道路部
・従来の「落石衝突前後のエネルギー差:EL」は、考慮しても構わない。
・ELを考慮する場合は、150kJを上限とする。
・また、EL計算時の網の質量有効範囲は、幅15m×高さ10m以下とする。

高エネルギー吸収機構を備える構造物は適用外です。あくまでも、「従来型のポケット式落石防止網工のみ」への適用です。
日本道路協会と国土交通省では、EL計算時の網の質量有効範囲が異なります。
検討時は、発注者と確認の上作業することが望ましいです。
国土交通省の事務連絡については、公式では出回っておりません。詳細を確認したい場合は、発注者に確認が必要です。
リンク先
公益社団法人日本道路協会の公式見解
「ポケット式落石防護網の設計の考え方について」
今後の対応
経緯に記載しているように、以下の2種類の対応があります。

■Case.1:公益社団法人日本道路協会に準拠
 従来の「落石衝突前後のエネルギー差:EL」は、考慮しても構わない。
 ELを考慮する場合は、吸収エネルギーの総和は150kJを上限とする。
 また、EL計算時の網の質量有効範囲は、幅12m×高さ12m以下とする。

■Case.2:国土交通省事務連絡に準拠
 従来の「落石衝突前後のエネルギー差:EL」は、考慮しても構わない。
 ELを考慮する場合は、吸収エネルギーの総和は150kJを上限とする。
 また、EL計算時の網の質量有効範囲は、幅15m×高さ10m以下とする。

どちらに対応するか迷ったときは、「Case.1:公益社団法人日本道路協会に準拠」を選択しておいた方が、資料を入手しやすいため安心だと思います。
計 算
ファイル
上記制限事項を考慮した計算ファイルを作成しました。
必要な方は、<ここ>を確認してみてください。