ホッキョクグマ

地球温暖化

ursidae

地球温暖化の波は地球的な環境に悪影響を与えているのみならずホッキョクグマにも(体重の減少、繁殖率の低下、個体数の減少など)様々な悪影響を及ぼしている。 専門家らは、これらの現象は温暖化によって氷が張る期間が短くなったことが関連していると指摘している。

では、なぜ氷が張らなければホッキョクグマに様々な悪影響が生じるのであろうか。 通常の狩りはアザラシが息継ぎや休憩のために浮上してくる氷の上にできた穴の前で待ち伏せるか、氷上にいるアザラシに忍び寄ってこれを仕留める方法なので、狩りの足場となる氷がなければホッキョクグマは食料の大部分を占めるアザラシを仕留める事が出来ないのである。

つまり、海のクマと呼ばれ泳ぎが非常に達者なホッキョクグマといえども、さすがに水中で驚くほどの敏捷性と速度を発揮するアザラシを捕獲することが極めて困難になるのである。 その結果、十分な食料を得られないホッキョクグマの健康状態が悪化するなど種々の問題が生じることになるのである。

アザラシ以外の獲物

氷が張らなければ、ホッキョクグマは主食であるアザラシを狩る事が非常に困難になる。 しかしホッキョクグマの食料源は多岐にわたる。 時にはPacific Walrus及びAtlantic Walrus(pdf)、NarwhalBeluga Whale(pdf)などの海洋生物、海鳥やその卵、そしてReindeerなどの陸上の草食獣もクマたちの食料源になる。 因みに、Walkerによると短距離ならホッキョクグマはReindeerより速く走れる。

主食であるアザラシ以外の獲物の中で一般によくいわれるのがセイウチを狩る事の難しさである。 幾つかの専門家の観察によればホッキョクグマのセイウチ狩りの成功率は相当低い。

常識的に考えて、水中でクマがセイウチに勝てるような要素はない。 また、セイウチは強力な攻撃手段として鋭い牙をも備えている。 加えて、陸上にいるセイウチとて雄の成獣なら平均的な雄ホッキョクグマの数倍もの体重があり、その体は非常に頑丈だといわれる。

まして、(セイウチは常に海の近くにいるので)海に逃げ込むまでの短い時間絶大な防御力を誇る大人のセイウチを殺すのはあらゆる陸上肉食獣にとっても相当困難だろう。

なぜなら、首を一噛みすれば短時間で殺し得るシカなどのような防御力が低い小型の動物なら別だろうが、(一)頑丈な外皮分厚い脂肪層を有するセイウチに対しては、トラやライオンなどの数cmの牙が(獲物を短時間で殺すことにおいて)それほど効果的に機能し得るとは考え難い。

また、(二)それゆえに、必然的にライオンなどはスイギュウなどの他の大型の動物に対して用いるような窒息戦術をとるしかないと考えられる。 しかし、これとて水中で長時間活動可能なセイウチに対してはほとんど意味をなさないと考えられる。

なぜならば、平均で400-500kgはあるといわれる肉食熊ですらセイウチが海に逃げ込むのを阻止するのが困難なのであり、クマの半分あるかないかのトラやライオンが窒息に必要な長時間もの間セイウチを陸地に引きとどめておくのは常識的に見て考え難いからである。

また、喉元に食らいつこうにも、雄と雌の両性においてセイウチには丁度その部分をカバーするかのように牙が伸びている。 この事からも喉元に食らいつく事すら容易ではないと考え得る。

結局(一)と(二)の理由から、完全な陸上肉食獣でホッキョクグマと同一の条件において大人のセイウチを簡単に殺し得るものはいないと常識的に推測可能なのである。

セイウチをパニックに陥らせて自滅させる戦術をホッキョクグマが用いる時もあるが、これとて生息域に多数のセイウチが存在していなければ不可能な話である。 結局、アザラシ以外の動物がホッキョクグマの新たな主要な食料源になり得ることを示唆する資料は見当たらない。

ホッキョクグマとセイウチの攻防

セイウチを狩ることの困難さ及びセイウチの防御力を如実に示す複数のドキュメンタリーが2007年の同日の一時間違いで国内外を代表するメディアによって続けて放映された。 両番組ともに、季節は夏期で、撮影場所も同じくカナダのマニング島である。 ここでは約3000頭のセイウチが集まる。 このセイウチを狙ってホッキョクグマもまた集まって来る。 以下にその概要を記す(放送時間順)。

(どうぶつ奇想天外)セイウチを押さえ込んで馬乗りになった(スカーフェイスという名の)クマが一方的にセイウチを攻撃していた。 セイウチの体からは凄まじい血飛沫が飛んでいた。 なすすべも無く一方的に攻撃を受け続ける状態であったが、それでも恐らく成獣のセイウチ(全長が雄熊の1.2倍ほどあったと推測される)は殺されるまでに実に40分間以上もの間、クマの攻撃に耐え続けることが出来た。

やがて他のクマらも続々と島に集まって来た。 クマらの狩りは長時間続いた。 翌朝には、まともに動けないほどの重傷を頭に負ったために群れからとり残されたセイウチ(恐らく成獣)も発見された。 また、狩りに成功したクマらは各々満腹状態のようであった。

ただ、狩るのが困難な大人のセイウチをクマが狙うことはめったにないと解説されていた。 事実、経験の浅い若いクマはセイウチを狩ることに挑戦すら出来ずに結局行方不明になった。

(プラネットアース)数日間泳ぎ続けてマニング島に辿り着いた雄熊は翌日、セイウチ狩りを開始した。 しかし、大人のセイウチの体重は一トン以上。 その上、鋭い牙まで備えている。 既述例(一方的に攻撃し続けても殺すのに40分以上要した)でもわかるように、簡単に獲物にできるような相手ではない。

しかしながら、子供のセイウチは別である。 結局クマはセイウチの子を捕えることに成功する。 だが、単にセイウチを侮っていたのか、あるいは捕えた子セイウチを仕留めることに集中し過ぎていたのか、この時、クマは背後への注意を怠ってしまう。

無防備な相手を攻撃することは容易い。 背中を向けたまま子セイウチに覆い被さっているクマに、大人のセイウチの体重が乗った鋭い牙が突きたてられた。 背後からまともに足を突き刺されたクマは、翌朝になっても、歩けないほどのダメージを負うことになった。

温暖化の影響

地球温暖化による環境劣化の影響(専門家の推測)なのか、今までほとんど確認されることのなかった事例が幾つも報告されている。 (この資料等)によれば、雄のホッキョクグマが雌の成獣のホッキョクグマなどを襲撃して捕食し始めているのだ。 短期間で2頭もの母熊(6才と15才の成獣)や子熊が雄熊に引き裂かれた(3頭とも頭蓋骨を牙で貫かれて素早く殺されている)。 参照(alaska.usgs.gov)。

(概要)2004年1月雌熊の死骸が発見された。 捕食のために雄熊が雌熊(2頭の子熊の母親)を襲って殺し、これを74mも引きずっていったのだ。 殺された雌熊の頭と首には複数の噛み跡が残されていた。 頭骨を調べると雌熊の頭骨は雄熊の牙で貫かれており(牙が貫通した側の)脳には大きな血腫ができていた。 専門家は雌熊は雄熊に素早く殺されたと考えている。

2004年4月には第二の捕殺例が確認された。 部分的に食われた雌熊の死骸を科学者らが発見したのである。 その雄熊は雌熊の子供を追っていなかった。 これは、雄熊の目的が交尾でなく成獣の雌熊の捕食それ自体であった事を示していた。 また、この雌熊も頭蓋骨を雄熊の牙で貫かれており、簡単に殺されたと考えられている。

数日後、今度は追跡されて捕食された1-2才の熊がカナダのリサーチャーによって発見された。 記事によると、数ヵ月の間にクマが他のクマを追跡し捕食する事例が三例も確認されるのは異例の事だという。

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地球温暖化

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人間対猛獣

参照資料集

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