006 パーキンソン病と診断されたら・制度の活用           2006.08.10 掲載                       
0000 はじめに   001 「障害」とは何か  002 障害認定基準と診断書
 003 診断書の頼み方   004 診断書の頼み方   005 申立書のポイント
 006 制度を活用しよう  007 いつ請求するの?  008 決定に不服のとき


わかりやすく説明するために、正確な法令・医学用語を使っていません。また、ここでは、特にパーキンソン病の方を対象にしています、障害年金の一般的な説明は厚生労働省や社会保険庁のサイトなどをご覧ください。

第6回 パーキンソン病と診断されたら〜色々な制度を活用しましょう〜(その1)

Q:今回はパーキンソン病と診断された後、色々な制度の手続きについて、説明してくださるそうですが、どのような内容なのでしょうか。

A:はい、今までは障害年金の手続き自体についてお話してきましたが、今回は色々な手続きを障害年金と関連付けて、3回にわたって説明します。Appleの方は、私より詳しいと思うので、途中で留意点を入れてくださいね。

なお、これらの手続きの中で社会保険労務士が携わることができるのは、労働条件、健康保険や年金に関連することです。それ以外は、おおよそのことしかお話できないので、必ず各市町村の関係部署、例えば保健所や障害福祉課などに必ず確認するようにしてください。

1.特定疾患〜医療費の助成を受ける〜
大体の方は、手の振えや歩きにくさを自覚し、病院で診察を受けます。いくつも病院を回ることもありますが、ある程度症状が重くなってから診断がついた場合は、まず、特定疾患の手続をします。私に依頼された方で、診断がついたときには、特定疾患・身体障害者手帳・障害年金の手続を全て一度にしなければならない程になっていた方も少なくありません。

ちなみに、特定疾患とは、難病のうち、全国的規模での研究が必要な疾患で、パーキンソン病も含まれています。詳細は難病情報センターのサイトをご覧下さい。東京都では「東京都難病等医療費助成制度」と呼んでいます。

特定疾患治療研究事業は、実質的にはこの疾患の患者の医療費の助成制度です。自己負担分の一部を国と都道府県が負担するもので、都道府県に申請します。(「医療費公費負担受給の申請」と、いいます。)窓口は最寄りの保健所や市役所で、「臨床調査個人票」という医師の診断書や他の必要書類を提出します。決定されると、「特定疾患医療受給者証」(東京都では医療券という)が交付されます。

こういう手続を行う際には、必ず事前に必要事項を電話でよく確認するようにしましょう。二度手間になることを防ぐためです。

この頃から、病状の進行を記録したり、医療関連の書類を保管したりすることをお勧めします。もちろん特定疾患の申請時に提出する臨床調査個人票等の書類一式のコピーを残すようにします。症状がさらに進行した場合に、身体障害者手帳の申請・障害年金の請求等、経過を確認する手続きのとき役にたちます。

Q:特定疾患に関して、これはヤール3度以上・生活機能障害度2度以上でないと受けられないので、診断直後だと診断書を書いてもらえないこともあるかもいれません。医療費の助成は身体障害者手帳1,2級の障害者医療でも受けられますが、福祉サービスの中には特定疾患の難病認定が条件のものもあります。(市町村の機能訓練事業、医療保険の訪問看護事業など)
 
A:Appleの福祉のページ参考ページもご覧下さいね。


2.医療費控除〜税金〜
特定疾患の決定を受けると医療費控除の申告は不要になるかもしれませんが、ご家族の分も足して10万円を超えれば可能なので、検討してみてください。これは過去5年分遡れます。

Q:税金の優遇は障害者手帳を持っていると障害者控除が受けられますね。2級以上だと特別障害者、同居していると同居特別障害者になったと思います。

A:退職金についても税務上優遇されますが、それはこのシリーズの「その3」で取り上げます。


3.社会保険労務士の活用〜労働条件・公的保険全般の知識の獲得〜
将来の生計について不安になると思いますが、パーキンソン病の進行はその方によって随分違うようなので、色々な制度についての流れを頭に入れて、その状態になったときに手続きできるよう心積もりすると良いのではないでしょうか。

労働条件・公的保険全般について詳しいのは社会保険労務士ですが、全部を訊くと、相談料が高くなるので、事前に一般的な知識を得てから、自分のことでわからないことを訊くようにします。

一般的な知識は、サイトや無料相談で入手します。例えば労働基準監督署、公共職業安定所(ハローワーク)、社会保険事務所のサイトを見ましょう。

そのうえで、わからないことがある場合は、社会保険労務士に確認することをお薦めします。各都道府県には社会保険労務士会が主催する社会労務相談室があり、そういうところで障害に詳しい社会保険労務士を紹介してもらっても良いでしょう。
都道府県別社会保険労務士会一覧 (トップページの左側メニューから「社会保険労務士会と全国社会保険労務士会連合会」をクリックする

特に、不明なことがある場合は、最初にサイト等で獲得した知識が本当に自分にあてはまるか社会保険労務士に相談してから、個別に社会保険事務所等の関係官庁に行かれたほうが良いと思います。社会保険労務士には守秘義務があります。

ただし、専門家といえどもそれぞれ得意分野があります。これは社会保険労務士に限らず税理士や司法書士にもいえることです。例えば税理士全員が相続について、社会保険労務士全員が障害年金について精通しているわけではありません。率直に得意分野を確認してから、相談や依頼することをお薦めします。得意分野を確認して怒りだすような専門家は、まず間違いなく不得意分野のある方です。

もう一つ注意事項があります。「無料」相談等で得た知識は「絶対」ではありません。限られた時間や情報の中で、専門家は助言しているに過ぎません。その助言をもとに最終的に決断するのではなく、必ず関係官庁で自分のケースを確認してから最終的に決断するようにしてください。

パーキンソン病の方ではありませんが、無料相談会で、障害年金はもらえないと言われ医療関連の書類を全て廃棄してしまった後で、障害年金を請求できるとわかった方がいます。医療関連の書類はA4サイズの封筒で2つぐらいだったそうですが、その方は全盲になったため書類をとっておいても仕方がないと思ったそうです。「無料」相談だと、裁判で専門家の責任を明らかにしようとしても、責任なしとされるようです。

Q:とてもいいアドヴァイスですね。本当は社労士の専門領域にとらわれない『就労・福祉・生活コンサルタント』のような存在があったらいいのにと思いました。

A:本当にそうですね。私もそうありたいと思いつつ、正直なところ、社会保険労務士が扱える法律の改定をフォローしていくので精一杯です。社会保障制度は色々な法律に基づくもので、最近は頻繁に改定されています。でも、この「障害年金Q&A」の活動を通じて、少しでもお役に立てるようお話していきたいと思います。
備考
a特定疾患認定について

 パーキンソン病で特定疾患を受けられるのは現在(2006.08.10)のところ
  • ヤール3度 軽〜中等度パーキンソニズム、姿勢反射障害あり、日常生活に介助不要。
  • 生活機能障害度2度… 日常生活・通院に部分的介助を要する
 重要
  • 現時点(2006.08.09)で、認定患者を重症度によって絞リ込む方針が出された。
    近いうちに厳しくなった条件が決まるだろう。
  • 重症患者を認定に残すと大多数のヤール3度の患者は苦境に陥るだろう。身障者手帳1,2級を持っていない場合、身障者医療での助成も受けられない。  
  •  臨床調査個人票(新規)
  •  同上(更新)


◆ 特定疾患における重症認定について

  • 身体障害者手帳1,2級か障害年金1級を受けていて、都道府県の審査委員会が日常生活に著しい支障があると認めたものは重症認定され自己負担はなくなる。
  • 東京都の場合、臨床調査個人票の記載が「全面介助」だと重症認定されると私の主治医は言っていました。
佐々木久美子社会保険労務士 / ファイル作成 Almond



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