2004.07.10作成

013 失語症と構音障害
by ゆうこ


【思いが伝わらない!】
失語症になったOさん
 コミュニケーションとは自分の思いや考えを言葉によって伝え合うことと辞書にでている。
ある日突然その手段である言葉を失ったら、その辛さは測り知れないものがあるだろう。
パーキンソン病が進行してくると声が小さくなる構音障害が出てくる。しかし思いや感情を伝えることは出来る。
 印刷会社を経営していたOさんは、仕事中突然倒れ病院に運ばれた。本人が気がついた時は失語症を伴った右半身麻痺状態となっていた。(60歳過ぎ)ホームに来た時車椅子であったが顔色は良く元気そうであった。Oさんは自分の思いを伝えようと顔を真っ赤にしながら話をしていた。しかし、Oさんの発する声は言葉にならず、誰1人として理解できなかった。Oさんの顔に分って貰えない苛立ちが現れていた。病院を退院して家に帰ったけれど自分の思いが伝わらないことに苛立ち、その苛立ちを奥さんにぶつけることが多くなり、心身ともに疲れた奥さんがホームへの入所を希望したと、入所理由に書かれていた。

Oさんの失語症は構音障害、と思われた。失語症には大まかに分けて運動性と感覚性がある。(その他専門的にはもっと細かい種類がある)構音障害は運動性失語になる。
これは言語リハビリをすれば、もっとも治療効果が期待できる可能性があると言われていた。しかし当時専門の言語療法士は数える程しかいなかった。(リハビリテーション専門学校では主に理学療法士、作業療法士を養成し国家資格制度があったが、言語療法士は資格制度もなかった)
 Oさんの担当になった職員は、ひらがなの50音表を作ってOさんとコミュニケーションを取ろうとした。しかしそれを見て理解する機能も失われていたのである。いろいろ試してわかったのは、こちらの言うことは理解出来る。ひらがなは分らないけれど、印刷会社をしていた影響か漢字なら理解することが出来るということだった。ひらがなは50字だけれど、漢字は膨大な数字になる。当用漢字だけでも2000字近くある。それを総て書いてOさんに指し示して貰うことは無理である。彼が伝えることの出来る思いはイエスかノーだけであった。最初は何とか思いを伝えようと顔を真っ赤にして必死に声を出していたが、それも出来ないと分ったOさんは自分の殻に閉じこもることが多くなっていった。ホールで1人夜遅くまでテレビを見ているOさんの後姿を見ると切ない思いになる。どうにもならない悔しさ、怒り、諦念がないまぜになったような表情がOさんの顔に表れているのをみる度、忸怩たる思いになるのであった。身体が不自由になったうえにコミュニケーションの手段である言葉まで失ったOさん。自分の思いを伝えることが出来ないということは、どれほど孤独で辛いものか。その心情は・・・。私に出来ることは笑顔で接することそれが精一杯であった。

◆コミュニケーション
1、言語的 
2、準言語的(抑揚、声の調子、アクセント、イントネーション)
3.非言語的(表情、姿勢、ジェスチャー、スキンシップ)


失語症・・・・・一旦形成された言語機能が、大脳の病変により障害され、言語の理解や表出が出来にくくなった状態。       
言語障害・・・失語症と構音障害がある。
失語症・・・・・会話の内容に障害がある。
構音障害・・・会話の内容は正確。舌や口唇の運動麻痺により、ろれつが回らない状態。

(失語症の種類)

発音 書字 聴いて理解 読む
運動性失語 × ×
感覚性失語 × ×
全失語 × × × ×




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