2004.04.15 update

010 我が入院の記
by ゆうこ
(この原稿は入院中のゆうこさんが送ってくれたものです。)

感ずるままに― 一言の持つ力


薬あわせが目的で入院してから1ヶ月近くたった。
私のいる南7Fは内科(慢性的な病―腎臓病・糖尿病)、形成外科、歯科(口腔外科)、神経内科の混合病棟である。入院患者は約45名(PD患者は約15名)、年齢層は20代から80代にまたがっている。
PD患者は65歳以上とおぼしき人が8割、一番若いと思われる人は、車椅子に乗らずに廊下を突進歩行している男性、40歳前後。私が入院してから2度転び、顔(唇)が腫上がっていた。
次が50歳前後の男性、毎日廊下の手すりで体操や屈伸運動をしている。私も見習ってやっていたが、三日坊主に終わってしまった。自分の意志の弱さを改めて感じる。
次に若いのが私である。といっても平均年齢20〜25歳前後の口腔外科の人から見ると、りっぱなオバサンである。

朝は9時からリハビリに行く。
PT(理学療法士)さんに、あちこちの筋を伸ばしてもらってから、自転車漕ぎを5〜10分間して終了となる。
710号室は7F、リハビリ室は地階にある。帰りはエレベーターを使わず、階段を使って部屋に帰るようにしている。売店に行くときなども、なるべく階段を使うように心がけている。
少し意識していれば日常生活そのものがリハビリになっていると思う。
事故などで骨折した場合(その他いろいろあると思うが、)PTさんの専門的な理論に裏づけされたリハビリを受けることは大切だし必要だと思うが、パーキンソン病はそれらと少し事情が違う。
薬が効いているときと、切れたときの差の激しいため(私の場合特に)PTさんも戸惑うことがよくある。
いまさら言うまでもないと思うが、効いているときに少し意識して無理のない範囲で体を動かすことが大切であると思う。※パーキンソン病患者のリハビリ

南7Fの看護士さんは約20名、平均年齢は25〜30歳前後、相対的に若い人が多い。(年齢は私の勝手な推察なので、かなりずれているかもしれない。)
私の担当は明るく気さくで、冗談も通じる。
出勤してくると必ず「Oさん、困ったら遠慮しないでNSコールしてくださいね。忙しそうだからなんて思わなくていいですから」と声をかけてくれる。この一声はありがたい。
トイレに関していえば、最初のうちはギリギリまで我慢して、どうにも我慢できなくなってからNSコールを押していた。しかし直ぐ来てくれるとは限らない。手が離せないのだろうと思う。
しかし待つ身は辛い。そんなとき「急ぎますか?」とか「もう少し待てますか?」と聞いてくれると、その一言で気持ちが和らいで、もう少し待てそうな気になる。(何も言わないでなかなか来ない人がいる。)だが今は早めにNSコールするようにしている。

一番気になったのは、安全性に対する意識(配慮)が薄い(低い)ことである。
突進歩行する男性を見るたびにハラハラする。歩行器のようなものを使うとか、何か考えられないものかと思う。
同室のKさんは夜だけベッドサイドにポータブルトイレをおいている。
だが持つところない形式のものである。これでは危ないと思ったが、私も一患者の身、余計なことを言うのはばかられる。
19日の晩、ついにポータブルトイレごと転倒してしまった。床一面にこぼれた尿と尿でぬれたパジャマを着て泣きそうな顔をしているKさんを見たら、思わず強い口調で看護主任に「持つところのあるものに替えてあげたらどうですか。」と言ってしまった。これと似たようなことが至るところに見られる。
入浴も"勝手にどうぞ”という感じである。入るとき、私は念のためNSに声をかけて入る。
だが一度も「大丈夫ですか」と声がかかったことはない。なかなか出てこない時は、同室者の人が心配して見にきてくれる。
一度途中で薬が切れて難儀していた。なんとか自分で服を着ようとするが、震えてなかなかできない。とうとう諦めてNSコールを押した。
ふつうの元気な人が入っているのではない。パーキンソン病患者が入っているのである。なかなか出てこないと心配にならないのだろうか。
忙しいのは分かる。しかし「大丈夫ですか」と言うのに30秒もかからない。
この無関心さはなんだろうと思う。

私のいる部屋は7人部屋である。
最新式の電動ベッドが2台、あとの5台は昔ながらの手動式である。電動ベッドは口腔外科の若い二人が使っている。
朝は薬が切れて、起きるのに難儀な思いをする。1人が退院したとき、思い切って「ベッドを替えてください」とお願いした。
元気な人から見るとなんでもないようなことが、パーキンソン病患者にとっては苦労の種であることが多くある。
いろいろな看護士さんを見ていると、看護者(介護者)は観察力、想像力、目配り、気配り、工夫する力、臨機応変さなど、いろいろなことが要求されると改めて感じている。
それにしてもここ南7Fの職員は、総体的に一言のさりげない言葉かけ(スモールトーク)がやけに少ない。さりげない一言はバニラエッセンスのような効果がある。
一滴のエッセンスの果たす役割は大きい。 (2004.2.23)

※パーキンソン病患者のリハビリ
私のPTは、「動けないときは危ないからじっとしていて、動けるときに毎日適度に動きなさい。」と言っている。毎週機能訓練に通っているけど、その日の体の状態に合わせてPTが力やスピードを加減して私の身体を伸ばしたり動かしているのが分かります。決して無理なことはしません。
そして旅行に行ったり、友だちと外出するのを勧め、何よりのリハビリと言っています。(Almond)

<補足>

上記文中、突進歩行を繰り返し転倒して唇を腫らしている男性について、安全に対する配慮が足りないのではないかと書いた。そのことに関してY先生から、そうなるまでの経過説明がありました。以下それを記します。

「彼は今までに何回も入院し、その都度安全対策を考えて実行するように勧めた。しかし聞き入れず勝手な行動をとるため、安全について保障できないという理由から何度も強制退院をさせている。今回の入院は奥さんの”介護疲れ”を軽減するための入院であった」とのことです。

事情を知らずに書いたこと、軽率でした。今後こういうことがないよう慎重を期すつもりです。

(2004.04.10記)



ファイル作成Almond


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