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2009.07.23作成

パーキンソン病で起きる「視覚」の問題 2009.07.23 UP
     
 「眼」に問題があるのは、パーキンソン病患者にとって稀なことではない(※)。 眼に問題があるなら、パーキンソン病が原因かもしれないことを認識することが大切。そうすれば、必要ではない手術をしなくてすみ、最適な治療が受けられる

)ここにあるように、眼に問題を感じている患者は、(私自身を含めて)多いと思う。だが日本の医学記事ではPDと眼についての言及をあまり見かけないし、神経内科医もあまり語らない。眼科医と神経内科医が連携して、この問題に悩む患者に力を貸してほしいと思う。(訳者)
     
                           


症状―脳の変性が原因

 パーキンソン病の特徴的症状は「固縮」と「振るえ」だが、「眼」の問題も同じくらい生活の質を低下させることがある。
患者はたいてい前ほどしょっちゅうは瞬きをしなくなり、じっと見つめるようになる。
また、まぶたが意思に反して閉じてしまうことも頻繁になる。
眼球運動障害は検査にはっきりと現れるが、機能的にはいつも問題を引き起こすとは限らない。たとえば眼球が上の方向にはあまり動かないかもしれない。歳をとると上には動きにくくなりがちだが、殆どの人はそれで困ることはない。
物をじっと見つめること、それが動くにつれ視線を動かすのも難しくなるかもしれない。
両眼の動きが一致しなくて、ダブル・ヴィジョン(複視)を経験することがある。複視はある一定方向を見るときだけ顕在化する。最もふつうには本を読む距離で起き、輻輳不全{ふくそう ふぜん}と呼ばれる。(CI convergency insufficiency=収束不全)

複視がある患者で、「本を読むと眼がすぐ疲れる」とか、「単語が一緒に混ざってしまう」と訴える者もいる。こういう問題は、全て脳幹で起きる変性が原因である。この変性によって、重要な脳内化学伝達物質であるドーパミンのレベルが下がってしまうのだ。脳幹における退行性変化(変性変化)は、また他の問題の原因にもなる。

「視覚誘発電位(VEP)」と「網膜電図(ERG)」は特殊な検査で、眼の中と脳内の電気的活動を測定する。この検査でパーキンソン病患者が持っている様々の異常がはっきりする。「視力減退」、「色弱」、「物の位置・方位を認識できない」などの症状はこういう異常が引き起こしている。こういう視覚症状が全て脳内の変性が原因で起きるのか、網膜細胞の中のドーパミン・レベルが低くなって起きるのかは明らかではない。(網膜は眼の後壁の内側にあって、視神経を通してイメージを脳に伝達している。)

視覚の問題を全て治療できるわけではないが、その原因を認識して、不必要な外科的処置(白内障の手術のような)は行わないことが大切である。

 特に病気がもっと進行すると、幻視に苦しむ患者が多くなる。現実にはそこにいない人・動物.、”もの“が見えることがある。幻視はカラーのことも白黒のことも、動くことも動かないこともある。

幻視があると、フラストレーションの原因になり、なかには衰弱してしまう人もいる。

繰り返すが、視覚の問題は、パーキンソン病治療薬が原因のこともあるが、脳内の変性変化が問題を引き起こす可能性がある。

 瞬きしないと(読書のときは特に)、問題が起きやすい。眼の表面に潤いを保ち、角膜(眼の前表面)を覆う涙の膜をきれいにしておくには「瞬き」が必要なのだ。瞬きが足りないと、ドライスポットの間に水分が点在し、新たにワックスがけした車のように、涙が玉のように連なることになる。こうなると気持ちよく見ることができないし、見えにくくなってしまう。
 さらに、まぶたがワイパーのように動かないと、涙の膜の質が大きく落ちてしまう。涙の膜のなかに油性のごみが増えて、いわゆる“きたない“涙の膜をつくってしまう。これは涙の膜を不安定にし、そうでないよりは早く眼にドライスポットができやすくなる。

 歳とともに眼は乾燥し、こういう問題は眼の乾燥と共に起きるので、パーキンソン病患者は一般的に言って、本を読むのが難しくなり、鮮明に見えにくくなるといえる。
優秀な眼科医なら涙の量と質を測定することができる。
繰り返すが、症状の原因を認識し不必要な手術を避けることが大切だ。



治療
 ふつうの薬局で売られている防腐剤の入っていない人工涙液点眼薬は眼に潤いを与えるために使え、涙の膜の質を一時的によくする。しかしながら、突然まぶたが下がってしまう眼瞼閉鎖(下垂)が起きて、点眼薬をさすのはいつでも簡単というわけではない。
そして点眼薬の効果は15分間程度。防腐剤が入っていないものなら頻繁に点眼してもいい。こういう点眼薬は眼を刺激する化学物質を含まないので、日に23回以上使用できる。
一回分がおよそ30個、箱に入っている。処方はブランドによって違い、万人向けのブランドはない。涙は酸性度・粘着度・塩分含有量などがそれぞれ違うのだ。自分に一番あって効果的なものを見つけよう。洗眼剤でゴミを流しさり、眼に潤いを与えることができる。

 ダブル・ヴィジョン(複視)は、対処するのが難しいかもしれない。眼の筋肉のエクササイズはいつも有効ではない。
特殊レンズであるプリズムは、両眼で見えるものを一致させるためのもので、試してみる価値はある。プリズムはメガネレンズとして処方が可能だが、フレスネル・レンズと呼ばれる貼り付け型プリズムを一時的に使うことができる
  それが効果がないなら、複視を解消するための、絶対失敗しない確実な方法がひとつある。どちらかの眼を(塞いで)見えないようにすることである。この方法を見逃す手はない。いつも両眼を一緒に使わなければならないという法はないのだから。
 殆ど人目につかないで、片眼をふさぐ方法がある。半透明の材質のものなら、透明なマニキュアをメガネに直接塗るのだって効果的である。ときには、両方のレンズの釣り合いから、見えなくならない程度にもう片方のレンズの一部をふさがなくてはならない。
 
  ※)[
参考]  「プリズム眼鏡で複視が改善」した体験文


 幻視があるなら、主治医に報告すること。薬の服用量を調整することで問題が改善されることもある。幻視のせいで患者が衰弱するようなら、ほかのパーキンソン病の症状を悪化させずに幻視を抑えるような薬を処方してもらえる。クロザピンとクエチアピンの二つは比較的期待できる薬だが、殆どの薬と同じで、副作用が起きる可能性がある。例えばクロザピンは稀に骨髄が白血球をつくるのを妨げる原因となり、クエチアピンは目まいを起こさせるか、稀に低血圧が原因の失神を起こさせることがある。だから、主治医は患者をしっかり観察しなくてはならない。

 パーキンソン病にみられる眼と視覚の問題を根本的に解決するには、原因となるパーキンソン病を治療によって今よりよい状態にするか、病気を阻止することだろう。
今よりいい薬は開発されつつあるし、食餌療法も同じくらい効果がある。
オン・オフ症状のある患者は多く、PDの症状が現れたり消えたりする。
高たんぱく食だと、メネシットのようなLドーパ製剤の吸収が悪くなり、それが脳内に入るのを邪魔するので症状は改善されない。野菜中心の高繊維食は野菜・果物・全粒穀物、ナッツが多量に入っていて、平均的アメリカ人の食餌よりたんぱく質が少ない。高繊維食はオン・オフ症状を軽減するのに役立ち、便秘を軽くし心臓と骨を健康にする。

                                                                               
結論
                                
 パーキンソン病患者は眼に異常が出てくると、気力がなくなるが、押しつぶされてはいけない。諦めないこと。

 今、ヘルスケアで重要なのは、できないことは気にしないで、まだできることを最大限に生かそうとすることだ。

出典
 Lavine JB. Vision problems and Parkinson's disease. American Parkinson Disease Association, Inc. 1250 Hyland Blvd. Ste 4B, Staten Island, NY 10305. Educational Supplement #17, 2002.

http://www.healthandage.com/?q=archive/1972

Translated by あーもんど

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