2003.12.11 作成

医療関係へ

AR-JPに関するアンケート調査                                         

Contents
アンケートの内容
アンケートの結果
アンケートの考察
同胞発症の詳細について
※AR-JPとは「常染色体劣性遺伝性若年性パーキンソニズム」のことです。

AR-JPに関するアンケート調査

2003年3月にAR−JPの患者を募ってアンケートを実施した。
本人がAR−JPであろうと考えている患者を中心にアンケートへの協力を依頼した。多くのPD患者は遺伝子解析検査を受けておらず、同胞発症の有無や発症年齢、進行速度などから、おそらく自分はAR-JPだろうという推測のもとに、このアンケートに参加している。
また、中には、遺伝子解析によりAP-JPの可能性が否定された患者も含まれていることがアンケートを集計した結果判明した。20名という少数のサンプルで行われたうえに、上のような事情でAR-JPの患者だけが選ばれているわけではないので、アンケートの持つ価値については疑問なしとしない。
しかし、結果は、やはり、一般的にAR-JPについて知られている特徴を裏付けているようである。
以下に、アンケートの結果の整理と多少の分析を行ってみた。


《アンケートの内容》

AR-JPについてのアンケート

お名前                                                     
ご住所         都道府県      市町村      丁目    番      号   
電話番号                                                     

1 現在年齢は?
発病年齢は?
___歳
___歳
****        
2 親族にPD患者はいますか? (例 YES 祖父) いる       いない
3 兄弟姉妹にPD患者はいますか?
いる場合、兄弟姉妹の現在年齢は?
兄弟姉妹の発病年齢は?
いる
___歳
___歳
        いない

4 両親はいとこ婚ですか? いとこ婚である         違う
5 遺伝子検査をしたことがありますか?
その結果は?
ある
AR-JPである
        ない
 違った
6 初発症状はなんでしたか? 振戦 歩行障害  その他
7 投薬開始時L・ドーパの効果はどうでしたか? よく効いた まあまあ  効かない
8 睡眠による症状の改善はありますか? ある(あった)         ない
9 喫煙による症状の改善はありますか? ある ない  試してない
10 ウェアリング・オフ※1はありますか?
それは早い時期から現れましたか?
ある
YES
        ない
 NO
11 症状の日内変動はありますか? ある         ない
12 不随意運動は強い方ですか?
それは早い時期から現れましたか?
強い
YES
普通   
      
 弱い
 NO
13 ジストニア(筋緊張異常)はありますか?
足(指)の変形はありますか?
ある
ある
        ない
 ない
14 後方突進(姿勢保持障害)はありますか? ある         ない
15 すくみ足(Freezing)はありますか? ある         ない
16 物忘れが多いと思いますか? 多い         普通
17 精神症状(うつ症状、幻覚、幻聴)はありますか? ある         ない
18 不安や情緒不安定になりやすいですか? なりやすい         ならない
19 汗を多量にかきますか? かく         普通
20 (女性)生理開始前後の症状悪化はありますか? ある         ない
21 進行はゆっくりですか? ゆっくり         速い
22 症状の左右差はありますか? ある         ない
23 現在ヤールの何度ですか? 1     2   3 4     5
24 L・ドーパの内服1日量      100mgを ___錠                

※1ウェアリング・オフとは薬効がひいていくのが分かること
※2ヤールの重症度

0度 パーキンソニズムなし
1度 一側性パーキンソニズム
2度 両側性パーキンソニズム。姿勢反射障害なし。
3度 軽〜中等度パーキンソニズム。姿勢反射障害あり。日常生活に介助不要。
4度 高度障害を示すが、歩行は介助なしにどうにか可能。
5度 介助なしにはベッド車椅子生活。



《アンケートの結果》

○ 回答総数20人(内 男性6人、女性14人)

1.現在年齢
年齢 20〜29 30〜39 40〜49 50〜59 60〜69
人数     3     1     8     7     1
(平均44.2歳)

発病年齢
年齢 0〜9 10〜19 20〜29 30〜39
人数   1     7     9     3

病歴
 年  0〜9 10〜19 20〜29 30〜39 40〜49
人数     2     6     9     1     2
(平均22.7年)

2.兄弟以外の親族にPD患者はいますか?
 い る   4 人 **** *  いない   15 人
     
3.兄弟姉妹にPD患者はいますか?
 い る   12人  ***   いない   8 人
       
  いる場合その兄弟の発症年齢は?
年齢  0〜9 10〜19 20〜29 30〜39 40〜49
人数     1     2     6     1     2

  《参考》兄弟姉妹間で発症している場合における同胞間の発症年齢対比
  (7-7, 11-13, 12-15, 14-36, 15.6-27.8, 17-22, 24-25, 24-25, 25-25, 25-25,33-48, 39-46 )

4.両親はいとこ婚ですか?
 は い   5人 (内1人はまたいとこ婚) ***   いいえ   13人 
     
5.遺伝子検査をしたことがありますか?
 あ る   9人  ***   な い   10人  ***   無回答   1人 
     
  検査を受けた人についてその結果は?
AR-JPである  5人  ***   違った   2人  *** 不 明  2人 
    
6.初発症状は何でしたか(重複回答あり)?
 振 戦   7人  ***   歩行障害   17人 
     
7.投薬開始時にLドーパの効果はどうでしたか?
 よく効いた   16人  ***   まあまあ   1人  ***   効かない   3人 
     
8.睡眠による症状の改善はありますか?
 あ る   15人  ***   な い   2人  ***   よく分からない   3人 
     
9.喫煙による症状の改善はありますか?
あ る  1人  **  な い  4人  *** 試してない  13人  *** 無回答  2人 
     
10.ウェアリング・オフはありますか?
 あ る   16人  ***   な い   4人 
     
   それは早い時期からありましたか?
 あった   11人  ***   なかった   5人 
     
11.症状の日内変動はありますか?
 あ る   19人  ***   な い   1人 
      

12.不随意運動は強いほうですか?
 強 い   11人  ****  普 通   4人  ****  弱 い   5人 
      
   早い時期からありましたか?
あった  9人  **** 徐々に  1人  *** 遅かった  9人  *** 無回答  1人 
      
13.ジストニア(筋緊張異常)はありますか?
 あ る   14人  ****  な い   4人  **** 無回答  2人 
        
   足指の変形はありますか?
 あ る   12人  ****   な い   6人  ****   無回答   2人 
      
14.後方突進(姿勢保持障害)はありますか?
 あ る   16人  ****  な い   4人 
      
15.すくみ足はありますか?
 あ る   19人  ****  な い   1人 

16.物忘れが多いと思いますか?
 多 い   8人  ****  普 通   10人  ****  無回答   2人 

17.精神症状(うつ症状、幻覚、幻聴)はありますか?
 あ る   11人  ****  な い   9人 
      
18.不安や情緒不安定になりやすいですか?
なりやすい  16人  **** ならない  4人 
     
19.汗を大量にかきますか?
 か く   13人  ****  普 通   7人 

20.生理開始前後の症状の変化はありますか?
 あ る   10人  ****  な い   4人 

21.進行速度はどうですか?
 ゆっくり   17人  ****  速 い   3人 

22.症状の左右差はありますか?
 あ る   13人  ****  な い   5人  ****  無回答   2人 
     
23.現在ヤール何度ですか?
ヤール度   1     2    2〜3*   3*+  3〜4*   4**
 人数   1   0   1     7   2     6  
                    無回答(3人)

24.Lドーパの一日の内服量(100rの錠剤で)は?
錠 数   0     1     2     3     4     5     6     6.5     7  
人 数   1   1   4   4   3   1   3   1   2



《考察》

1.アンケート回答者の発病年齢を見ると20歳代が最も多いのはうなずけるが、10歳代での発病者が7人もいることは意外な感じがする。中には、10歳未満の発病者もおり、AR−JPの病気としての厳しさが感じられる。

2.同胞発症の場合についてみると、同胞発症例が12と半数を超えているのは当然のことながら、同胞の発症年齢が40歳代とするものが2例あることは興味がひかれる。また同胞発症例で発症年齢が20歳代としているケースで遺伝子解析を行ったところAR−JPの可能性を否定されたものがあり、AR−JP以外の遺伝性パーキンソン病であることも考えられ、興味深い。

3.回答者20人中両親がいとこ婚(または、またいとこ婚)とするものが5例あることは予想されたことではあるが、やはり印象深い。

4.初発症状については振戦と歩行障害を同時に経験したとするものが2例あったが、歩行障害が振戦に先行したとするものが著しく多いことが意外だった。

5.睡眠による症状の改善、Lドーパの著効、ウェアリングオフ、不随意運動の好発などは予想したとおり、大半の患者が経験している。

6.女性患者の間ではよく語られることだが、生理開始前にはPDの症状が悪化し抗PD薬の効果も低下する。今回のアンケート調査はそうした女性患者の実感を裏付けている。

7.進行速度については、本人の主観的判断による評価であり、17名が「ゆっくり」としたが、中には「速い」と答えた人が3人いた。その3名について個別に見ると、病歴41年でヤール4、病歴18年でヤール4、病歴8年でヤール度不明(Lド-パ4錠服用)という内容だった。

8.現在のヤール度については、多数が3度から4度であり、おそらく、すくみ足や姿勢反射障害が好発してヤール3度と評価されるものの、その後は5度に至ることなく比較的に安定した状態で推移しているのではないかと推察される。



《同胞発症例の詳細について》

回答者20人の中に、同胞発症で兄弟姉妹2名共にアンケートに参加したケースが3組あった。
これら3組について、同胞発症の場合に、同胞間で症状がどの程度類似しているかしらべてみた。

「ケース1」
49歳女性と53歳女性の姉妹の場合
発病年齢はともに20歳代、概ね症状も同じであるが、姿勢保持障害と生理前の症状の悪化については一方のみがあるとしている。

「ケース2」
44歳男性と41歳女性の兄妹の場合
この兄妹は共に20歳代で発病しているが、遺伝子解析検査の結果、AR−JPの可能性が否定されている。概ね類似の症状であるが、睡眠による症状の改善、ジストニア、異常発汗については一方のみがあるとしている。また、兄がLドーパを日量6錠服用しているのに対して、妹はわずか2錠しか服用していないのが対照的だ。なおヤール度については兄が4、妹は3と回答している。主治医の処方方針が異なるのか、それとも症状の進行にかなりの差があるのだろうか。症状、内服薬の詳細については問い合わせていないので分からない。

「ケース3」
22歳女性と20歳男性の姉弟の場合
このケースはともに10歳代で発病し、遺伝子解析検査でAR−JPであることが確認されている。症状はほぼ類似しており、異常発汗の有無については一方のみがあると答えている。また進行速度については、一方が「速い」と答えているが,Lドーパの内服量は共に日量4錠である。ヤール度については回答されていない。なお《アンケートの結果》3の同胞発症の場合の発症年齢対比では11-13と12-15がこのケースである。互いに同胞の発症年齢についての認識が本人の認識とわずかながらずれているためにこのような結果になった。



ハトポッポ&Almond



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