2009.01.28 作成
 2009.01.29 update

患者支援情報

パーキンソン病患者の「確定申告」入門
    〜「医療費控除」を中心に〜

by ふみくん     2009.01.29

CONTENTS
.1 確定申告とは
2 サラリーマン年末調整との関係
3 .医療費控除とは
4. 申告手続き
       
     日本の税制原則は「収入のある人は、自分で納税手続き(これが『申告納税制度』です)をしなさい」
そして申告手続きは、翌年の2月から3月にかけて「自分自身」で行うのが原則です。
私たちパーキンソン病患者(以下PD患者と表記)が最も関係する部分は、
確定申告の「医療費控除」という部分です。

これからの「確定申告時期」に備え、準備をしよう。



※ご注意…
以下の内容は、私個人が自分の体験の中で、皆さんが「一般的な知識」として持っていたほうが便利かな、と思い作成したものです。
実際の納税に当たっては、必ず所轄税務署担当や税理士等、税務の専門家に相談されてください。


1.確定申告とは

1.1 意義
 ◆
日本では「収入のある人は『必ず』申告して税金を支払うこと」になっている。これを「申告納税制度」という。
「申告納税をする者が課税標準や税額を確定するために、一定期間の所得額や控除額を税務署に申告すること。(大辞林:三省堂…以下同じ)」
日本全国のサラリーマンが税務署に大挙して納税すれば、納税事務に支障を来すのは目に見えているため、「一定の条件に合致する給与所得者は以降一年間の税額を概算納税し、年末に年間収入が確定後精算する納税方法が一般的である(年末調整という)。」

 年末調整とは…「給与所得・利子所得・配当所得などについて、その支払い者が支払いの際に所得税を徴収し、国に納付すること。(同上)」
私たちが納付するのではなく、収入を支払う者があらかじめ支払う金額から「天引き」して納付する。サラリーマンが税務署へ行かなくて済むのは、この制度があるから。
でも、必要な経費などをすべて計算してはくれないので、正確な納税をするには「確定申告」をして税金の過不足を確定させる必要がある。
 
 ◆私たちPD患者は、医療費支出が多くいわゆる「経費」として認められる部分はかなりある、と思われる。
私たちには憲法で「納税の義務(憲法第30条)」が課せられているが、「法律の定めるところにより」とあるとおり所得税法に定められた納税額を納めれば良いのであって、納税額から差し引くことのできる金額を知ることは、生活を守るために必要不可欠な知識と言えよう。
要するに「知っていれば、手続きすることで納めなくて済む」「知らなければ、収めたまま(過去5年分の払い過ぎは、返してもらえる)」という制度なのだ。


1.2 対象者
 ・所得税法120条1項に該当する者(★)
 ・総所得(注1)、退職所得、山林所得、総収入金額2,000万円を超える給与所得者等
  (注1…利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、譲渡所得、一時所得、一時所得に退職・山林所得を加えたもの)
 ・その年の年税額を納め過ぎたなど、過去5年間の納め過ぎた税金を返してもらう場合(所得税法第122条1項…還付請求という)
  還付請求については、改めて記載する。
   

1.3 一般的手続き
 ・収入のあった翌年(税金は『年』であり『年度』ではない!)の、2月15日から3月15日までの間に実施する。
  暦により若干変わる。因みに平成20年分は、平成21年2月16日(月)から3月16日(月)となる。 
 ・通常は収入や必要経費を証明する帳票類とともに、所轄税務署へ申告する。近年「E-TAX」と言って、パソコンを使用した申告方法もある。
 ・申告に必要な「申告書」は税務署や税務相談所、各市町村の税務担当者に問い合わせる。
  各欄には番号記号がついており、上から順に記入していけば、誰でも計算できる。




2.サラリーマンの年末調整との関係
2.1 サラリーマン(給与所得者)の税金は誰が手続きして支払っているのか
 * 給与所得者(サラリーマン)はなぜ税務署へ行かない理由(源泉徴収制度)
源泉徴収とは、給料や報酬などの支払をする者(源泉徴収義務者と言う)が、給料などを支払う際、その給料の金額などに応じて定められている所得税の額を計算し、その所得税を差し引いて(源泉徴収)、一定の期日までにその源泉徴収した所得税を納付する制度。
 つまり、会社が皆さんに代わって面倒臭い手続きを代わりに行っている。(会社に感謝)

 *しかし、私たちPD患者の支払う莫大な費用は、源泉徴収義務者が分かっている訳がないので、税務署に自分のことを分かってもらうため自分自身で手続きする(=確定申告)必要がある。

2.2 ほとんどのサラリーマンが年末調整で納税手続きが終わってしまう(例外もあります)
 * 確定申告が必要な給与所得者(サラリーマン)は上記★に該当する人。簡単に説明すると…
     @年間給与収入(給与所得ではないことに注意)が、2,000万円を超える人。
     A一か所から給与の支払いを受けていて、「給与・退職所得」以外の所得(注2)が20万円を超える人。
     B二か所以上から給与の支払を受けていて、主たる給与以外の給与収入金額と「給与・退職所得」以外の所得(注2)の合計額が20万円を超える人。
     C同族会社の役員で、その会社から貸付金の利子や資産の賃貸料等を受け取っている人。
たとえば会社の資金繰りが厳しくなり、会社から給与をもらったことにしてある場合(会社は社長から給料分を借りていることになるのだ!)で、その利息だけは会社の税金の関係でもらってる場合。普通は給料さえ払えないのだから、利息も支払っていないことが多い)。
(注2…近頃の株式や投資信託などに、この所得に該当しないものがある。詳しくは証券会社等へ)
…となる。さあ、自分はこのどれかに当てはまるかな?
  

コラム…「収入」と「所得」
・「収入」は「額面」、「所得」は「手取り」とでもしておきましょう。
・「収入」を得るには、様々な経費が必要です。サラリーマンだってスーツやネクタイ、靴やカバンが必要でしょう。
このようにさまざまな経費を「○○控除」として、収入から差し引いてくれます。
・すべての「収入(様々な収入がありますよ、例えば給料、株の配当金、宝くじの当選金、当たった馬券等)」から所得控除を差し引いた残りの金額が「課税される所得金額」です。この「所得控除」の一つが「医療費控除」です。
「…」や「?」の人、いろいろ考えず次へ行きましょう。


2.3 確定申告をしたほうが良いと思われる場合
以下の場合は確定申告することで、「税金が戻る」可能性がある。
@年末調整では手続き出来ない所得控除を行う場合
 ・医療費控除…これから詳しく見て行きます。
 ・寄付金控除…国や地方公共団体、社会福祉法人等所得税法第87条に定める「特定寄付金」、政治活動に関する寄付金で政治資金規制法、公職選挙法に規定する政治活動に関する寄付のうち特定のものなどに対する控除
 ・雑損控除…天災(台風・地震・火災)、盗難、横領により、家屋や財産に被害を受けた人が受けられる控除。直接受けた被害だけではなく、それに伴って支出した費用(災害関連支出…全半壊した建物の撤去費用、新築のための費用)も含まれる。
 なお「雑損控除」は3年間繰越ができる。複数の所得控除を受ける場合は、雑損控除を最優先する。

A年末調整では手続き出来ない税額控除を行う場合
 ・住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除、2年目からは年末調整で手続き可能)

B年末調整しそこねた所得控除がある場合

C年の途中で退職し、年末調整を受けていない場合

ラム…「所得控除」と「税額控除」
 ・最初のコラムで「収入」と「所得」の違いについて、考えました。収入を得るために様々な「経費」を差し引きます。
この「経費」とも言うべきものが「所得控除」です。つまり「収入」−「○○控除(注3)」=「課税所得金額」となります。
(注3…全部で13種類の所得控除があります。「社会保険料控除」「小規模企業共済等掛金控除」「生命保険料控除」「地震保険料控除」「寡婦・寡夫控除」「勤労学生・障害者控除」「配偶者控除」「配偶者特別控除」「扶養控除」「基礎控除」「雑損控除」「医療費控除」「寄付金控除」【申告書記載順】です)

 ・この「課税所得金額」に税率を掛け、お待ちかね(?)の「所得税額」が算出されますが、「損益通算」「税額控除」が認められており、ようやく「納税額」が決まるのです。但し「地方税(=市県民税等)」は別にありますよ。
「損益通算」とは、その年の「得した金額」と「損した金額」を差し引きしていいですよ、という制度です。この制度は株式や不動産の売買等、一部の所得に使用されます。

 ・「税額控除」は、その名のとおり「税金」がそのまま戻ってくる大変ありがたい制度です。「マイホーム減税」という住宅借入金等特別控除が有名ですね。同じ「控除」でも、かなり内容が異なります。

    
                          



3.医療費控除とは
それでは、皆さんお待ちかねの「医療費控除」について、見て参りましょう。
そもそも「医療費控除」とは3つの要素に分けられ、このすべてに当てはまると「めでたく」受けられる控除です。
その3つとは…
 ・「個人が」
 ・「自己または自己と生計を一にする配偶者・特定の親族のために」
 ・「10万円または所得金額×5%の少ない方の金額を超える場合、その超過部分の金額を200万円を限度として医療費を支払った」
です。
さらに「医療保険」等で補てんされた給付金は差し引く必要があります。但し給付金額が対象とする病気の治療費を上回っていても、その他の治療費(例えば、PD患者の水虫や痔の治療費)を差し引く必要はありません。もちろん家族の治療費も同様です。
それでは、「へ〜」と思うような内容をご紹介しますが、ここで大切なことを申し上げます。
これらお答えする内容には「個人的な見解」によるものが含まれている、ということです。つまり法律に含まれていない「曖昧な内容」が含まれているのです。
ですから、「どうして×なの?」「なんでダメ!」と言われましても、私も困っちゃうんです。


3.1 お医者さんへかかった費用
 ・ 「人間ドックや健康診断の費用」⇒×(但し検診結果で重大な異常があり、継続して治療した場合は認められる場合がある)
 ・「柔道整復師・はり・お灸の代金」⇒○
 ・「脱毛治療」⇒×
 ・「DBSの手術費用」⇒もちろん○(特定疾患を取っている方は、自己負担金部分のみです)
 ・「診断書」や「紹介状」⇒×
 ・「差額ベッド代」⇒○(診療上必要不可欠と医師が認めた場合のみ。快適な診療ライフを送るため⇒やっぱり×)

3.2 お医者さんへ行くための交通費が控除できる?
 ・「通院に利用している電車やバス代」⇒○(原則領収書が必要ですが、領収書等へのメモでも認められます。また法律上は「通院費」とだけ記載されています。ということはJR等の「特別車両」料金も状況によっては認められることになります)

 ・「通院に利用したタクシー代」⇒○(症状から見て急を要す場合は認められます)

 ・「自家用車での通院に掛かる費用」⇒×(詳細は下記3.3にて)

 ・「通院時に家族が付き添う場合、家族の交通費」⇒△(子供の通院に家族が付き添うなど、患者の年齢・病状から見て、患者を一人で通院させることが危険と判断できる場合、通院のために必要な交通費は認められます。PD患者で「身障者手帳第一種」をお持ちの方は、同様の解釈が成り立つと思われますが、税務署担当官とご相談ください)

 ・「往診を依頼した時の交通費」⇒○

 ・「遠隔地の病院にて医師の治療を受ける場合」⇒○(原則対象となります。但し病状から見て地元の病院で治療可能な場合は、この場合の交通費は対象外です。しかし、遠隔地のA大学病院や都立B病院でなければ治療ができないという「相当の理由」があれば、自宅とこの病院間との交通費は対象となります。「名医が診る」など雑誌のコピーでも効果的かも知れません)

 ・「年末年始等の一時帰宅時の交通費」⇒△(原則は×です。しかし、PD患者が治療効果を検証するため医師の指示で長期入院中に一時自宅療養し、その結果を持って引き続き入院することは、現実的にあると思われます。但し、病院側でそのような一時帰宅は、「一旦退院扱」とすることも多く、実際は×となると思われます)

3.3 原則は、人に頼まなくちゃならない
 ・「家族は×、第三者に頼んだら○」⇒上記3.2.3にあるように、家族が送迎や付添などを行うことは一般的に行われていることで当然認められる、と思ったら大間違いなのです。認められるのは「家政婦さん」等保健師、看護師、准看護師等の資格を持つ者に依頼できない状況にある場合、役務の提供を業とする者(それを商売としている人)に依頼する場合だけです。

 ・「隣の人に送迎してもらい、後日謝礼として菓子折りを届けた」⇒×(隣の人は送り迎えを「業」としていないでしょうから、ダメですね)それでは、隣のご主人がタクシーの運転手だったら…メーター回して会社に報告して…とは思えません、×です!

 ・「親族は?」⇒×


3.4 介護施設利用料
 ・「指定訪問看護利用料」⇒○(いくつか指定された書式を提出する必要のある場合があります)
 ・「要介護者が指定介護老人福祉施設等から受ける施設サービス費用」⇒○(同上)
 ・「要介護者等が介護サービス事業者から受けるサービス等の費用」⇒○(同上)
 ・「介護老人保健施設の利用料」⇒○(同上)


3.5 医療費控除の手続きのために
「とにかく『領収書』がないと、喧嘩にならない」
 @「医療費控除」と言ったら「領収書」
 特に、医療機関発行の領収書は「いらない」と思っても保管する。
 Aまず家族各人ごとに、続いてそれらに付随する交通費の明細も添付しておく。最後に医療機関毎の合計額を計算する。

「PD患者の医療費控除」は難しい⇒「特定疾患」と「福祉医療制度」、そして「入院給付金」の壁
 ・@「特定疾患」を取得すると、どんなに費用がかかっても一定の負担金のみの支払いで済んでしまう。
 ・Aさらに、各市町村によって様々な「負担金」「見舞金」などがある。
 ・Bまた入院しても、任意で加入している生命保険の入院給付金等で相当の金額が賄われてしまい、10万円の壁は厚い。





4.申告手続き
4.1 具体的な手続きは「だれが」「どこで」「どのように」
 ・「だれが」⇒「あなたが」
 ・「どこで」
   @税務署、市役所、町村役場等「確定申告会場」と公告された場所
   A「e−TAX」を活用しよう…インターネットを活用した申告方法
 ・まず「国税庁ホームページ」にアクセスしよう。
 ・申告には、まず(1)住基ネットカード、(2)同カードリーダーが必要(電器屋さんで買って下さい。内需拡大)です。各市町村へ照会する。
   B「e−TAX」はオトク
    ・いつでも、どこでも「申告可能」
    ・所得税に限らず、「源泉所得税」「消費税」など回数の多い申告・納税が、自宅や会社で出来る。
    ・夜9時まで申告可能。
    ・添付書類の提出義務なし。(但し3年間は保管しましょう)

 ・ 「どのように」⇒以下の参考文献を見て、やってみましょう。締切日を忘れないで下さい。


4.2還付申告
 ・ 還付申告とは…税金が戻ってくる申告です。過去5年間分戻りますから、早速e−TAXでチャレンジしてみましょう!
 ・手続き期間…もう手続き可能です。1月1日からOKです。税務署が忙しくなる前にやってみましょう。
 ・戻るお金はどこに?…申告の際指定した「本人名義」の口座に入金になります。e−TAXは手続きが早いみたい。

さて、税金は私たちの生活を支えている重要なおかねです。国民には「納税の義務」がありますが、闇雲に払えば国税当局は「ごちそうさま」という仕組み、お分かりいただけたでしょうか。「正しく理解し、きちんと納めて、明るい生活」といきましょう!



※参考文献
 1.国税庁ホームページ  http://www.nta.go.jp/
 2.「所得税法入門」(平成20年版 税務大学校 税務講本)
 3.「税法入門」(同上)
 4.「ネットでかんたん申告:平成20年分<平成20年3月16日締切用>」(山本利浩 チーム・エムツー 技術評論社)
 5.「平成21年3月申告用 一目でわかる医療費控除」 ( 村川満夫編 財.納税協会連合会 清文社)

 6.財務省ホームページ
                                 

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