2012.02.24 作成

医療関係へ

パーキンソン病における認知障害     2012.02.24

 パーキンソン病の非運動症状のうちでもっとも頻度の高い症状である。
 
 パーキンソン病患者全体の約30%位に認知障害がある。
 パーキンソン病では一般の人にくらべて4〜6倍の割合で認知症になりやすい。
 発病から10年以上経過したパーキンソン病患者では約70%に認知障害がみられるという。

 一般に70歳未満では認知症の合併はまれだという報告もある。

 経過とともに認知障害の頻度が増加し90才までに80〜90%に達するとされている。つまりほとんどすべてのパーキンソン病患者がいずれ認知障害をひきおこすと言える。

 若年発症のPDではADLが障害されるような認知症は生じない

パーキンソン病の診断がついた後に認知機能の障害が現れてくるのが「認知症を伴うパーキンソン病(Parkinson’s disease with dementia:PDD)」であり、、認知障害がパーキンソン病の運動機能障害よりも先に現れる場合やパーキンソン病の診断確定後1年以内に認知症の症状が現れた場合には「レビー小体型認知症(dementia with Lewy body :DLB)」というのがこれまでの分け方であった。
しかし、本質的に差がないというのが最近の考え方のようである。

パーキンソン病の認知障害にみられる症状


  ・アパシー
  ・抑うつまたは不安:
      高齢者のうつ病が精神障害を伴ったりしたときにはDLBを考慮に入れる。
 ・ 幻覚:
PD-Dの約50%にみられる。幻聴よりも幻視が多い。
幻視が発症早期から現れることが多い。
初期には単純な幻視が多いが、症状が行するに連れて次第に複雑になり、色がついたり視野の中心に現れるようになる。
幻聴の出現頻度は幻視の約半分。
  ・妄想:
PD-Dの25〜30%に見られる。被害妄想や嫉妬妄想が多い
 ・日中の過度の眠気

パーキンソン病における認知症の危険因子


 ・高齢
 ・運動症状の進行
・非振戦型は振戦優位型に比べて認知障害を伴う率が4倍高いという。
 ・罹病期間が長い
 ・男性に多い
 ・抗コリン剤の使用
 ・L-ドーパに対する反応の良くない例
 ・ドパミンアゴニストの服用で幻覚をともなう例
 

レビー小体が原因となって起きる病気を「レビー小体病」という。この中には下のようなものが含まれる。

 1  パーキンソン病  (15万人)
 2.  認知症を伴うパーキンソン病  (10万人)
 3.  レビー小体型認知症 55万人)
 
レビー小体というのは患者の細胞内にみられる封入体である。
中心成分はαシヌクレインという特殊なタンパク質。
患者の中枢神経系や末梢自律神経系に多数沈着する。
神経細胞の変性・脱落に伴う様々な障害をもたらすと考えられている。

パーキンソン病患者が認知症を発症すると


患者自身の障害度が増す
認知障害がひどくなるにつれ運動症状や自律神経症状も悪化する。
転倒、誤嚥の可能性
精神症状出現の危険性が高まる
QOLが低下する
死亡率が高まる
介護負担が増加
介護施設入所の危険性がたかくなる
経済的な負担も高まる

などの点から社会的にも非常に重要な問題となる

MCI(mild cognitive impairment)軽度認知機能障害

 明らかな認知症のない認知機能障害を表す。
認知機能は悪化しているが認知症という診断にまでは至らない段階をいう。
記憶障害は現れるが認知機能や日常生活能力は保たれる。
認知症に進行するまでに通常5〜10年かかる。
この段階で対策をうまくすれば認知症への移行を阻止できる可能性もある。

最も初期の症状は
・新しいことを覚えていられない
・論理的な思考力がなくなる
・目標に対してプランを立てたり、スケジュールを考えることができなくなる
・家事や仕事の段取りがうまくできなくなる
・好きなことでも関心がなくなる
・日課をしなくなる
・元気がなく憂鬱な感じになる
・あちこち身体の不調を訴える
・お金や物品を盗まれたというようになる
・しまった場所を忘れて、他人のせいにする
 
 ファイル作成 Sophia