医療関係の最新情報へ

 

 

 パーキンソン病の治療の進め方

水野美邦先生の特別講演より

 

 9.L-ドーパがなかなか効いてこないのは?

            ↓

    腸からの吸収が悪いため

            ↓

           対策

 

・  空腹時に飲む

・  噛んで粉々にして飲む

・  水に溶かして飲む

・  すっぱいお水で飲む

・  胃薬を止める

・  ナウゼリンと一緒に飲む

 

 

それから、もう一つ、Lードーパを飲んでも、なかなか効いてこないということを経験された方がいらっしゃると思います。L-ドーパを飲みますと、速い方で10分とか15分で、普通でも30分ほどで効いてきますけれども、30分以上経っても効いてこないのは、腸からの吸収が悪いためです。

お薬の吸収を悪くする要因というのは、沢山あります。それを避けるために、胃にご飯がない時に飲むとか、口の中で噛んで粉々にしてから、飲んでみます。錠剤のまま飲むと、錠剤が胃の壁にいつまでもくっ付いていて、溶けないで、そこにあることがあります。あの錠剤というのは、溶けないと吸収されません。それから、メネシットとか、ネオドパストンというのは、割合水に溶けやすいものですから、コップ一杯か、半分位の水に、この錠剤をポトンと落として、しばらくかき混ぜて、溶けてから飲むと吸収がよくなります。そのお水を酸っぱいお水にするとなお効果的です。

その酸っぱいお水というのは、酸性なんですね。L−ドーパというのは、とてもお水に溶けにくい物質でありまして、お水を少し酸性にしてやりますと、溶けやすくなります。胃液というのが酸性なので、溶けやすくできているのですけれども、患者さんの中には、自分は胃が悪いからと、胃薬をたくさん飲んでいらっしゃる方がいますが、胃薬を飲みますと、折角我々の胃の中にある胃酸を中和してしまって、L−ドーパを溶けにくくすることがあります。そういう訳で、胃が特に悪くない方は、胃薬を止めるのも一つの方法です。  

それからもう一つ、ナウゼリンというお薬があって、これは吐き気止めとして、よく使われるのですけれども、吐き気を抑えるだけでなく、胃の動きを良くします。胃の動きを良くするものだから、胃の中に入ったお薬も速く腸のほうに動いていく。腸からこのお薬は吸収されますので、ナウゼリンを一緒に飲むことも吸収を助けます。こういうことは、いちいち、先生に断らなくても、お家でもおできになるので、なかなか効いてこない時は、こういったことを試してみるのが良いかと思います。

また、朝に飲んだお薬は比較的効くのだけれど、午後飲んだお薬は、朝のようには効かないということを体験していらっしゃる方も少なくないと思います。それは、午後になると、L-ドーパの吸収が悪くなるためです。

朝L-ドーパを飲みますと、血液の中によく吸収されます。ところが2回目に飲んだL-ドーパというのは、同じ量飲んでも、血液の中への吸収が悪い。それは、最初に飲んだL-ドーパというのが、胃の動きを悪くして、2回目以降のL-ドーパの吸収を悪くしてしまうからです。

そういうことで、場合によっては午後は少し多めに飲むと、うまくいく時もあるので、こういったことも工夫できることだと思います。

 

 

 10. 手足が勝手に動くのは

        ↓

 一時的に脳のドーパミンが過剰になるため

        ↓  

       対策

 

・  軽いのは放っておく

・  L-ドーパの1回量を減らす(1錠)

・  エフピー錠を止める

・  アゴニストの量の調整

・  シンメトレルを試す

・  グラマリール少量を試す

・  深部脳刺激術を考える

 

 

それから薬はきくんだけど、効いている時に、手足が勝手に動いて、疲れてしまう、そおういう症状をジスキネジアといいますが、なぜそういう症状が起きるかといいますと、一時的にドーパミンがワッと脳の中に入って過剰になるためなんです。

そういう時は、出て行くのも速いのですが、そのようなジスキネジアに、どういった対策をしたらいいかといいますと、ごく軽度なものはほっといても体に差し障ることは無く、ほっといて大丈夫です。

対策としては、まず、L-ドーパの1回量を減らす。例えば、1回に2錠飲んでいらっしゃる方は、1回に飲む量を1錠に減らして、その代わり、回数を増やします。

それからFP錠を飲んでいらしたら、それを止める。ドーパミンアゴニストを一緒に飲んでいらっしゃる方は、ドーパミンアゴニストもある程度量がいきますと、L-ドーパと一緒に飲んだ場合、不随意運動、ジスキネジアを起こす原因になりますので、アゴニストの量が適正かどうかを、先生に相談してご覧になるのがいいと思います。

シンメトレルというお薬ですが、これは本来パーキンソン病の治療薬として使われているお薬で、ジスキネジアの出てきた患者さんにこのお薬を使いますと、不思議とそのジスキネジアを抑えて、パーキンソン病症状もあまり悪くしないということが判ってきました。副作用も少ないお薬ですし、このシンメトレルを追加するか、あるいは増やしてみる方法もあります。

普通、シンメトレルの通常1錠というのは、50mgの錠剤を、一日3錠が通常量ですが、このジスキネジアを抑えようという目的で飲む時は、通常の倍の量が必要です。ですから、50mgの錠剤の場合には、一日6錠飲まなくてはいけないんですけれども、これは割合、副作用も少なくて、いいお薬だと思います。

それでもだめな場合は、グラマリールというお薬があります。これは沢山飲みますと、パーキンソン病の症状を悪化させますので、主治医の先生とよく相談しながら、飲まなくてはいけないお薬ですけれども、このような症状に試すという方法があります。

こういった薬の調整を色々やってきても、どうしてもだめな場合には、先ほどお話した深部脳刺激術というのをお勧めするようにしています。

                                                                                                               つぎへ

 

2004.05.03

感想をお聞かせください

Apple Homeへ