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 パーキンソン病の治療の進め方

水野美邦先生の特別講演より

 

5.オフ時にみられる感覚症状

 

・ 関節痛           ・疲労感

・  腰痛             ・脱力

・  筋痛            ・疲れやすい

・  こわばり感       ・だるい

・  ムズムズ感    ・手足が重い

・  手足冷寒     ・発汗

 

  こういう感覚症状が出てきますと、医者方も、患者さんの方も、これは何かもうひとつ別の病気が起こってきたのではないかと心配して、色々検査することがあります。しかし第2の病気というのはなかなか出てきません。 それで患者さんに、「こういう痺れとか息苦しさとか、痛みというのは、L−ドーパを飲むと軽くなりますか」と伺ってみますと、大部分の方が、痺れや痛みがL−ドーパを飲むと軽くなるか、消えるということをおっしゃいます。これはやはり、薬が切れた時の症状の一つであることが多いわけです。そういうことをよくわかっていますと、こういう症状が出てきたら、L-ドーパの飲み方をもう少し工夫して、その薬が切れないように少し間隔を詰めて飲んでいくと、これらの症状というのはかなり軽くなります。

それから、窓の所に子供の顔が映ったり、そこに誰か人がいるように感じたり、あるいは虫が這っているように見えたり、天井や壁のしみが虫のようになって動き始めるというような症状が出てくることがあります。これは幻覚といって少しお薬が多い時の症状です。

先ほどのドーパミンと黒質の話に戻りますけれども、先ほどの黒質という所を模式的に描いてみますと、黒質の神経細胞というのは、長い紐のような突起を出しています。その先は、脳の上の方に上がっていって、線条体という名前がついた場所がありますが、ドーパミンはこの細い管のようなところを通って、その線条体という場所に着いて、そこに蓄えられています。

これは、機械に例えると油のような働きをしています。自動車に例えると、自動車を動かすガソリンのようなものです。

先ほどの黒質からずっと来たチューブのような繊維の先端の所を描いてみますと、ここが線条体にある別の細胞で、我々がお話をしたり、ものを考えたり、食べたりしている時、あるいは歩いている時、活動している時、常に、ドーパミンがザーザーと出て、我々の手足をスムースに動かしているわけです。つまり車を運転している間中、ガソリンが必要だし、それからエンジンオイルが十分あって、その機械がスムースに動くようにしていなくてはいけないわけです。

そういったオイルとかガソリンのような働きをしているのが、ドーパミンという物質で、L−ドーパを飲んでいらっしゃれば、そのL-ドーパから、ドーパミンという物質が作られています。

パーキンソン病ではこのドーパミンが減ってくるわけですけれど、ドーパミンが減ってきますと、自動車の本体はちゃんとしているんだけれど、つまり、体の手足はちゃんとしているんだけれども、それが思うように動かないという症状が出てきます。それがパーキンソン病の症状です。従ってこのL-ドーパを補充して、体の中でドーパミンを作らせるか、あるいはドーパミンの代わりをするお薬が今色々出ていますので、そういう、代替のガソリンとかオイルのような物を飲みますと、また機械がスムースに動き始めて、手足がよく動くようになる、これが治療の原理になっているわけです。

ところで、病気の初期のころ、L−ドーパで、大体一日中ほぼ快適に動くことができます。ところが4〜5年経ってきますと、薬の効いている時間が2時間とか、3時間とか、あるいは1時間とか、短くなってしまいます。

 

 6.なぜこのように短くなってしまうのか

 

 これは、お薬を飲んでいても、病気自体は多少は進行していくものですから、4年、5年の間に、線状体の方で、ドーパミンを貯めておく容器が小さくなっていくからだと考えられます。最初の頃は、容器が十分な大きさがありますので、例えば、L−ドーパを朝1錠飲みますと、ドーパミンがある一定量できると仮定します。ところが4〜5年経ちますと、朝L-ドーパを1錠飲んでも、容器が小さくなっているので、それだけのドーパミンを貯めておくことができない。それで入り切らなかった分はザーとこぼれていってしまいます。それで、少量のドーパミンしか貯まっていないから、2〜3時間すると切れてしまうという現象が出てくるわけです。

例えば、最初の頃は、夕方になると薬が切れてきて、動きが悪くなる、その内、一晩寝て、朝はお薬が切れているんで、朝もどうしても調子が悪い。それからもう少し経ちますと、昼ご飯を食べる少し前に、少し動きが悪くなる、こういう現象をウエアリングオフ現象といいます。大体パーキンソン病の患者さん全部取りますと、2人に1人位の方が、多かれ少なかれ、この症状を持っていらっしゃるというふうに判断できると思います。

先ほどお話しましたように、お薬が切れたときに、色々な感覚症状が出てきます。関節痛とか、腰痛、筋肉痛、こわばり感、手足が冷えるとか、それから、疲労感、脱力感、疲れやすい、手足が重い、それから発汗は薬に関係なく起こりますが、たまに下着がぐっしょりになる程、強い発汗発作を起こす方があります。その原因は未だによくわかっていません。

こういう感覚症状があった時には、別の病気がまた起きたのではなくて、お薬が切れた時に、この症状があるんではないかということをまず考えてごらんになることが、大切です。そういう薬が切れた時に起きる症状でしたら、これはある程度よくすることができます。

 

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2004.05.03

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