医療関係の最新情報へ

 

 

 パーキンソン病の治療の進め方

水野美邦先生の特別講演より

 

 質疑応答

 

Q: びまん性レビー小体病というのは、パーキンソン病とどういうふうに違うのでしょうか。

A: 最近話題になっている病気でございまして、パーキンソン病とまったく同じ病気かどうかというのは、我々の世界でもまだ共通の認識がありません。

どういう病気かといいますと、パーキンソン病があって、途中からボケの症状が出てきて、そのボケの症状が老化現象だけでは説明できない程度のものであり、他の痴呆の原因が無い場合に、我々は、びまん性レビー小体病と呼んでいます。一部の患者さんは、ちょっとアルツハイマー病に似たような痴呆症状が先に出てきまして、途中からパーキンソン症状が出てくる場合もあります。臨床的には、この2つの症状の出方があって、脳に同じよう病変が起きるものですから、そういうものをびまん性レビー小体病と呼んでいます。

   治療は、パーキンソン病の治療とアルツハイマー病の治療と合わせてやるのが、いい治療だとされています。パーキンソン病に関しては、同じように薬物治療をいたします。ボケのほうの治療に関しては、周りに対する注意とか、関心とか、自発性が低下したりして、ある日はとっても良くて、ある日はとっても悪いというように、日によって、違いがあります。この症状に関して、先ほどお話したアリセプトというのが割合効くので、アリセプトとL-ドーパを中心にした治療がよろしいと思います。

 

Q: 発病5〜6年ですが、胸に水が溜まりまして、今入院中です。その時にいろいろ検査をしていただき、塩分のバランスが非常に崩れている、塩分が少ないと、もう一つはいわゆる悪性症候群といわれました。悪性症候群というのは、どういうものでしょうか。

A: 悪性症候群というのは、急に高熱が出て、手足が非常に硬くなって、パーキンソン病本来の固縮をさらに上回るような硬さが出てきて、意識障害、ひどい場合には昏睡になる場合もありますが、そういう病態をいいます。どういう時にパーキンソン病の患者さんにこれが起きるかといいますと、飲んでいらっしゃるL-ドーパを急に止めた場合、風邪などを引き、風邪薬を飲んだ時に、一緒に飲んではよくないのではないかと、L-ドーパのほうを急に止める方が、たまにいらっしゃるのですが、そういうことが原因として一番多いのですが、夏暑い日が続いて、水をあまり飲まないで脱水になったとか、風邪とか肺炎で高熱が出たのを契機に、悪性症候群へ移行するとか、いくつかありますが、これは早期に治療しないとかなり危険な状態です。早く入院して、ちゃんと治療なされば、元の状態まで、戻ることが多い病気です。早期に治療なさるのがいいと思います。

   胸に水が溜まる原因は色々ありますが、パーキンソン病の治療に関連して、溜まることがたまにあります。ドーパミンアゴニストを飲んでいらっしゃると溜まることがあります。しかし、その他に、心臓病だとか、古い結核がまた活動しはじめたとか、あるいはどこかに癌があるとか、色々な原因があるので、原因をきちっと精査することが大事です。何も原因が見つからなくて、しかもドーパミンアゴニストを飲んでいたら、その薬の可能性もあるということです。

   塩分に関しては、パーキンソン病の方は、血圧が低い傾向にありますが、中には高血圧の方もいるので、血圧を測って、100前後しかない、あるいは100以下であるというような方は、普段から水分に加えて、塩分を沢山お取りになったほうがいいと思います。

 

Q: 家内ですが、発病約10年経ちまして、現在はマドパーを朝7時から3時間おきに5錠、カバサール、シンメトレル、FP錠などを飲んでいます。今日も一緒にお話を聴かせていただこうと思い、連れてきましたが、眠っているんです。夜、寝ないかというとそうでもなく、夜もまあまあ、眠っていました。本人に、寝ているだろうと聞くと、起きているよといいますが、殆ど家でも机にもたれて、眠っている状態で、・・・

   カバサールは2〜3ヶ月前から2錠を1錠にしまして、尚且つ、催眠作用もあるから、当時は朝飲んでいたのを、今は就寝前に飲んでいるのですが。

   それと、非常に血圧が低く、100前後だと調子が良くて、調子が悪い時は血圧を測ってもらうと120〜130なんですが。

A: それは、お薬で少し眠気が増しているのだと思います。多かれ少なかれ、パーキンソン病の治療薬というのは、眠気を増します。今飲んでいるお薬の中では、ドーパミンアゴニスト、カバサールがその作用が一番強いと思います。ですが、カバサールを就寝前に飲んでいらっしゃるということだと、パーキンソン病本来の症状かもしれませんね。本来アルツハイマーの治療薬のアリセプトというのが、多少覚醒作用がありますので、試してみるのもいいかもしれません。

   ちょっと合併症がおありになるかもしれませんので、自律神経のほうも含めて、ご専門の先生に、ご相談なさったらいかがでしょうか。

 

Q:家族です。10年前発病し、2年前に電極を埋め込む手術を受け、電気刺激をしていますが、無動が改善されません。

A: その無動というのが、L-ドーパを飲んだ時に改善する無動でないと、電気刺激が効かないのです。手術の前にL-ドーパを十分試されて、L-ドーパで治る無動であるということを確認されていればいいのですが、L-ドーパを飲んでもびくともしないような無動は電気刺激でもびくともしません。

 

Q: L-ドーパを飲むと異常に動悸がします。動きがよくなるというより、精神的に興奮した状態になります。薬を減らすと収まります。

A:それでしたら、それでいいのではないでしょうか。電気刺激の場合は、電極を埋め込んでから、いくつかある電極のどれを使うかとか、強さはどうするかとか、まめに調整してもらわないと、少しは精神症状が出ることがあります。細かい点での調整が必要かもしれませんね。お薬を減らして調子が良いということであれば、それをされたほうがいいかもしれません。

 

Q:30年以上もL-ドーパを飲み続けています。最近薬が効くのが、極端に悪くなったものですから、主治医の先生のお勧めで、先ほど先生のお話の中にもありましたように、酸っぱい水、レモン水を炭酸水で割って飲んでいるのですが、ある先生は、それでは効きが悪いのではないかとおっしゃる。生の果汁を1回づつ絞って飲まないとあまり効果が無いのではないかと言われた先生もいるのですが、その点、それくらいシビアに考えないとだめなのでしょうか。

   また、他に薬の効きをよくするレモン水のようなものはありますか。

A: 炭酸水は、もしかすると胃酸を少し中和する作用があるのではないかと思います。ですから炭酸は入らないほうがいいのではないでしょうか。

   噛んで飲むとか、水に溶かして飲むとかすると、吸収がよくなります。あるいは、一回量を1錠から1.5錠に変えてみるのもいいかもしれません。

 

Q: 主人ですが、5年ほど前から足が重い重いと言って、お医者様にかかったのは3年前ぐらいですけれど、皆様のお話を聞いていると、まだ軽い状態だと思いますが、ちょっとでもよくしなくてはいう意欲が満々で、夕食前に運動を腕を回すのを何百回とか、足をよいしょよいしょと上げるのを何十回とか、何百回、自分で首を回すのを何十回とか、はあはあ言いながら、すごくやっています。今お話を伺ったら、車の運転と同じだとおっしゃった。それで、だんだんお薬の効き目も悪くなっています。一生懸命、意欲的にやっているので、これからのことを考えると、それを半分に減らすとか、止めたほうがいいのか、それとも私が手助けをしてあげて、意欲を萎えさせないように、何か方法があるのか、お聞きしたいと思います。

A: 折角意欲がおありになるので、それをあまり抑えない方がいいと思います。楽しみでやっていらっしゃるのならよろしいのですが、苦しんでいらっしゃるのなら、止めた方がいい。特に首を動かすのは頚椎に悪いのです。ラジオ体操などでよく、首を動かしていますが、若い方はいいのですが、ある程度の年になると、首を動かしますと、骨の変形を促進して、また別の症状が出てきます。首の運動だけは、なさらないほうがいいと思います。

散歩も奥様と一緒に3〜40分の散歩なら、パーキンソン病の患者さんの散歩としては適量です。

 

Q:私の父が現在76歳で、発症して、10年、診断を受けてから5年が経っております。以前は色々な種類の薬を飲んでおりましたが、副作用、特に幻覚・妄想が強いということで、L-ドーパのみに絞った治療で、比較的よい状態が続いていました。

  変わった主治医の先生から、マドパー6錠のみだと、神経の細胞のほう、今度は逆に受ける方の細胞がやられてしまうということで、FP錠を追加して飲むようになったんですが、お聞きしたいのは、そのFPというのは、神経保護作用というものが本当にあるのかということと、76歳という高齢で、幻覚とか妄想とかいうことも気になる一方で、マドパーのみでいいのでしょうか。

A: マドパーだけで、動いていらっしゃる場合は、他のお薬を加える必要はぜんぜんありません。 6錠でやっていらっしゃって、効いている時間が短いとか、そういうことがあれば、FP錠を追加する意味があると思いますが、マドパーだけでうまくいっている方にFP錠を使われても、プラスアルファの効果はありません。L-ドーパは一時、脳に悪さをするのではないかと、心配された時期もありましたが、今はそういうことは絶対にないと、多くの専門家が集まって、色々なデータを集めて、L-ドーパが本当に、病気がはやく進行するとか、受ける側がやられるとか、そういうことを全く心配する必要はないと、現在いわれています。ですから、L-ドーパだけで治療されて、全く問題ありません。特に75過ぎた方、過去に幻覚のあった方は、むしろL-ドーパだけで治療したほうがいいでしょう。

 

 

 

2004.05.03

感想をお聞かせください

Apple Homeへ