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 パーキンソン病の治療の進め方

水野美邦先生の特別講演より

 

 

15.パーキンソン病と睡眠障害 

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熟睡しないと翌日の症状に影響する

 

 

それから、もう一つ、最近まで、よく理解されていなかったのが、パーキンソン病の患者さんに見られる睡眠障害です。歴史は夜作られるではないですが、ドーパミンというのは、夜作られる傾向があるんですね。ですから、一晩ぐっすりよく寝ないと、夜中に作られるドーパミンが少なくて、翌日どうしても体の動きが悪いという症状が出てきます。

その睡眠障害にもいろんなものがございまして、ただ寝付けないというのが、最も多い症状なんですけれども、それだけではなくて、お布団に入って足が温かくなると、足がムズムズしてきて、その足の指を動かさないではいられないような気持ちになる。それから、夜中に何回も目が覚める。

この原因もいくつかありまして、トイレが近くて、目が覚める方とか、夜中にどうしても寝返りがうまく打てなくて、腰とか、背中が苦しくなってきて、目が覚めてしまう方とか、そういう原因はないけれど、ただ睡眠が浅くて、目が覚めてしまう、それから、悪夢にうなされる方がかなりいらっしゃいますね。それで怖い夢をみる。泥棒に入られて追いかけられた夢とか、火事の夢とか、とっても怖い夢を見て、夜中に大きな声を出して、隣に寝ていらっしゃる方がとてもびっくりする。患者さんによっては、隣で寝ていらっしゃる配偶者の方を殴ったり、足で蹴飛ばしたり、近くに障子があったりすると、知らぬ間にその障子を殴っていて、朝起きてみたら、その障子に穴が開いていたなんてことを、おっしゃった方もいらっしゃいました。

 こういった夢に関連した異常をレム睡眠行動異常といいまして、パーキンソン病のかなりの患者さんが、この病気を持っていらっしゃるということが分かってきました。

中には、日中眠くてしょうがない、という方がいますが、熟睡しないと、翌日の症状に影響するということを覚えておくといいと思います。

 

16.こういう睡眠障害が起きてきたらどうするか、

 

 

寝つきの悪い方は、是非睡眠薬を飲んでいただきたいのです。睡眠薬を我々が処方しても、癖になるのが怖くて、飲んでいない、時々しか飲まないという方が多いのですが、最近の睡眠薬というのは、癖になる心配はありません。我々日本人というのは、どうしても真面目な民族なので、睡眠薬を飲むことに精神的な抵抗があるのですが、パーキンソン病の方は、睡眠障害が病気の一部で、それを治療しないことには全体としてよくすることができないわけですから、寝つきの悪い方は、是非こういった短時間作用型の、朝までは効いていない睡眠薬がありますので、そういうものを毎晩寝る前に、キチンと飲んで、熟睡をしていただきたいと思います。

 夜中に大声を出す方は、リポトリールというお薬があります。これは、本来てんかんの治療に使う薬ですが、色々なことに使われていまして、レム睡眠の行動異常の特効薬です。これもてんかんの薬を飲むのに多少は抵抗があるかもしれませんけれど、決して、てんかんの治療をしているわけじゃなくて、睡眠障害を治療しているんで、こういう方は、主治医の先生にお話になって、お薬を出しておもらいになるといいと思います。

 お布団に入ると、足がムズムズしてきて、動かしたくなるとか、寝返りが難しいという方は、寝る直前に、ドーパミンアゴニストを1錠飲むか、L-ドーパを1錠追加して飲むと、多少は、体の動きがよくなります。

 トイレが近い、夜中に3回も4回もトイレに行きたくなって、目が覚めてしまうという方は、トフラニルという、お小水の間隔をもう少し延ばすお薬があります。トイレに行く回数を1回ぐらいは減らしてくれますので、処方してもらわれるといいと思います。

 それから、日中眠くてしょうがない、これは、多くの場合、お薬の副作用です。心配すべき副作用ではありませんし、体に害になる副作用ではありません。しかし、とっても眠くて辛い方は、ドーパミンアゴニストを飲んでいらっしゃることが多いので、これの量を少し減らすと、眠気が少し軽くなることがあります。

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2004.05.03

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