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 パーキンソン病の治療の進め方

水野美邦先生の特別講演より

 

 13.パーキンソン病とボケ

       ↓

   病変が他の部位にも及ぶため

       ↓

      対策

 

・  アーテンをやめる

・  アリセプトを試す

・  大事なことはメモをする

・  メモを毎日見るようにする

・  清潔を心がける

・  テレビなどで脳を刺激する

・  デイケアなどを利用する

 

  

最近パーキンソン病の患者さんも非常に寿命が長くなって、少し、ボケの症状を出していらっしゃる方がいらっしゃいます。

配偶者の方が心配して、相談に来られる場合もありますが、パーキンソン病の患者さんのボケが、すべてその病気のためだとは限りません。

普通の方でも、70や80になれば、少しはボケの症状が加わってきたり、あるいはそこまでいかなくても、物覚えが悪くなってきたりするもので、ご高齢の方のボケ自体は、一部は老化による症状だと思いますが、老化を超えて、少しボケの症状が出てきた場合には、少し考えなければなりません。

なぜ、パーキンソン病の方の一部ですけれど、ボケが出てくるかといいますと、最初は病気は黒質だけにあるんですが、一部の方は、その病変が他の部位にも及んでくることがあります。大脳の前頭葉とか、側頭葉とか、ものを考えたり、判断したりする大事なところへ、病変が拡大することがあります。そうすると、ボケの症状が出てきます。 

それから、お薬の中で、記憶力を悪くしたり、少し錯乱状態にする可能性のあるお薬として、アーテンがよく知られています。ボケの症状がでてきたら、アーテンは是非止めたほうがいいお薬です。そして、先ほどのアリセプトを試します。

それから、大事なことはメモするようにお話しています。しかし、メモはなさるんですけれど、そのメモしたものを見ることを忘れておしまいになることがございますと、大事な約束を忘れたりいたします。だから必ずそのメモを毎日見るようにすることも大切です。清潔を心がけて、テレビなどで、脳を刺激する。他のお仲間とお話ししたりして脳を刺激することも大事です。デイケアとか、そういうものも利用なさるといいと思います。

 

14.パーキンソン病と欝

 

縫線核(セロトニン)が障害

軽症を含めると60%に合併

生活の質(QOL)低下の一因

 

   

     対策

 

・  周りの人の理解

・  精神的なサポート

・  パキシルを試す(SSRI)

・  トフラニルを試す

・  重症の場合、精神科医に相談

 

 

それから、パーキンソン病の方のかなりのパーセンテージで欝を合併していらっしゃるということがわかってきました。患者さん自身もお家の方も気づいていらっしゃらないことが多いですね。これは世界保健機構の調査で分かってきたことで、その調査によると、患者さんの実に60%が欝を患っていらっしゃる。 

治療が必要なはっきりとした欝の患者さんは、それほど多くはなくて、多分20%とか、15%とかそれぐらいだと思いますが、欝の症状が出ますと、それは生活の質を低下させる一因となります。

これまたWHOの調査で、データとしてはっきり出ていますが、ある程度以上の欝を起こされた場合には、まず、周りの方が、そういう精神状態にいらっしゃるということを理解して差し上げることが大切です。

欝になりますと、ただそういう状態を叱咤激励するだけではだめですので、そういう状態を理解して、精神的なサポートをして差し上げて、最近パキシルという割合副作用の少ない、欝のいい治療薬が出ておりますので、こういうお薬を主治医の先生と相談して使ってごらんになるといいと思います。ごく僅かですが、自殺念慮、死にたいなあということまで、お考えになる方が、たまにいらっしゃいますので、そういう場合には、できるだけ早く精神科の先生とも相談するようにしております。

これは、私達のところで、パーキンソン病の後、ボケの症状が出て、お亡くなりになって、ご家族のご理解で、その後、剖検ということをさせていただいた方ですが、黒質の神経細胞が小さくなっているのは、パーキンソン病と同じなんですけれども、それ以外に、マイネルト基底核という別の場所の神経細胞が、減っていまして、大脳皮質の側頭葉といわれるところなんですけれど、そこにも同じような神経細胞の変化が出ています。それで、そういうことが、一部の方なんですけれど、ボケの原因になっているということが分かってきました。

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2004.05.03

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