医療関係の最新情報へ

 

 

 パーキンソン病の治療の進め方

水野美邦先生の特別講演より

 

 11.足がすくんで前にでない場合

 

L-ドーパが切れた時におきる場合と

L-ドーパに関係なくおきる場合を区別

 

⇒対策

切れた時に足が出ないのはウェアリングオフの一種

いつでも足が出ない場合はLドプスを試す

視覚刺激 歩行器 L字型杖など

 

 

それから、よく、薬が切れてくると足がすくんで前にでない、足が出ないで、体だけ前に倒れてしまうということをおっしゃる方が時々いらっしゃいますが、これがすくみ足です。このすくみ足というのが、L-ドーパが切れた時に起きるのと、それからL-ドーパに関なく起きる場合と2つあります。そのどちらかで、治療対策が変わってきますので、先生にお話になる時には、薬の切れた時に足がすくむのか、それとも薬に関係なく、しょっちゅう足がすくむのかということを、はっきりおっしゃることが大事で、薬が切れた時にだけ、足が出ないというのは、ウェアリングオフの一種です。 

ですから、上手にウェアリングオフの対策をすれば、すくみ足というのは軽くなります。薬に関係なく、いつも足が出ない場合には、L-ドプスというお薬がありますので、これを試してみるといいと思います。

その他に、L字型の杖というのがあります。杖というのは、一本の棒なんですけれど、先の方に少し横棒が出ているんですね。その横棒をスイッチで出したり引っ込めたりすることで、その視覚刺激で効くことがあります。

こういうすくみ足は、ご家庭でも、台所のような狭いところで割合よく起きます。そういう狭い所に歩幅に合わせて、ビニールテープを貼っておくと、その光の刺激が目に入って、不思議と足が出やすくなります。

おもての通りには、こういうテープを貼っておくことができませんので、すくみ足がしょっちゅう出る方は、そのL字型の杖をお持ちになって、足がすくんだら、スイッチを押して、L字型の横のバーのようなものを出し、それをまたぐような感じで足を出すことによって、すくみ足から解放されることが可能になってきます。

 

12.幻覚・妄想

     ↓

  一時的に脳のドーパミンが過剰になるため

     ↓  

    対策

・  軽いのは放っておく

・  アーテンを止める

・  エフピー錠を止める

・  シンメトレルを止める

・  アゴニストを止める

・  L-ドーパの量を減らす(1回量)

・  アリセプトをためす

・  セロクエルをためす

 

それから、気をつけなければならない症状として、幻覚・妄想があります。幻覚というのは、そこにいるはずのないものが見えてしまうもので、妄想というのは、見えないけれど、いるにちがいないとか、そういう間違った考えに取り付かれる現象をいいます。ジスキネジアも脳のドーパミンが一時的に過剰になるために起きたわけですけれども、このドーパミンという物質が、脳のまた別の場所で過剰になりますと、こういう幻覚が出てきます。

幻覚も軽いのは、ほっといても、差し支えありません。しょっちゅう起こる場合とか、幻覚に誘導されて行動異常が出てくる場合、例えば、耳に何か聞こえて、その人と話すとか、何かこう、虫が見えて、それを掴もうとするとか、ねずみとか蛇が見えて、それを追いかけようとしたり、逃げようとしたり、そういう行動異常を伴って来たときには、治療が必要になってきます。

どうやって治療するかといいますと、まず、できるだけ飲んでいるお薬の種類を減らします。できるだけL-ドーパだけにもっていけないかどうかということを試すのですが、割合パーキンソン症状を和らげる作用が比較的弱くて、幻覚を起こしやすいお薬から止めていく。これが、現在の考え方になってきました。まず、アーテンというお薬を止めます。それからFP錠を止めて、シンメトレルを止めて、アゴニストを止めて、最後にL-ドーパだけは残しておきます。

なかには、どうしてもこういうお薬を全部止めることが難しい場合もあります。パーキンソン症状が悪くなってしまう、それからL-ドーパも減らせない。そういう時には、全く別系統の薬を試してみます。一つはアリセプトというお薬です。これは本来は、アルツハイマー病の進行を少し遅らせる薬ですが、パーキンソン病の方で、幻覚・妄想が出てきた場合にも多少効く、副作用の少ない薬です。ですからアルツハイマーの薬ではあるけれど、嫌がらずにこれを飲んでごらんになると、幻覚が軽くなる場合がございます。

それからもう一つ、最近、幻覚を抑える特効薬とまではいきませんが、比較的副作用の少ないセロクエルというお薬が出てきまして、本来は精神分裂症に使うお薬ですが、パーキンソン症状をあまり悪くせずに、幻覚を抑えてくれるということが判ってきました。夕飯の後とか、寝る前に、1錠あるいは2錠ぐらい飲んでおくと、幻覚が消えるか、あるいは軽くなります。

 

                                                                                                            つぎへ

 

2004.05.03

感想をお聞かせください

Apple Homeへ