LSVT LOUD を終えて

by 健


私にこの機会を与えてくれた主治医の先生及び国立精神・神経医療研究センター病院の神経内科の先生、リハビリテーション科の先生、それに私を指導してくださったSTの方々、PTの方、3・北病棟の看護師及び全てのスタッフの皆様と、私を励ましてくれた患者の皆様に感謝と敬意を表します





DBSを終えて徐々に言葉の出が悪くなるのを感じていた。
私がDBS手術を行ったのは3年前のちょうど夏のいまごろであった。
手術を行ってから1年位経って、唾が多くなってくるのと言葉がでづらいと、主治医のY先生に言うと「ウ〜ン」というお言葉・・しかし電極の調整で一時はよくなったと思われたのであるが・・その後あまり芳しくなかった。
その時アップルの掲示板か何かでLSVTのことを知り調べているうちに、Bさんがやっているという事を聞き話をさせてもらいました。

東京の小平市にある国立精神・神経医療研究センター病院と言う所でやっているとのこと。 早々、その病院へ連絡してみると・・・
飲み込み外来を受診するようにとのこと、その時、紹介状も持参するように言われる。
なんとか主治医の先生に紹介状を書いてもらい、その病院へ向ったのです。

まず初診で手続きを行い、その後外来で所定のことを書いて待っていたら、私の順番がきた。
診察室に入ると神経内科の先生が居た。(飲み込み外来とは神経内科の一部?)
紹介状を見ながら、私のパーキンソン病の病歴と現状について聞かれた。
LSVTをやりたい旨を伝えてあったのでリハビリテーション科へ連絡してくれてアポを取ってくれた。 1週間後だという。
その日は肺機能検査をして終了した。


1週間後、リハビリテーション科行き主治医になるM先生に会い早々LSVTについて話をした。
LSVTには声、音声の訓練を行うラウドと、動き、動作の訓練を行うビッグとがあると言う。
私は即座に“両方”といったのだが無理だと言う、前例がないと・・・。
それと、それが出来るSTやPTなどの人数が限られていると言う。
現在ラウドができるSTが3人ビッグの方が2人だという。
それに、4週間続けて訓練を行うため通院が出来ない場合は入院という事になる。
仕方なく、当初の計画どうりにラウドの入院コースを選択したが、それでも調整して1ヶ月後と言うことになった。
ビッグに関しては2ヶ月後位、空きを見てという事になった。

1ヶ月が待ちどおしかった。
まともに話が出来るようになるのだという希望と、どんな厳しい訓練があるのかという、ちょっぴりの緊張と興奮につつまれていた。

いよいよ入院当日、2日前より用意した荷物を持ち自宅より女房とタクシーで最寄り駅へ行き電車を乗り継いで新小平駅へ、新小平駅よりタクシーで病院へ向った。
病院に着くと入院手続きをし、病棟へ。
場所は3・北病棟であった。(北病棟の3階という事)
看護師長に担当看護師を紹介され病室へ、4人部屋であった、ちなみにこの部屋は差額ベッド代は無いが個室で30000円と言うへやがあるそうだ。
病室ではロッカー、テレビの使い方等を聞き、3・北の施設を案内してもらう、帰ってくると、ちょうど部屋の住人が揃っていたので挨拶をする。
私と同じ病気の人は居ないようだ。
その後担当看護師に所定の事を聞かれたが、その間リハビリテーション科のM医師リハビリ担当STや薬剤師、神経内科の女医さんもきた。
その場にて症状の聞き取り調査をし、看護計画やリハビリの予定、検査等の説明をうけた。
その日はそれで、他は何も無かったので、昼食後、女房はかえった。
女房には、土、日も帰らないし、見舞いにも来なくていい、洗濯も自分でするからといっておいた。

次の日、血液と尿を採取し、レントゲンを撮って終わりであった。
暇だったので、2・北病棟に同じパーキンソンで入院しているTさんと言う人の所へ行ってみた、Tさんは、1週間後に退院するとのことであったが、その間よく1階のコーヒーショップで話をした。

この土、日は休日ため暇であった、月曜日からのリハビリ開始という事で事前検査等があるから前の週の木曜日から入院してくれとのことであったのだ。

月曜日ワクワクしながら事前説明を受けたMさんという女性のSTの所へ9時に行った
プログラムは明日からという事でLSXT前検査、咽喉の具合とか声の状態とかを調べた
そして、普段いつも使っている言葉10コ聞かれる、それに趣味、趣向やよく見るテレビ番組やよく読む小説のジャンルなど多岐にわたって聞かれた。

そして最後に造影検査を行った。
造影剤を飲みながらコンビーフを食べそれを撮影すると言うものだ。
ちなみにコンビーフの味は検査に使うものとしては“なかなか”であった。

火曜日いよいよプログラムの始まりだ。
プログラムは1週4日間訓練をし残り3日間を自主トレーニングをするというものである。
まず午前中1時間訓練をして午後自主トレを20分程行うこれを4日間
それと午前と午後約20分の自主トレを行うこれを3日間、計7日間毎日行うものである。
ただし、訓練をする日の午後の自主トレとウイークデー、金曜日の午前、午後の自主トレはSTの監視の下の自主トレとなり本当の意味の自主トレとなるのはSTが在籍しない土、日と祝祭日のみである。

いよいよ訓練のスタート、担当はN・STだ。
まず最初に聞かれる事、前に飲んだ薬の時刻とこの後飲む薬の予定時刻、これはパーキンソン病の薬の効き時間と訓練時の薬の効き具合を一定に保つ為、確認の意味で聞くらしい。

訓練であるが・・・・
最初に、STの「あーーーー」と言う発声の後、その真似を「アーーー−」とする、何度も何度も、何度も発声する。(STと同じように出来るまで)
声の大きさは75db前後で息を吐き切るまで、私の場合15秒前後位か。
それを何度も何度も(STと同じように出来たもの15〜20回位)行う。

次は、高音の部、これもSTの後について「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ あー」(ドレミファソラシド レーと言う音階で1オクターブ上げる)と発声する。(これも同じ回数行うただしSTと同じように出来るまで何度でも)

その次は、低音の部、これもSTの後について「あ、あ、あ、あ、あー」と音階を下げて発声する。(これも同じ回数行う、STと同じように出来るまで何度も)

そして次はLSXT前検査のとき聞かれた10コの言葉を言うというものであった。
それは印刷されて私の目の前に置かれた。
そして、5回程復唱させられた。
大きく、ハッキリとした声で言わないと何度も何度も言わされるのである。
 
それが終わると今度は私の好きなジャンルから集めた単語を80程度列記したものを読まされます、これも大きくハッキリとした声で言わないと何度も何度も言わされます。
これで1時間、1つの訓練がおわりです。
(私の場合AM10:00〜11:00であった。)
 
そして午後の自主トレは約20分間。
「アーーーー」と言う訓練でやった発声を10回
後は、これも訓練でやっていた高音の部10回と低音の部10回、これは全部STがやったように出来た回数である。
このため時間がオーバーしてしまうのはしょっちゅうである。
それと10コの言葉を3回復唱し、80程度の単語を1回読む、もちろん大きくハッキリした声でである。
これで1日のラウドのプログラムは終わりです。
 
しかし私には動きを良くするリハビリがまっていた。
私の担当看護師のYちゃんが気を利かせてPTのリハビリを入れておいてくれたのだ・・それも毎日・・ドヒャ〜。

第1週は、月曜が、前検査があったため、火、水、木、金、が訓練日だった、そして土、日が自主トレと言うことになった。

土、日は暇である病院自体が休みであるため、リハや検査等が無い為、静かである。
それに金曜日の夕方から外泊許可を取って自宅へ帰る人もいるのでなおさらである。
やっているのは、食事の係りの人と入院病棟の看護師さんだけである。

2週間目からプログラムメニューが変わった
最後に行う単語を読むものが、文章に変わったことだ。
当然自主トレもそれに伴い変わった。
2週目は月、火、水、木、が訓練日で金、土、日が自主トレの日だ。
前にも書いたが訓練日午後の自主トレと金曜日の午前午後の自主トレはST監視の下行われ、本当の意味の自主トレは土、日でした。

それと2週目に入って感じたことそれは薬のことであった(入院直後から感じ始めていたことであったが・・・)。
いままで自宅にいたときは長い距離も歩く事もなく薬の効きの実感があまりなかったが、病院は違う歩く距離が長いのである。
そのため薬の効きというものを実感できるようになったのだ。
朝、昼、夕とイーシードパールを1錠ずつ飲んでいたのであるが訓練時間になると薬が切れるのを自覚するようになり、病棟からリハビリテーション科まで行くのも難儀であった。
(しかし、車椅子は使いたくなかったので)
その事をリハ科のM先生に“薬の飲む時間を変えたいのだが”と相談すると、それは今まで、その薬を飲むパターンでやってきたのであるからかえないで欲しいと言われた。
検証するときの基準がずれるというものだった。

続いて3週めに入った・・・
最初に声を出す3パターンと10コの言葉の復唱は変わりないが最後に本を読されるようになった。
これが私にはきつかった、長い文章と口語的言い回しが上手く言えないのである。当然、自主トレも小説を声を出して読むものに変わっていた。

3週目に入っても声が出てきたと言う自覚はなかったが担当STは出てきたと言う。
私は最初、訓練を始める前、そのSTに私の病状、だるさが全身を覆っている状況、これを突き破らないと声が出ないと思うことなど、そういう自覚がないと声が出ないのではと言う心配を口にしていた。
それでも“やるしかない”というきもちで、このプログラムをこなした。

3週目が終わりに近づいた時、次の週の月曜日が祝日で3連休だった為女房が“帰ってこない?”と言う連絡をよこした。
そうして帰ったわけであるが、女房に“ぜんぜん声が出てないじゃないの”といわれ、がっくりして病院に帰った。

そこで私が大きな過ちを犯していた事に気が付いた。
今まで、土、日は自主トレだけで他の人と話をする事がなかった、そう“話をする相手が居なかったのである。
そう、これがいけなかった。
土、日は、話をする相手がいなければならなかったのである。
それは、話をし、どれだけ自分がしゃべれるようになったのか、それと足りていない所の検証をし、補う場だったのである。
土、日は、家族か知人の所へ帰るか、来て貰うかして、話し相手になってもらう事である。
それと普段から看護師、入院患者誰でもいいから挨拶や話をすることである。

4週目、最終週にはいった。
プログラムは最後の“本を読む”と言うものから“話をする”というものに変わった。
STが聞き手になり、私が、自分史などを話すといものである。

私は最終週に入りあせっていた。
このままで行けばこの4週間何をしてきたのか、声が出るようになったと言う自覚が無いまま終わってしまうのか・・・という事をSTに話すと、STは声は出てきてると言う、私は声が出てるという事を実感しないと、その後のトレーニングにも身が入らないし、何db声が大きくなっているといわれても、会話が出きなければどうしようもないと、食い下がったのであるが・・・・・。
こうしている間にも訓練は続きそして4週目が終了した。
それでも私には、声が出るようになったという自覚はわいてこなかった。

次の月曜日4週間にわたるLSVT・LOUDの検証の日である。
前検査を行ったMさんというSTが担当であった。
前検査と同じ検査検証をし午前中に終わった。
結果は午後の講評の時説明すると言う。

午後、M医師と担当のN・ST立会いのもと説明を受けた
「検証した結果、数dbずつアップしています」と言うものであった
だが、数dbアップしたぐらいでいいのか?
実際にまだ言葉は出づらく、会話は明確にはなっておらず、
自分としては納得のいく結果ではなかったが、ST曰く、
ラウドはこれで終了ではない、この一ヶ月がスタートで、
これからの自主トレーニングで成果が出るとの事。
それは判っていた事ではあるが・・・。

しかし、私の中には、これがラウドなのかという気持ちがあった。
決してラウドが悪いというのではない

DBS手術を受けてのラウド受講は初めてという事もあったのかと思ったりもした。


次の日私は退院した。

私なりに検証をしてみた。

まず、LSVT・LOUD(ラウド)とはなにか・・・。
≪ラウドは声帯周囲の筋肉を刺激して声を大きくし、体系だった練習をする事によって話すメカニズムを改善する。
治療は話し方の明瞭さを最大にするために呼吸器、咽頭、声帯などの発音のための機能を改善する。
叫んだりするのではなく、むしろ無理のない健康な声の大きさになるようにトレーニングする。
ラウドはパーキンソン病のすべてのステージの患者に使って効果が得られている。中でも初期や中期の患者にはとても効果あり。≫とある。

DBS手術を行った私には無理があったのだろうか?
いやそんな事は無いと思う・・何かをプラスすればよいのだと思う・・それは何か・・・・?


その後、自主トレに励んだ。1週間位経った時女房が「話してる言葉聴きやすくなったよ」といってくれたのだ。
辛口の女房に言ってもらえたのがうれしかった。
こうなるとげんきんなもので“自覚”が出てきた。

この訓練で必要だったのはラウドのプログラムと文章を読む事だけじゃなく家族や友人と会話をして大きな声を出し続ける、これが“プラス”必要だったのだ

これから自主トレを続けて何処まで回復するがわからないががんばるつもりである
          
 この次はLSVT・BIG(ビッグ)だ!




<注 by sophia>
LSVT :Lee Silverman Speech Therapy (リー・シルバーマン言語療法):パーキンソン病に特に有効とされる言語療法でかなり以前から欧米で実施されている

LSVT Loud( LSVTラウド):大きな声を出すことによってパーキンソン病の言語障害に対応しようとする方法

LSVT Big ( LSVTビッグ):大きな動作をすることによってパーキンソン病の運動障害に対応しようとする方法

DBS : Deep Brain Stimulation (脳深部刺激術)

ST : Speech Therapist(言語療法士)

PT : Physiotherapist(理学療法士)

2011年

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  2011.8.16 file作成:sophia
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