2004.06.30 up

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寝言のはなし by きょん2

   PD患者が寝言をはっきりしゃべるという話は、わりとよく耳にする。ご多分にもれず、この私もそのひとりである。この寝言に関しては、もう4年くらい前から指摘されており、当初は認めたくなくて、「そんなことあるわけない」と強く主張するのだったが、3年前に頚椎ヘルニアでにわかに入院したときに隣の患者さんに指摘されてから、ついに事実だと認めざるをえなくて言いわけもなにも通用しなくなったのである。やけにはっきりとしゃべるので、隣の患者さんは自分に話しかけられたと思って答えたら、私のほうは寝ているので「・・・・・・・」という反応で、全く返答が返ってこない。おかしいと思ってカーテンをそろりとめくったら、なんということ、隣の患者はスー、スー寝息を立てていたという驚きの展開であった。最初はだれかと話をしているのであろうかと何日も耳を疑ったそうである。ところが、あるとき私が「ねえ、明日は晴れるんですって。」っとふいに話しかけたのだという。そこで「もう3日もどしゃぶりだから、うれしいわね。でもこんなところにいたら正直いって天気はあまり関係ないけどね。」と、夜中にいきなり天気の話題を出されて困惑しながら答えたのだという。当の私は、それに対して何の返答もせず、それっきりだったというのだ。こんなことが何回もあったのち、いぶかしく思ったお隣さんが、ついにカーテンをめくり事実を確かめることにあいなった。私、きょん2は起きてもないのに起きているときのようにひとり寝ていてしゃべりつづけていたそうである。なんだ、寝言かとわかってからは安心したけれど、それでもその寝言で意見を求められることもあり、起きているのかとまた答えてしまったら、寝ていたということもあり、きょん2が寝ているのか起きているのか、いつもわからなくて困惑したという話であった。入院中、どうやらお隣さんには相当に迷惑をかけた模様で、「すみません」とあやまりどおしの私であった。
 このことがわかってから、私は夜中のおしゃべりに少しずつ気をつけようと決意を固めた。
ところが、うちに帰ると安心したのか、またもや寝言は出始めるようになった。しかも娘相手に説教をはじめるという寝言だった。起きてるときもしょっちゅう言われてるのに、寝てまでいわれちゃたまんねーと、うちの娘がぼやく。そこで、うちの娘は自分で対策を練ったのだ。何を言われても「はいはい。」と答える。起きているときも寝ているときも。うちの娘は、私が何か言うと常に「はいはい。」と答えてその場をやりすごす。いつも答えがはいはいなので、私は「あんた、いつもはいはいといって、いっこうにやらないじゃないの。ハイハイ人形じゃあるまいし、それしか言わないのは変でしょうが。」と私がなじると、寝言対応で24時間いつ話し掛けられてもOKなようにそうして対処するようになったというのであった。やれやれ、身から出たさびなので私は何も言えなくなってしまった。
 これではまずい、と私は状況改善に乗り出した。寝るときに「寝言はだめ、寝言はだめ」と自分に言い聞かせる。そして気をつけよう、気をつけようと自分をいましめることにした。そうすると、寝ていてしゃべって「まずい」と思った瞬間に目が覚めるようになったのである。そして何をしゃべったか覚えて記憶するようになった。そして脈絡のない寝言がなぜ出たかについて説明ができるようになったのである。この能力について自分でも不思議なくらいでどう説明すればいいか、よくわからないのだが、何をしゃべったかについて寝ていながら意識に残っているのである。つい先日も夜中に「紅茶にはレモンよ。」と寝言で話し掛けた。すぐさま、まずいと思って目を覚まし、「なぜ紅茶かというと夢の中にポットとカップが出てきたからなの。」と娘に説明したのであった。娘はいつものように「はいはい。」と答えていた。
 こんなこともあった。夫に「山田吾一さんのお嬢さんがNHKのアナウンサーだってこと、知ってる?」と寝言で問いかけたとき、夫が「なんで、山田吾一がいきなり出てくるわけ。」と答えた。瞬間、まずいと思った私は目を覚まして「今、夢の中でテレビに山田吾一とキャストに映しだされたの。だから山田吾一さんの綺麗なお嬢さんのことも言っておこうと思ったわけよ。」寝ていた私が起きて説明しはじめたので、夫は逆に驚いてひいてしまった。「寝てたんじゃなかったの?」「寝てたのよ。」「なんで起きてるわけ?」「寝言に注意するあまり、まずいと思った瞬間に目が覚めるようになったの。」「そのほうがよけい怖いじゃんか。」
 寝言に説明を加えるということ、これは私だけの現象だろうか。気をつけるあまりそうなったのであって、別に特別な訓練をしたわけでもない。脈絡のない寝言が実はこんなわけでしゃべったのだということをわかってほしいという思いから、そうなったのだといえるのだ。
 このことはうちの家族を2度びっくりさせた。信じられん、うちの母さん、うちの女房だといわれ、よほどの変わり者のように思われている。寝言をしゃべるだけならまだしも、その説明をしだすようになった私のことが自分でも信じられない。こんな私って、ひょっとしたらエイリアン?


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