2010.09.23up

暮らしと生活のトップへ

さあ行こう、ヨーロッパ                 by ふみくん

◆ はじめに ◆

またまた雑学の宝庫「ふみくん」シリーズです。  題して「ふみくんの『さあ行こう、ヨーロッパ』」…。

 

 私は以前あるツアーでドイツに行きました。同行者は同じ信仰を持つ仲間でしたが、旅行代理店のサポートは到着地のみ、あとは自己の責任において…でした。

パーキンソン病は「旅行の自由」まで奪いません。また病気だからこそ様々な体験が出来ます。健康な方、お読みになると「こんちくしょう!」となりますからご用心。

 これからヨーロッパへ行こうと考えているあなたへ、海外旅行は希望の体験です。なおアメリカ・カナダなど「東行き」は想定していませんが、想像力を働かせてみて下さい。

機ト行機の乗り方

 まず飛行機に乗ります。これは慣れていてもドキドキの体験です。なんせ高いところが大嫌いのふみくんは「どうして金属の塊に人間が乗って空を飛ぶことが出来るの??」と真剣に悩みました。また長時間の機内滞在は様々な問題もあり、不安のタネには尽きません。

しかし、ふみくんはこのような状態でも本当に飛行機でドイツへ行きました。しかも障害者ならではの楽しい経験をいっぱいしました。さあ勇気を出して行きましょう。

飛行機は「航空券」を買います。しかし航空券を持っていても、空港では飛行機には乗れません。「航空券」を「搭乗券」に変えて初めて乗れるのです。「同じ航空券(同じ飛行機)」でも、買い方等で値段がまったく違います。なぜ同じサービスに違う値段なのか、私にはわかりません。

国際線は大きく分けて3つの種類があります。上から「天国・地上・地獄…」ではありませんが、この区分けに近いものがあります。まず私たちには縁のないファーストクラス、ほとんど縁のないビジネスクラス、そして庶民が使うエコノミークラスです。待遇はまったく違い、また値段は対数目盛的に違います。

当然私はエコノミークラスでしたが、それなりに楽しめました。

楽しむには「準備」をしましょう。旅行の準備ですよ、ドーパミンが出るわ出るわ、ルンルンです。さらに楽しむための3つの秘訣です。

1.自分の置かれた状態を航空会社に早めに伝え、航空会社の要望に極力答える。

2.行く日はめちゃ長く、帰る日はあっという間。薬は多めに持ち、少なめから合わせる

3.時計は2つ持つ。ひとつは”In Japan”、もうひとつは”Out of Japan”で。

 この3つを準備することで、あなたの旅行はますます楽しくなること請け合いです。

 

1.自分の置かれた状態を航空会社に早めに伝え、航空会社の要望に極力答える。

 ・ 旅行で「わたし歩ける」と「わたし歩けない」、どちらの態度を取りますか?カッコつけても、仕方ありません。わたしたちは「旅行」というサービスを買うのですから、お買い得に買いましょう。正解は後者だと思います。

 ・ 航空券購入時に遠慮なく言います、「わたしは歩けません」と。またDBSを受けた方はその旨必ず「購入時」に伝えます。なぜ「購入時」でないといけないか?今は経費削減時代ですから、余剰人員はどの航空会社もいません。ということは「搭乗当日に言われても対応致しかねます」 となり、国際線は乗りそびれとなりかねません。購入時に伝えておくと、旅行代理店経由でも大丈夫です。

 ・ 航空会社によっては、飛行途中で起こり得る問題を回避するために「主治医のOK」を取るところもあります。この辺は旅行代理店も「診断書等のご準備はお客様毎にお願いします、」というところが多いので、そのように言われたら速やかに航空会社に連絡します。その際「歩けない」ことを告げておくといいと思います。

 ・ このような対応は先々の到着地にも連絡されますから、到着して「?」とならずに済みます。また精神的にも余裕が出ます。

 ・ さて私の体験から。私は妻と行きましたが妻もかなり楽をしました。成田の航空会社カウンターでチェックインした後は到着地のバスに乗るまで、彼女は私から機内を除き私の移動の手間から解放されました。航空会社社員が専用車椅子で集合カウンターから搭乗口まで、後はキャビンアテンダント(機内乗務員)が座席まで押してくれます。当然優先搭乗ですから、機内荷物もラクラク。なお機内は狭いので専用の車椅子があります。但しファーストクラスにありますから、利用のときは早めに客室乗務員に頼みます。搭乗中はしばしば顔を見に来てくれますし、万が一の際も大丈夫です。外国人の乗務員のほうが慣れている感じでした。一度トイレ内でオフになり妻は焦ってしまいましたが、乗務員にあわてず対処方法を指示しただけで、彼女たちは私を座席に戻しました。降機の時も最後にはなりますが、必ず誰かが付いてくれます。書き忘れましたが、出入国手続きも乗務員専用でしたので、パスポートを渡しあっという間に終わりました。なかなか得難い経験なので、興味津津でした。長い搭乗口までの通路も、エスカレーターもなく、本当に楽です。

 ・ このような体験をするには、申し込んだ内容が間違いないか2日前に「再確認」しておきましょう。

 ・ また旅行会社や航空会社から「お願い」があれば、出来る範囲で協力します。例えば集合時間は健康な方より5分早く、など簡単でも「こうだったらいいのにな」と思いつくままに協力しましょう。ああこんなのいかがでしょう「添乗員さん、私がいますから○○して下さい」など。

 

2.行く日はめちゃ長く、帰る日はあっという間。薬は多めに持ち、少なめから合わせる

 ・ このテーマはまったくの個人の感想です。出発前に主治医とよくご相談ください。

 ・ ヨーロッパは当然ですが西にあります。東からも行けますが、あまり一般的ではないので、ここでは「おおい、太陽待ってくれ!」を前提にします。やはり太陽は偉大です。一般に太陽の背を見ながら走る(飛ぶ?)ほうが、背を向けて飛ぶより時間に対する感覚は早く順応します(間違ってたらごめんなさい!)。

 ・ さて私たちは「なにはなくとも江戸…失礼、L-Dopa」です。この薬は効きすぎるとジスキネジア、効きが悪いとオフと、本当に厄介です。この厄介な薬の飲み方を考えます。

 ・ こころウキウキなあなたに質問です。「この旅行で、あなたは何時間時間を失いますか、それとも得しますか?」正解は「損も得もしない」です。もし損したら大変です、帰ってきたら浦島太郎ですよ。つまり、時差があるだけで時間そのものは変わりません。

 ・ 恐らく出発時は誰しも楽しさでいっぱいですから脳内のドーパミンはガバガバ出ています。ここに通常のL-Dopaを飲んだら、完全に飲みすぎでしょう。時間は長いが薬は少なめに、が良いと思います。ただし主治医の指示優先をお忘れなく。

 ・ 反対に帰りは「あ〜あ、終わっちゃった」です。気持ちの落ち込みで動きが悪ければ飲めばいいだけです。意外と行きのことは様々心配しますが、帰りのことは心配していません。帰りの心配をしておいた方が…、えっなにもう準備した、あなたは完全にパーキンソン病です。

 ・ さあこの薬を旅行中にどの位飲みましたか?帰国後お尋ねすれば、「あら、思いのほか飲んでいない!」方が多いのではないでしょうか。モノの本にこの病気の専門医が「旅行はいいですよ」と書かれた意味がわかります。

 ・ なお薬は一か所に持たず、荷物のあちこちに分けて持ちます。そうしないと万が一荷物がどこかに消えた瞬間、私たちの旅行は闇の中です。私はスーツケースに「予備の予備」をリュックサックに「予備」、そしてウエストポーチに「通常」の薬を入れました。リュックサックは危険では?…、ドイツは大丈夫でしたよ。

 

3.時計は2つ持つ。ひとつは”In Japan”、もうひとつは”Out of Japan”で。

 ・ 近頃は「電波時計」なる優れモノがあります。どこへ行ってもその場所の時間に変わるヤツです。これは時刻合わせが不要で便利ですが、意外と不便なこともあります。

 ・ 私たちは計算、特に暗算は苦手の方が多いのではないでしょうか?病院に入院したりDBS経験者の方はイライラした思い出の計算「100から7ずつ引いて…」を思い出して下さい。得意げに始めても、2つ3つでダウンしますよね。あれは「長谷川式」というれっきとした検査法のひとつですが、主治医曰く「頭を刺激するにはいいのよ」。

 ・ 日本に身寄りがいない方は別ですが、そうでない方は「せっかくヨーロッパにまで来たんだ、電話でもしてみるか」となり、おもむろに電話します。「あれ、留守かな?」と思い、再度掛け直し待つこと10コール、不機嫌な声で「もしもし、だ〜れ?」。そこにハイな声で「元気?」なんて言おうものなら、今何時だと思ってるの!!!と怒りの鉄拳、思い出す方もおられるのでは。

  ・ そうです、時差があることを私たちはすっかり忘れるのです。「でも、時計は…」違うんだなぁ〜!こんな時や「今ごろ家では…」と思ったとき、日本時間をすぐに計算できる患者はあまり…と思います。

 ・ 時計は2つ持ち、ひとつは現地時間に、もうひとつは日本時間のままにしておきましょう。電話に限らず、帰りの飛行機の中でも大活躍します。帰りの時差調節には「寝るのが一番!」ですから、帰りの飛行機に乗ったら、即「日本」時間に戻さないと、薬のこともあるしねえ。帰りは疲れるんです、夢がないから。そんな時、時計は浮かれた自分を戒め、自分をいち早く「日常生活」に戻してくれるのです。

 

供ゥ茵璽蹈奪僂蓮嵎〇禮餡函

私はドイツとスイスに行きましたが、どちらも社会的にも国民性も日本とは大違いです。非常にフレンドリーですから、身振りで話せば大概伝わりますし、50歳以下は英語も使えます。もちろん、片言で構いません。逆に「真面目にしている方」が変に思われるかも知れません。

障害者として行ったのはドイツですから、これからはドイツを前提にお話しします。

1.空港で

 ・ まずビックリしたのが、空港の対応です。日本も決して劣る訳ではありませんが、ドイツはその上を行っていました。

 ・ もちろん飛行機から降りたのは一番最後でしたが、空港に迎えに来たバスにはもっとも早く着きました。空港は意外と歩く距離がありますから、無理せず車椅子を頼みましょう。また事前に「航空機の降り口で自分の車椅子を使いたい」と言っておくと、そのとおり飛行機の降り口で待つこと約1分で、機体の荷物倉庫から車椅子が先に出て来ました。そしてすぐに乗ることが出来ました。そこからは現地の航空会社スタッフ(腕回りは日本人女性のウエスト位あったような…)に、これまた裏道でひっぱりまわされ入国審査もクルーの窓口、預けた荷物も気が付けば手元にあり、はっきり言えば「優しくぐるぐると引きまわされ」バス乗り場に置いて来られた、という感じでした。

 ・ これも予めお願いしておいたから、だと思います。海外では「身障者」であることを誇りに思えました。

2.街中で

 ・ 快適なドイツですが、唯一困ったのが街中の探索でした。

 ・ どこも同じだと思いますが、ヨーロッパは石畳が多いのです。これにはさすがの妻も閉口しました。車椅子は溝にハマってさあ大変、ドジョウは出て来ませんが「妻のひたい」には汗がひたたり落ち…、のはずでした。しかし平均年齢70歳以上のオジサン軍団が車椅子を順に押してくださり、ほんとに大助かりでした。

 ・ ヨーロッパで恐らく公衆トイレはチップ制だと思います。日本からドイツに到着し、まだ買い物しないので、小銭がありません。もし何回もいかれるのなら、小銭は次回のトイレのために保管しましょう。ところがドイツでは障害者用トイレがチップ入れの前にあり、無料で使用できます。車椅子でももちろんOKです。ただし鍵がかかっていますので、近くにいる管理人に鍵を開けてもらいます。ただいつも近くにいるとは限りませんので、ご自分の限界が来る前に対応した方がいいと思います。なお高速道路のSA・PAのトイレも同じです。

 ・ その他は、快適そのものです。どうかドイツの街並みをお楽しみ下さい。

3.気候

 ・ 私はドイツに二回行きました。一回目は10月、もう一回は6月でした。

 ・ 秋はものすごく気温の変化が大きく、晴れると夏降れば冬でした。朝起きたら、雪が舞っていたこともあり、雨の日は日本より肌寒かった気がします。また晴れると紫外線が強いのか暑く感じました。

 ・ 打って変って、6月は暑いのひと言でした。日本との大きな違いは日が長いことです。記憶ですが、夜8時でもお日様が出ていて、10時でも明るかったような。そして朝も4時には日が昇っていた気がします。緯度の違いを感じました。

4お土産

 ・ PD患者はお土産のことを心配してはいけません。何はなくとも「元気な姿」が最高のお土産です。

 ・ そうはいっても、と考えてしまう方。基本は小さくても使ってもらえるものが良いのでは。私はいつも地元のスーパーマーケットに行き、他愛もないものを大量に買い込みます。文房具・雑貨が多いですね。ドイツ製品は質実剛健な感じがいつまでも使えそうな感じを生み、オススメです。

 ・ そうそう注意すべきことは、ソーセージ・サラミは日本に持ち込めません。検疫で必ず没収されます。

 

掘イ修蹐修躓△蠅泙靴腓Δ、日本へ。

 ・ 帰国時は今までの逆をします。とにかく少しでも早くラナ…ではなく、日本の生活に合わせます。「時間」も「睡眠」も「思い出」も、すべては日本に一刻も早く合わせる必要があります。

 ・ 私たちは「病人」です。そのことを旅行中にサッパリ忘れて楽しみました。今度はすっかり病人に戻る準備をしましょう。

 ・ まず変わった「体内時計」を戻します。今日一日は残念ながら「一日が短い」のです。そのために海外時間の時計から日本時間の時計に変えます。そうすると、大概夜中だ、と気が付きます。夜中にすることとは「寝ること」です。

 ・ 眠剤を飲んでも、なにしても構いません、ひたすら寝ます。そうしないと睡眠不足で帰ります。睡眠不足はどうなるか、言うまでもありません。成田(今後、羽田や関空、セントレアもありますが…)に着いて動かなければ、家に帰れません。決して飛行機の中で映画を見ている余裕はないのです。

 ・ 帰国時も事前に依頼しておけば、航空会社は出国時の反対の手助けをしてくれます。行くときだけでなく帰りの時も考え、航空会社にサービスを依頼しましょう。

 

 ・ 気を付けてお帰り下さい。

 

2010.09.23 File作成 sophia
Apple カフェへリンク
感想をお聞かせください









1