2006.04.20更新

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DBSの長期経過ー外国の文献より

by K.T.

文献1
「PD患者の両側性DBS:多施設での4年間の経過報告」

ロドリゲス オロズ 他
ナバラ大学CIMA神経学、脳外科、パンプローナ、スペイン
脳 128巻2240頁2005年

DBSは術後6−12ヶ月後も重症PDに有意な運動障害の改善をもたらす。多数例の長期結果については単一施設からのみであったが、今回多施設での両側性視床下核(STN)刺激49例、淡蒼球内節(GPI)刺激20例の計69例についての報告。
患者は術前、1年後、3−4年後に検査された。主要な結果は3−4年後の薬剤オフ時のUPDRS-IIIのスコアの変化であった。STNまたはGPI刺激3−4年後で有意にUPDRS-IIIスコアの改善が薬剤オフで50%と39%に見られた。主要症状と日常生活動作(ADL)の改善は各々STNでP<0.0001、GPIでP<0.02の有意差でみられ、ディスキネーシスなしの動作ですごせるオンの時間は延長した(P<0.00001)。STNグループでのみレボド―パの服用量は有意に減った(35%、P<0.001)。刺激後1年と3−4年とを比較すると、STNとGPIの両者でUPDRS-IIIの薬剤オンでの動作とADLと歩行の有意な悪化が、そしてSTNでは言語と姿勢保持の悪化が見られた。副作用として認知低下、言語障害、不安定さ、歩行障害、抑うつが見られた。これらはSTNグループでより顕著だった。しかし、これらの副作用のため治療を中断した患者はいなかった。はじめての多施設における長期のSTN またはGPI刺激効果を示した今回の研究は、重症PD患者での少なくとも3−4年の治療効果を示すうえで意義のあることと考える。

Bilateral deep brain stimulation in Parkinson’s disease: a multicentre study with 4 years follow-up
Rodriguez-Oroz MC et al.
Brain 128:2240,2005

                                    
文献2
「PD患者視床下核刺激4年後の効果:二重盲検と非盲検テストによる評価」

ロドリゲスーオロズ MC 他
神経、脳外科、精神科学雑誌 75巻1382頁 2004年
ナヴァラ大神経内科、脳外科、パンプローナ、スぺイン

目的:重症PD患者の視床下核の深部刺激(DBS)4年後の効果判定。

方法:視床下核深部刺激を施行した重症PD患者10人の薬剤オフ状態で二重盲検交叉試験を行った。評価はUPDRS轡好灰△肇織ぅ爛謄好函別註:30冦イ譴2点を交互に60秒でたたける回数で示す腕のタッピングテストと4.5mを往復するのに要した時間で示す歩行テスト)で行った。術前と1年後、4年後の薬剤オン、オフ時におけるDBS効果の判定は非盲検テストで行った。後者はUPDRS供米常生活動作)とUPDRS掘淵献好ネジア スケールとグローバル アセスメント)を含み患者と検者で行った。
結果:刺激の有意な治療効果がUPDRS(運動)とタイムテストですべてのグループで見られた。(有意率P<0.04)また非盲検テストでも術前と比較して、運動と日常生活動作、ジスキネジア・スケール、グローバル・スケール(訳註:改善なしまたは悪化=0、25%以下の改善=1、25-50%の改善=2、50-75%の改善=3、75%以上の改善=4)などに刺激の有意な効果が見られた。レボド―パ服用量は1年後に48%、4年後で50%、低下した。1年後と4年後とに症状の有意な差はなかった。刺激の副作用はわずかだった。
結論:重症PD患者への視床下核深部刺激は4年後も持続的で有意な治療効果があった。

Efficacy of deep brain stimulation of subthalamic nucleus in Parkinson’s disease 4
years after surgery: double blind and open label evaluation
Rodriguez-Oroz MC et al.
J.Neurol.Neurosurg.Psychiatry. 75:1382, 2004

文献3
「運動障害における脳深部刺激ー適用の再考」

ヴィッサーヴァンデワレ 他
マースリヒト大学病院脳神経外科、マースリヒト、オランダ
ベルギー神経学雑誌、104巻33頁、2004年

本研究では重症PD患者でのDBSの役割について再評価し、運動障害分野での新しい適応を開拓した。
著者らは26名の重症PD患者で一側淡蒼球刺激を行った。長期フォローの結果は運動機能への効果は不満足なものであった。著者らは一側淡蒼球刺激は重症PD患者にとって好ましい処置とはいえないと結論した。両側視床下核刺激を重症PD患者20人に行った。すくなくとも4年の経過観察では、すべての患者で運動機能と機能的動作の改善が認められたが、厄介な副作用として4名は刺激によって誘導された軽躁ないし躁状態を示した。
多系統萎縮症(MSA)のパーキンソン症候群の患者4名に両側視床下核刺激を行った。長期経過観察で刺激ありは刺激なしより、うまく動作できた。
最後に両側視床下核刺激の新しい適応として、トゥレット(Tourette)症候群(TS)3名に両側視床下核刺激を行い、全例でチック(訳注:不随意性の筋肉収縮)と動作障害は消失した。

Deep brain stimulation in movement disorders. The applications reconsidered.
Visser-Vandewalle V et al.
Acta Neurol.Belg. 104:336,2004

文献4
「両側視床下部刺激によるPD患者の長期のクオリティオブライフ(QOL)の利点」

リオンス KE ,パーワR
カンサス大メディカルセンター、神経学、カンサス、アメリカ
神経外科学雑誌 103巻252頁2005年

目的:本研究の目的は両側視床下核刺激(STN)後のPD患者の長期のQOLへの利点を評価することと、運動機能の改善とQOLの関係を評価することである。

方法:両側STNの施行後少なくとも12ヶ月のフォローアップ調査に参加した71人の患者。
59人は12ヶ月の調査を、43人はすくなくとも24ヶ月の調査を受けた。患者の症状は薬剤オンとオフでUPDRSのスコアで行い、QOLは39項目のPD質問表(PDQ-39)を用いた。患者評価は手術後、刺激の期間中繰り返しおこなった。

結果:UPDRSの日常生活活動(ADL)と運動のスコアはPDQ-39の全体、運動能、情緒安定性、患者の心理状態{烙印(stigma)}、身体的不具合のスコア同様に12ヶ月の時点で基準値より改善していた。最長調査期間でもUPDRSのADL、運動スコアとPDQ-39の全体、運動能、ADL, 情緒安定性、烙印(stigma)、身体的不具合などのスコアは基準値と比べ有意に改善していた。UPDRSの運動、ADLスコアとPDQ-39の全体、運動能、ADLスコアとは相関していた。さらに調査すると、震えはPDQ-39のADLサブスコアとのみ相関し、固縮はどのQOLの側面とも相関していなかった。しかし、ブラディキネジア(動作緩慢)はPDQ-39の全体、運動能、ADLスコアの改善と強い相関があった。
結論:両側視床下核刺激(STN)後のQOLの改善は長期にわたって保持されていた。この改善は運動機能、特にブラディキネジア(動作緩慢)の改善と強く相関していた。

Long-term benefits in quality of life provided by bilateral subthalamic stimulation in patients with Parkinson disease.
Lyons KE, Pahwa R.
J Neurosurg.103:252.2005

文献5
「重症PD患者両側視床下核刺激(STN)の長期効果:4年間のフォローアップ研究」

ヴィッサー ヴァンデワレ 他
マースリヒト大学病院脳神経外科、マースリヒト、オランダ
パーキンソン症関連疾患誌 11巻157頁2005年

本研究では重症PD患者への両側高周波STNの最短4年の長期効果を検討した。
患者は男性15人、女性5人の計20人で平均年令60.9±8.1才。手術は局所麻酔で行われた。ターゲットはCTで確認された。3ヶ月目にUPDRS(運動機能)で、薬剤オフで42.3±9.3から19.5±6.4に、薬剤オンで18.6±12.1から10.1±5.9へと有意な改善が見られた。UPDRSa(ディスキネジア)と牽(症状の日内変動)でも有意にスコアは減少した。
長期の経過観察では、刺激中はオフでも、UPDRS(運動機能)スコアは42.3±9.3から24.2±13.2へと有意に改善し、全ての運動機能サブスコアも同様であった。
オンでは固縮のみが有意に改善した。副作用は4人に躁ないし軽躁が見られた。
今回の結果は、重症PD患者において高周波STNは運動機能、ADL,機能的動作の長期の改善をもたらすことを示したが、行為の変化も誘導したことは考慮する必要がある。

Long-term effects of bilateral subthalamic nucleus stimulation in advanced Parkinson disease: a four year follow-up study.
Visser-Vandewalle V et al.
Parkinsonism Relat Disord. 11:157,2005

文献6
「パーキンソン病の視床下核刺激ー5年後の経過」

シュバック WN 他 
サルペトリエ病院臨床研究センター、パリ、フランス
神経学、脳神経外科、精神科学雑誌 76巻1640頁2005年

背景:レボド―パ反応性の進行性PD患者に対する両側視床下核刺激(STN)の短期の効果はよく知られているが、長期にわたる効果はまだ不明である。
目的:本研究はSTN術後5年のPD患者を追跡調査したもの。
方法:両側STN施行37人のPD患者を連続して術後6,24,60ヶ月後に評価した。
パーキンソン病性動作不能はレボド―パの有無、STN刺激の有無で評価した。神経精神学的および気分の評価はマチス認知症スケール、フロンタルスコア、モントゴメリー・アスバーグ鬱病評価尺度(MADRS)を用いた。
結果:手術直後およびその近辺の重篤な副作用はなかった。6人の患者は死亡し、1人は行方不明になった。術後5年で、1)UPDRS兇砲茲ADL(日常生活活動)はSTN刺激下薬剤オフで40%、オンで60%改善した。2)UPDRS靴離僉璽ンソン病性運動不能度はオフで54%、オンで73%改善した。3)レボドーパ関連運動障害の合併は67%軽減し、毎日のレボドーパ服用量は58%減少した。MADRSは変化しなかったが、認知作用は有意に低下した。持続性の副作用として開眼失行、体重増加、レボドーパ依存性、軽躁、脱抑制、抑うつ、発話困難、ジスキネジア、無気力などがあった。
結論:多分、疾患の進行によると思われる中等度の運動と認知の低下は認められたが、運動機能の著明な改善が術後5年でも保持されていた。

Stimulation of the subthalamic nucleus in Parkinson’s disease: a 5 year follow up
Schupbach WM.et al.
J.Neurol.Neurosurg.Psychiatry 76:1640,2005

文献7
「PD患者への深部脳刺激(DBS):結果のメタ分析」

ウィーバー F 他
エドワード ハインズ ジュニア 退役軍人病院、健康サービス政策研究中西部センター、イリノイ、アメリカ
脳外科学雑誌 103巻956頁2005年

目的:進行性PD患者を治療するDBSの標的は視床下核(STN)か淡蒼球内節(GPI)のいづれかひとつに焦点が絞られてきた。65以上の論文の著者たちは、両側DBSについて報告し、ひとつの例外を除いて、これらの研究は同一症例について、術前術後の比較をしている。STNとGPIを直接比較するデータが乏しいにもかかわらず、多くの臨床家はSTNの方がより好ましい標的部位と考えてきた。本研究ではSTNとGPIのDBS後の患者の成績について文献上のメタ分析を行った。
方法:メタ分析は31例のSTNと14例のGPIについて行った。運動機能は刺激後、有意に改善し(STNの54%、GPIの40%)分散値はおのおの2.59と2.04であった。
参加者と研究特性を調節すると、両者は術後同等の運動機能改善があった。(p=0.094)ADLは両者で有意に改善した(40%)。薬剤要求量はSTNで有意に減少し(ES=1.51)たが、GPIでは変化なかった(ES=0.02)
結論:本分析では多時点での統一的で総括的な運動、非運動機能のDBS効果の詳細な報告と両側STNとGPI DBSの無作為試行の必要性を強調した。

Deep brain stimulation in Parkinson’s disease, a metaanalysis of patient outcomes
Weaver F. et al.
J.Neurosurg. 103:956,2005
2006.04.20up

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