設 立 2003年09月26日
移 動 2004年05月13日
更 新 2008年09月26日
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死刑に関する制度について

死刑執行方法
死刑執行 死刑執行に関するプロセス
日本における死刑執行方法は「絞首刑」と定められている。この執行はどのように行われているのだろうか?これらの執行は極限られた人々しか立会ができないため、その詳細に関しての記述もまちまちである。これは時代・場所によって大きく執行方法が異なるということであろう。また、日本の死刑執行は秘密裡に行われることから、残虐、非人道的であるという批判も少なからず見受けられる。

この項ではリークする資料を総合的にまとめて死刑執行のプロセスを記述する。また下記に表示した「刑場模式図」は拘置所によって詳細が違うが、2003年7月23日、2007年11月26日に衆議院法務委員会が行った東京拘置所刑場視察に基いて描画してみた。なおこのホームページではなるべく猟奇的にならないよう留意しているつもりであるが、この項ではある程度踏み込んでいること、また死刑執行方法については情報が非常に少ないので、伝え聞く「部屋の造作」「執行手続」「海外の事例」等から勘案した筆者個人の推測も入っていることをあわせてご了承いただきたい。

法務大臣が死刑執行命令書に署名すると5日以内に死刑を執行しなければならない。ほとんどのケースで死刑執行命令書署名日の5日目、朝10時に死刑が執行される。1名の執行時間は入室から退室(出棺)まで1時間以内と推測される。アメリカでは死刑執行は夜中0時〜2時くらいに行われるが、これは民族性の違いだろうか。尚、同一の拘置所で2名が執行される場合でも午前11時過ぎに執行が発表されるので、複数執行の場合は恐らく午前9時頃から執行が開始されるのだろうと思料される。

以前は各地の拘置所長裁量の判断により、死刑執行前日または前々日に所長室に死刑確定者が呼ばれ死刑執行を通達し、本人立会いの通夜がその夜執り行われた。その通夜では死刑確定者の希望通りのメニュー(寿司が多いという)が並んだそうで、まさに『最後の晩餐』であったようだ。またそれ以前には死刑確定者の家族が臨席していた拘置所も存在していた。しかし1975年福岡拘置所で死刑確定者がその当日自殺してしまったことから執行当日の言い渡しが慣例化した。

この死刑執行は極秘であり、死刑確定者の家族、弁護士、被害者遺族、マスコミにも一切知らされない。つまり前日に遺書を書きたいと思ってもかけず、死刑執行直前に書く程度(保坂展人氏のブログによればその時間もない可能性がある)である。尚、死刑廃止派の保坂展人代議士のブログ等によれば死刑廃止派に対して執行前日に極秘裏に情報が複数筋からリークされているようであるが、これは法務省内部に情報提供者がいるということであり、法務省がオフィシャルに通達しているものではない。
      保坂展人のどこどこ日記〜2月1日、深夜の死刑執行の中止緊急要請
刑場 刑場の仕組みと手続き
死刑場は各拘置所によって配置が違う。地下にある拘置所(東京拘置所、名古屋拘置所)もあれば、2階にある拘置所、別棟に刑場がある拘置所もある。どちらにしてもそのドアに『刑場』とは書いてはいない。ここでは2003年7月23日、2007年11月26日に衆議院法務委員会が行った刑場視察でかなり明らかになった東京拘置所刑場について述べていくが、基本的な進行方法、執行方法等は各拘置所・拘置支所においても同様であろう。どちらにせよ日本の刑場は地下降架式絞首刑を採用している。階段を使って刑壇に上がる階段降架式絞首刑は死刑確定者が暴れる場合危険を伴うので廃止され、現在では地下降架式絞首刑を行っている(ちなみに階段降架式絞首刑の場合13階段ではなく17階段だったらしい)。

東京拘置所の場合、地下1階/2階に刑場が設けられている。死刑確定者は地上12階近辺に拘置されているということなので、恐らく死刑確定者はエレベータにて地下1階の刑場に向かう。同行する刑務官は5名程度と思われるため、貨物用エレベータが使用されるかもしれない。また貨物用エレベータであれば死刑確定者の遺体搬出にも使われるのだろう。地下1階に到着すると廊下を歩いていく。刑場には重厚な観音扉があり、そのドアを開けると約12畳の部屋がある。

この部屋は待機室であり、中には拘置所長・検事・検察事務官・総務部長・処遇部長・教誨師・医官などが待っている。拘置所長は立会いを義務付けられているが、代理が認められる(刑事訴訟法第477条)。しかしながら基本的には所長本人が立ち会うということである。検事と検察事務官も立会いを義務付けられており、また拘置所長と検事が認めた者しか刑場に立ち入ることはできない(刑事訴訟法第477条)。

刑場に入ると拘置所長により死刑執行指揮書が読み上げられる。読み上げられると死刑確定者と立会人の間で多少の会話がなされる。また待機室の正面には祭壇が設けてあり、仏教徒の死刑確定者の場合、小さな阿弥陀如来像(保坂氏の証言によれば古びた観音像とのこと。また2007年現在修理中ということで観音菩薩の仏画が掛けられている)が安置されているということだが、他の拘置所刑場の祭壇は死刑確定者の宗派に応じて変更(祭壇は回転式であり、キリスト教・仏教・神棚の祭壇が選択できる)されるということなので、東京拘置所も同様に宗旨にあわせて祭壇が変更されると思われる。ここで自分や被害者に対する祈りの時間が認められ、教誨師が最後の説教を行う。祭壇には心尽くしの供え物がなされており、その飲食(東京拘置所の場合煙草が勧められるかどうかは定かではない)を勧められる。

最後に遺書を書く時間が認められている。残されている遺書を見る限り5分間程度と思われるが、保坂展人氏の証言によれば「拘置所長が死刑執行を言い渡してから執行に移るまで数分間と説明を受けた。」とのことなので、遺書を綴る時間は確保されていない可能性があると指摘している。そして最後に教誨師や立会人(拘置所長等)と別れの挨拶を行い、遺言があれば遺言を遺す。

拘置所により刑場の仕組みはそれぞれであるが、東京拘置所の場合、待機室の右隣にアコーデオンカーテンがある。このアコーデオンカーテンの向こう側が刑場となっている(拘置所によってはこのアコーデオンカーテンがカーテンとなる)。死刑確定者は待機室の中央でアコーデオンカーテンの方を向く。そして複数の刑務官に褌様の白い目隠しをされ、両腕を後に回され手錠が掛けられる。死刑確定者の視界が遮られるとアコーデオンカーテンが音もなく開かれ、刑壇室が表れる。その後刑務官に付き添われて保安課長、教誨師と共に刑壇室に入室する。

この間、拘置所長・検事・検察事務官・総務部長・処遇部長、医官、刑務官2名は廊下を通って執行確認室に向かう。執行確認室はバルコニー状になっており、そこから階上の刑壇室と階下の刑壇地下室が見渡せるようになっている。階上の刑壇室は全面ガラス張りとなっている(他の拘置所ではガラス等は設置されていない)。但し両方とも青藤色のカーテンが掛かっており、その段階では執行状況は確認できないようになっている。保坂展人氏の証言によれば2007年の視察時に拘置所長が「執行が終わり、下層階に死刑確定者が落ちて、ほどなくカーテンを開けて執行されたことを確認する」と説明したとのことである。つまり執行の瞬間は確認していないということになる。

執行確認室に入った者の内、医官2名と刑務官2名は執行確認室に設置してある階段で地下2階の刑壇地下室に向かう。医官と刑務官は降りていった階段の隣(刑壇地下室に設置してあるカーテンの前)に待機する。

一方刑壇室に入室した死刑確定者は、刑務官に誘導され部屋の中央に進む。刑壇室の大きさは8畳〜10畳程であり、床には紫色の絨毯が敷き詰められている。待機室も絨毯が敷き詰められているが、これは目隠しした死刑確定者が足下の感触で刑壇室に入室したとはわからないようにする配慮からである。刑壇室の中央には110cm×110cmの正方形が赤枠で書き込まれている。その中に90cm×90cmの落とし戸があり頭上にはロープが垂れ下がっている。この90cm×90cmの枠が刑壇である。刑壇表面には周りと同じように紫色の絨毯が敷き詰められており、死刑確定者が足下の感触で判断できないようになっている。ロープは頭上の滑車を通って死刑確定者から見て(目隠ししているので見えないが)部屋右前隅に設置してあるウインチの滑車に接続している。ウインチは死刑確定者が落下した時に徐々にスピードを落とすようにする装置であり、落下時に頸部切断等が発生しないようになっている。

刑壇室には死刑確定者に付き添った刑務官3名と保安課長、教誨師が死刑確定者と共に入室する。保安課長は入室して左側にあるドアを開ける。そのドアの向こうには待機していたボタン係の刑務官3名が待機している。刑壇室に入室した刑務官3名は死刑確定者の左後に2人、右後に1人が跪く。この時刑務官は110cm×110cmの赤枠以内には安全確保の為立ち入らない。

この段階で保安課長が執行を指示する。口頭か目配せによるか定かではないが、死刑確定者の恐怖に配慮したとしても執行という重大な命令であるので間違いのないよう口頭による指示がなされると思われる。指示を受けたその刹那、用意していた縄で右後に跪いた刑務官が両足首(または両膝)を縛り、同時に左後ろにいた刑務官2名が首に直径3cmのビニールロープ(または普段から油を引いてある丈夫な縄を使用)を掛け、軽く絞めロープの長さを調節する。ここまで非常に迅速に用意がなされる。結索が終了すると後ろ側から死刑確定者の肩を保持する。

これを確認した保安課長が右手を上げてドアの外のボタン室に待機していたボタン係の刑務官3名に合図を送る。ボタン係の刑務官3名は壁に設置してある赤い押し込み式のボタンをそれぞれ押す。その内のひとつのボタンが通電し(つまり他の2個のボタンはダミー)、油圧システムで一瞬で床板が開き、死刑確定者は階下の刑壇地下室に落下する。3名の刑務官が、ボタンを押す(またはレバーを引く)システムは、刑務官の重圧を少しでも改善しようということなのだろうが、ただ2名分重圧を増やしているかもしれない。ただ過去世界各地で執行されていた銃殺刑においても、分隊が一斉射撃するのでがいくつかの空砲を仕込んでいたという話もあるので、このような方法は刑務官の心理的負担を幾分軽減させる効果があるのかもしれない。
絞首刑のロープ 縄の結び方について
     
(C) Wikipedia
上図はハングマンノット(hangman's knot)またはハングマンノーズ( or hangman's noose)といわれる絞首刑において使用される結索方法である(ハングマンとは「絞首刑にされる人」という意味である)。本来顎の下、または左耳の後ろに結び目を持ってくるのが正しいが、映画等での表現では首の後ろに結び目を持ってきていることが多い。これは首吊り自殺と混同されているものと思われる(ちなみにイラクのフセイン元大統領の執行でも左側に結び目を持ってきていた)。この結び目の位置は窒息目的よりも頸部損傷を目的としており、実際にこの方法で執行された遺体は頸部損傷は激しいことが報告されている。ただ頸部損傷がなくても結び目は簡単には緩まず、下方に力が働くことで輪の部分がスムーズに縮小し気道・血管を締め付け確実に絶命させる。この結索方法は16世紀〜18世紀の英国で考案されたとされ、英国、米国などでの絞首刑において広く使用された。しかしながら現在の日本ではこの結び目部分を金属製の器具に置き換えているらしいので、使用されていないと思われる。また縄もビニール製となっている(輪部分には皮のカバーが付いているという説もある)。
刑壇地下室 執行後の仕組みと手続き
死刑確定者は刑壇が油圧システムで開くと地下2階に落下する。地下1階、2階ともかなり天井が高いことが報告されているが、実際には約4m落下させることが知られている。事前に死刑確定者の身長等は調査されてロープの長さが調節されているため床上30〜60cm前後のところで死刑確定者はストップする。当然激しい反動で、数回上下に大きく揺れる。この勢いで死刑確定者の身体はくるくると回転を始める。

落下した時点で地下で待機する医官2名と刑務官2名の目の前のカーテンが開かれる。そこには今落下してきた死刑確定者がロープで吊るされているのが望見できる。そして刑務官2名が刑壇地下室に入室し両横から回転する死刑確定者の身体を支えて回転を止める。

前述の通り落下の瞬間ロープが頚部を拘束するのだが、降架式絞首刑では延髄損傷、頚骨骨折を起こして即死させるという狙いがある。吊るされている死刑確定者がこの地下降架式絞首刑から蘇生した事例はないため憶測でしかないが、瞬間的に意識はなくなるということである(1959古畑種基鑑定)。現在は縛られているが、手足を束縛しないで絞首していた時期もあり、記録では手は平泳ぎのように、足は犬かきのように、空中を泳ぐような運動を見せるということである。手足を縛られている現在でも死刑確定者の身体が激しく痙攣する様子が確認できる。また落下後1分程度の間は死刑確定者から息が漏れる音が響く。勿論吸うことはできない。

落下後しばらくすると筋肉硬直が解け、失禁(排尿排便)現象が見られるが、執行は続けられる。死刑確定者の体力や心臓の強弱にもよるので一概に何分というのはないということであるが、徐々に呼吸間隔が伸び、最終的に終末呼吸(吸気に続く呼気の後に長い停止がある状態)が落下後15分〜30分してから確認された後、呼吸が途絶し、心臓が停止する。

この段階で医官により検査がなされる。この結果死刑確定者の生体反応が認められない、つまり死亡が確認されるわけであるが、依然執行は続行される。死亡確認後5分間はその状態で放置することが法律によって定められているからである(監獄法第72条)。

こうして死刑執行は終了する。
その他 執行過程から推測する立会人の数
刑事訴訟法第477条において定められている死刑執行の立会人は「検察官」「検察事務官」「刑事施設の長又はその代理者」の3名であり、これは法定立会人ということができる。また拘置所幹部からは「総務部長」「処遇部長」「保安課長」の3名が立ち会うといわれている。実際の執行指揮は保安課長がその任に付く。

また「教誨師」が1名立ち会う。この教戒師は全国で約50名が指定されているが、指定を受けようと思っても非常に狭き門であり、所謂新興宗教の教戒師は指定されていない。信徒数827万世帯1625万人といわれる創価学会は長年教戒師枠の獲得を切望しているが未だ達成されていないと言われている。また「医官」は2名が立ち会うと思われる。これは実際に死亡を確認する医官とそれを記録する医官である。医官1名説もあるが、執行状況の確認は最も重要な項目なので2名が正しいだろう。ここまでで人数は9名である。

問題は刑務官である。監房から刑場までの廊下には警備目的の刑務官が立哨するということであるが、彼等は刑場に入室しない為、カウントしないこととする。そうすると「ボタン係」3名、「執行補佐(刑壇地下室で死刑確定者の身体を支える)」2名、「執行準備(ロープを首に掛ける、両手両足を拘束する)」3名の最低8名が必要となり、これにプラスして刑場警備として2名程度が配置される。実際に刑場に連行するのは「執行補佐」「執行準備」5名が兼務すると思われる。

現在のところ推測する限り、死刑執行立会人は14名〜16名程度ではないかと推測される。
映画における死刑執行の表現
日本における死刑を表現した映画では大島渚監督「絞死刑」(1968)、長澤雅彦監督「13階段」(2003)門井肇監督「休暇」(2007)等がある。それぞれ執行シーンについては取材を徹底しており、リアルな表現といわれている。左はyoutubeで公開されている「絞死刑」のシーンである。時代はかなり遡るが、実際の執行手続きがナレーションにて解説されている。
参考資料 当ページにおける刑場図について
当ページにおける刑場図は週間ポスト2008年7月18日「[独占インタビュー]鳩山法相「私はこうして半年で13人の死刑執行を命じた」」内の「■東京拘置所の刑場図/イラスト・寺垣ひでのり氏」を参考に作成いたしました。この図は保坂展人氏の視察の記憶に基いている為、部屋の配置などはかなり正確だと思われます。ただ週間ポストの図は保坂展人氏や佐久間哲氏の過去の記事による記述と比較してかなり部屋の広さなどに大きさに誤差があるようでした。両氏の面積等の記述が正確であれば上記のような刑場図となると思います。但し冒頭で述べたとおり、かなり筆者個人の推理も入っており、当図の責任は全て筆者にあります。尚、製図は「せっけい倶楽部」というソフトを使用しました。
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