
パラグアイの政治(大統領選挙1・党内候補決定まで)
5年に一度の大統領選挙戦が始まっています、98年の 8月15日には新大統領が就任し、新政権が発足することになっているのですが、果たして誰がその椅子に座ることにことになるのでしょうか?(下に古い記事があります)
大統領候補は与党赤党・ラウル・クーバス・グラウ氏(写真右)と与党連合・ドミンゴ・ライーノ氏(写真左)に決定、いよいよ選挙に向けて両者の戦いが始まります。次の焦点は選挙日です。与党側から選挙の1ヶ月程度の延期が議論されています。日本等の先進国に住んでいると一党の内部紛糾で国政選挙のスケジュールが変わる等考えられないことかも知れませんが、現在真剣に討議されています。不慮の事で大統領候補が変更となり短期間の選挙戦では国民の民意を十分に把握出来ないという論理なのだそうです。
野党連合は選挙に対して十分な用意が出来ており、主要道路では支持者が自動車に貼る宣伝ステッカーを配り支持を訴えています。
大統領候補(左:ライーノ氏、右:クーバス氏)
この日のABCコロールの一面は「大統領候補者は選挙の延期を望まない」というタイトルで二人の写真を掲載しています。
赤党
最高裁は3月9日に軍事特別法廷で行われた、リノ・オビエド元将軍が1996年4月に起こした軍事的混乱の罪による禁固10年の判決を承認した。判決は5−4であった。これでリノ・オビエド候補の大統領候補は無効となる可能性が強く、この場合には選挙規定によると与党・赤党の大統領候補はオビエド元将軍と副大統領候補で組んだラウル・クーバス・グラウ氏、また副大統領候補としては大統領候補次点のアルガーニャ氏が繰り上がることになります。
また、全米首脳会議の為にチリを訪問しているワスモシ大統領は、報道官を通じて「大統領選挙の5月10日の期日ならびに最高裁の判決を尊重する」との談話を発表した。
*一夜明けても市内は非常に平静で心配したような混乱は起きていません。今後はこの判決に従い、与党候補が一本化出来るのか、5月10日に迫った大統領選挙に臨めるのか、もしくは混乱が深まるのか注目されるところです。
ワスモシ大統領としては2年前に自分に対してクーデター騒ぎを起こしたリノ・オビエド氏の有罪判決は尊重するでしょうし、国内外の世論から選挙は実施される可能性が高いと思います。これでたとえ与党が一本化して選挙戦に臨んだとしても準備不足は否めず40年以上続いた政権を失う可能性も出てきたのではないかと思います。
有力紙の反応(18日朝刊)
「ABC
コロール」リノ・オビエド氏寄り)
見出しは「最高裁は軍事特別法廷の判決を承認」というタイトルで最高裁9人の判事を写真入りで紹介、オビエド派の反対意見を掲載するなどしているが最高裁の判決自体は尊重。また「ワスモシ大統領はクーバス候補を支持することを約束」との記事も載せている。
「ノティシアス」
(アルガーニャ氏寄り)
見出しは「共和国は救われた」とあり、リノ・オビエド10年間・拘留決定までの経緯という20ページにも渡る特集を掲載している。
赤党
次第に状況が理解出来なくなり、不透明感が増している赤党候補。本日複数の新聞(ABC他)によると、「軍事特別法廷はリノ・オビエドに1996年4月に起こした軍事的混乱の罪により、禁固10年の判決を出した」と報道した。
ABC紙はこのところ連日のように「ワスモシ−アルガーニャ・グループが選挙の延期を企んでいる、これはクーデターと同じだ」という批判キャンペーンを行っている。
赤党
与党・赤党・選挙管理委員会は正式にリノ・オビエド候補が党内候補選挙に勝利したと発表し、アルガーニャ候補もこれを認める発言をした。これにより、5月に行われる選挙は与党リノ・オビエド候補、対野党連合の一騎打ちとなる事がほぼ確定しました。
赤党
ワズモシ大統領がリノ候補を拘留し、裁判にかけるかけないでもめているようです。次第に素人にはよく理解出来ない状況になって来ています。一部には大統領選挙そのものの延期、もしくはワスモシ大統領による「アウト・ゴルペ」要するにクーデターを大統領自身が行う等のうわさも流れています。3月には大統領候補者を登記しなくてはならないのですが、クリスマスが近づき、バカンスシーズンに入り調整は難航しそうな気配です。
赤党
ワズモシ大統領が昨年リノ候補の拘留を強行しようとして、リノ・オビエド氏の自宅はものものしい騒ぎになっています。両者の対立は決定的になって来たようです。
リノ・オビエド氏自宅の包囲
赤党
ワズモシ大統領が昨年リノ候補がクーデター騒ぎを起こした責任があり、30日間の拘留を求めた。実際は拘留は実現せず、といって大統領候補に正式になったわけでもなく、依然として中途半端な状態が続いています。
赤党
リノ・オビエド候補は党が最終決定が出ないことに対して「自分から候補者の権利を剥奪することになれば自分の支持者に一斉蜂起させて国中の交通を麻痺させる、これには200人にゼロが3つつくだけの人が参加するだろう、ワスモシ大統領、米国、ブラジル大使が自分に反対したのが選挙に有利に働いた、自分が政権に就いた時には自分を支持してくれた人を軍幹部ならびに大臣にするだろう、政府の主な建物にはパラグアイ国旗と共に赤党の党旗を掲げるようにしたい。」等と述べたと最大紙ABCは伝えた。
青党・エンクエントロ連合
青党の選挙は28日に行われ、大統領候補としてライーノ候補が全体の三分の二を獲得して大統領候補になり、早速エンクエントロ党から選出された副大統領候補のフィリソーラ氏と会談、もめている赤党との対照を見せた。
これで赤党候補との事実上の一騎打ちの様相となっています。前回はこの両党が独自の候補を出したことが赤党勝利の最大要因と言われていただけに今回の両党の連合がスムーズに進んだ事は今後の政局に大きな影響を与えるでしょう。(赤党には結束しないと負けるという危機感が出ている。)
赤党
赤党選挙管理委員会はリノ・オビエド候補の勝利を通告したもようです。選挙実施後16日間かかりやっと出た結論ですが、アルガーニャ候補陣営は納得しておらず、提訴する予定。リノ候補の得票も有効得票の三分の一を少し上回る程度で、党内がリノ・オビエド候補で一本化出来るのかまだ流動的です。
赤党
リノ・オビエド候補のリードは約7千票で、差は全有効票の1%程度、まだ最終決定は出ていません。もう少し時間がかかりそうです。
青党
28日に党の大統領候補を決定する選挙が行われます。ドミンゴ・ライーノ氏とティト・サギエールの一騎打ち。ドミンゴ・ライーノ氏が一歩リードがしている、選挙戦は終了して来週の選挙を待つばかりである。
エンクエントロ
前アスンシオン市長である、カルロス・フィリソーラ氏が副大統領候補に指名された。今回は対立候補も無く、信任投票の色彩が強かった。来週の青党で選出される大統領候補と組み、赤党の候補と争う。
リノ候補支持者とアルガーニャ候補支持者に対してどちらが勝にしても選挙管理委員会のメンバーは糾弾されることになるので、開票は完全にストップしてしまいました。リノ候補を支持するABC−コロール等はリノ候補が勝利したことを前提に党内有力者(リケルメ氏、セイファート副大統領等)との話し合いに臨んでいることを伝える一方、経済誌では企業家が心配している様子などを伝えています。党内の調整にしばらく時間がかかる見込みです。
9月13日、夕刊ウルティマ・オーラの一面
夕刊誌・ウルティマ・オーラでは一面でリノ候補とアルガーニャ候補が鉛筆を削り、互いの得票にバツ印を付けている漫画が掲載されて「赤党内では、非難の応酬の為に鉛筆が削られた」との見出しが出ていました。
一方野党第一党の「青党」の方も党内選挙が9月28日に行われるので、アスンシオン市内にも多くのポスターが貼られ、新聞には候補者の広告が出るようになっています。世論調査(ABC−コロール)によりますとライーノ党首が58%の支持を獲得して2位のサギエル候補を大きく引き離して有利であることが報じられていました。
第3党「エンクエントロ・ナショナル」との連携も話し合われており、2,3党が一つにまとまり、統一候補を出すことが出来れば野党側にも多いに勝利のチャンスはあると思います。赤党が政権を握ったのはもう50年くらい前で誰も政党が交代しての政権交代の記憶は無く、まさに未知の世界です。
開票が進むにつれてリノ候補とアルガーニャ候補との差は1万票にも開き、リノ候補有利な展開となっていますが、まだ正式な発表はありません。リノ候補で党内がまとまるのか難しい情勢と言えます。
8日(月)には開票がどんどんと進む予定であったのですが、遅れていて、午後になっても発表される情報は少なく、勝利を確信しているリノ候補の支持者達が赤党本部に押し寄せ騒ぎ出し、地方から投票用紙を持って党本部に向かう人達は危険を感じて本部に近寄れない状況となりました。その為に開票作業は予定よりも早く打ちきられて、ますます遅れる様子です。
現在までの開票を見る限りでは、リノ候補、アルガーニャ候補の得票は接近しており、ほぼ互角の戦いになっています。
昨日、予定されていた全国一斉に赤党の選挙が行われました。心配されていたような大きな混乱は無かったようです。当初、党の予定では、今日には開票が終わり集計して新しい党の大統領候補を決定する予定であったらしいのですが、大方の予想通り、混乱しているようで、まだ最終結果は出ていません。
現在の状況はルイス・マリア・アルガーニャ候補とリノ・オビエド候補がそれぞれ35%程度の得票を得てほとんど並んでいるようです。3位のカルロス・ファセッティ候補は25%程度の得票で敗北は決定的になっているようです。果たしてどちらの候補を赤党の候補者とするのでしょうか?
なお、本日の新聞は各紙それぞれ選挙の特集を載せているのですが、2大紙の「ABC−コロール」と「ノティシア」では全く正反対の内容の記事が掲載されていました。
まず「ABC−コロール」では「リノ優勢」を一面に載せて、馬に乗ったリノ候補がかつての独裁者「ストルエスネル元大統領」に向けて「アルガーニャ候補」を蹴り飛ばしている漫画が大きく掲載されていて、記事の内容もリノ氏の支持者達のお祭り騒ぎの様子などを伝えています。
一方の「ノティシア」では、「アルガーニャ勝利」という見出しでアルガーニャ候補がにこやかに支持者と共に写っています。
両方の開票速報の内容も異なっており、両方を見ると一体どうなっているのか理解に苦しみます。まあパラグアイらしいと言えば言えるのですが。
9月8日・朝刊、2大紙が全く正反対の記事を掲載している。
なお、ファセッティ候補は潤沢な資金で動員を図り、選挙運動も一番華やかに行っていて、選挙前は選挙本部にも多くの人が集まり選挙運動を行っていましたが、本日訪れてみますと閑散として誰も居ませんでした、候補者のポスターがびっしりと貼られた壁が寂しげでした。
9月8日、選挙翌日のファセッティ候補の選挙本部前の様子、閑散としている。
(9月7日)
パラグアイは今年「大統領選挙」の年を迎えています、民政に移管してまだ2回目の大統領選びで、新しい政権が発足するまでには紆余曲折が予想されます。現在のワスモシ大統領が選出される時も色々なドラマがありました、今回は果たしてどうなるでしょうか?
日本のようにしっかりとした公務員の機構があり、政権が変わっても基本的には公務員は変わらないのであれば、問題は無いのですが、政権が交代すると担当者レベルまでパラグアイではかなりの人が代わってしまうのです。ですから「誰が大統領になるのか」というのは国民にとり、特に公務員にとっては非常に大きな問題なのです。皆、生活に直接関係があるので、政治に無関心ではいられないのです。
与党・赤党の有力候補は3人
赤党は長年政権を担当して来た党。赤党の候補が大統領に就任する可能性はかなり高いとの予想もあります。
1・リノ・オビエド氏(オビエド−クーバス)
元将軍、96年4月、ワスモシ大統領に対する軍事クーデター騒ぎで一躍時の人となった人物。この時には世論はクーデターを支持せず、国際世論にも押されてクーデターは空振りに終わり、その後軍服を脱ぎ、今回一転して与党候補として、大統領に挑戦。貧農・労働者をターゲットに選挙運動を展開。
副大統領候補には富裕層・インテリ層への食い込みを狙いクーバス氏を起用した。
2・ルイス・マリア・アルカーニャ氏(アルガーニャ−フルート)
現在の党首、前回に続いての挑戦。赤党員として、また政治家として長い経歴を持ち、広範な支持者を有している。中間層が地盤。前回の大統領選の時には赤党内の選挙でワスモシ現大統領と最後まで候補者を争った。(実際にはアルガーニャ候補の方が票数が多かったという噂が今でも流れている。)
3・カルロス・ファセティ氏(ファセッティ−イバーネス)現職のワスモシ大統領の後継者として登場した人物。前者の二人は長年の実力者であるのに対して、企業家達の代表として急浮上して来た。都市部ならびに富裕層が地盤。
副大統領候補には田舎・農民層への食い込みを狙い、イバーネス氏を起用した。
9月7日(日)に赤党内の選挙を行い、赤党の候補者を決定することになっていますが、すんなりと決まるか、決まってもその候補で党内が一本化するのか疑問視する意見も多く聞かれます。特にリノ候補は昨年クーデター騒ぎを引き起こしてワスモシ大統領に対抗したのでその遺恨が残っているのではとの推測もあるようです。世論調査の結果では、リノ候補、アルガーニャ候補が有力であるとの結果出ていますが、結果は果たしてどうなるのか注目されます。
この他では現職の副大統領である、セイファート氏も出馬しているのですが、余り人気が無く、かなりの苦戦が予想されています。
*赤党の党内選挙は、「大統領候補−副大統領候補」を選択するものです。一番得票の多かったチームが与党・赤党の大統領、副大統領候補となるわけです。
皆さんのご意見をお待ちしております。
田中 宛メール送信願います(パラグアイ共和国
アスンシオン市)