最近の話題 2018年3月31日

1.Uberの自動運転車に轢かれて歩行者が死亡(続)

  Uberの歩行者死亡事故はカメラでは直前まで見えず,停止する余裕がなかったと見られていますが,LiDERやRaderなどでは,もっと遠くから被疑者の女性が見えたはずと指摘されています。これに関して,2018年3月28日のThe Registerが,Uberが実験車をFordからVolvo XC90に変えたときに,LiDDERの台数を3台から1台に削減し,屋根の中央に載せる方式に変更したため,車の近傍の低い位置は死角になって被害者が見えなかったという見方を紹介していいます。

  一般的なLiDERのポイントクラウドの画像をみても,遠距離を見るLiDERでは近傍の低い位置は見えないと思われます。The Registerの記事で,LiDERメーカーのVolodyneは歩行者を見つけるには,横方向監視用のLiDERが必要と述べています。

  Uberは,これを補うため,Raderの台数を7台から10台に増加しています。なお,カメラの台数は20台から7台に減らされています。

  それでも,Raderは近づく歩行者を検知できたはずですが,事故の時にはRaderは切られており作動していなかったと,The Registerは報じています。とすると,車が被害者の接近を検出できなかったのは当然で,Uberの責任が厳しく追及されそうです。

2. NVIDIAがDirve Constellationシステムを発表

2. NVIDIAが16GPUのAI学習システムDGX-2 を発表  NVIDIAは,2018年3月27日のGTC 2018のJensen Huang CEOの基調講演の中で,自動運転車の走行テストを仮想的に行うDirveシミュレータとクラウドの構築を発表しました。このシステムは,2つのサーバからなり,一方のサーバはNVIDIAのDrive Simを使い,走行シナリオに基づいてカメラやRader,LiDERなどの信号を発生します。もう,一方のサーバで自動運転ソフトを走らせます。そして,適切な運転がなされているかをチェックします。

  このシステムを使えば,実地に車を走らせるよりも短時間で済み,また,実走行の場合では稀にしか起こらない難しいケースを頻繁に起こすこともできます。このサーバを10万台設置すれば,年間,30億マイルの仮想走行テストが可能になるとのことです。米国の統計では10億マイルの走行当たりの事故件数は770件とのことで,30億マイル走れば2000件あまりの事故が発生するシミュレーションに相当します。

  また,このようなテストを行えば,人間の事故率と自動運転の事故率を比較することもできると思います。その時には,自動運転の方が事故率が低くなると思いたいところです。

3. NVIDIAが16GPUのAI学習システムDGX-2 を発表

  NVIDIAは,2018年3月27日のGTC 2018のJensen Huang CEOの基調講演の中で,DGX-2を発表しました。現在のDGX-1は,8台のV100 GPUをNVLinkで接続したもので,現状では最大規模の8GPUで共通メモリの環境を実現しています。

  しかし,使用されるニューラルネットの規模は拡大を続けており,より大きなメモリ領域を持ち,より大きな計算パワーが要求されています。DGX-2はこれに応えるもので,使っているGPUはDGX-1と同じV100ですが,DGX-1が8個に対して,DGX-2では16個と倍増しました。また,V100 GPUもHBM2メモリの容量を増し,デバイスメモリは16GBから32GBに増加しています。メモリ容量の増加は,従来,DRAMチップ4枚スタックであったものを,8枚スタックが使えるようになってので,置き換えたことによるものです。

  一方,16GPUの接続は,18ポートのNVSwitchと呼ぶチップを開発し,このチップを12個使用して実現しています。従来の不完全なハイパーキューブ接続では,接続がフラットではなく,通信バンド幅がCPUペア間で同じではなかったのですが,このNVSwitchの使用で,フラットなネットワークになりました。また,CPUペア間のリンク本数を細かく指定することもできるようです。

4. なぜ,DGX-1には32GBのV100が搭載できないのか

  DGX-1は16GBメモリのV100 GPUボードを使い,DGX-2は32GBのV100 GPUを使っており,DGX-1に32GBメモリ版,DGX-2に16GBメモリ版のV100 GPUは使用できません。メモリ容量が変わっただけで何故と思い,展示会場を駆けずり回って調べた結果,事情が分かりました。

  HBM2の容量の増加とは関係なく,DGX-1に使用されているV100ではDC 12V電源からGPUに供給する1V弱の電源を作るDC-DCコンバータが使われています。これに対して,展示会場に展示されていたDGX-2のV100 GPUは,VICOR社の48V DCから0.8V程度の電源を作るDC-DCコンバータが搭載されていました。

  つまり,DGX-1用のV100は12V電源で,DGX-2用のV100は48V電源を使っているという訳です。これでは当然,互換性はありません。GPUの消費電力が180Wと想定すると,12V電源の場合は電源電流は15Aですが,48Vなら5Aで済み,電源線の抵抗による給電ロスを減らすことができます。

  なお,展示されていたV100に搭載されているDC-DCコンバータはVICOR社のロゴなどを示すレーサーマーキングは消されていました。