最近の話題 2017年3月18日


1. Intelが$15BでMobileyeを買収

  2017年3月13日のEE Timesが,Intelが$15BでMobileyeを買収すると報じています。イスラエルの会社であるMobileyeは,ADAS(Automotive Drive Assistance System)のカメラ画像の認識のトップメーカーで,一説には,80%という圧倒的なシェアとのことです。

  Intelは,Mobileyeの買収で,ADASシステムではトップのシェアとなり,また,他の関連部品について,殆どすべての自動車メーカーやティアワンの部品メーカーに販路を広げることが出来ます。

  また,Mobileyeの説明によると,Movileyeのロードマップはそのまま継続され,IntelのチームにMobileyeのチームが吸収されるのではなく,逆にMobileyeの開発にIntelのAutomated Drivng Groupのメンバーが組み込まれるのだそうです。Mobileyeの開発はうまく行っているので,それは変更しないで,開発力を補充するということにしたと見られます。

  ADASのビジョン処理の圧倒的トップメーカーのMobileyeと汎用のコンピュート能力のトップメーカーであるIntelが一体となることは,自動運転システムの市場に大きな影響を与えそうです。

2.TSMCが7+,12,22nmプロセスを発表

  2017年3月16日のEE Timesが,TSMCの7+,12,22nmプロセスの発表を報じています。

  12nmプロセスは,現在の16FFCのアップグレードで,マスクデザインルールは比例縮小で,電気的にOKであればテープアウトできるので,乗り換えが容易になっています。そして,16FCと比較して,面積は20%減,同一電力なら10%高速,あるいは同次速度なら30%低電力が得られます。今年の6月までにリスク量産を開始する予定です。

  また,12nmには0.5V動作が可能なultra-low voltage版も作られるとのことです。

  22ULPはプレナーで,他社の22nm FD-SOIに比べて移行が容易な点が売り物です。

  10/7nmプロセスはハイエンドGPUやFPGA向けのプロセスです。7nmプロセスではいくつかの層にEUV露光を適用するとのことです。EUVのスループットは,まだ,量産レベルには達していないのですが,ArF液浸の4マスク4露光を1回の露光で置き換えられるので,それでも得というところには使っていくという方針です。7nmのリスク量産の開始は2018年6月の予定です。

  7+は初代の7nmプロセスと比べて1.2倍のロジック密度で10%高速,あるいは同一速度なら15%低電力となっています。

  7nm HPCプロセスは,6月にリリース予定の新しいデザインフローを使い,ARM A72のクロックを4GHzに引き上げることができるとのことです。また,オンチップインダクタをサポートし,IntelのFiVRのようなものが作れるとのことです。

  パッケージに関しては,注目のInFOですが,HPC向けで最大65mm2とのことで,あまり大きいものは作れないようです。一方,CoWoSは8チップスタックのHBM2を載せたりでき,最大1500mm2まで作れるそうです。

  また,TSMCはARMのA72tA73コアの一部のファンクションに対してマシンラーニングによる最適化機能を提供する予定で,この機能でクロックゲートを最適化することにより,チップのクロックを50-150MHz引き上げる効果があるとのことです

3.Applied Microが第3世代のX-Gene 3をサンプル供給を発表

  2017年3月11日のTop500Newsが,Linley Groupのレポートをひいて,Applied MicroのX-Gene 3のサンプル供給の開始発表を報じています。X-Gene 3は昨年11月に発表されており,サンプル出荷に漕ぎ着けたというのが新しい情報ですが,32コアのARM V8プロセサで,クロックがベースで3.0Ghz,ターボで3.3GHzと高速のプロセサコアを32個と32MBという大きなL3$を搭載しています。そして,メモリはDDR4-2667を8チャネルサポt-で,ピークメモリバンド幅は170GB/sに達します。PCIe3.0は42レーンもっています。

  Applied Microの推定では,3.3GHz動作でDDR4-2667を使った場合,SPRCint_rate peakは500を超えるとのことです。この性能はQualcommのCentriq 2400やCaviumのThunder X2を超えるとLinley Gwennapは見ています。

  IntelのSkylake世代のXeonはより高い性能を出す可能性はあり,特に,AVX-512をサポートすると浮動小数点演算性能では勝てませんが,お値段的には,ミッドレンジのXeon E5の2/3程度の価格となると見られ,コストパフォーマンス的には魅力があります。

  また,DDR4-2667 8チャネルは,メモリバンド幅が効くビッグデータ処理などに威力を発揮すると見られます。

  ただし,AMDのNaplesも,DDR4は2400ですが
同じ8チャネルを備え,PCIe3.0は128レーンという装備です。AMDの過去の戦略からみると,Intelよりかなり安い値段を付けてくると思われるので,Naplesを含めて熾烈な戦いになると予想されます。

4.トランプ予算案は科学技術支出を大幅削減

  2017年3月16日のHPC Wireが,トランプ予算案は,科学技術支出を大幅削減と報じています。日本では国防予算の10%増に伴って環境保護などの予算の減額が報じられていますが,それだけではなく,NIHは$34Bの予算から$6Bの削減,DOEのOffice of Scienceは$900Mの削減とARPA予算の$300M削減,NOAAは5%削減,EPAは$2.6Bの削減で,これは31.4%の削減になるとのことです。ただし,NSFの予算に関しては予算案では言及が無いとのことです。

  それ以外にUSAIDから$10B削減,Human Services and Educationは16.2%削減と巨額のカットが並んでいます。

  この予算が議会の承認を得られるとは思いたくないのですが,この方向に動けば,ブルーカラーの仕事はある程度増やせるかも知れませんが,米国の科学の人達の失業が増え,中長期的には競争力にマイナスではないかと思います。

  もちろん,短期的な票数から言えば,ブルーカラーの票を増やす方が有利なのでしょうが,それが米国にとって良いのかは疑問です。

5.NASAがAIを使った小惑星衝突回避を研究

  2017年3月17日のPC Watchが,NASAのFrontend Development Labの小惑星衝突回避の研究を紹介しています。

  それによると,12人の特に優秀な大学院生をインターンとして集めて,ホワイトハウスのAsteroid Grand Challengeに挑戦させたとのことです。

  学生たちは,Jetson TX1を搭載したマシンビジョンを強化した自律的に飛ぶドローンを開発し,地上に落ちた隕石を自動的に見つけるシステムを開発しました。2万5000枚に隕石の画像を学習し,隕石でないものを隕石と判定してしまう誤り率を0.7%にしました。この誤り率は,まだ,高過ぎるのだそうですが,実用レベルに持って行く道筋は見えたとのことです。

  衝突回避には,小惑星の形状や重心を知ることが重要ですが,従来は,1個の小惑星の形状を求めるのに,人間が介入して計算を繰り返して,4週間くらい掛かっています。これに対して,マシンラーニングとGPUを使うことにより,数時間で回転軸を求めることができるようになったとのことです。

  衝突回避のために小惑星の軌道をずらす研究では,従来は4つの軌道の小惑星にしか軌道計算ができなかったのですが,GPUとマシンラーニングを使って800,000軌道に適用できるモデルを開発したとのことです。

6.Newman氏が作った8bitのMegaprocessor

  2017年3月17日のPC Watchが,英国のJames Newman氏が制作した巨大な8ビットプロセサMegaprocessorについて報じています。

  Megaprocessorは幅10m,高さ2m,重量500kgで,トランジスタ4万個,LEDが1万個使われているとのことです。趣味で,2014年から2年かけて制作し,現在は英国のCenter for Computing Historyで展示されているとのことです。

  現在のプロセサは,あまりにも微細で,何が起こっているか分からないので,目に見えるものを作ろうと思って制作したとのことです。こういうのにはロマンを感じます。