最近の話題 2016年10月8日

1.Adapteveが1024コアのEpiphany-Vをテープアウト

  2016年10月5日のEE Timesが,AdaptevaのEpiphany-Vプロセサについて報じています。Epiphany IIIは16コア,Epiphany-IVはクラウドファンディングで64コアのチップを作ったのですが,今回のEpiphany Vは,DARPAの資金を貰って,1024コアのチップを設計しました。といっても予算は厳しく,最後は,人を雇うお金がなく,Olofffson氏が一人で頑張って設計したそうです。

  Epiphany Vは,これまでと違って,64bitアーキテクチャとなり,64bitのIEEE754準拠の浮動小数点演算をサポートしています。16FF+プロセスで作られ,1024コアと合計64MBのSRAMを集積しています。トランジスタ数は4.56Bで,チップサイズは117.44mm2です。現状は,テープアウトしたところで,チップはまだできていません。

  1024コアを接続するオンチップのメッシュネットワークを持ち,そのネットワークの延長で,4方向にチップを繋いでいくと,最大1Bコアのネットワークが形成できるとのことです。

  そして,DARPAのCircuit Realization At Faster Timescales (CRAFT) は,100M~200Mトランジスタのチップを130~30週で作るのが目標で,Epiphany Vは,Olofsson氏ともう一人のエンジニア,それに3人のコントラクタで,合計5500人時間程度の工数で設計し,設計期間は10か月と一般に言われるカスタムASICの100分の1のコストで設計できたとのことです。また,75GFlops/W程度のエネルギー効率が得られる見込みと,非常に,高効率のプロセサでもあります。

2.富士通はパソコン事業をLenovoの傘下に

  2016年10月5日の日経が,富士通がパソコン事業を合弁という形でLenovoの傘下に入れるという線で,今月内にも合意を目指すと報じています。Lenovoの持ち株比率は51%,富士通は1/3以上,残りは銀行などという仕組みが検討されているようです。

  富士通のパソコンは,国内2位ですが,このところ赤字でお荷物になっています。近頃も,SonyのVIOと東芝との連携を模索したのですが,これもまとまらず,Lenovoに頼るという話が出てきたようです。Lenovoは,既にNECのパソコン部門を買収して,国内ではNEC時代のブランドも発売しています。それに富士通のパソコン部門を抱えるのですが,NECとの合弁とは,別の合弁を作る方針と報じられています。

  これで,規模拡大のメリットが十分に発揮できるのか心配になります。また,Lenovoはパソコンでは世界でトップシェアですが,それだけに,パソコンの落ち込みの影響を大きく受けます。Lenovoのスマホも振るわない状況で,パソコンも落ち込むとなると,何で稼ぐのかも心配になります。

3.NIMBIXがクラウドでPOWER8+P100 GPUを提供開始

  2016年10月6日のHPCが,NIMBIXというHPCクラウド会社が,IBMのS822LCサーバのクラウド提供を開始したと報じています。S822LCは,POWER8 CPU 2チップに合計4個のNVIDIAのP100 GPUをNVLINKで接続したサーバで,IBMが9月8日に発表した新製品です。IBMはこのサーバを,AIの父と呼ばれるMarvin Minsky教授にちなんだMinskyというコードネームで開発して来ており,AI向けのマシンと位置付けています。ただし,最近発表の多い低精度で計算する推論用ではなく,精度も必要で,繰り返い回数が多く,多数の学習データを必要とするので,何日も掛かる学習を高速で実行できるマシンとして売り込む方針です。

  この件については,2016年10月7日のマイナビの拙著のレポートでも取り上げています。

  IBMのMinskyですが,3.26GHzクロックで動く10コアのPOWER8 CPUに,2並列のNVLINKで2個のP100 GPUを接続し,それに最大512GBのDDR4メモリが付くノードを2ノード搭載しています。DDR4との接続バンド幅は115GB/s,CPUとGPUとの接続は80GB/sと高速で,学習のために大量のデータを1ノードに集めるのも速そうです。

  もちろん,NIMBIXのターゲットはDeep Learningだけでなく,インメモリデータベースなどビッグデータ処理も視野に入っているわけですが,合計1TBのDDR4メモリがあれば,相当量のデータをDRAMにおいて高速の処理ができます。

  NIMBIXは,同社が開発したJARVICEというコンテナを使っており,JARVICEはベアメタルで動くので,Dockerなどと比べてオーバヘッドが少なく高性能とのことです。

  NIMBIXによると,S822LCを使いたいお客さんは列をなしているとのことです。

4.ZilogのZ80の末裔が,汚れ仕事をやっている

  2016年10月7日のThe Registerが,Zilog帝国の遠い子孫が,汚れ仕事をやっているという記事を載せています。初期のパソコン時代の人は,ZilogのZ80を知らない人は居ないでしょう。当時,Z80はパソコン界を席巻し,まさに,Zilog帝国でした。

  Zilogの歴史は,波乱に満ちていますが,現在は,オランダのIXYSという会社の子会社として生き残っており,Zilogブランドも使われ続けています。

  そのZilogがIXRD1004という,2相の電力の力率改善を行うPFCを発表したとのことです。制御用にZilogの8bit Z8F6481マイクロコントローラを搭載しています。Z8はZ80とは違うのですが,末裔であることは間違いありません。

  筆者が昔,働いていた会社は,ずっと以前にはZilogの広大なキャンパスの中だったところにありました。その点では,Zilogには多少,思い入れがあります。