最近の話題 2009年2月7日

1.IBMが20PFlopsスパコン ASC Sequoiaを受注

  世界最大のスパコンを調達し続けている米国のエネルギー省のNNSAが,2009年2月3日に,ピーク性能20PFlopsの次世代スパコンであるSequoiaの開発についてIBMと契約したと発表しました。また,受注したIBMも,同日,プレスリリースを出しています。 このSequoiaシステムに関しては,2008年7月26日の話題でも紹介しています。

  開発は2段階で,まず,今年1QにDawnと呼ぶ500TFlopsのBG/Pシステムをアプリケーション開発用に設置し,20PFlopsのSequoiaを2011年から導入を開始して,2012年に稼動する予定です。これらの発表,および,各種の報道から拾ったSequoiaの諸元は以下のとおりです。なお,アプリ開発用にBG/Pを導入すること,発表に次世代BlueGeneという表現が見られることから,SequoiaはBlueGene/Qシステムであると考えられます。

 Sequoiaのピーク 浮動小数点演算性能は20.13PFlopsで,これは10PFlopsを目指す日の丸スパコンの2倍の性能です。計算ノード数は98304ノードで,プロセサコア数は160万,そしてメインメモリ両は1.6PBとなっています。これを96筐体に収容し,消費電力は6.6MWとなっています。

 これらの諸元から計算すると,コンピュートノードあたりのコア数は16,コンピュートノードのPeak Flopsは204.8GFlops,コアあたりのPeak Flopsは12.8GFlopsとなります。このコア性能は現状のBlueGene/Pの約3.8倍にあたります。また,筐体あたりの計算ノード数は1024で,これは従来のBlueGeneと一致します。

  プロセサですが,ノードあたりの消費電力が67Wであるので,ノードあたりのCPUチップの消費電力は,多分,40W程度で50Wを超えることはないと考えられます。この電力だと計算ノードは1チップ,16コアで,クロックは1.6GHzで,コアあたり4FMA演算器を装備していると思われます。この演算器数はBG/Pの2倍,クロックは約1.9倍であり,消費電力から考えて,3.2GHzクロックで2FMA演算器の構成よりもありそうです。BlueGeneが使っているPowerPCコアは汎用のPOWERやIntel/AMDのハイエンドのプロセサのコアよりはかなり小さいのですが,それでも45nmプロセスの場合はかなり巨大なチップになると思われます。しかし,32nmプロセスが使えるなら,快適なチップサイズで作れると思われます。

  しかし,筐体あたりの消費電力は約69KWで,これは空冷の限界を遥かに超えており,水冷,あるいはCrayのXT-5のような代替フレオンによる冷却が使われると考えられます。

  現在計画されているシステムの中では最大で,稼動時にはTop500の頂点に立つことは間違いないと思いますが,2012年稼動となっていますが,Roadrunnerの例を見ると,稼動前にIBMのロチェスター工場で全システムを組み上げてテストし,その際にLinpackの測定を行うということも考えられ,2011年11月のTop500にスコアを登録してくる可能性もあると思われます。日の丸スパコンも2011年3月に部分稼動,2012年3月に完成となっており,デッドヒートですが,最悪の場合,日の丸スパコンは一度もトップになれないという恐れが出てきました。勿論,Linpackでトップになることにそれほどの意義があるわけではないのですが,それでも旗印としては,理研と開発を担当している日本の各社に意地を見せて貰いたいところです。でも,やっぱり,核兵器関係の国防となると,米国はお金が出るから,金の力には…ということになってしまうのでしょうかね〜。

2.Playstation 4のGPUはIntelが受注か

  2009年2月5日のThe InquirerにCharlie Demerjian氏が,Playstation 4のGPUはIntelが受注したと報じています。Intelは好条件でLarrabeeアーキテクチャのGPUを売り込み,事実上,採用を金で買ったと書かれていますが,NVIDIAはSCEと仲違い状態で,それにIntelのように金も無いので,競争にならなかったとのことです。

  しかし,このところ,任天堂が絶好調なのに比べてSonyは絶不調という状態で,赤字のゲーム部門が存続してPlayStation 4の開発が行われるのかどうかは予断を許しません。

3.SunのRockプロセサとSupernovaサーバの状況

  2009年1月28日2月4日のThe Registerが,SunのRockプロセサとそれを使うSupernovaサーバについて報じています。それによると,Jonathan Schwartz社長が,Rockの開発は予定通り進捗しており,2009年の内に製品を発表/出荷できると述べたということです。

  また,OpenSolarisのWebサイトからの情報として,The Registerは,8ソケットのSPARC Enterprise AT7880,4ソケットのAT7480があり,下位のAT7280,AT7180という製品も生き残っている可能性があると書いています。生き残っていればというのは,1ソケット,2ソケットの製品は,Niagara 2ベースの製品とオーバラップしてしまうので,このレンジで二つの製品を出すのは無駄であり,最近の情報では,これらの下位のRockベースの製品が見られないというのが,「生き残っていれば」という限定が付く理由のようです。

4.Tukwilaは再度遅延し,今年3Qか

  QPIを採用した,IntelのItaniumの次世代プロセサのTukwikaですが,2009年2月6日のThe InquirerがTukwilaにScalable Memory Enhancementsという改良を加えることになり,発売は2009年中頃になると発表したと報じています。

  出荷が1年以内に迫っているのに,大きな機能追加をするというのは信じ難い話で,既に実装済みで未発表の機能を開発遅延の言い訳に使ったと見るのは穿ち過ぎでしょうか。なお,Tukwilaは2008年のISSCCで発表されており,少なくとも,最初のチップから1.5年を経過する

5.Atomの改良版のN280を予定より早く出荷開始

  2009年2月6日のThe Registerが,現在のネットブックの主力のN270 Atomの次機種であるN280は,当初,2009年中頃のリリースとなっていたのですが,予定より早く,既に出荷を開始していると報じています。

  N280のクロックは1.66GHzで,1.6GHzのN270からの向上は僅かですが,FSBが533MHzから667MHzに上がり,ペアとなるチップセットがGN40となってHD Videoのデコードがハードウェア処理になる点で改良されています。ということで,N270ベースのネットブックを買おうと思っているなら,少し,待った方が良いと忠告しています。

6,Intelが32nm版Nehalemを前倒し

  2009年2月6日のPC Watchに後藤さん笠原さんが,Intelは幾つかの45nm版のNehalemをキャンセルし,32nm版プロセサを前倒しして出荷すると書いています。

  それによると,45nmのデュアルコアのHavendale,Auburndaleが消え,替わって32nmプロセスで製造するClarkdaleとArrandaleが出るとのことです。Havendale/Auburndaleはマルチチップパッケージでグラフィックチップと一体化する製品ですが,Clarkdale/ArrandaleではCPUは32nmとなるものの,グラフィックチップは45nmのままと見られています。

  また,デスクトップの上位には,32nmで6コアのGulftownが2010年2Qに追加されたとのことです。

  ということで,Intelは,32nmプロセスの量産立ち上げに自信を深めているようです。

  詳細は,後藤さん,笠原さんのページを見てください。

@608662