有馬記念

 さて今週はいよいよ今年のオーラス、あなたの夢、私の夢を賭けて争われる有馬記念だ。
その年の競馬生活の集大成とも言えるレース。どんなに今年勝っていてもこのレースを
落とすと何となくイヤな気分になるし、逆に今年一年負け続きでもこのレースさえ取れれば
いい正月が迎えられる、そんな、競馬人間にとって最も生活に影響するレースである。

 今年は怪物・ファインモーションの参戦で実に面白いメンバーとなった。デビュー以来
6戦6勝、秋華賞、エリ女を圧勝してきた最強牝馬が牡馬一線級相手にどんな競馬をするか。
先行して驚異的な脚で後続を振り切るパターンを得意とするこの馬は、井崎脩五郎をして
「20世紀のどの名馬にもいなかったタイプ。知っている限り最強の馬」と言わしめた馬。
比較的同タイプの牝馬・テイエムオーシャンとの牝馬ワンツーはあるのか。

 これに対して、迎え撃つのは今回が引退レースとなる3強最後の一頭ナリタトップロー
ド、ダービー2着で今秋3歳で秋天を制したシンボリクリスエス、昨年の年度代表馬・
ジャングルポケット、去年の最強牝馬テイエムオーシャン、一昨年の準3冠馬のエアシャ
カール、今年の皐月賞馬ノーリーズン、菊花賞馬ヒシミラクル、今年も意外なところで穴
をあけるか?アメリカンボスなどなど・・・。他にも先日、JCダートを勝った芝砂兼用
のGT馬イーグルカフェ、相手なりに走り複勝率8割を越えるコイントスと名手・岡部、
唯一の中山2500m覇者アクティブバイオなど伏兵陣も多彩。今年の夢はいったいどう
いう形で幕を閉じるのか、興味津々である。

 まず展開を考えてみたい。スエヒロコマンダーの出走回避により、はっきりとした逃げ
馬がいなくなってしまった。これが一層、展開予想を難しくしている。前に行きそうなの
はアメリカンボス、タップダンスシチー、テイエムオーシャン、ファインモーションの
4頭だが、逃げ馬でない馬が逃げて速いペースになったことなど一度もない。まして長距
離となれば、今回は1000m通過が67秒などという「究極のスロー」になる可能性す
らある。道中はダラーっとした流れになり、3コーナー辺りから急激にペースが速くなる。
JCのように例え先行してても、かかっての先行だとこの辺りからボロボロ脱落する馬が
出始め、最後はスタミナに裏付けされたヨーイドンの競馬になることは必定。また中山の
外回りは決して直線は長くない。あまりにも後方からの競馬は不利で、中段程度より前で
競馬ができる馬、気性がよくてスタミナに優れている馬、そして近走スローペースで上が
り35秒未満の競馬をしている馬などを狙ってみたい。

 本命はコイントス。全成績[4.3.3.2]中山[0.2.1.0]が示すとおり相手なりに走る馬
で、大崩れはないものの、確かに決め手に欠けることは否めない。しかし今回は中山
2500m。昨年も決め手に欠けるアメボスが2着に入ったようなレースであり、秋天や
JCならともかく、この舞台でなら連も可能である。しかも鞍上は中山上手の岡部翁。
今期も秋天でジンボリクリスエスを勝利に導くなど、トリッキーな中山コースでは岡部の
手腕は絶大なファクターとなる。ゆったりしたローテーションも魅力で、他馬のほとんど
がJC経由組。有馬は菊から直行してくる馬が好成績を収めるレースで、このローテなら
余力も十分である。またスローペースでも折り合いに不安がないのも好材料。前走の中山
2500mではサンライズジェガーには屈したものの、しっかり2着を確保。スローにも
関わらず2分31秒1のタイムも優秀だ。私の夢、それは勝負の「コイントス」である。
報知の小宮さんもコイントス本命。これは非常に心強い。

 対抗にはエアシャカール。有馬は「夢を買うレース」「復活を願うレース」である。
ナリタトップロードやジャングルポケットの復活も見物ではあるが、やはり復活ということ
ならエアシャカールを置いてほかにはいまい。何せ一昨年の準3冠馬。皐月賞1着、ダー
ビー2着、菊花賞1着。しかしその後はGUなどでたまに惜しい競馬はするものの、これ!
という活躍はしていない。しかし実績を残してきた馬は忘れたころに急に強くなることが
ある。今年短距離路線で活躍したアドマイヤコジーンにしたって、朝日杯3歳Sを勝って
以来、長い故障とスランプが続いた。その証拠に今年の頭の東京新聞杯ではまったく人気
がなく万馬券を演出したぐらいである。今回出走するイーグルカフェにしたって、NHK
マイルCを勝ってから長い間勝ち星から遠ざかり、そして先日、久々にGT・JCダート
を制したのだ。ブラックホークしかり、エイシンプレストンしかりである。エアシャカール
も先日のJCこそ12着と惨敗したが、宝塚、秋天と共に4着。決して大負けではない。
まだまだ力はある。また、鞍上の横典も復活を願う一人。毎年、GTの常連であるにも関
わらず、今年は怪我や騎乗停止など不運続きで、GTほとんどでノリの活字を見ることは
なかった。そしてここ、有馬でいよいよ登場したのである。元々剛腕型の騎手で、追い込
み馬に乗せると無類の強さを発揮することがある。安田記念を斜陽の感があった老将・
ブラックホークでごぼう抜きして勝ったのは今でも忘れない。父は今年亡くなったSS、
鞍上はノリ(中村紀洋)と、今年のニュースにもピタリ。JC惨敗でさほどの疲れもない
はずで、ここは夢を追って狙ってみたい。「コイン=エア」など、相当つくはずである。

 単穴はファインモーション。グリグリの一番人気になるのかと思いきや、案外みんな強
さは認めつつも、やはり「牝馬」ということで半信半疑といった感じなのだろう。しかし
鞍上は武豊。人気が一本被りでないなら、これほどいい条件はない。今までのようにスロ
ーペースを難なく追走、早めから抜け出して上がり34秒台で走れば、まず後ろの馬は来
れまい。唯一の不安があるとすれば中山の急坂と競ったときのモロさ。ここ2戦のGT圧
勝は直線平坦の京都でのもので、坂でパタッと止まるとなると、これだけのメンバーだ、
差されることは間違いない。また3走前、前々走、前走とどれも圧勝も、それは牝馬限定
戦でのもの。そう言った意味では「やはり牝馬」となりかねないが、コイントス同様、ゆ
ったりとしたローテーションには好感が持てる。またスローで早めに抜け出せそうなこの
展開は有利だと思う。スターホース不在の現在、ぜひ本物の怪物となってJRAの人気を
底上げてほしい。

 連下の一番手は人気でもシンボリクリスエス。ダービー2着、古馬の強豪が集う秋天
を3歳で制し、JCも勝ち馬と僅差の3着。そして鞍上には引き続きペリエと、人気にな
らないほうがおかしい馬ではある。調教も走っているが、しかし本当に疲れはないのか?
確かに最強馬テイエムオペラオーは一昨年、4歳で秋天→JC→有馬を制した。これに対
してシンボリクリスエスは、3歳で秋天1着→JCは日本馬で最先着の3着。この戦績は
立派だし、この時期3歳馬は限りなく古馬に近づいてきてはいるが、やはり3歳は3歳。
鞍上は目一杯追ってしまう外人騎手ペリエで、JCは追い過ぎではなかったのか。また、
ペリエは先行馬に乗せると意外と味がないことがある。印こそ打ったが、今回シンボリク
リスエスは危険な人気馬な気がしてならない。・・・ならないが、やはり力は認めるだけに
無印にはできなかった。ただ来年もある馬で、ここは無理せずに適当に走ってほしい(笑)。

 他に連下ではノーリーズン。菊は落馬、JCは8着と、この秋は期待を裏切り続けて
いる。しかし元々叩き良化型のブライアンズタイム産駒。それなら前走の大敗はいい調教、
いい叩き台になったのではないか。鞍上も名手・エビショウ。先日の香港でのアドマイヤ
コジーンの無念はここで晴らしてほしい。

 もう一頭、連下ではヒシミラクル。大勝ちさせてもらった菊花賞のお礼というわけでは
ないが、この馬も相当強いと思うし、前走の勝利は決してフロックではないはずだ。元々
菊花賞馬と相性のいい有馬だが、それはやはりゆったりとしたローテーションによるとこ
ろが大きい。今回は調教で重め残りっぽいが、これで絞れれば本番へは万全の状態で出る
ことができる。父はサッカーボーイ。昨年はテロ馬券で「マンハッタン=アメリカン」の
決着となった。今年の時事ネタといえばワールドCと北朝鮮。馬名で「キム」と付く馬が
いないか探したのだがいなかった(笑)。・・・ってことで、今年はサッカーに注意。

 爆弾では4頭。
 アメリカンボスは究極の「叩き良化型」。昨年の2着馬で、調教も走っている。今回は
超が付くほどのスローペースと読む。早めに抜け出すファインモーションに付いていって、
これまた究極の「スタミナ戦」になれば、また前で残ることも考えられる。データ的にも
意外にいいので注意。

 テイエムオーシャンは秋天で1番人気に推されたにも関わらず大敗し、続くJCも惨敗、
この秋ですっかり株を下げた。鞍上の本田も2流騎手で、本来ならまったくお呼びでない
ところだ。しかし今回は同型馬のファインにみんな目がいくだけに完全にノーマークだし、
先行馬が有利な展開っぽい。小回りも有利で、それなりの注意は払いたい。

 イーグルカフェも注意。有馬ということで、今年お世話になった馬は一通り押さえたい。
もちろんイーグルを推す理由はそれだけではない。小島調教師をして「まだ成長している」
というのだから驚きだ。鞍上には今年の夏に爆発的な活躍をしたカツハル。その後、GT
では期待を裏切りまくっているが、一年の締めくくりで存在価値を再アピールすることが
できるか。

 最後はフサイチランハート。どう考えても格下だし、この秋は散々だが、春にはお世話
になった馬。鞍上にバルジューを迎える辺り、陣営のやる気も感じられる。格下馬で色気
があるならこの馬か。

 ◎コイントス
 ○エアシャカール
 ▲ファインモーション
 △シンボリクリスエス
 △ノーリーズン
 △ヒシミラクル
 ×アメリカンボス
 ×テイエムオーシャン
 ×イーグルカフェ
 ×フサイチランハート

 ナリタトップロードは私の最も嫌いな馬。人気先行型であり、引退レースということで
鞍上は長くコンビを組んだ渡辺に戻してきた。それはいいが、渡辺がこれだけ名手が集ま
った舞台で、それでなくても中山下手なナリタを勝利に導くことができるであろうか?
馬券的な人気はなくても、注目度はある馬。それなりにマークされるであろうし、最後の
直線で渡辺が内に潜り込んでインを差そうと思ったがインが開かずに・・・なんて絵が
見えてくるようだ。引退の年に秋の3戦が中山になってしまったのは不運としか言いよう
がない。ここは人馬ともに切りである。

 ジャングルポケットは典型的なサウスポー。左回り[3.0.0.0]に対して、右回りは
[2.3.2.3] 。中山も2度走って3着、5着と、決して得意ではない。GTの常連である
トニービン産駒だが、中山コースのGTでは今まで3着が最高で、小回りコースが向いて
いるとも思えない。先日の香港では日本であれだけ強い競馬をしていたビリーブとショウ
ナンカンプが芝が合わなかったせいで見るも無惨に惨敗した。ジャングルも中山は不向き。
力は認めつつも、今回は切りとしたい。

 その他の馬。
 アクティブバイオと後藤。一時期は後藤を買っていたが、この秋は「お前、マジで海外
で何を学んできたの?」というレース内容。馬も地味で、ここでは・・・。
 タップダンスシチーはここを目標にメイチの仕上げ。レコードもあるようにスピードも
あるが、ここはいかにも相手が揃った感じ。それでも鞍上がよければ押さえてみたくなる
のだが、鞍上がヘタクソな佐藤哲では・・・。哲って名前も大嫌いだし・・・(笑)。


 先ほどはサッカーWCなどと書いたが、今年一番の時事ネタは、競馬人であるなら忘れ
てはいけないニュースがある。そう、偉大なる種牡馬、サンデーサイレンスの死である。
今回の有馬には3頭のSS産駒が出走する。昨年が世界中を震撼させた不幸な事件、テロ
馬券で決着したというのなら、今年は、競馬界にとって最も不幸な事件、日本競馬界にと
ってかけがえのない財産であったSS馬券こそが相応しいのではないだろうか。


 今年最後の競馬、有馬記念だ。いつものように100円買いなどせず、最後ぐらい
ドカンといきたい・・・けど、せいぜい一点500円だろーなー(笑)。今週は新たに
入金した1万円+先週のCBC賞の配当2600円=12600円で太っ腹に勝負。
配当は安いかもしれないが、年末ジャンボを買うよりは遙かに確率は高い。

 余談になるが、年末ジャンボの1等3億円の当選確率は1000万分の1。ちなみに東
京都の人口が1200万人弱。東京都の中から一人の人間を捜すのと同じことである。
ウォーリーが奥多摩にいたら、いくら23区内をくまなく捜しても見つからない。そんな
「あり得ない」可能性に賭けるぐらいなら、高々500通り程度しかない当たり馬券に
その金をつぎ込んだほうが遙かにいい。もちろん宝くじは1等のみではないが、年末ジャ
ンボを30枚9千円買うなら、有馬に9千円突っ込みたい。Xmasプレゼントに外人騎
手同士のシンボリ=フサイチを100円押さえれば完璧。


 馬連、馬単、三連複、ワイド・・・今回は1頭系の馬券を除く、買える馬券の種類は
すべて試す。だって、

 一年の総決算だもの。


 ここは是が非でも当てて、いいクリスマス、そしていい新年を迎えたいものだ。
 今年も思えばいい年であった。平々凡々に過ごしたようで、振り返ってみると意外にい
ろいろあったものだ。楽しいことも、辛いことも。そんな一つ一つを神様に感謝しつつ、
偉大なる種牡馬、サンデーサイレンスに黙祷を捧げてからレースに臨みたい。

合掌。