3、地震の予知について

 

1、地震の被害予測について

静岡県防災局が、平成13年に公式発表した「東海大地震が、発生した場合の被害予測」の中で犠牲者数の予測を以下に表として示します。これを見ると地震予知により、犠牲者数を大幅に抑えることが予測されているのが分かります。(表1の( )内の数は地震予知が成功時の犠牲者数の予測数)

 

表1.静岡県防災局による東海大地震の時間別犠牲者数予測

地震発生時刻

推定死者数

推定重傷者

朝5時  

5900(1500)人

1万9000(3100)人 

昼12時

3700(830)人

1万7000(2700)人 

夜6時

4000(790)人

1万6000(2500)人

又、地震の発生には一定のプロセス(プレートにエネルギーがたまる→エネルギー放出)があり、そのプロセスから周期性を持つことが考えられます。これは表2、3の事実からも裏付けられます。

 

表2.東海大地震の想定震源地で起こった過去の地震    

地震発生年 

名称

 マグニチュード

震源地

間隔  

1498年

明応東海地震

7.3

 

 

1605年

慶長地震

7.9 

 

107 

1707年

宝永地震

8.6

駿河湾沖

102

1854年

安政東海地震

8.4 

浜松沖

147 

 

 

表3.首都圏で起こった過去の地震

地震発生年

名称

マグニチュード

震源地

間隔

1633年

寛永地震

7.2 

小田原付近

 

1703年

元禄地震

8.2

房総半島

70

1782年

天明地震

7.3

丹沢山地

79

1854年

安政東海地震

8.4 

浜松沖

72

1923年

関東大震災

7.9

関東南部

69

    

2、地震予知について

地震が起こる前には、 地殻変動の異常(潮位が下がる)等の、電磁気学的変化や地球化学的変化が現れることがあります。又、発光現象や地鳴り、動物の異常行動といったいわゆる宏観異常現象なども知られています。宏観異常現象(こうかんいじょうげんしょう)とは、大きな地震の前触れとして発生する生物・地質・物理的異常現象のことです。地質的現象としては「地鳴りや、地下水や温泉の水位変化」等があり、生物的現象としては「犬が不自然に鳴く・ミミズが地中から大量に出てくる・ナマズが騒ぐ」といった類があります。最近では、地震雲やFM波の異常伝播などといった比較的新しい説も出てきています。

 

宏観異常現象関連情報@FM波による地震予知

2003年9月「9月16〜17±2日の内に南関東でM7.2±0.5の地震が起こる前兆がある」との記事が週刊誌に報じられました。そして「9月20日、午後0時55分に千葉県九十九里浜付近を震源に発生した地震は、M5.7で首都圏に震度4の揺れをもたらしました」との通報が出ました。この地震発生予測はFM電波観測から推定されたもので予知の成功を主張する声も多くあがりましたが、予測された震度との差が大きく、M5の地震は日本では週1回は起こっていることもあり、多くの地震研究者の支持を得られてはいません。地球内部の現象である地震が、地球外部の電磁波で捕らえられるメカニズムは全く説明されておらず、当事者の経験則のみによる説明では地震学者を納得させることが出来なかったからです。

 

宏観異常現象関連情報A植物による地震予知

動物ばかりではなく、植物と地震の関係も調べられています。有名なのはネムノキを対象とした研究で、1978年6月12日に発生した宮城県沖地震では、ネムノキの生体電位変化の測定調査によって、55時間前に予知に成功していたという実績があります。ネムノキは指先で触れると葉を閉じてうなだれてしまうオジギソウと同じマメ科植物で、ネムノキという名前も夜になるとまるで眠るかのように葉を閉じることに由来します。オジギソウもネムノキも環境変化に非常に敏感な植物として知られています。

ネムノキの幹の表皮に電極を刺し、地面との間の電位差を調べると、地震発生と相関があると思われるデータが得られます。この実験方法は、植物生体電位観測と呼ばれます。電位変化のメカニズムは詳しく解明されていませんが、地震発生にともなう地電流の変化を反映したものではないかと考えられています。この植物による地震予知研究は、東京女子大学名誉教授・鳥山英雄博士を第一人者とする長きに渡る研究がなされており、その有効性が確認されています。この植物によるネムノキ・ケヤキによる観測地点を、活断層上にある学校・企業・役所を中心に全国的に増設することで地震予知の一助となると期待がもたれています。

 

宏観異常現象関連情報B地方自治体の運動

動物の異常行動で地震予知 神戸で市民講座

地震の直前に動物が起こした異常行動と地震のメカニズムを考える市民講座「科学の挑戦・地震は予知できる」が二十日、神戸市中央区の市産業振興センターで開かれた。関西の大学教授や動物病院の医師などでつくる「地震感知動物の育成プロジェクト」の主催。阪神・淡路大震災前に犬や猫などが異常に鳴いたり、騒いだりした報告が相次いだため、一九九六年一月、地震と動物の異常行動を調査する専門部会として発足した。岡山理科大学の弘原海清教授は、台湾で地震前にミミズが異常発生した事例を報告。「動物の異常行動はデータを集めるスピードが重要。インターネットを使うことで瞬時に危険性を知らせることができる」とし、データや情報発信システム構築の重要性を訴えた。大阪大学大学院の池谷元伺教授は研究室でナマズの行動を観察。昨年三月に発生した芸予地震では、三週間前に水槽のナマズが縦に跳びはねた例を挙げ、「地割れで発生する電磁波を、動物は敏感に感じ取る」と分析。その上で「地震を止めることはできないが、これらの情報を発信することが防災面で役立つ」と指摘した。続いて、神戸市立王子動物園科学資料館の権藤眞禎館長を座長に、研究者らによるパネル討論会が開かれ、「予知の確率を上げるためには、さまざまな学問でプロジェクトを組むことが必要」などと意見が交わされた。 (以上、神戸新聞2002/1/21記事抜粋)

又、公的機関では、静岡県地震防災センターの「宏観異常現象収集事業」として、宏観異常現象を県民から受け付けてホームページで公開しています。これらは他の科学的データと組み合わせた場合、地震予知の一助となる可能性があると主張されています。

現状の地震予知は被害予測に関しては、昨今の統計データから可能となっているようです。しかし、地震予知に欠かせない発生時期・震源地・規模の特定に関しては、‘データとの関連性に有意性が認められる’に留まっており、いまだ地震予知の「決定的手法」は確立されていません。