医学翻訳ニュース

後発医薬品メーカーが先発企業を買収か?

大型医薬品(blockbuster)の特許が切れて大手製薬企業の収益が低下する中、政府の医療費削減政策を追い風に着実に力をつけてきたジェネリックメーカーが先発メーカーを買収しようとする動きが出ている。「イスラエルのTeba Pharmaceutical社は今年勝負に出る可能性が極めて高い」と、業界に詳しいFabulist氏は語る。

他にも水面下での交渉が活発化しており、業界地図が大きく変わる可能性があると専門家筋は見ている。これまでは、特許が切れるまで待っていた後発メーカーだが、先発企業を買収すれば、特許が切れる前にジェネリックを市場に出すことが可能となる。今後は「待ち」の商品開発から「攻め」のマーケティングになっていくことが予想される。

Placebo Pharmaの躍進

プラセボ対照臨床試験は新薬開発で重要な役割を果たしている。質の高いエビデンスを確立するためのメタアナリシスでも利用されることが多いが、試験間でプラセボ群の成績に差があることが問題となっていた。このたびカナダに本社があるPlacebo Pharmaは、対照群の均一化に向けた高品質プラセボ錠の開発に成功した。これを投与した対照群は、被験者の人種、民族、年齢、性別を問わず、医学的な主要評価項目に関してほぼ同じ結果が得られる。既に世界のメガファーマから高品質プラセボ錠の注文が殺到し、同社の株価が急騰している。

また、疾患によってはプラセボ効果が高く、実薬との差が出にくい領域もある。同社は、このような試験において「比較的効きが悪いプラセボ」も開発中とのことである。効きが悪い偽薬の製造法は現在明らかにされていないが、プラセボ群の成績が悪ければ有意差が出やすく、新薬開発メーカーから熱い視線が注がれている。「製薬業界のアンメットメディカルニーズに対して様々な形で応えていきたい」とCEOのPlacebord氏は意欲を見せている。

分子標的医薬品に漢方薬が混入?

Moleculopharma Inc.が販売している分子標的医薬品(Contamin)の中に漢方成分(生姜)が混入していることが発覚した。これまで、漢方製剤に有機合成医薬品を混ぜて見かけ上効果を高める事件は時折ニュースになっていたが、合成医薬品に漢方成分を混入させたケースはこれが初めてである。

同社工場ではショウガエキスも製造しており、それが製造過程で混入したとの見方が強まっている。しかし、製造ラインが近いから混入するのはしょうがないでは済まされない。FDA査察官のGinger氏は、他にも同様のケースがないか全工場を徹底的に検査すると強い姿勢を見せている。

万能細胞に新たな可能性

胚性幹細胞(ES細胞)はあらゆる細胞になる能力を持つことから「万能細胞」と呼ばれている。欧州細胞研究所のDr. Versatileらは、このES細胞から死細胞を作り出すことに世界で始めて成功した。詳細は2月1日付の医学雑誌「Cells」に発表される。研究者らはナノ針を用いて細胞の秘孔を突き「お前は既に死んでいる」と引導を渡したという。

これに対し、ライバル研究チームのDr. Harrisonは「トリパンブルー染色だけで死細胞と判断するのは早計」と慎重な姿勢を見せている。最近はiPS細胞に人気を奪われた格好のES細胞であったが、今回の発表によって新たな注目が集まっている。

置き薬、the Nippon Method

置き薬とは、先に各世帯に医薬品を配布し、使用した分だけ後から代金を受け取る方式であり、富山県が発祥の地として知られている。最近この配置薬制度がグローバルに展開され話題を呼んでいる。既にモンゴルでは薬箱が定着しており、タイでも取り組みが始まった。メーカーはさらに世界規模で事業を拡大すべく、アジア・中東・ヨーロッパの代理店と交渉中とのことである。外山製薬工業の背馳社長は「将来は南極基地やNASAの宇宙ステーションにも置いて貰えるよう、社員一同一丸となって努力していく」と決意を表明している。

音楽療法コンクールで初の1位

露西亜音楽アカデミー主宰の第8回音楽療法コンクール・ピアノの部で、組奈多美佐子さんが日本人初の1位となった。近年、音楽療法の有効性に関してエビデンスが蓄積しつつあるが、療法士が不足していることが社会問題になっている。このたび、音楽療法で世界的に権威のあるロシアのコンクールで日本人が1位になったことにより、音楽療法士の数が今後増えることが期待される。

組奈多さんの演奏は特に不眠症に効果があり、コンクールの審査員7人中3人が演奏中に居眠りをしていたことが高く評価された。「今後は適応拡大を目指してさらにエビデンスの蓄積に貢献したい」と熱く抱負を語る組奈多さんは、現在ピアノ持参で数ヵ所の病院を訪問し、多くの患者から高い支持を得ている。

魂の重量

人が死ぬとき魂を失う分だけ体重が軽くなるという報告が散見されるが、その報告値は一定していない。また、人間以外の魂の存在を否定する報告もあるが、一部の霊長類で同様の体重減少があるとする報告もある。Stanphord UniversityのSpirit教授は、脳死患者13例の体重推移を検討した結果、脳死段階では有意な体重変化が認められず、呼吸心停止の段階で初めて21グラム前後の体重低下が起こることを第4回国際脳死学会で発表した。

Spirit教授は脳死患者からの臓器移植には概ね肯定的ではあるが、魂の重量という観点からは、ヒトの死は「呼吸と心拍の不可逆的停止」という心臓死がふさわしいとの見解を述べた。これに対し、Kambridge UniversityのControversy助教授は全脳死の患者において平均19グラムの体重変化を確認しており、全脳死がヒトの死としてふさわしいとの立場を取っている。

第3回翻訳ラフティング大会

翻訳者はどのような状況下でも顧客のニーズに応える必要がある。この技能を客観的に評価するため、第3回翻訳ラフティング大会がニュージーランドで開催された。今回は仏英のトランスレーター52名が集結し、劣悪な環境でどれだけ正確に業務を遂行できるかを競った。参加者はボートが急流を激走する10分間に各自のノートPCを用いて医学翻訳に取り組んだ。

今回の課題文は制吐剤の臨床試験に関する論文であった。しかし、ボートが横転寸前まで傾き、水飛沫が舞い上がり、ノートパソコンを川に落としてしまう者、気分が悪くなって嘔吐する者、水がかかってパソコンが使用不能となる者など、結果は散々であった。今回の参加者の7割が自分の未熟さに気付き、今後なお一層の努力を続けることを誓い合った。


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