上野発の普通グリーン車走り始める

 

和寒  2004年10月21日

 

 

 この10月ダイヤ改正をもって、東北・高崎・湘南新宿ラインにグリーン車が導入された。正確にいえば、一部の列車には今までにもグリーン車は連結されていたが、普通車扱いとして開放されていた。筆者は平日日中に何度か乗る機会があったので、その経過について記してみたい。

 改正前の利用状況といえば、連結当初こそ閑古鳥が鳴いていたものの、ダイヤ改正まで特別料金不要と周知されるや一転して混むようになった。特に夏休み期間中は、ポケモンラリーにいそしむ親子(祖父母孫)連れが真っ先に座席を占め、上野発車時点でまったく空席なしとなることも多かった。

 夏休みが明けると業務系の利用者が多数派となった。空席はちらほら残る程度で、声をかけるのにかえって気後れがした。その状態が、ダイヤ改正まで続いたのである。  さてダイヤ改正なって、グリーン車乗車は有料となった。普通運賃に対して、グリーン料金は重い。グリーン車内がいったいどのような景色になるか、だいたい想像はつくものの、敢えて料金を払って乗ってみた。

  王子

 台風前哨の強い雨のなか、グリーン車に着席する。雨模様でそもそも列車全体を通じて利用者数は少なく、普通車でも空席が目立つ。航空のスチュワーデスらしき女性が何人か乗りこみ、そんな需要があるのかと一瞬驚いたが、実は彼女らはグリーン・アテンダントなる乗務スタッフなのであった。

 結局、2両のグリーン車に筆者含めて片手の指が余るほどの着席しかない、閑散としたさびしい状態で出発した。すぐにグリーン・アテンダントが改札にやってくる。携帯端末とスタンプを操る手つきがなんともぎごちなく、筆者一人だけのために一分以上もの時間がかかった。今はいいとして、朝夕のラッシュ時は大丈夫だろうかと心配になる。

 筆者がグリーン車を選んだのは、試乗という意味あいもあるが、車中で昼食を摂らざるをえないスケジュールだったこともある。ロングシートでパンを食べる蛮勇がないわけではないが、やはりテーブル付の落ち着いた車内で食べる方が何層倍かましである。

 そんな需要が多く存在するはずだ、とまではいわない。しかし、そういうニーズを持つ利用者のための「選択肢」が存在することはありがたい。また、多くの選択肢があることは「豊かさ」指標の一つであるともいえる。単調で画一だった車内空間に、一幅の異なるサービスが提供されたことは、社会的な環境がより豊かで成熟していく過程とみなすこともできようか。

 その昔、横須賀線と総武線が直通運転する際、総武線にグリーン車を連結したところで空気輸送になるのが関の山、と揶揄されたものだ。しかし、今日の状況はどうか。朝夕を中心にしっかり需要が定着し、着席できないほどの活況を呈している。日中の列車にしても、そこそこの利用が見られるようだ。

 東北・高崎・湘南新宿ラインのグリーン車利用が定着するか否か、まだ確たる見通しはつかない。しかし、総武線などもさびしい状況から始まったのだ。幸いにして、好天の日には日中でも若干名から十数名程度の乗車がある様子。この沿線に馴染みある者のひとりとして、より豊かで成熟した社会に至った証が見てみたいと、願わずにはいられない。

 

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