まさか撤退とは



TAKA  2008年 9月 7日





 私も東日本フェリーの件に関しては「まさか撤退とは!」と驚きました。普通に考えれば、「日本初」の超高速フェリーを投入する意欲を考えると、普通は最新鋭の新造船投入後一年で撤退するとは思わないでしょうから、驚きはある意味仕方ないかもしれません。

 そのような「驚くべき事態」が発生した自体、「本当に高額の高速フェリーに投資をして効果が有るのか?」が検証不足であったのではと思います。その点はTom様と同意見です。

 実際のところ、北海道新聞の報道によれば、オーストラリアのインキャット社製の112メートルのウェーブピアサー型双胴フェリーは1隻90億円とのことですから、かなり高額な投資であるといえます。しかもこの90億円の高速フェリーの法定耐用年数は11年定額償却の償却率が0.09(定率償却は0.189)ですから、定額償却をしたと考えて、90億円*0.09=8億1000万円/年の減価償却費がかかります。投入したのは2隻ですからこの倍になります。この減価償却費は非常に重いでしょうね。此れが採算性悪化の一つの要因でしょう。

 ただし、それだけでは無いでしょう。実際東日本フェリーの青函航路は、北海道新聞報道内の「函館、室蘭発着の三航路全体で本年度約六十億円の赤字」「函館−大間、室蘭−青森の二航路は、本年度それぞれ二億円、六億円の赤字が見込まれる」ということから推察して、青函航路では本年度約52億円の損失ということになり、かなり収支的に厳しかったことが予想出来ます。

 その52億円の赤字の内16億2千万円は新造高速フェリーの減価償却費としても、それ以外の赤字が35億8千万円ということになりますし、諸々の理由があるにしても(確かに普通のフェリーは重油が燃料だろうが、高速フェリーはディーゼルだから軽油が燃料。この差も大きい?)、燃料費が高騰したといっても大きすぎる数字ですから、元々東日本フェリーの青函航路は高速船就役前からかなりの赤字(年間十億円以上?)であったと予想出来ます。

 (※東日本フェリーは「燃料油価格変動調整金」を徴収している以上、燃料費高騰が原価増加・経営悪化の理由としていうには違和感があるが……)

 多分(憶測ですが)、そのような苦境という理由があったからこそ、東日本フェリーは「乾坤一擲の勝負」という心境で1隻90億円の高速船2隻を購入する投資をしたのでしょう。しかし連結年間売上げ約489億円のリベラホールディングスにしては、1隻90億円・2隻で180億円の高速フェリーへの投資は過大だった気がしますし、タンカー・バルク船など「(現在は)高値転売が利く」船でなく、運行コストが高くニーズが少なくて、国内に転売先が見当たらない高速フェリーに、何かしらの方法でリスクヘッジせずに投資したのも今回の失敗の要因だったと思います。

 (※新聞報道では「高速フェリーは転売・リースを検討」となっているが、当てがあればいいのだが……。インキャット社製ウェーブピアザー型高速船をリースしたアメリカ海兵隊に対抗して自衛隊が高速フェリーを2隻リースor買取すれば、リベラグループにしても道が開けるのかもしれないが……。しかし、公共サービスを損ねた特定民間事業者に対して救済的な買取は好ましくない点には注意が必要?)

 しかも日本のTSLの小笠原航路就役が燃料費高騰を理由に2005年に断念されて居る事から、リベラグループは青函航路への高速フェリー就航にもう少し慎重にリスクを考えるべきだったと思います。どちらにしても、リベラグループ・東日本フェリーの「経営・情勢判断」に甘い点があったのでは?と私は感じます。





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