品質低下の原因は「現場を忘れた」ことにありでは?

 

TAKA  2005年 5月 1日

 

 

 極めて重要な話で私もTom様の危惧が良く分かりますし、実社会の中でまさしく感じていることです。私も抽象的で、しかも私の主観の極めて多く入った内容になりますが、私の感じることを「現場」という視点から書きたいと思います。

 

【品質トラブルの原因は「現場軽視」にあるのでは?】

 私はここ数年起きている品質トラブル・こと故に関して、原因は「現場軽視」があると思います。過去の日本経済の成長の要因は元々勤勉な人々が一心不乱に働き、世界水準を超えた技術開発・製品品質・生産性を達成したことにあります。その点は否定できないと思います。

 しかし今の日本は「頭でっかち」になり、現場を忘れてしまったのではないでしょうか? 日本のよくある会社の形として「本社は書類の上だけで机上の計画を作る」「現場はそれを達成しようとして無理をする」「その無理の歪が色々なトラブルとして発生する」というパターンが多くありませんか?

 会社の経営・運営の基本は「現場」にあるはずです。書類の上や遠い本社では何も見えません。そのことを忘れている人が沢山居ませんか? 私は品質トラブル・こと故の根底にはこのようなことがあると思います。

 

【ISO9001は万能ではない】

 Tom様も言われている様に ISO9000シリーズを「業務品質が基準を満たしている証拠」として猫も杓子も取得することが流行していますが、果たして ISO9000シリーズは品質を本当に保証することになるのでしょうか? 私は残念ながらNOのこと例も多々あるのではないかと思います。

 私の携わっている業界も ISO9000シリーズ取得に熱心ですが、現場を見てみると「ISO の手続き=品質向上」になっていないと感じます。実際に ISOに関しては導入してから現場で作成する書類が格段に増えました。その書類が増えたぶん何が疎かになったといえば「現場管理」です。幾ら書類を作ったって、実際に物を作っているのは現場です。其の管理が疎かになれば、幾ら書類を作って管理したって品質は向上しません。

 私は「基準を作って品質を管理する」という大方針は正しいと思います。しかしその型式論にだけに熱心になっても品質は維持できません。今まで日本は「現場でのカイゼン・QC」等のマニュアルに無い創意工夫を現場で行い世界に冠たる製品品質を作り出したのです。そこに欧米の「書類優先の品質管理」を持ち込んでも上手くは行かないと思います。基準・マニュアルを定めるという良い所は取り入れつつ、「現場の創意工夫を生かし現場に即した現場優先の品質管理」が必要であると思います。

 

【この様な流れを助長したのは誰か?】

 このような「現場を軽視する」という、ついちょっと前までの日本では考えられない様な風潮を助長したのは誰でしょうか? 私はマスコミに原因があると思います。マスコミも表面しかものを見ていません。それは色々な報道を見れば明らかです。

 例えば事故報道の時に、専門の学識経験者を解説者に招くなら良いのですが、現場も知らない実務経験もない本だけ書いた人間やら雑誌の編集者やらを招いて現場を非難するような解説をする。日本的やり方を単純に否定し、欧米のやり方を盲目的に礼讃する。「ブルーカラー」という欧米的な区分を用いたり「3K」などという表現を使ったりして現場に携わる人を軽視する風潮を煽る。このようなマスコミの風潮が現場軽視を世の中に広めてきたといえます。

 本来なら「現場を知らないで何がいえる」と思いますが、このような報道が「現場を知らなくても知識で何とかなる」という極めて誤った考えを広めてきたのではないのでしょうか?

 ある意味で「表面しか見ず」「現場を知らない解説者が喚き」「何も知らない部外者が現場も見ずに粗を探し批判ばかりする」という状況が、現場を萎縮させ荒廃させ、品質を低下させ現場を荒廃させてきたのです。これはマスコミだけではありません。企業の管理部門にも同じことが当てはまるのではないでしょうか?

 このような流れを作り出されてしまったことを猛省すると同時に、至急改めなければなりません。

 

【真に再生させるのには「現場再生」が必須】

 今の日本で忘れていることは「製造『現場』が物を作り」「営業『現場』が物を売る」ということが金を稼いでいると言う現実です。算盤を弾いても書類を作っても金は稼げません。そのような現場が後ろに回り、能書を垂れる人だけが表に出ていては、現場が荒廃してしまいます。

 この点を深刻に考えなければなりません。現場で士気が低下して荒廃してしまっては、今までの日本の物作り・品質を支えていた根幹が崩れてしまいます。このことは現在進行形です。このような現場の荒廃が、今問題になっている品質的な問題等の原因の根幹にかなりの割合であると思います。

 そのような点から考え、まず我々が実際にある「現場」を重視し、その「現場」を活性化させ、「現場」の負担を減らしてあげ、「現場」が能力を十二分に発揮できる環境を作ってあげることが必要であるといえます。そして現場を再生してあげることが、品質を向上させ事故を減らす重要な方法であると考えます。

 

 私の考えもある意味で「抽象的」な内容で、交通論としては相応しくないかも知れません。しかし、交通とて輸送の「現場」が支えている物です。その現場にも私が述べているようなことが発生しているのではないでしょうか? 「現場」に負担が掛かればその無理から事故等が起きてもおかしくありません。

 「本社で見ていても実際の状況が分からない」というのは交通産業でも同じです。竹ノ塚でも尼崎でも、真相の原因に「本社で見ているだけでは分からない現場の無理」があったのではないでしょうか? そう考えると、交通業界でも私が述べたようなことが必要なのかもしれません。その点は十二分に考え、改める点は改める必要があると思います。

 

 

 

 

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