駅の「合理化」について

 

エル・アルコン  2005年 3月29日

 

 

 鉄道会社はその固定費負担をどれだけ軽減出来るかが収支改善の鍵であり、最近では運用効率の向上や要員の削減といったリストラ策の強化が進行しています。そして駅の無人化と言うとひと昔前まではローカル線での話でしたが、最近では自動改札機の普及や自動券売機の高性能化により、大都市圏での無人化も目立つようになりました。

 事業者によってはさらに電車運行のワンマン化も同時に行うことで、運行、駅務に割く人員を最小限にしているケースもあり、この夏あたりに全面的にワンマン化を実施する神戸電鉄はその代表でしょう。

 しかし、こうした施策、特に駅の無人化は利用者にとっては歓迎せざるものであり、せっかく無人化、もしくは要員削減をしたのに、利用者の反発などで撤回するケースも出ていますし、利便性低下で済まないデメリットを招きかねない部分も出て来ています。

 

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 昨年 3月のダイヤ改正で、JR神戸線の朝霧駅から「みどりの窓口」が消えました。JR西日本ご自慢の「みどりの券売機」の設置により代替が可能という説明でしたが、学割やジパング割引といった対面販売で資格を確認しないといけない取り扱いに対応出来ないといったデメリットに利用者の反発が上がっていました。

 結局この 4月 1日から「みどりの窓口」が復活することになりましたが、この「迷走」を見ると、高齢者や学生といった「交通弱者」に属する公共交通のお得意さんを狙い打つような改悪であったことに気が付くわけで、本来死守しないといけない層の利便性を下げたとことは営業的にも問題でした。

 同じ神戸市内の摂津本山駅はこの 3月のダイヤ改正で南口の有人改札の取り扱い時間を朝ラッシュ時と夕方から夜半までとしました。こちらはフル営業の北口があるのと、これまで南口に無かった「みどりの券売機」が設置されたことで、利便性が向上したという見方も出来ますが、青春18きっぷなど自動改札機非対応のきっぷの利用や、途中下車、さらにある種の乗り越し精算(新幹線回数券とICOCAやJスルーの組み合わせなど)への対応が出来なくなっており、こうした利用は日中はともかく、早朝の出発、深夜の到着は比較的多いだけに、利便性が低下した面は否めません。

 摂津本山の場合、自由通路+橋上駅もしくは高架下駅舎というケースではなく、昔ながらの構内通路の南北に駅舎があるスタイルゆえ、要員が他駅よりも多くなっていた事情はわかります。とはいえ階段しかない地下道を通って北口に出て、こんどはこれも階段だけの跨線橋で南口へというのは利用者不在の話です。

 こうなると平行する阪急や阪神への逸走も心配されますが、北口側に特急停車駅の岡本を擁する阪急と違い、南口の駅勢で重なる阪神は競争力が無く、そうそうのことでは逃げないという読みでしょうし、サービスでの不具合は私鉄で代替が利かない長距離だからという胆でしょうか。とはいえ行楽や旅行を思い立った時、摂津本山の「向こう側」に回らされるというのが思わぬ抵抗感を与える可能性は否定出来ません。奇しくも「ライバル」の阪急岡本駅は、カードや定期券専用だった上りホーム山側の出入口に券売機と精算機を設置することで利便性を高めたことと対照的です。

 駅の無人化での先輩格と言うと山陽電鉄ですが、ここも2002年に夜間の治安悪化などが問題になり、社員が巡回することになるなど、駅や鉄道会社に対する信頼性を下げたばかりかコストを掛ける結果になっています。

 いかに遠隔管理・監視をしていたとしても、そこに駅員がいないのではお手上げであり、そうなると安全・治安という事業の根幹となる部分への信頼性を損なうばかりか、事業の基本である運賃の回収すら覚束無くなるわけで、これでは本末転倒の批判も免れ得ません。

 山陽電鉄の場合は無人駅に社員の巡回という二度手間(?)になりましたし、JR朝霧駅の場合は過度の合理化に利用者がノーを付きつけ、会社側も無視できなかった格好です。こうした「ドタバタ」は結局のところ利用者による事業者への印象を損なうだけに終わるだけに、慎重な取り組みが望まれます。

 

 

 

 

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