2001年1月20日 湖のほとり 〜 道端の牧場
朝、冷え込んでなかなかシュラフから出られない。8時、何とか起き出してコーヒーを沸かす。角砂糖を2つ入れる、2杯目はブラックで。パンで朝食を済ませ大地にウンコを返す。体調は良いようだ。9時、山の稜線から陽がのぞきテントにも当りはじめる。ゆっくりと支度して10時に出発。車道まで押し上げるのに一苦労。
沢で水を汲んでいるとサイクリストがやって来た。シェーンである。合流し一緒に走るが彼のペースは速い。いや僕が遅いのか?
下りの途中でシェーンが止まっていた。追いつくと前方からやって来たサイクリスト3人と話している。カートを引くカナダ人2人にやけに軽装の謎?の男。シェーンはヒゲの男と主に話しスポークの振れを直したりしている。僕はもう一人のカナダ人と話す。彼らはウシュアイアからアリカまでのチリ縦断を目指している。ホッカイドーとベップに友人がいるそうだ。へえ。
写真を撮り合って別れる。しばらく走ると昨日見かけたカップルに追いついた。が、僕は彼らのペースに付いていけず徐々に離されて結局独りになりその後追いつくことはなかった。
黒い岩肌の急峻な岩峰が連なる谷を上り詰めると峠だ。視界が開け急な下りになる。道路は舗装されているので快調に高度を下げていく。向かって右手に雪を頂いた山々が見える。下りの途中にプエルト・イバーニェス"Puert Ingeniero Ibanez"への分岐がある。プエルト・イバーニェスからは対岸のチレチコ"Chile Chico"へのフェリーがあり大幅に距離を短縮できる。

ゆっくりと支度する
|

途中で出会った3人組
|

独り置いていかれる
|
ここでこれからのルートについて簡単に説明しておこう。いくつかの選択肢があるのだがその1つが先述のフェリーでチレチコに渡りアルゼンチン国境を越えてルータ40へ合流するルートである。なぜフェリーかというとチリ、アルゼンチン国境にまたがる巨大な湖、ヘネラル・カレーラ湖"Lago General Carrera"(アルゼンチン側はブエノスアイレス湖"Lago Buenos Aires")が行く手にドーンと控えているからだ。このルートが距離的に短く楽である。
もう1つはそのままアウストラル街道を走り湖の南岸を通る265号線でチレチコへ入るルート。僕が選んだのはこのルートである。湖や氷河を眺める好展望ルートだがアップダウンがうんざりするほど厳しいのが難である。
さらにもう1つ、アウストラル街道終点のビジャ・オヒギンス"Villa O'Higgins"から山道を越えてアルゼンチン側のエルチャルテンへ抜けるルート。僕が走った時は情報がなく選択肢に入ってなかったが最近(2006年)のブログなどを読むと結構利用している人もいるらしい。が約20Kmは車道ではない山道の峠越えらしいので相当に厳しいルートだろう。
(他にはコークラネ"Cochrane"という町の手前から分岐する道でアルゼンチンのルータ40に合流するルートもある。ここはタンデム世界一周の宇都宮夫婦が走っている。)
・チリの地図サイトへのリンク Turistel Mapa Rutero J トップページはココ
(ちなみに同じ地図を現地でも使っていました。)
という訳で分岐を通り過ぎてそのまま下りヴィジャ・セロ・カスティージョ"Villa Cerro Castillo"という村に着いた。商店は数軒あるがどこも閉まっている。が、観察していると仕組みが分かってきた。入り口にある呼び鈴を鳴らすと店の人が鍵を開けて中へ入れてくれるのだ。日本でも田舎に行くとよくあるよね、ガラガラッと扉を開けるとチャイムが鳴って奥の居間からおばちゃんが出てくるお店が。あれと似た仕組みである。2軒まわって必要なものを買う。パン、米、ビスケット、ハム、ニンジン、ビール、ワイン等。
町を出ると長い上り坂、路面は乾燥して石が浮き非常に滑りやすい。カーブで横断勾配がきついともうダメ、乗れない。滑るので真っ直ぐ押すことも出来ずコーナーのイン側から斜めにアウト側に押し上げて進む。ひたすら押してたまに乗る、そんなことを続けていると視界が開けてくる。鋭く尖った形のいい山がセロ・カスティージョだろう。カスティージョとは城とか砦といった意味である。
きつい上り区間を何とか抜けて森の中の道を下っていると一台の車が追い抜いていった。挨拶を交わす。と、車は少し先で止まり家族が降りてくる。僕も止まり再び挨拶。30代後半位の夫婦と女の子2人、お姉さんは中学生、妹は小学生高学年位かな?それとダックスフント1匹。そう、この犬が走ってこっちによって来たのが止まるきっかけになったのだ。ここで食事にするらしく一緒にどう?と誘ってくれるので喜んで参加させてもらう。タッパーに入ったパスタとパンを頂く。飲み物は?と聞かれワインを選ぶと皆から笑いが起こる。ご主人と乾杯。彼は少しだけ英語が出来る。チリのサンチアゴに住んでいて初めてのパタゴニア旅行、チレチコからアルゼンチン側を北上するそうだ。女の子2人も学校で英語を習ってるらしく結婚してるの?子供は?パパじゃないのね?などと聞いてくる。苦笑いしながらNoと答えておいた。
手を大きく振って別れる。よき出会いなり。もっと言葉が出来たらとも思うけどこのくらいでもいいかとも思う。しかしチリの家族は仲がいいね。感心するよ。
この日はここから2Km程走り森を切り開いた奥行きのある牧草地の大木の下にテントを張った。
走行DATA D 51.79km T 4.16.05 A 12.1km/h Max 53.6km/h

豪快な下り
|

視界が開ける
|

セロ・カスティージョを主峰とする山々
|

急勾配を押し上げる
|
|
|
|