強制入院(措置入院)の法は憲法違反と国を提訴した判決文

「 国は慰謝料1円払え! 」と訴訟

「立法府が、憲法違反の法律を廃止しない不作為が問題だ」とした。




事件番号 鳥取地方裁判所 平成24年(ワ)第217号

平成25年7月26日判決言渡

原告 ○○ ○
被告 国

     主文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

    事実及び理由
第1 請求
被告は原告に対して1円支払え。

第2 事案の概要

1 請求原因
(1) 鳥取県知事は、平成19年8月30日、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(以下「法」という。)29条に基づき、原告を独立行政法人国立病院機構鳥取医療センター(以下「医療センター」という。)に入院させる措置をとり、鳥取県知事は、平成20年2月7日、原告に対する上記措置を解除し、同日、原告は医療センターを退院した。
(2) 法29条及びこれに基づいて都道府県知事が入院措置(以下、この措置による入院を「措置入院」という。)は、違憲無効というべきであるところ、原告は、上記(1)のとおり、違憲無効な法29条に基づく措置により、5か月間にわたり、治療名目で不当な入院を余議なくされた。
(3) その結果、原告は、多大な精神的苦痛を被ったが、これは、違憲無効である法29条を立法し、また、以後これを廃止しない国会議員の立法不作為に由来するものであり、この立法行為又は立法不作為は国会議員の故意又は過失に基づく。
(4) 上記(3)の精神的苦痛は、1円の支払いをもって慰謝されるのが相当である。
(5) よって、原告は、被告に対して、国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料1円の支払いを求める。

2 請求原因に対する被告の認否
請求の原因はいずれも不知又は否認する。


第3 当裁判所の判断

1 国会議員の立法行為又は立法不作為が国家賠償法1条1項の適用上違法となるかどうかは、国会議員の立法過程における行動が個別の国民に対して負う職務上の法的義務に違背したかどうかの問題であり、当該立法の内容又はこの立法不作為の違憲性の問題とは区別されるべきである。そして、仮に当該立法内容又はこの立法を廃止しない立法不作為が憲法の規定に違反するものであるとしても、そのゆえ国会議員の立法行為又は立法不作為が直ちに違法の評価を受けるものではない。
 しかしながら、立法内容又は立法不作為が国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白な場合や、国民に憲法上保障されている権利行使の機会を確保するために所要の立法措置を執ることが必要不可欠であり、それが明白であるにもかかわらず、国会議員が正当な理由なく長期にわたってこれを怠る場合などは、例外的に、国会議員の立法行為又は立法不作為は、国家賠償法1条1項の規定の適用上、違法の評価を受けるものというべきである。

2 ところで、法は、精神障害者の福祉の増進及び国民の精神保健の向上を図ることを目的とし(法1条)、その目的達成のため措置入院の制度を設けているところ、当該制度の概略は次のとおりである。
(1) 都道府県知事は、以下のアないしキの申請、通報又は届出に接した場合、その対象者について調査の必要があると認められるときは、当該都道府県知事の指定する指定医に診察をさせなければならない(法27条1項)。
ア 精神障害者又はその疑いのある者を知った者による、その者についての指定医の診察及び及び必要な保護の申請(法23条)
イ 精神障害のために自傷他害のおそれがある者の存在に関する警察官の通報(第24条)
ウ 精神障害者又はその疑いがあるものに対し一定の処分をした場合における検察官の通報(法25条)
エ 保護観察に付されている者が精神障害者又はその疑いがのある者であることを知った場合における保護観察所の長の通報(法25条の2)
オ 矯正施設から精神障害者又はその疑いがある者の釈放、通院又は退院させようとする場合における当該矯正施設の長の通報(法26条)
カ 入院中の精神障害者のうち一定の要件を充たした者から退院の申出があった場合における当該精神科病院の管理者による届出(法26条の2)
キ 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者にかかる医療及び観察等に関する法律2条6項所定の指定通院医療機関の管理者及び保護観察所の長による通報(法26条の3)
(2) 上記(1)の診察の結果、その対象者が精神障害者であり、かつ、入院させなければその精神障害のため自傷他害のおそれがあると認めたときには、都道府県知事は、その旨を国等の設置した精神科病院又は指定病院に入院させることができる(法29条1項)、しかし、措置入院に当たっては、二人以上の指定医の診察を経て、入院させなければ対象者が精神障害のため自傷他害のおそれがあると認めることについて、各指定医の意見が一致することが要件となっている(同条2項)。なお上記自傷他害のおそれの有無の判定は、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第28条の2の規定に基づき厚生労働大臣の定める基準」(昭和63年4月8日厚生省告示第125号。乙3)に従って行われる。
(3) 指定医の選定に当たっては、原則として同一医療機関に所属する者を選定しないこととするとともに、措置決定後の入院先については当該指定医の所属病院を避けるよう配慮することが要求されている(「精神科病院に対する指導監督の徹底について」(平成10年3月3日障第113号・健政発第232号・医薬発第176号・社援第491号厚生省大臣官房障害保険福祉部長・健康政策局長・医薬安全局長・社会・援護局長通知)。乙4)。
(4) 指定医が診察するに際しては、対象者の保護の任に当たっている者がある場合には、診察の日時及び場所をその者に通知しなければならず(法28条1項)、現に保護の任に当たっている者は、その診察に立ち会うことができる(同条2項)。また都道府県知事は、その監督下にある当該都道府県の職員を診察に立ち会わせなければならない(法27条3項)
(5) 措置入院に付された者又はその保護者は、厚生労働省令の定めるところにより、都道府県知事に対して、対象者を退院させ、又は精神科病院の管理者に対し、対象者を退院させることを命じ、もしくはその者の処遇改善のため必要な措置を採ることを求めることができ(法38条の4)、都道府県知事がこれに基づく通知を受けた場合には、精神医療審査会に通知して審査を求めなければならない(法38条の5第1項)。精神医療審査会は、審査に当たり必要があると認めるときは、対象者の同意のもとで改めて審査会委員に診察させ、対象者が入院している精神科病院の管理者等に報告を求め、審査録等の提出を命じ、出頭に命じて審問することができる(法38条の5第4項)。

3 以上によれば、現行措置入院制度は、精神障害者の福祉の増進及び国民の精神保健向上の実現というそれ自体明らかに正当な目的を達成する手段として、対象者を入院させるものであるところ、対象者が精神障害者であるかどうか、またその者が精神障害のため自傷他害のおそれがあるかどうか認定するについての手続を相当に厳格なものとしており、対象者及びその保護者は退院請求の余地を認め、事後的救済手段を設けているのであって、措置入院に付すべきでない対象者の自由が公権力が不当に拘束する危険を排除するための適切な手段を講じているものということができる。
 そうであれば、法29条が発動され、さらにこれを含む法に定められた措置入院制度が運用されることによって、国民に憲法上保障されている権利が一般的に違法に侵害されるとは考えられない。したがって、法29条さらにはこれを含む措置入院制度に関する法の規定が国会議員によって立法され、かつ、これを廃止する方向での国会議員の活動がされていない(立法不作為)ことが国民に憲法上保障された権利を違法に侵害することが明白であるとは到底認められない。また、国民に権利行使の機会を確保するために法29条さらにこれを含む措置入院制度にかかる法の規定の全体を廃止することが国民の憲法上保障されている権利行使の機会を確保するため必要不可欠であるとは認められていない。
 したがって、法29条あるいはこれを含んだ措置入院制度に関する法の規定全体を立法し、かつこれを廃止しない国会議員の立法行為又は立法不作為が違法であるとする原告の主張を採用することはできないから、これによって国が損害賠償責任を負う理由もないことになる。

4 以上であるから、原告の請求には理由がない。

鳥取地方裁判所民事部   裁判官 大島雅弘




措置入院に関する法律は、憲法上保障されている権利を侵害することはない法だから
廃止しなくても憲法違反でないということだろう。
しかし僕の事例では、精神科医が僕本人に心当たりの無い被害妄想を捏造し統合失調症と診断し
他者に危害を加える恐れが極めて高いなどといい加減な憶測で
この法律に基づいて身柄を5ヵ月も精神病院に拘束された。

措置入院の法は精神科医には不正はないことを前提にしているが
鳥取のようなムラ社会では、精神科医は警察権力にへつらい診断を曲げる。
精神科医の診断が杜撰なので、この法は適正に運用されな場合があり
基本的人権を侵害する恐れがある憲法違反の疑いがある法である。

医療保護入院の違憲の疑いは議論されているようだが、措置入院もだ!

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