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極私的映画戯言

 
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※ ★の数は、オススメ度です
VANILLA SKY(バニラ・スカイ)                   ★★★★

VANILLA SKY

 この作品をひと言で言えば「幻想の世界」ということになるだろうか。一番最初の、トムクルーズがたった一人でタイムズ・スクエアを疾走するシーン。あれを観たところで早く気付くべきだった。
 それだけでは片づけられないかもしれないが、観終わってみて、実に不思議な気分がする。どう説明すればいいんだろう? TVCFや予告編を観ただけでは決してたどり着く事のない物語の真意と展開・・・。そして、度肝抜かれ、ひっくり返ってしまいそうになる結末・・・。
 本作は、もともと97年にスペインの奇才アレハンドロ・アメナーバル監督の長編第2作『オープン・ユア・アイズ』が原作となっています。この奇抜な設定のアイデアの元祖は向こうらしいです。でも観ていないので何とも言えませんが、決してこの作品は観て損はしないと思いますよ?
 
 最初は、単純な恋愛モノにちょっとした工夫が入っているサスペンスモノだろうとタカをくくっていたのだが、まったく予想していたものと違う内容で、頭を鈍器か何かで殴られたような衝撃を受けた。もう、設定も時間も空間も、とにかくぶっ飛びまくります。それに、回想シーンと描写シーンとが混在して、何がストーリーの本流で何が枝葉なのかの区別すら途中で分かりにくくなってしまうんです。しっかりと観ようとしていればしているほど、たぶん「それ」にはまってしまうでしょうね。おそらく、一度観ただけでは到底理解し得ない世界がそこにあると感じました。ぜひ、もう一度劇場で観るか、ビデオかDVDが出たら観て確認しようと思います。
 
 映像面では、これでもかと言うぐらい凝ってました。冒頭の方や、物語の中盤に音楽に合わせて繋いだと思われるシーンが出てくるんですけど、ちょうどいいんですよね。出てくるタイミングといい、そのシーンの長さといい。かなりトリッキーなシーンだったり恋愛ドラマっぽい造りだったりするんですけど、それが物語の中に埋もれると、いわゆる緩和剤になるというか、それまでの、もしくはそれからの話の流れがさらにややこしくなるというところで出てくるんですよ。僕は、自分の仕事でもそうですが、こういう音楽に合わせて映像を創る作業が好きなんです。普通に映像を繋いだりすると飽きられそうな場面でも、音楽を使う事によって自然に「耳と目」に情報を伝達する事が出来るんです。一部で、サブリミナルっぽいモノがはさまっている箇所がいくつか出てくるんですが、この「一秒の数分の一」の長さの映像の中に大きなヒントが隠されていました。例えるなら、人が瞬きをしているほんの一瞬です。十分注意して観てて下さいね? ちょっと、2時間17分ってのは長すぎる気がしないでもないですけど。
 
 あと、普段、何気なく映画を観る時もセットや衣装、スクリーンの中に写り込んでくる看板やモノに意識を働かして鑑賞していますが、この作品では途中から特に意識して観るようになっていました。何が「今」なのか、観ていて途中からワケが分からなくなったからです(笑)
 深くは触れませんが、登場する「人物と名前」「動物」「ポスター」「雑音」「場所」「会話」「声」を順序よく頭の中で整理しながら鑑賞した方がイイです。何も考えずただ観ていると、たぶん謎解きシーンを観終わった後でも、頭に「?」付いたところは分からないままになってしまう可能性があるからです。実際、注意しながら観ていましたが、僕の中でもいくつかの謎は分からないままになっているんです(^-^;
 
 また、音の方もかなり入れ込んで創ってましたね。前述の映像とシンクロさせてある挿入曲をはじめ、突然大音量で流れるそれ以外の劇中音楽もいいです。中でも、R.E.M.やポール・マッカートニーは、この映画の為に新しい曲を書き下ろしているし、元ジェネシスのピーター・ガブリエル、トッド・ラングレン、ボブ・ディランといった蒼々たるアーティストを起用してます。こういう王道恋愛モノでない映画なら挿入音楽は大歓迎です。次から次へと流れるBGMが印象的に耳に残ったりするのも、なかなかオツなものです(笑)
 
 いやぁ〜、それにしてもポーラ・ワグナーとトム・クルーズは、なんて映画を創ったんでしょうか。自身が主演と製作を担当した意欲作。きっとこの映画は、トップ・ガンで二枚目路線を決定づけたクルーズの新境地の一面をかいま見る事の出来る代表作品になるでしょうね。
 あと、忘れていけないのは00年に『あの頃ペニー・レインと』を発表したキャメロン・クロウ監督の存在ですかね。心理描写には定評のある彼は、この作品で、ハリウッドで高い評価を受け大成功を収めています。音楽ライターとしてのその手法は、本作でも十二分に活きているといっていいんじゃないでしょうか。個人的には、あのキャメロン・ディアスが・・・?!って展開に、妙にハマってしまいましたが(^-^;
 
 最後に、パンフレットでとても印象に残った一文を紹介します。
 
 
                FORGET EVERYTHING
                YOU KNOW ABOUT
                LOVE,WORK,PLAY,HATE,
                LIFE,DEATH,DREAMS,REALITY,
                FAMILY,FRIENDS,SEX
 
                AND JUST
 
                OPEN YOUR EYES
 
 
監督/脚本  キャメロン・クロウ
製    作  トム・クルーズ/ポーラ・ワグナー
 
出    演  トム・クルーズ     (デヴィッド・エイムス)
         ペネロペ・クルス    (ソフィア・セラノ)
         カート・ラッセル    (カーティス・マッケイブ)
         ジェイソン・リー    (ブライアン・シェルビー)
         ノア・テイラー      (エドモント・ヴェンチュラ)
         キャメロン・ディアス  (ジュリー・ジアーニ)   ・・・ほか
 
【公式サイト】
http://image.excite.co.jp/jp/cinema/special/vanillasky/flash/index.dcg
 
<鑑賞データ>  2002年1月12日 ニューパレス2(13:30の回)
 
 さすがに土曜の午後一の回。駅前という立地から考えても客足が伸びてくる時間帯だったんだろう、客層も多様で席も5割近く埋まっていた。しかし、残念な事に私が観た回は上映ミスがあった。物語序盤で、妙にスクリーンのピントがズレだし、そのうち字幕すら読みづらくなるような程にまでピントがズレてしまった。
 
 これは、映写技師が持ち場を離れた事で起きる単純なトラブルだ。映画館というモノはそれぞれの大きさに合わせて映写機の投影レンズのピントが決まっている。映写室とスクリーンまでの距離が、すべての映画館で微妙に異なる為にそういう風に合わせてやる必要がある。映写技師というのは、その調整とフィルムの掛け替えの為に存在していると言ってもいい。それが、どういう訳かズレてしまったのだ。デキたお客が多かったのか、苦情が出ないまま数分間上映されていたんで、映写室の方を見上げたが誰もそのことには気付いていない様子だった。あれ以上、ピントのずれた状態が続くと窓口に文句のひとつもいいに言ってやろうと思い出した次の瞬間、私の前に座っていた30代とおぼしき女性二人連れの一人が代役を買って出てくれた。その直後、一瞬スクリーンが暗くなったかと思うと、元のピントに戻った。
 
 そのすぐ後に、物語の「核」となるシーンが来たので、その女性は絶妙のタイミングで文句を言ってくれたと言う事になる。それにしても、そうなるまで誰も気付かないというのも、ちょっとお粗末な気がした(^-^;

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Last updated: 2004/10/20