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極私的映画戯言

 
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※ ★の数は、オススメ度です
サトラレ                                 ★★★★
 もともとの原作が、ある週刊誌の読み切りから始まった・・・という予備知識だけはあった。まあ、本広克行作品という点から言えば、代表作『踊る大捜査線−THE MOVIE−』や『スペーストラベラーズ』『ホワイトアウト』に見られた派手なアクションシーンが無かったなぁということ。それと情景的だったというか、いつになく心情や叙情に訴えかける映画だったんじゃないかと。
 
 設定は相変わらず突飛だ(笑)。
 自分の思ったことが、先天的にプラスもマイナスもすべてまわりの人たちに筒抜けになる、つまり「悟られてしまう」から「サトラレ」という訳だ。映画の中では、民話の中に出てくる人の心を読む妖怪“サトリ”から、こう呼ばれるようになったとしている。
 病名は「乖離(かいり)性意志伝播過剰障害」。思念波(しねんは)という特殊な波が直接頭の中に伝わる・・・という設定のため、演じている役者も観ている観客もその波がどう伝わっているのか、想像しなければならない。撮影時の苦労はいかばかりだろうか? さらに、その波は半径約10mに伝わってくるはずなんだが、物語後半ではその設定すら吹っ飛んでしまっているのが何とも強引で、ある意味可笑しい。
 
 唯一派手なシーンといえば、物語中盤に登場するとなり町でのお祭りのシーンだろう。もはやお約束とも言える重低音の聞いた効果音と音楽を使って、場面の重々しさを盛り上げる。それと1両編成の列車と四駆車との追走シーンを使い、「サトラレ来訪で騒然となるお祭りの会場〜主人公達を乗せた列車〜疾走する四駆」を速いテンポでカットバックすることで、無理矢理観客をヤキモキさせるというか、緊張感を出していた。いかにもテレビ的な演出手法で、やはりテレビ出身の監督と編集マン・・・というシーンだったように思う。
 別に悪いといっているワケじゃない、★の数が示すとおりいい出来だったが、ただ「映画的」じゃなかったというだけ。これは個人の趣味の範疇であって、もう少し工夫が欲しかったなぁと。
 
 あとは、いつもリアリティにこだわる本広監督だけあって、冒頭の自衛隊のシーンや主人公が務める病院内の様子も、細部まで作り込まれていた。もちろん、日本の映画界では、長期間だろうと短期間だろうと街全体や建物を借り切って大々的にロケを行うことは事実上不可能なので、映画内で使われていたほとんどがセットだったと思われるが、一目見ただけではそれと判らないぐらい小道具やあらゆるものが本物より本物らしかったと思う。
 
 最後に、非常に印象に残ったのが、舞台となった街の中央を流れていた川沿いの桜並木だ。過去から現在に至るまで全編を通じてまんべんなく登場し、季節感とやすらぎの心を感じさせてくれた。
 それと同時に、安藤政信演じる「サトラレ症例7号・里見健一」と八千草薫演じるその祖母「里見キヨ」の人生模様が、桜とシンクロして何とも言えないこみあげるものを感じた。いつもそばにいて、孫の成長を見守ってきた祖母と、常に一緒にあった桜・・・。そして、その桜の下を今度は成長した孫が祖母をおぶって歩く・・・。世代間の関係が稀薄になっている現代、そんな場面に出くわすことはそうないだろう。
 
 人の心とは何とも脆く、そして逆に強いものか。憧れというか懐古というか、何だか妙に懐かしく羨ましい気持ちになった作品だった。
・・・また、どこか切ない気持ちも残る作品じゃないだろうか。
 
 いやぁ〜、それにしてもこの映画のTVCFは観客が勘違いするようにうまく作ってあるよ、ホント感心するぐらいに。それは本編を劇場で観れば判ります(笑)
 あとパンフは一見の価値ありです。この映画を芯から楽しむなら、ぜひ読んで欲しい細かい設定なんかが載ってますから・・・(^-^;
 
監督 本広克行
主演 安藤政信/鈴木京香/寺尾聡
    八千草薫/小野武彦/内山理名ほか
 
公式サイト【 http://www.satorare.com/ 】 

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Last updated: 2004/10/20