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極私的映画戯言

 
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15MINUTES(フィフティーン・ミニッツ)            ★★★+★1/2

15MINUTES(フィフティーン・ミニッツ)

 最初に断っておくが、筆者はロバート・デ・ニーロの大ファンというわけではない(笑) たまたま鑑賞作品が連続しただけなので、そのへんのところ誤解のないように・・・(そんなこと、どうでもいいんだろうけど(^-^;)
 
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 物語は東欧人二人組がアメリカにやってきたところから始まる。空港の出入国審査中に会話している二人だが、チェコ人エミル(カレル・ローデン)はうさんくさい知略家というか策略家で、ロシア人ウルグ(オレッグ・タクタロフ)は随所に映画おたくチックな描写が出ていて、そのやりとりがすでにどこかおかしい。二人は何にでも影響されやすい“単純な馬鹿”なのか、それとも本当の意味での“知能犯”なのか、それは物語後半に進むにつれ明らかになっていく。
 
 二人は、以前起こした銀行強盗の分け前をもらう為に仲間に会いに来たのだが、その金はすでに使い込まれなくなっていた。それに逆上したエミルは妻もろとも仲間を虐殺。その凶行を娼婦宿にスカウトされている美容洗髪士ダフネ(ヴェラ・ファミーガ)に目撃された事に気付くと、その部屋に放火、証拠隠滅を図る。さらに現場に残された娼婦事務所の名刺から彼女に迫っていく。
 
 この最初の殺人の場面で、本作のミソとなる「15分間(ミニッツ)」への布石として、相棒のウルグが犯行の一部始終をデジタルカメラで撮影していることがあげられる。ここで注目すべき点は、実際に映画の中で使用されているビデオカメラによる手持ちの映像は、本職のカメラマンが撮影したものではなく、すべて【役者であるオレッグ・タクタロフ自身】が【映画監督気分に浸るウルグの目線で撮影している】というところだろう。
 
 始めのウチは酔いそうにも思えるカメラアングルや画面サイズも、そのうち慣れてくると、ここであんな映像が見たい、こんな角度で撮って欲しいと思ってしまう自分が出てくるだろう。一度でも自分でカメラをまわした経験がある人なら、きっと理解していただけるのではないだろうか?
 また動きの激しいシーンや荒っぽいシーンで、意図せずボタンに触れて偶然起きてしまった画像エフェクト(ソラリゼーション・モノクロなど)も、そのまま作品の中に映像化することで、よりその場のリアリティが伝わってくる効果となっている。これはかなり思い切った演出だったんではないだろうか。
 
 そして、この事件の捜査に登場するのが、様々な難事件を解決しその度にマスメディアが取り上げ、今や国民的スターとなったニューヨーク市警殺人課の敏腕刑事エディ・フレミング(ロバート・デ・ニーロ)だ。と同時に、放火事件の調査で消防局放火調査官ジョーディ・ワーソー(エドワード・バーンズ)も現場を訪れていた。ジョーディは放火の証拠となる時限発火装置を発見、単なる焼死事件ではなく殺人事件として二人で事件解決に向け捜査に乗り出すことになる。
 
 一方、血生臭いニュースほど視聴率を取れると信じて疑わないニュース番組のキャスター、ロバート・ホーキンス(ケルシー・グラマー)は、番組プロデューサーと揉めながらもこれまでの路線を変えるつもりはなく、しかしスター刑事エディの捜査の同行取材では「過激さ」を求める視聴者を満足させることが出来ないと考えていた。
 
 物語中、何度かエミルとウルグがテレビを見ているシーンが挿入されている。ある父親が、自分の息子の妻と肉体関係を持ってしまったことを公衆の面前で告白し、やり直してくれるよう息子に頼む番組や、ある殺人事件の被告が、自分が罪を犯してしまったのは精神異常のせいだと訴え裁判を闘っているニュースなどだ。
 これらマスメディアから知識と情報を得て、犯人達は自分達がいかにして罪を免れ、同時に大金を掴むかに知恵を働かせ実際に行動に移すことになる。それがTVCFで映画の前フリに使われている、【ニューヨークで最も有名な刑事を殺害する映像をビデオに撮る】という行為だった。
 
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 ここから先は本作品の醍醐味とも言える部分に関わるので、詳しいレビューは控えたいと思う。全編を通じて感じたのは、忘れた頃にドキッとする迫力あるシーンが来たり、これでもかと言うぐらいウルグのデジカメ映像が挿入されることだ。正直言うと、この手の画額が定まらない映像を長く観ているのは、画面全体を一枚の「画」としてとらえてしまう職業柄、非情にツラかった。怒濤のラストシーンは見応えたっぷりなので、しっかり堪能してもらいたい。観終わったあと、主役が誰だったのか考えさせられるかもしれないが(^-^; ニコラス・ケイジの「8mm」クラスで殺戮のシーンが苦手という人には勧めないが、そんなに激しい描写はないので、続きはぜひ劇場で確かめて欲しい。
 
 「見たい・聞きたい・知りたい」と思うのが人間なら、その期待に応えるためだけではないにせよ、数字を取るために倫理を超越した領域で報道に携わるのも人間だった。 加害者と被害者、その両方をうまく天秤に掛けて報道するというのは本当に難しいことで、この映画に限らず現実世界でも知らず知らずのウチに、このような出来事は起きているのかもしれない。筆者自身、お茶の間には決してお届けできない映像の中で日夜働いている為、本作品を観終わったあと、何とも言えず身につまされる想いがした・・・。
 
監督 ジョン・ハーツフェルド
主演 ロバード・デ・ニーロ/エドワード・バーンズ
    ケルシー・グラマー/カレル・ローデン
    オレッグ・タクタロフ/メリーナ・カナカレデス
    ヴェラ・ファミーガほか

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Last updated: 2004/10/20