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極私的映画戯言

 
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メトロポリス                              ★★★★

メトロポリス

 何年か前に観た、ルパン三世の「DEAD or ALIVE」以来だろうか・・・とにかく久しぶりにアニメーションの映画を観に行ってきた。同じ劇場でやっていた劇場版コナンから流れてきたのか、客層は複雑な感じだった。女子中学生らしき二人組や小学校低学年の子供を連れた親子連れが居るかと思えば、60歳をまわっていると思われる老夫婦や明らかに20歳代のカップルも居た。まあ、中には色白で「おっ、お約束なヤツ(^-^;」というのもいましたが・・・。
 
 同タイトルの手塚作品「メトロポリス」は、50年以上も昔に書かれた<長編科学冒険漫画>というものらしいが、我々20歳代後半の人間は、どちらかといえば手塚漫画で育ったというよりも、藤子不二雄漫画で育った世代。「鉄腕アトム」や「ブラックジャック」、「リボンの騎士」や「三つ目がとおる」などのアニメキャラ、「火の鳥」なんかの映画作品は知っていても、原作漫画の事となると、手塚作品の真髄たるを知るには至っていないだろう。
 そんな原作があることすら知らない私は、何の時代設定や人間関係を知らされないまま始まったオープニングシーン、CGとセルアニメの圧倒的な未来の巨大都市群を前にただただ驚いていた。あとから登場するキャラクターこそテレビで見慣れた手塚キャラなのだが、世界観というか空間設定は、脚本家・大友克洋の「AKIRA」そのものだったからだ。
 
 それはさておき登場人物や物語の方はというと・・・
 
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 時代は近未来、【メトロポリス】というとある都市に「ジグラット」という超高層建造物が完成するところから始まる。その完成披露式典には、メトロポリスのお飾り的な大統領・ブーン大統領、政界には属していないがメトロポリスの実質的な権力を握る・レッド公、メトロポリスの市長・リヨン市長らが顔を揃えている。
 同じ頃、この街に国際指名手配されているマッドサイエンティスト・ロートン博士が潜伏しているという情報をつかんだ、私立探偵のヒゲオヤジこと伴俊作と、その甥・ケンイチがはるばる日本からやってくる。そのロートン博士は、好き勝手な研究に精を出す一方、レッド公に雇われて「ジグラット」の中核を担う超人=人造人間・ティマの開発を急がされていた・・・。
 
 ロボットたちの労働力のお陰でますます繁栄していくと思われたが、実はメトロポリスできらびやかなのは地上世界のみ、その下にはロボットに職や居場所まで奪われた人間たちが暮らす「ZONE1」から、メトロポリスの動力源のプラントがある「ZONE2」や下水処理区域の「ZONE3」までの、アウトロー的なアンダーグラウンド=地下世界が広がっていた。
 「ZONE1」には、ロボットが支配する世界をよろしくないとするアトラス率いる革命組織も暗躍していた。その行動を監視し、メトロポリスの治安を武力で制圧しているのが、レッド公の養子にしてマルドゥク党の総指揮をとるロックだ。
 
 ロックは、実の父ではないレッド公を異常なまでに慕い、完成した「ジグラット」に君臨し世界を支配するのは、父・レッド公であって人造人間のティマではないと謀反を企てる・・・。
 またブーン大統領も、市民の人気がレッド公に傾き掛けている事態を重くみて、何とか自分が権力者だということを示そうと、スカンク国務長官やランプ諜報省長官と陰謀を画策するのだが、レッド公側にも何か動きが・・・?
 ヒゲオヤジとケンイチはというと、ロートン博士捜索中に離れ離れになってしまい、メトロポリスに渦巻く【野望と陰謀】に巻き込まれていく・・・。
 
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 際立っていたのは、物語前半部分のティマの「陽」と、後半部分のティマの「陰」だろう。前半は、劇中、もっとも無垢なキャラクターのケンイチに勝るとも劣らない「天使のような」仕草や表情をしていたのに、後半では見るも無惨な有り様だった。あまりの変わり様に残酷さを感じるほどだった。しかし、ケンイチとティマの対比に見えるところ・・・ここがこの作品が示したかった部分じゃないだろうか? 深く語るには非常に心苦しいため、ここから先は実際に目で観て欲しい。
 
 映像的な面を検証すると、やはりアニメ作品であるために主人公らの表情表現が非常に難しかったんだと思う。特に手塚作品は、ツルッとした顔の・・・悪く言うと“のっぺり”したキャラクターが多いために表情のアップが少ない。俳優などと違って目や口元だけで演技させようと思っても限界があるのではないだろうか。しかし、ここらへんも原作に出てこない「ロック」という人物を使って、登場人物中唯一、リアルに感情や表情を表現して、随分とこのギャップを緩和させていたのでないかと思う。
 
 あと、「キレイだなぁ」と感じたのは陽の光にあたると神々しいまでに輝きを放っていたティマと、建物のロング(=広い空間を示すカメラ用語)をセル画とCGで凄まじいほどに迫力を出して描いていたところか。
 
 また、キャラクターを設定するにあたって出来るだけ手塚キャラを使おうという演出から、いろんなところで「あっ!見たことある」とういキャラが出てくる。登場人物は当然の事ながら、随所で活動しているロボット、ガラクタや背景の中にも使用されているので注意して見つけだして欲しい(笑)
 それと、それほど意味なく活動しているロボットの中にも愛らしい奴らがたくさん出てくるので、そのあたりもチェックしていると楽しいかも? 私のお気に入りは冒頭で起こる火災を消火する「消火ロボット」で、その音楽もぜひ聞き逃さないようにして欲しい(^-^;
 
 何も考えずにボーっと鑑賞しようと思っていたのが、観終わってみた今は、ノーマルな俳優作品よりはるかに考えさせられるメッセージが込められていたんじゃないかという気がする。早速、原作を探して読んでみなければ!!
・・・誰か、知ってる人いませんか?(^-^;
 
 
原 作            手塚治虫
監 督            りんたろう
脚 本            大友克洋
総作画監督         名倉靖博
/キャラクター・デザイン
美 術 監 督       平田秀一
CGテクニカル       前田庸夫
・ディレクター
作 画 監 督       赤堀重雄・桜井邦彦・藤田しげる
音 楽            本多俊之
 
 
ミヤコ“ムーキー”オバタが歌う、主題歌「THERE'LL NEVER BE GOOD-BYE」THE THEME OF METROPOLISや、元憂歌団・木村充輝のブルージーな挿入歌「ST.JAMES INFIRMARY」に、レイ・チャールズの「I CAN'T STOP LOVING YOU」など、とにかく音楽が凄く印象的だった。

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Last updated: 2004/10/20