寒冷地での導水工法
JR地下歩道漏水補修工事
発注 魚沼市
工期 平成22年3月8日〜平成22年4月2日
施工 合資会社 みうらや
新潟県魚沼市堀之内2856−1
TEL025-794-2423 http://www.niks.or.jp/~miuraya/
担当 秋元
協力 オークケミカルエンジニアリング
魚沼市は日本一美味しいお米の産地として知られた所ですが
新潟県でも内陸部に位置し、今年は特に積雪も多く、3月の
半ばでも駅の近くでは写真の様に残雪に覆われていました。
(拡大写真) (拡大写真)
施工現場はJR上越線堀之内駅近くの小さな地下歩道ですが
線路脇には除雪された残雪も多く、時折小雪の舞う状態でした。
(地下歩道入り口) (除雪の山)
雪が降れば寒いのは当然の事ですが、東京、大阪等の太平洋側
では、雪が降っても、昼頃までには溶けて、気温も上昇するので
樹脂工事は5℃以下では施工を避けるのが常識となっています。
しかし、当地では12月初頭から3月末まで、この様な状態が
続き、0℃前後の気温でも施工を避ける事は出来ません。
エポキシ樹脂工事に関して、私達は日頃、寒冷時には硬化促進剤
や硬化の早い硬化剤を使用する事のみ考えていますが、実際に
0℃前後の施工現場では、様々な問題があります。
第一に、樹脂の粘度が非常に高く、加温して粘度を下げなければ作業は困難ですが
加温が過ぎると寒冷時仕様の為、ポットライフは極端に短くなり、樹脂は少量しか練る事が出来ません。
又、その為の温度管理も大変です。 以下、その工事の施工顛末を報告します。
現場は狭い地下歩道ですが、通行を遮断出来ないので、通路を
半分に仕切って施工しました。
歩行者が絶えないので、サンダー掛けにもカットにも強力な
バキュームを使用します。
(サンダー掛け) (漏水状況)
漏水は雪解け水で、晴れても減量しません。
コンクリート表面温度は0℃前後で、当地の冬の長さを
物語っています。東京、大阪では大概5℃前後です。
吸水テープや導水紐の貼り付け ガラスマットの貼り付け
吸水テープや導水紐の貼り付けには異常は無いのですが
ガラスマットを天井に張り付けても、簡単には剥落しません。
これは暖めた樹脂を塗布しても、コンクリート表面では0℃近くに温度が低下して
塗布した樹脂がバター状に近くなるからです。
最後にはゴムヘラで脱泡する
粘度の高い樹脂はマットには容易に浸透せず、脱泡ローラーでも歯が立たず
結局、ゴムヘラで押さえ込み、脱泡含浸させました。
お陰で、樹脂の使用量はロスも含め夏期に比べ倍以上必要でした。
壁面のガラスマット貼り付けでも、塗布する樹脂量が多く
貼り付けたガラスマットが、樹脂の重さで徐々にずり落ちて
来るので、投光器やヒーターで暖めたり、樹脂の中に増粘剤
を加えるのですが、樹脂の粘度が増大するだけでそれ程の効果
が現れません。
ガラスマットが樹脂の重みで徐々にずれて来る
(同上) (投光器やハンドヒーターで加熱)
樹脂の硬化は穏やかに進めたので、翌日だれ下がって膨れた
部分のマットを除去し、改めて部分補修をしました。
(部分補修)
壁面でクラックから漏水している部分は予め溝をカットし床の
排水溝まで導水し、斫り部分をエポキシ樹脂モルタルで修復したの
ですが、樹脂モルタルにも同じ様な問題が発生しました。
パーライトを多用した樹脂モルタル
(施工時には安定して見えます)
モルタルにはそれ程の強度は不要なので、パーライトなどの軽量
骨材を多用したのですが、モルタルは樹脂リッチで、翌日には
多少ズレが生じました。
ズレはパテで修復出来る程度で収まり、ガラスマットを貼り付け
導水工法は完了ました。
施工は日頃の様に、最低温度を5℃前後に設定して始めたので
使用樹脂を施工前に暖める準備はしましたが、壁面の温度は
昼間も0℃から上がらず、常に0℃前後の作業環境で作業を
進める事となりました。
幸いな事に、会社にはエポキシ樹脂の反応性希釈剤や非反応性
の希釈剤の備蓄が多少ありましたので、材料を多少希釈して
作業を進める事は出来ましたが、これが0℃以下の作業環境を
想定した場合、他にも様々な問題発生が予測されます。
仕上げは、天井部分をエポキシ樹脂モルタルでしごき、
全面塗装して納めました。
(完成した地下道全景)
(導水補修した壁面) (同)
施工結果は当初予定を材料、人件費共に倍近く要し、寒冷地での
施工の難しさを痛感しましたが、工事中、地下道を通る地元の
人達から小学生からまで「ご苦労様です」と暖かい言葉を掛けて
頂き、心の励みとして工事を完遂出来ました。
工事完了後も「水が落ちなくなってて良かった」と近所の人達
からも評価され、安堵しております。
反省
魚沼市は新潟県でも内陸部に位置し、豪雪地帯ではありますが、更にその
山奥には福島県や群馬県、長野県などの冬季寒冷地があり、真の寒冷地
とは言えません。そこでは−5℃〜−10℃の気温も恒常的に想定され
ますので、私達は少なくとも−5℃前後の作業環境にも対応出来る
作業仕様を日頃から作製しておく必要を痛感しました。
オークケミカルエンジニアリング