バリアフリーの落とし穴

    1.浴室の漏水                             



 新築間もない寮の浴室で漏水がありました。 


               (拡大写真)


             
 








  更衣室の床下に水が溜まるのです。
 新しい間は気付かないのですが、やがて
 腐敗臭が強くなります。 


               (拡大写真)














 浴室内部の排水溝はステンレス製で別に問題はありません。
 
           (拡大写真)   (拡大写真)

 浴室入り口のドアー部分がバリアフリーとなっていますので
 そこから、浴室内部の水が流れ出ている事も確かですが、
             
        (拡大写真)  

 しかし、それは表面的問題であり、表面にコーキングする
 だけでは解決出来ません。






 右図の様に、建築当初防水業者は従来同様
 コンクリート床に防水します。
 しかし、この時点では出入り口部分は
 バリアフリーと言うことで、立ち上がり部分が
 ありません。

  しかし、工事は次の業者に引き継がれ、次々と
 下図の様に図面通り仕上がり、納入されました。









 しかし、この場合、浴室タイル目地
 から浸透した洗い水は、更衣室床下に
 流れ出す以外、出口がありません。
 
       


             
 








 従来の工法では、浴室の出入り口には低いながらも
 必ず立ち上がりがあり、排水ドレーンには屋上防水
 同様に二重ドレーンを使用して、浴室床面の勾配は
 タイル下地で行いました。
              
 所が、最近の傾向として、バリアフリーが主流となり
 浴室外部の床面と同じ高さとする為に、シンダーコン
 クリートで嵩上げする様になりました。

 お陰で浴室内部の勾配も取りやすくなったし、写真の
 様にスマートなステンレスの溝も取り付ける事が出来
 る様になったのですが、その結果、二重ドレーンは
 使用困難となり、図1.の様に、防水業者は立ち上げ
 られた排水パイプの回りに防水材を巻き付ける事が
 主流となりました。




  補修に最低必要な事

  1.いかなる場合でも、立ち上がりは必要です。

 2.二重ドレーンを付ける事で、浴室内部の
      異臭は少なくなります。

   トイレや調理場でも大切な事です。











      2.大学記念館入り口のバリアフリー




 この建物は某大学の記念館として10年程以前に建てられたもので
 一般の校舎より格段に入念に施工されたものですが、
 玄関内部に漏水がありました。







       (玄関周り拡大写真)
           
       (同上降雨時拡大写真)


 玄関は道路から1m程下に位置しますが、
 入り口ドアーは建物の下で、雨の吹き降りが、ドアーから
 侵入する事はありません。

 所が玄関内部の床面は外部の床と同一平面にあり
 降水時、周囲のタイル面から雨水が内部に浸水するので
 タイルとサッシとの間をコーキングしても漏水は止まりません。
 



       (漏水箇所、拡大写真)

       (同上、拡大写真)


 漏水部分は玄関床面より更に1m程下がる階段部分で
 玄関内部床面タイルの下に浸水した雨水が漏れて来るのです。




 外部タイル面は目地から雨水が容易に浸水しますので、説明の為
 玄関周囲の床や壁面のタイルや窓ガラスを全て取り外した状態
 (建設時の状態)を想定すると下図の様になります。

 窓サッシは下地コンクリートに固定されていますが、タイル下地に防水が無ければ
 雨水はサッシの下を抜けて玄関内部に容易に浸水します。



 水色部分はタイル下地
 コンクリートが雨水で
 濡れた状態を現しています
























 通常、1F床面は下に地下室が無い場合には、通常防水は施工しないので
 これを補修する為には、サッシと下地コンクリートの間を下図の様に
 防水する必要があります。












 










 タイルの下を防水するにはサッシ周囲のタイルを
 除去する必要があり、施工前に、ガラスの養生も必要です











 タイルを斫り取り、驚いた事に、窓サッシは
 下地コンクリートではなく、タイル下地モルタルに
 固定されていただけです。

 これでは漏水は当然です

         (タイル撤去後の拡大写真)


 タイルとタイル下地モルタルを除去し、水洗いして、下地コンクリートを
 乾燥しますが、タイル下地からの漏水は当然の事ですが容易には止まりません。



            

 この様な場合、防水用ウレタン樹脂は使用出来ないので

     (FRPライニング、拡大写真)

 下地が湿潤時に適したエポキシ樹脂でFRPライニング
 防水をします。   

       (同上、拡大写真)   







      (下地復旧、拡大写真)

 タイル下地をエポキシ樹脂モルタルで修復してから
 タイルを貼りますが立ち上がり部分からも
 漏水しますので、防水してあります。

      (同上拡大写真)

           (タイル復旧拡大写真)




  
     (作業完了拡大写真)
 
 タイルを復旧後、FRPライニング防水層と
 サッシの間をコーキングして漏水補修工事は完了ですが、
 コーキングの巾が異常に広く目立ちます。

          (鉄サッシの錆び拡大写真)

 無論これは防水層をタイル面より高くしている事にもよりますが
 窓サッシが鋼鉄製であるため、タイル面より上部が既に部分的に
 錆びています。錆が進行すると接着面から防水層が剥離します。

 これを出来るだけ避ける為に、コーキング巾を広く取りました。              


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                  大久保 晃