レコード芸術特選盤

XQDN1011
T-TOC RECORDS
2008年3月26日発売


Akira Naito / Primavera

D.スカルラッティ
 01.ソナタ ロ短調 L.33
 02.ソナタ ホ長調 L.23

モーツァルト
 03-05.ピアノソナタ 第10番 ハ長調 K.330

モンポウ
 06.歌と踊り 第6番

フォーレ
 07.即興曲 第3番 変イ長調 Op.34
 08.夜想曲 第5番 変ロ長調 Op.37

スクリャービン
 09.ピアノソナタ第4番 嬰ヘ長調 Op.30

メトネル
 10.春 Op.39-3(「忘れられた調べ 第2集」より)

ショパン
 11.舟歌 嬰ヘ長調 Op.60

内藤 晃(ピアノ:ベヒシュタイン)

2007年10月12-13日、東大和ハミングホール(01-10)
2007年5月6日、杉並公会堂大ホール(ライヴ)(11)


■メトネル「春(Primavera)」をはじめ、フォーレ、スクリャービンなどこだわりの愛奏曲を名器ベヒシュタインの音色で収録したソロアルバム第1弾。ディスクの最後には、リサイタルで特に好評をいただいたショパン「舟歌」のライヴ録音も特別収録しています。

■全国各地のCDショップおよびオンラインストアでお求めいただけます。
オンライン販売: Amazon  HMV  タワーレコード

■高音質仕様ゴールド・マスターCDR
もございます ( 詳細

MySpaceにて一部試聴できます。

■当CDは、『レコード芸術』誌5月号にて特選盤に選出されました。感謝申し上げます。
内藤晃というピアニストのことは、不束ながら、このCDをもって初めて知った。まだ23歳の彼は、現在も東京外語大学ドイツ語学科に籍を置くかたわら桐朋音大で指揮法を学んでいるとか。また、少年時代から毎年、老人ホーム、福祉施設を訪ねて演奏することをつづけており、その方面で賞を授けられてもいるという。念のため明記すれば、私はいつものとおりブックレット解説は二の次としてまずは奏楽そのものに耳を傾け、右のことはあくまで後に知ったのだが、あきらかにこの演奏には“人柄”の反映が濃い、と聴きながら感じた。すなわち、このCDには、コンクール目当てに腕ばかりを磨いてきたピアニストからは決して聴かれない、内から発する“言葉”がみなぎっているのである。選曲からして、これはあくまで、いま自分が弾きたい作品、自分なりに作曲家それぞれが込めた“声”を聴き届け得た作品ばかり選んだに違いない、と思わせるものがある。言い替えれば、ここに選ばれた18世紀から20世紀までの曲目は「詩的余韻の豊かさ」において共通している。だから、ほとんど脈絡なく並べられたように見えて、あるロジックを、ある”流れ”を感得させる。これにちなんで、ぜひ一筆せねばならないのは、ピアニストの選んだピアノがベヒシュタインであること。彼の音楽世界を創るために、このピアノの響きが必須であろうことは、理屈ぬきで伝わってくる。最後のショパン「舟歌」のみはライヴ録音となっているが、同じくピアノはベヒシュタイン。そして、”言葉”に満ちてはいても、けっして雄弁になりすぎない内藤晃の流儀は、たしかにこの名作の真髄に触れ得ている。(濱田滋郎氏)
若い音楽家の台頭が目覚しい。内藤晃は1985年生まれだから、今年で23歳。栄光学園高校のときに、日本クラシック音楽コンクール高校の部の全国最高位を得て、現在東京外国語大学のドイツ語学科に通う傍ら、桐朋学園大学で指揮の研鑽を積んでいるという。スカルラッティ、モーツァルトからロマン派、近現代までを並べた、いわゆるリサイタル・プログラム。スカルラッティとモーツァルトのタッチはよく研磨され、粒立ちが揃っていてとても美しい。いや、それ以上にスピリットがあるのがいい。ピアニストの感じたものが、音や演奏からダイレクトに伝わってくるのだ。スカルラッティの《ソナタ》ロ短調L.33に込められた哀愁は色濃く、ホ長調L.23はメリハリの効いた鋭角的なリズムが楽しい。モーツァルトの《ソナタ》ハ長調K.330の第1楽章は引き締まったテンポ、熱気が籠もったパッセージと微妙に施されたアゴーギクが、演奏に生きた表情を与えている。隅々まで楽曲を理解した上での演奏であることを示唆する明晰さを持ちながら、同時に作品の内面と一体化した純粋な表現は聴き手を惹きつけてやまない。第2楽章では十分なテクスチュアの透明度を伴いつつ、余分なものをそぎ落としたシンプルな歌を聴かせ、終楽章は生き生きと弾む。モンポウの《歌と踊り》第6番の哀愁には胸に迫るものがあり、後半では若い情熱を思い切り解き放つ。フォーレの《即興曲》は歌に溢れ、スクリャービンの《ソナタ》第4番では繊細かつ詩的な感受性が認められる。メトネルの《春》の艶やかな色彩感と濃密な情念は、まさしく春の息吹そのものだ。これにより一層の洗練とスケールの大きさが加われば、インターナショナルな舞台で活躍するアーティストとなることは間違いない。(那須田務氏)



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