PAの仕事

 

   PAの仕事ってどんなのがあるか、ざっと紹介します。私の所属していたサークルはバンドサークルだったので、そこの一係りとして存在していた機材係がPAをしていたのですが、まぁ、その辺がわかっている人間だから、予算や、ライブの規模、日程だったりの企画の段階から打ち上げまで参加してましたけどね。さらには、バンドメンバーとしても参加します。

 と言う事で、ここでは、ライブを作ると言うのにどのくらいの工程があるのかな、と言うのをざっと紹介します。普段バンドマンとしてライブをしているけど、PAさんが実際どんな仕事をしてるか疑問に思っている方は、一読しておくと次から「へぇー」って思えるかもしれません。

 

  1. 企画・・・会場の下見をしに行きます。ここで、PAブースをどこに置くかとか、スピーカをどう配置するか、箱(会場)の大きさから機材の規模を考えます。もちろん会計担当と予算について相談することも大事。機材が決まったら、セッティング図を作成します。
  2. 下ごしらえ・・・企画が終わったら、必要な機材を見積もります。自前の機材で足りなければ、楽器屋さん、他団体から借りるために、交渉し、借用書を書き、値段の見積もりをもらったりします。機材運搬用のレンタカーの予約も必要ですね。
     さらに、当日はサークルのメンバーみんなで準備をするわけで、我々PAは要所要所のセッティングと監督・指示担当になります。そこで、当日の作業がスムーズに進むようにジャンクションボックスのIN/OUT対応表を書いておきます。PAメンバーのミーティングを持っておくことも大事です。
  3. 仕込み(前日)・・・しこみはたいてい朝から始まります。ということは、楽器屋さん、他団体からお借りする機材は朝の時点で準備されていないと困るわけです。そこでライブの前日に使用機材をトラックで運びます。レンタルした2t車トラックで、各倉庫から機材をお借りします。夜間の保管を考えるとかぎ付きのアルミ(二台がアルミの箱になってるもの。他にホロになっているものなどを使う。)がベストです。積み込みは経験と勘で、積み込む機材が偏らないようにします。多少の揺れで崩れないように、同じような高さで、まんべんなく積み込むのが大事です。機材は重いものが多いですが、上手にあおれるようになると、腰を痛めません。要はコツです。
  4. 仕込み(当日)・・・機材の人間は誰より先にトラックとともに到着し、人が集まり次第機材を降ろします。
     仕込みは、うちの場合は卓周りと、ステージにPAを分けて手のあいている人に指示を出しながら、機材をくんでいきます。この時、機材の専門用語がバンバン飛び交い、サークルの新人君などは混乱します。
    「ころがしのところにキャノンフォン持ってきて!(転がし=足元に置くモニタースピーカ、キャノンフォン=片方がキャノン(XLR)コネクタ、もう片方がフォンコネクタのケーブル)」
    「サブローはワイパラで・・・(サブロー=サブウーファー、ワイパラ=Y字状になった並列接続用ケーブル)」。
    結線作業は、簡単な電気的な知識があって、ビデオとテレビとコンポを繋いだ事のある人なら慣れればできます。数が増えただけ。卓周りはSend/Return,Aux,Groupなどを駆使してEffecterを通したり、モニターアウトしたりするのでややこしいですが・・・。ステージ上では、アンプでのブリッジや、パラレル接続あたりがわかるとまぁ、なんとか。やっぱ一番大変なのはトラブルシューティング。
  5. 音出し・・・結線作業が終わったら音が出るかチェックします。卓側からCDなどを鳴らして、全てのスピーカーから正しく音が出るか。音が出なかったり、逆になっていたり、弱かったりしたら、トラブルシューティングです。アンプのシグナルは点灯するか、ケーブルが断線していないか、断線しているとすればどこか、この辺がすんなり対処できるかどうかは経験です。
     卓側から音が出るなら、次はマイクチェックです。マイクの信号が卓まで届くか確認するだけなので、「マイクチェックワンツー」などいう必要はない。「あーあー」とか、ドラムマイクなどで顔を近づけられないなら、カリカリとマイクの頭を削ってあげたりするていどでOK。うまく音が出ないときは、またトラブルシューティング。
  6. 音作り・・・ここからは、お手伝いさんは、舞台装飾や、照明、受付、録音、ビデオ準備など、それぞれの持ち場に戻ってもらい、我々はEQ(Equalizer)で音作りです。本サイトでたびたび出てくる周波数特性。こいつとの戦いになります。これが甘いと、ハウリングが起きます。ある一定の周波数の音だけがスピーカ→マイク→アンプ→スピーカとエンドレスで回り、「キーン」、「ボー」など不快な音がします。下手な演説会場とか、カラオケでボリュームを上げた時に出てくる痛い音です。
     ここで、「マイクチェックワンツー、Hey、Hallo」などが登場します。ようは何でもいいんですけど、声で周波数の強弱を測っています。遊んでいるわけではありません。
    「2ケー3デシカットで(イコライザーで2kHzの音を3dBカットしてください)」
    「500ちょいあおって(イコライザーで500Hzの音を少しあおって、ハウリングしないか確認してみてください)」
    など、ステージと卓で意味不明の言葉が飛び交います。これを、メインスピーカ、各モニターそれぞれやって、最大音量でもハウリングが起きないように、逆に音がやせる部分がないように調整するのがEqualizingです。自宅で迫力ある音を聴くためにHighとLowをブーストするだけのものはEqualizingとはちょっと違うかな。
     音作りはドラムの音作りも重要です。ドラムはマイクで拾って、卓側で調整するからです。ギターや、ベースと違って電気的に音を作るのはPAになります。ここでは、ドラマーさんに協力してもらい、実際に叩いてもらいながら、バスドラ、スネア、ハイハット・・・一点一点の音、3点のバランス、全体のバランスを調整していきます。基本はマイクの位置。ONマイク(近い)ならアタックが強く、OFFマイク(遠い)なら響きが取れます。それでもカバーできない時は、ゲートや、パライコなどを使って音を作ります。
     ボーカルのエフェクト(リバーブ、ディレイなど)や、各種楽器のボリューム、全体のバランス、モニターの聴こえ具合なども調整します。一日目は大抵準備で終わるのですが、機材班は音作りのため誰より遅くまでがんばります。次の日も一番早く来なければなりません。
  7. リハーサル・・・音ができたので、出演バンドごとにリハーサルを行います。基本的にPAは自分が卓(ミキシング)を担当するバンドをリハーサルから担当します。ここでのリハーサルはバンドさんが気持ちよく演奏するために、モニターにどの楽器の音が欲しいのか、聴こえ具合はどうかを調整するためのものです。そこで、あらかじめバンドごとにメンバーの立ち位置と楽器、必要なマイク、モニターへ返して欲しい音などを書いたセッティングシートを提出してもらいます。
     卓で各楽器、ボーカルなどの音量バランスやモニター出力を調整する人と、ステージ上でセッティングの手伝い、マイク、モニターの向きなどを準備するローディとの連携が必要です。最後に、ミキサーのメモリ(レベルや、モニター具合)をミキシングシートに書き込み、次のバンドに交代です。ちなみに、リハーサルは練習じゃないぞ、と。
  8. 本番・・・司会者のマイクのON/OFF、BGMのCD入れ替えなどをしつつ、バンドが準備してる間に、ミキシングシートからリハーサルの通りにセッティングします。演奏中はボリュームを調整したりするくらい。
    「リハーサルの時と音違うじゃねーか!」
    「ボリューム上げやがったな!」
    など言われないように注意しましょう。(言わないかもしれないけど、こっちはびっくりします)
  9. バラシ・・・バラシはすばやく。一瞬にして機材を撤去しトラックに積み込み、会場を後にします。往々にしてライブは押すので、ここを早くしないと追加料金を取られかねません。そしてトラックを転がし、機材を楽器屋さんや、他団体にお返しし確認してもらい、料金を払ったりすます。
  10. 打ち上げ・・・楽器屋さんや他団体の倉庫を回ってるうちにコンサート打ち上げ一次会は始まっていしまいます。どぉせ間に合わないので、ファミレスで機材班小打ち上げ。労をねぎらいつつ反省しつつ、「2次会からだと、テンション付いて行けねーよなー」ってな愚痴を言ったりします。(大抵、機材班の事は忘れて盛り上がってます。こころよい人は、遅れて登場した機材班にねぎらい、感謝の言葉をくれるので、まぁその辺が辞められないところかと。)と言っても、祭り好き、サークル大好きなので、その後大盛り上がりですな。

長い話になりましたが、そんなこんなでライブを作ってきました。教室で行うような小さいライブから、野外コンサートみたいな大きいライブまでかなりのサークルコンサートをしてきたなー。PAをやってみたいと思っている方、バンドをやっている方、PAの側から見たライブを作るって言うのはこういう感じです。